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【代々木】エクステンデッド・デッキ・ブレイクダウン

【代々木】エクステンデッド・デッキ・ブレイクダウン

By Jun'ya Takahashi

 プロツアー・オースティンと世界選手権を終え、「ゼンディカー」が導入された後のエクステンデッドのメタゲーム環境も整ってきた。しかし、ここで言う「整う」とは、環境初期に存在するような未熟なレシピは淘汰され、メタゲームで生き残り得るポテンシャルを持つデッキの選別作業と言い換えることも可能である。

 つまり、世界選手権及び今回の「The Finals2009」の結果を元にメタゲームが形成され始めることとなるので、言わばスタートラインに立っている状態なのだ。次のPTQのフォーマットであると共に、春に横浜で開催されるGP横浜のフォーマットでもあるため、事前知識として確認するのも、今から練習を積むためとしても使える手ごろな情報だと考えられる。

 では、その分布と共に主要のアーキタイプに触れていきたいと思う。

26ソプターコントロール
21ナヤZOO(ナヤ13、Hyper8)
19フェアリー
18AIR
14《超起源/Hypergenesis》
13バント
13赤単
9《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》
6発掘
6白コン
6緑白黒ジャンク
6《集団意識/Hive Mind》
4DD
4キスキン
3レベルブルー
3親和
2ヤソコン
2エルフコンボ
15ローグデッキ

■ソプターコントロール

 《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》と《弱者の剣/Sword of the Meek》のコンボを勝ち手段とした、青と白をベースとしたコントロールデッキの総称である。

 マナの数だけトークンと1点のライフを得られるこのコンボは、変成を駆使する事で容易にコンボパーツを揃えられ、《弱者の剣/Sword of the Meek》が墓地にある状態からでもコンボが決まる為、実質《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》の1枚コンボであるとも考えられる。

 ドロースペルとカウンター。そしてコンボパーツ以外のカードは、メタからは外す事の出来ない「ZOO系統」に有効なカードが採用されている。その中でも《神の怒り/Wrath of God》が特に強力で、コンボが決まるまでの貴重な1ターンを確実に稼ぎだしてくれる。

 サイドボード後を中心として、このデッキの明確な弱点だとされているのが『アーティファクト破壊』である。《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》との相性を考えてマナベースに多くのアーティファクトを採用しているため、マナベースやキーカードといった多くのカードを破壊する事が出来る『アーティファクト破壊』は致命的なカードの1枚である。中でも《古えの遺恨/Ancient Grudge》の被害は大きく、一度まともに食らってしまうと形成を立て直すのは非常に困難なものとなる。

■ナヤZOO

 赤と緑と白のカラーコンビネーションを中心に構築されたビートダウンデッキの総称である。しかし、一概にナヤと言っても様々なバリエーションが存在し、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》が最高マナ域となっている軽量クリーチャー中心の構成から、オースティンの優勝デッキである《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》と《罰する火/Punishing Fire》のコンボと《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を採用する事でクリーチャーデッキ相手のマッチアップで有利に進めるための構成まで、トップボトムかつ平均マナ域すら違う幅広い選択肢が存在する。

 その中でも注目すべきは、クリーチャーデッキを対策したオースティンの優勝デッキを更に対策する事で、『対クリーチャーデッキ最強』を目指した構成が、つい先日の世界選手権において斎藤友晴が公開した「Hyper Naya Zoo」である。今回の参加者でも少なくない人数が選択しており、《バントの魔除け/Bant Charm》を採用する事で重量クリーチャーへの耐性を付けているのが特徴となっている。

■フェアリー

 《祖先の幻視/Ancestral Vision》。

 《苦花/Bitterblossom》。

 この2枚を提示するだけで近年のプレイヤーはデッキの構成を大体想像できるのではないだろうか。そして、その予想はきっと外れない。《苦花/Bitterblossom》を中心に構成された「フェアリー族」の種族シナジーを決定力として構え、豊富な軽量カウンターで素早く場の優位を守りきるクロック・パーミションの一種である。

 かつてのスタンダードにおいて絶大な人気を誇ったこのデッキは、エクステンデッドへと環境を移してもその勢力に衰えは見えず、今回の「The Finals2009」においては一大勢力を築くこととなった。急遽予定されたエクステンデッドの大会であるため、カード資産の都合や練習不足から前環境の雄に力を借りる事となった可能性は否定できないが、この環境を十分に戦い抜く力を持っている事は確かな事実である。

■AIR

 「エアー」では断じてない。「オール・イン・レッド」である。その名の如く、1~2ターン目の間に手札のほぼ全てを使い切り、一時的に築いた優位を対戦相手が倒れるまで維持し続けるデッキだ。その為の妨害手段として、『月』と呼ばれる《月の大魔術師/Magus of the Moon》や《血染めの月/Blood Moon》が複数枚採用されており、その効果で相手の土地を拘束している隙にマナブーストからの高速召喚をした大型生物で殴りきる戦略を取っている。

