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【代々木A】Round 8:斎藤 友晴 vs. 平田 稔 & 和田 寛也 vs. 植田 勝也

【代々木A】Round 8:斎藤 友晴 vs. 平田 稔 & 和田 寛也 vs. 植田 勝也

By Jun'ya Takahashi

 長丁場だった予選ラウンドも遂に最終ラウンドを迎えた。今回の予選方式は、予選ラウンド終了時に各ブロックのスタンディング1位のみがトップ8のプレイオフへと進出できるという形式となっている。ひとりしかチャンスをつかむ事が出来ない過酷な最終戦の中からAブロックの模様をお届けしたい。

 まずは現在の状況を整理する。ラウンド7が終了した段階でのスタンディングは、斎藤と植田が共に18点(植田のop%が僅かに上)。

 それを追う和田が16点で平田が15点のop%となっている。つまり、斎藤は『自分が勝って植田が負けるとトップ8』、植田は『自分が勝てばトップ8』、和田は『自分が勝って斎藤が負けるとトップ8』という条件を背負って最終ラウンドに臨むこととなる。

 平田だけがトップ8とは無縁のポジションなのだが、上位4名までに賞金が与えられるため、より高い順位を目指す事には大きな意味がある。

 誰も引けない引きたくない。最後の意地のぶつかり合いが始まった。

Game 1

 「ソプターコントロール」を操る植田と「青黒フェアリー」の和田。そして「Hyper Naya Zoo」の平田を迎え撃つのは、最新作の「FinalZoo(ファイナルズー)」を引っ提げた斎藤(本人によると「今までのTheFinals史上、誰一人として気がつかなかったシークレットネーム」らしい)それぞれ『コントロール対決』と『ビートダウン対決』という濃淡のはっきりとした綺麗なコントラストを描いたマッチアップとなっている。

 片や《野生のナカティル/Wild Nacatl》をお互いに1ターン目からプレイして、それぞれ《バントの魔除け/Bant Charm》と《稲妻のらせん/Lightning Helix》で除去し合うという激しい序盤戦を繰り広げるのに対し、もう一方は互いに4枚の土地を並べあった後、植田のプレイした《知識の渇望/Thirst for Knowledge》をきっかけにゲームが始まる落ち着いた立ち上がりを見せる。

 ゲームスピードが大きく異なるため、隣同士のテーブルながらも、まるで別のゲーム環境をプレイしているような錯覚を覚える。

 そんなこんなで筆者が時間酔いをしている間に、動物達の殴り合いは斎藤のキャストした《長毛のソクター/Woolly Thoctar》で一層の加速を見せる。

 《貴族の教主/Noble Hierarch》を多く引いてしまい不利に立たされた平田は、《バントの魔除け/Bant Charm》、《流刑への道/Path to Exile》と除去の嵐を《長毛のソクター/Woolly Thoctar》にぶつけるも、斎藤の《否認/Negate》と《バントの魔除け/Bant Charm》のカウンター能力がそれを阻む。

 有効なカードに辿り着けない平田が足踏みしている間に、追加の戦力として《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を戦線に加えた斎藤が1本目をもぎ取った。

斎藤 1-0 平田

 静かな立ち上がりを見せていた和田と植田のゲームは急展開を迎えていた。土地を4枚アンタップ状態でコントロールしている和田のエンド前に、植田は土地に向かって《謎めいた命令/Cryptic Command》を『バウンス&ドロー』のモードでプレイ。手札に《謎めいた命令/Cryptic Command》2枚を抱える和田だったが、エンド前の攻防でフルタップしてしまうと大きな隙を見せてしまう為、これを泣く々々了承する。

 これを好機と見た植田はキーカードである《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》で主導権を握りにいく。カウンターの無かった和田は《撤廃/Repeal》と《謎めいた命令/Cryptic Command》のバウンス能力で何とか手札に押し返し、絶好の《思考囲い/Thoughtseize》で捨てさせる事による逆転を狙うが、植田の手札には《交錯の混乱/Muddle the Mixture》が残されていた。

 再び変成能力から引っ張り出された《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》が《弱者の剣/Sword of the Meek》との永久エンジンを動かし始めたのを確認し、和田は潔く次のゲームへと意識を切り替えた。

和田 0-1 植田

Game 2

 ゲーム1は『ビートダウン同士』が高速のゲーム展開、『コントロール同士』は腰をしっかりと据えた探り合いが目立った。しかし、ゲーム2は真逆の展開を見せる事となる。

 マリガンをして6枚の手札をキープした植田に対し、先手を取った和田は驚異のロケットスタートをお見舞いする。

 1ターン目の《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機から、2ターン目には《苦花/Bitterblossom》を設置する事に成功したのだ。植田も負けじと《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》を展開するものの、相方の《弱者の剣/Sword of the Meek》が無ければ効果的には働かないこのカードは、現在の所は仕事しない。

 そして、あったら困る《弱者の剣/Sword of the Meek》を対処する為に《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》で手札を覗いた和田は、植田の『《謎めいた命令/Cryptic Command》《マナ漏出/Mana Leak》《悪斬の天使/Baneslayer Angel》土地2枚』という内容を「ステイ」させる。

 変わるターンで植田がトップデッキした《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》を《マナ漏出/Mana Leak》で弾き飛ばし、《祖先の幻視/Ancestral Vision》の待機が明けた事で一気に有利に立つ。

