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【代々木】スタンダードブレイクダウン

【代々木】スタンダードブレイクダウン

By Jun'ya Takahashi

 世界選手権が終了し、文字通り最後のプレミアイベントとなった『The Finals2009』。「ジャンド一強」というレッテルの貼られた現環境を打破するデッキは現れるのか?

 ワールドウェイク導入前の最後のスタンダード環境を見ていこう。

77ジャンド
14赤単
13エスパーコントロール
11バント
10緑白黒上陸ジャンク
9白系ビートダウン
8赤白上陸
7緑系《エルドラージの碑/Eldrazi Monument》
6青赤《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》
5吸血鬼
5《広がりゆく海/Spreading Seas》
4グリクシスパーミション
3サモンエメリア(《召喚の罠/Summoning Trap》)
2青白ライブラリーアウト
11ローグデッキ

■使用人数第1位『ジャンド』77人

 良くも悪くも予想通りの圧倒的なシェア数を誇ったのは「ジャンド」だった。

 《不屈の自然/Rampant Growth》を採用し、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を解雇したタイプが主流となっており、全体的に同系戦を見据えて重い構成になっているのが印象的。

 注目すべきは同系とのマッチアップであまり有効に働かない《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》や《終止/Terminate》といった単体除去のスロットが減っていたことだろうか。特に《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》に至ってはトッププレイヤーの多くがメインボードに採用しておらず、サイドボードに単体除去の追加として3~4枚置いておくといった使い方がなされていた。

 サイドボードにおける特徴的な変更点としては、「赤単」への対抗策である《ドラゴンの爪/Dragon's Claw》が採用し始められたことが挙げられる。

 「赤単」は《消しえる火/Quenchable Fire》等の直接ダメージソースが基本となっているため、盤面の優位を続唱呪文によってキープすることを基本戦略としている「ジャンド」にとっては、戦うステージが少しずれてしまい、戦略が上手く噛み合わない相性の悪いデッキだとされている。

■使用人数第2位『赤単』14人

 「ジャンド」の項で挙げたように、対「ジャンド」デッキの一番手である「赤単」が2番目の使用者数のアーキタイプとなった。仮想敵が皆等しく「ジャンド」であるため、レシピも1スロット程度の誤差しか見られない非常に綺麗にまとまった構成が魅力的だ。

 しかし、方向性の一貫した綺麗に整ったレシピには『安定して同じような動きができる』という大きなメリットと共に、『露骨にカバーしきれない大きな弱点が存在する』というデメリットが混在することが多い。今回の「赤単」もその例の多分に漏れず、『《悪斬の天使/Baneslayer Angel》が致命的』だという大きな弱点を抱えている。サイドボードでは《マグマの裂け目/Magma Rift》や《反逆の印/Mark of Mutiny》といった専用のサイドボードを1スロット採用しているものの、根本的な解決策には至らない。

 また、「ジャンド」に対しては少し有利だが、「ジャンド」を対策する為の『赤対策』に引っ掛かってしまうこともあり、その他のデッキ(主に白の入ったデッキ)に対して不利であることが多い。

 つまり、メタゲーム的に「ジャンド」が極端に多い場合は効果が高く、そこまで多くない場合には中途半端なパフォーマンスを見せることになる。メタゲームをしっかり読み切らないと扱いきれない玄人向けのアーキタイプだと言えるだろう。

■使用人数第3位『エスパーコントロール』13人

 これらの色対策のカードをメインボードから詰め込むことで、トップシェアとセカンドシェアへの対策を施したアーキタイプである。ここまでの対策をしても「ジャンド」とのマッチアップは『やや有利』でしかないのだが、「赤単」に対してはかなりのアンチデッキとなっている。

 フィニッシャーには《悪斬の天使/Baneslayer Angel》や《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》といった各色の最高クラスのクリーチャーを採用しており、対「ジャンド」最終兵器である《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》まで入っているレシピも珍しくない。

 《審判の日/Day of Judgment》のおかげで「ジャンド」と「赤単」以外にも戦えるが、全体的にメインボードから偏った構成(色対策カードを大量に積む等)をしているため、ドローが噛み合わないと何をしたいのかよく分からない動きをしてしまうという、安定面での不安を抱えている。

■使用人数第4位『バント』11人

 『上陸』シナジーである《エメリアの天使/Emeria Angel》《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》と、マナブーストからの《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》の高速召喚を目論んでいるのが『バント』だ。《バントの魔除け/Bant Charm》や《流刑への道/Path to Exile》によって、「ジャンド」の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》への解答を持っているのが強みである。

 一般的に緑白青という色はクリーチャーが強力であるものの、単体除去で対処されてしまうデッキに対しては辛くなることが多いのだが、除去耐性のあるクリーチャーや《不屈の随員/Dauntless Escort》のおかげで単体除去を持つデッキに対しても戦えるようになっている。