 多色や基本地形の採用枚数の少ないデッキに対して非常に強力で、《血染めの月/Blood Moon》だけで勝ててしまう事も少なくないのが大きな魅力だ。しかし、大型生物の攻撃に勝利手段を頼っているため、手札のリソースの大部分を消費して召喚した折角のクリーチャーを除去されてしまうと一気に不利になってしまうという大きな弱点があるのはご愛敬。

■《超起源/Hypergenesis》

 《Eureka》。

 この呪文がタイムスパイラルで待機呪文として帰ってきた姿が《超起源/Hypergenesis》である。元はGG2というマナコストだったのだが、待機しないとプレイ出来ない呪文として登場した為、誰もが『使い道のないレア』だというレッテルを張った。しかし、続唱呪文がこの状況を一変させた。続唱の能力で捲れたコストの無い呪文はそのまま0マナとしてプレイ出来るからである。

 そして、各3マナの続唱呪文を10枚以上搭載し、その他は土地と超大型クリーチャーという瞬殺型のコンボデッキとなったのだった。《大祖始/Progenitus》、《絶望の天使/Angel of Despair》、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》といった大味なクリーチャーが登場する様はまさに圧巻の光景だ。

■バント

 「Hyper Naya Zoo」がクリーチャー対策として採用したキーカードは《バントの魔除け/Bant Charm》だった。当然、その恩恵を受ける事が出来るこのデッキに採用されない理由は無く、『ナヤよりもクリーチャーとコンボに強い』事をアイデンティティーとして存在するデッキだ。

 《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》を始めとする優秀なクリーチャーと、コンボデッキ対策のカウンターを積んだ形となっている。「Hyper Naya Zoo」に比べると《野生のナカティル/Wild Nacatl》の欠場により、アグレッシブさが薄れているものの現在のメタゲームにおいては十分すぎるパフォーマンスを発揮する事が出来る優秀なデッキだと思われる。

■《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》

 6枚目の《山/Mountain》が置かれた時に対象に3点のダメージを与える土地こそが《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》である。では、『同時に』6枚の土地が置かれた場合はどうなるのであろうか。その答えは『同時に場に置かれた全ての《山/Mountain》が6枚目』なのだ。

 このトリックを利用して構築されたコンボデッキが、マナブーストからの《風景の変容/Scapeshift》によって《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》と《山/Mountain》を6枚以上場に出す事で瞬殺する事が出来るこのデッキである。エクステンデッド環境ならではの豊富なマナブーストを利用したこのデッキは、想像以上に強力かつ高速なデッキに仕上がっている。


・注目アーキタイプ

■発掘

 「発掘」というキーワードが誕生してからというもの、常にエクステンデッドのトーナメントシーンにおいて一定のフリークスを抱えている人気デッキの一つである。ゼンディカーから得た《恐血鬼/Bloodghast》がその安定性を向上させ、決め技である《戦慄の復活/Dread Return》のフラッシュバックを安定して行えるようになったと共に、純粋な戦力として攻撃に参加できる事からゲームメイクに幅広い選択肢を持てるようになっている。

■集団意識

 《集団意識/Hive Mind》。

 おそらくどのような効果だったか思い出せないプレイヤーも少なくないのではないだろうか。『いずれかのプレイヤーがインスタントかソーサリー呪文を唱えた時、対戦相手はその呪文のコピーをプレイする』だ。そして、このデッキの種明かしは《集団意識/Hive Mind》をプレイした後に《契約/Pact》呪文をプレイする事で『対戦相手に無理やり《契約/Pact》させ、強制的に契約不履行させる事で勝つ』のだ。

 多くの赤いマナブーストを採用しているため、3~4ターン目にいきなり決まってしまう事も多く、コンボデッキの中では最も速度が読みにくくて与しにくいデッキの一つとして知られている。

■DD

 「Dark Depths」の略号。《暗黒の深部/Dark Depths》と《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》による2枚コンボを勝ち手段に据えた青黒のコントロールデッキ。多くの変成呪文と妨害呪文で構成されていて、相手の妨害手段を全て防いだ上で20/20の怪物で殴りきるのはたまらない程の快感だ。
 
 《流刑への道/Path to Exile》や各種バウンス呪文はメッキリ苦手だが、《虚空の杯/Chalice of the Void》や《交錯の混乱/Muddle the Mixture》による対抗手段で強引にねじ込む事が出来るのが魅力的である。

 上の節で紹介している「ソプターコンボ」を搭載しているバージョンも存在し、勝ち手段を多様化させて相手の妨害をかわしきる事が出来るのが大きな魅力となっている。

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