 続くターンでプレイされた《悪斬の天使/Baneslayer Angel》も再び《マナ漏出/Mana Leak》で退け、《思考囲い/Thoughtseize》で安全確認も万全である。苦し紛れの《謎めいた命令/Cryptic Command》すら《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》でカウンターし、僅か6ターンの内に素早くゲームに幕を引いた。

和田 1-1 植田

 そんなスピーディーかつ圧倒的な展開を見せる隣のテーブルを尻目に、斎藤の《野生のナカティル/Wild Nacatl》だけが2ターンの間一方的に殴り続け、平田は3ターンの間に一切のアクションを取らないという異様に静かなオープニングを迎える。猫による3度目の攻撃は《流刑への道/Path to Exile》に阻まれ、斎藤は追加の戦力として《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をプレイする。

 平田も負けじと《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を展開するも《流刑への道/Path to Exile》で退かされ、同じように放った平田の《流刑への道/Path to Exile》は《バントの魔除け/Bant Charm》でかわされてしまう。 

 一見すると凄く平田が不利な盤面だが、そこで《バントの魔除け/Bant Charm》を斎藤に使わせる事が平田の狙いだった。そう、満を持して登場したのは《悪斬の天使/Baneslayer Angel》である。

 除去を使い尽くし、土地を多く引いてしまった斎藤は、何処か結果の分かった合格発表を見るかのように《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をブロッカーにと繰り出すが、当然のごとく提示された不合格通知である《流刑への道/Path to Exile》を見て投了した。

斎藤 1-1 平田

Game 3

 ラウンド8の残り時間が少なくなってきた事を加味してプレイスピードが上がる2つのテーブル。斎藤と平田のテーブルには延長時間が出されているものの、和田と植田には残された時間は少ない。『勝利する事』が基本的な条件であるため、引き分けはすなわち負けに等しい。残りわずかな時間の中で勝利を手にする事が出来るのはどちらだろうか。

 お互いに仲良く1回マリガンをし、6枚の手札を最後のお供とした。ゲーム2で驚異的な展開をした和田はその幸運を再び掴み、いわゆる『《祖先の幻視/Ancestral Vision》→《苦花/Bitterblossom》』の手札を手にした。

 しかし、今回は《苦花/Bitterblossom》を《呪文嵌め/Spell Snare》で弾かれ、《粗石の魔道士/Trinket Mage》で先手を奪われてしまう。とりあえずは様子を見るという事で、メインターンで和田は《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》で安全確認をしてみると、植田の手札は『《謎めいた命令/Cryptic Command》、《金属モックス/Chrome Mox》、《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》』という内容。この中から《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》にアクセスできる《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》をボトムに送った。

 2枚目の《粗石の魔道士/Trinket Mage》が通った事で《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》との3点と4点のダメージレースが開始されるが、レース状況で不利な和田は、待機の解けた《祖先の幻視/Ancestral Vision》によって補充した《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》を着地させる事に成功する。

 いきなり手札の《謎めいた命令/Cryptic Command》が不良品になってしまった植田は攻撃するしか手立てが無くなり、一気に窮地に立たされてしまう。しかし、次のターンに続けてプレイされた《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》の2枚目によって生まれた僅かな隙を見逃さず、形勢逆転する《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》を設置する事が出来た。

 そのライフゲイン能力とトークン生産能力によって負ける事が無くなった植田だったが、無情にもその設置と同時に時間切れのアナウンスが流れる。エクストラターンを最大限に使ってお互いに活路を見出そうとするも、中盤からのライフレースで共に消耗していたライフを庇いながら攻めに転じる事は非常に困難だった。

和田 1-1-1 植田

 時間切れのアナウンスと共に延長時間が開始され、残された二人のプレイヤーは3ゲーム目を開始する。植田が引き分けた事で『勝てばトップ8』の条件がクリアーされた斎藤は一層気合が籠るものの、ドローが上手くついてこない。やや土地が止まり気味だった平田の《貴族の教主/Noble Hierarch》を除去するが、斎藤は攻め手を引かず、平田はマナを引く事が出来ない。

 時間切れ直前に待望のマナを手にした平田が《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を場に繰り出すものの、即座に斎藤の《流刑への道/Path to Exile》で追放されてしまう。そのままお互いに動物を引かない休日の動物園は、斎藤の《稲妻/Lightning》によって盤面がクリアになったところで閉場された。

斎藤 1-1-1 平田

 『勝てばトップ8』の試合がどちらも時間切れによる引き分けという意外な結果に終わり、このブロックからは斎藤と植田の19点同士によるop%の勝者がトップ8への通過者となる。

 「ここで残れたらラッキー。残れなかったら明日のリミッツで優勝できるチャンスを貰ってるってことだから、これまたラッキー」

 概ねop%で負けているため、ややあきらめムードの斎藤だったが、いつもの笑顔を見せながら明日のリミッツへのやる気とモチベーションを語ってくれた。トーナメントプレイヤーにとって、勝敗や結果が最も重要なファクターである事は今更確かめるまでもない事だ。しかし、『その場その時』の勝敗に引きずられ、『次の勝利』を逃してしまっては元も子もない。

『すぐに気持ちを切り替え、常に次の勝利を目指して努力する』

 誰もが納得し、精神論では理想的なステージだろう。しかし、言うは易し行うは難し。理解はしていても、実際に実行出来ているプレイヤーが一体何人いるのだろうか。「プレイが上手い」。

 「勘が良い」

 強いプレイヤーの条件を上げていけばキリが無いが、筆者がこれ以上に重要だと考える要素は無い。ゲームが終わり、次のゲームが始まる。その間の時間の使い方こそがPOYの原動力なのかもしれない。

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