 しかし、カウンターや大量除去に対する耐性は限りなく低く、サイドボード後に上手く《否認/Negate》を合わせる以外に有効な対応策は見られない。《エルドラージの碑/Eldrazi Monument》をサイドボードに取っているタイプも見られ、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》や《エメリアの天使/Emeria Angel》とのシナジーを考慮すると、とても良い選択だと考えられる。

■使用人数第5位『緑白黒上陸ジャンク』10人

 『バント』の補助色である青を、除去と手札破壊に秀でた黒に変更した形がこのアーキタイプである。

 クリーチャーのスペックが優秀な青に比べて妨害要素に秀でているのが黒、といったカラーの違いがあり、《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》やマナブーストを経ての《思考の粉砕/Mind Shatter》が特徴的な構成になっている。

 これら『緑白系』に共通する「ジャンド」への負けパターンとして挙げられるのが『《荒廃稲妻/Blightning》の連打による攻め手不足による手詰まり』なのだが、このタッチ黒のバージョンではそのパターンへの簡易的な対策を施している。

 それが《不気味な発見/Grim Discovery》である。

 《荒廃稲妻/Blightning》によって失ったアドバンテージを回収すると共に、除去されてしまった致命的なクリーチャーを回収し、攻め手を緩めずに戦うことができるため、擬似的な回答を示すことに成功している。

■使用人数第6位『白系ビートダウン』9人

 プロテクションやトークン戦略を基本にしているアーキタイプで、単体除去には自然と強く、全体除去に対しては《精霊への挑戦/Brave the Elements》の力で守りきるのを目標にしている。また、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》から始まる高速ビートダウンも、《エメリアの天使/Emeria Angel》と《征服者の誓約/Conqueror's Pledge》による物量でコントロール気味にゆったりさせることもできるため、幅広いゲーム展開に対応できる点がその魅力の一つとなっている。

 基本的な構成パーツは白で統一されているため、アクセントとしての補助色を採用しているパターンも見受けられた。青をタッチすることで《エイヴンの擬態術士/Aven Mimeomancer》を採用し、全体の攻撃軸をずらすと共に総合的な打点を上げたり、緑をサブカラーとして運用することで《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》や《不屈の随員/Dauntless Escort》による各シナジーや戦略のバックアップを可能としている。

■注目デッキ

Chiba, Akio
The Finals 2009, Standard 4-0
6 《島/Island》
4 《平地/Plains》
3 《沼/Swamp》
2 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
1 《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》

-土地(16)-

-クリーチャー(0)-
4 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
4 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
4 《吠えたける鉱山/Howling Mine》
4 《神話の水盤/Font of Mythos》
4 《時間のねじれ/Time Warp》
4 《蔵の開放/Open the Vaults》
4 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
2 《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
4 《万華石/Kaleidostone》
4 《時の篩/Time Sieve》
4 《天使歌/Angelsong》
2 《乱動への突入/Into the Roil》

-呪文(44)-
3 《否認/Negate》
3 《強迫/Duress》
4 《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》
3 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》

-サイドボード(15)-

 斎藤友晴や北山雅也といった有名プレイヤーが参戦していたAブロックを見事に4連勝で潜り抜けたデッキ。

 弱点だった「ジャンド」の《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》が、「ジャンド」同系のマッチアップを見据えて枚数減少につながっていることが追い風となり、綺麗に軸をずらした勝利手段を確立しているのが印象的だった。

Takebayashi, Tomo
The Finals 2009, Standard
4 《野蛮な地/Savage Lands》
2 《海辺の城塞/Seaside Citadel》
3 《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》
3 《ジャングルの祭殿/Jungle Shrine》
4 《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》
4 《古代の聖塔/Ancient Ziggurat》
2 《沼/Swamp》
1 《平地/Plains》

-土地(23)-
4 《極楽鳥/Birds of Paradise》
4 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》
4 《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》
4 《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
4 《セドラクシスの死霊/Sedraxis Specter》
4 《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》
4 《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》
3 《新たなアラーラの騎士/Knight of New Alara》
2 《マルフェゴール/Malfegor》

-クリーチャー(33)-
4 《天界の粛清/Celestial Purge》

-呪文(4)-
3 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》
4 《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》
4 《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》
4 《終止/Terminate》

-サイドボード(15)-

 《古代の聖塔/Ancient Ziggurat》を中心に、多色クリーチャーのマナ拘束を無視して戦おうとしているクリーチャーデッキ。

 「ジャンド」の強力クリーチャーを中心に採用しており、その周りをサポートする役割を兼ね備えたクリーチャーで固めている。《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》への解答として採用されている《マルフェゴール/Malfegor》はとても興味深い。

 同じマナ域の《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》とどちらが良いのかは非常に悩ましい部分ではあるが、マッチアップによって効果の変化するカード(《天界の粛清/Celestial Purge》や《翻弄する魔道士/Meddling Mage》)を有効利用できるのは大きな魅力だ。

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