マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

決勝:山本 明聖(和歌山) vs. 小松 智史(千葉)

決勝:山本 明聖(和歌山) vs. 小松 智史(千葉)

By Yukio Kozakai

 決勝は、フレッシュな2人の対決となった。今年のルーキーレースを最後の最後、世界選手権まで争った山本 明聖(和歌山)と、高校生ながらここまで勝ち上がってきた小松 智史(千葉)だ。

jpg

 山本にはチャンスが残っていた。

 あとわずか、届かなかったルーキーの座。プロツアー京都では、準決勝まで勝ち上がったものの世界の壁に阻まれた。共に今年のGPバンコクに遠征した際に、その当時を振り返って、

山本 「もう緊張して何やってたか全然覚えてないんですよ」

 と語っていた。その時も筆者が観戦記事を取っていたのだが、それも全く記憶にない、と。

 だが、ここにはもうその当時の山本はいない。この1年間世界で戦い続け、大舞台にも物怖じなどしない、成長した若者の姿がここにある。

 ここまで唯一、誰にも負けずに駆け上がってきた。「2日間で11連勝する権利がある」のは、もう山本だけだ。勝って終わるのと負けて終わるのとでは大きく違う。

 今年残してきた忘れ物は、この決勝で取り戻してみせる。

 小松 智史(千葉)は、全国的には無名の高校生プレイヤーだが、千葉においてその名を知らないプレイヤーは少ない。昨年ブレイクした千葉コミュニティがしのぎを削る「LMC(Lunatic Moon Convention)」のポイントレースで、今シーズントップをひた走っているのだ。

 新鋭とあなどるなかれ。9歳の頃からマジックを始めており、LMCでも「古株」に位置づけられる大ベテランである。中学3年生の時点ですでにその頭角は現れ始め、当時開催されていたジュニア選手権で3位入賞という全国区の実績も残している。

 今、千葉で一番強い高校生は、そのテクニックと「若さ」でFinalsを楽しみきってみせた。

小松 「マジックはもともと楽しいけど、勝ったらもっと楽しい。」

 小松が最高にマジックを楽しむ瞬間が、今やってきた。「楽しくマジックを」を合言葉に活動するLMC、そのDNAを体現する老練な若手は、笑顔で決勝開始の合図を待つ。

 2009年の構築戦を締めくくる最後のお祭り。その主役は、山本か、それとも小松か。

Game 1
jpg

 にわかにギャラリーが増えてきた決勝会場。先攻の小松がマリガンを選択し、山本が7枚でキープする。

 山本がプレイした《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》を小松が《稲妻/Lightning Bolt》で焼き、自分のターンには《不屈の自然/Rampant Growth》で土地を増やして速度で大きく先攻すると、フェッチランドの起動から巨大化した2匹目の《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》も《終止/Terminate》で除去し、序盤戦は小松がペースを握った。

 ところが、4マナを揃えたメインに動きがない小松に対し、山本は《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》から2枚の《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》を手札に加え、次のターンには《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》も戦線に登場。トークンを生産してターンを返す。

 小松のハンドは除去などのリアクションカードがほとんどだったのだ。まず《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》に《瀝青破/Bituminous Blast》を浴びせ、続唱で《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》、さらに続唱で《稲妻/Lightning Bolt》をプレイし、トークンも排除。

 小松は、先ほどの《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で山本が《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》を持ってこなかったことで熟考する。

(......間違いなく、持っている)

 そう確信して、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をブロッカーに残した。そしてそれに応えるかのように、山本は初手から温存していた《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》を解き放った。

 速攻を得た2体の《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》がフェッチランドでさらに強化され、一斉に小松へと飛びかかる。《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》で受け止め、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》のうち1体は《終止/Terminate》するが、残った強大な《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》が小松へ牙をむく。

 これで小松のライフは4。ブロッカーも失った小松は起死回生の《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》をプレイするが、再びフェッチランドでふくれ上がった《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》の牙にかかり、残ったドラゴン・トークンは山本が引き当てていた《流刑への道/Path to Exile》が突き刺さる。

 それでも、山本の土地が止まってようやくクロックが落ち着き、小松は「ここから反撃」と思ったところで、山本がトップデッキしたのは《コーの空漁師/Kor Skyfisher》。
《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》が号令をかけ直し、その突撃をかわす術は、小松には残されていなかった。

山本 1-0 小松

Game 2
jpg

 小松が再びマリガンを宣言する。山本はしばらく考えるが、結局このハンドをキープ。
 山本が悩んだ理由は、クリーチャー・カードが1枚もない、除去などの対処カードばかりのハンドだったからだが、これは《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を引き込んだことで解決する。この決勝ラウンド中、常にいいタイミングで《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を引き続けている。

 山本は、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》(続唱:《稲妻/Lightning Bolt》)を《天界の粛清/Celestial Purge》で追放し、自分のターンには《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をプレイして戦線を構築。さらに《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を送り込んでトークンを出し、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で加えた《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》と共に大攻勢をかける。

 小松は動かない。いや、動けない。4マナで止まってしまっていた小松は、ただただ、山本の叩き出すダメージを計算することしかできなかった。

 ビートダウンデッキ相手に守りに入らず、「若さ」を武器に勝ちに行った小松。あくまで攻めるカードをデッキに残した結果、ハンドに2枚ずつの《瀝青破/Bituminous Blast》と《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》、そして《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》を残したまま。もう何もできなかった。

 小松が最高の笑顔で右手を差し出す。

 その瞬間、The Finais 2009の王者が決定した。

山本 2-0 小松

 今年ブレイクはしたものの、山本 明聖はプロツアーチャンプもルーキーも、タイトルへは届かなかった。しかし、今年を締めくくる最後のイベントでついに山本はタイトルを奪取したのだ。

 Finalsの歴史を思い起こせば、あの中村 修平(大阪)もプロツアーデビューを果たした後、The Finals 2002で戴冠し、それから大きく世界へ羽ばたいていった。ブレイク前の若手も、ブレイク直後の若手も育てるFinals。その存在意義はとてつもなく大きい。

 レベル6プロプレイヤーとして世界を回る山本は、来年への大きな自信と軍資金と得た。小松も、高校生にして準優勝という結果は、あの渡辺 雄也(神奈川)も通った道であり、将来を感じさせる。山本と小松の2010年のさらなる活躍を期待しよう。

 さあ、デッキを作ろう。友達と遊ぼう。トーナメントへ出かけよう。みんなのワンプレイの積み重ねが、明日のチャンピオンを創るのだから。そしてそれは、あなた自身なのかもしれないのだから。

The Finals 2009 優勝は、山本 明聖(和歌山)!

jpg

前の記事: 準決勝:植田 勝也(愛知) vs. 小松 智史(千葉) | 次の記事: The Finals 2009 Top8 デッキリスト
イベントカバレージ/Finals09 一覧に戻る

イベントカバレージ