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注目の海外勢たち

注目の海外勢たち

by "FOREST" Keita Mori

 中村 修平(大阪)、齋藤 友晴(東京)、渡辺 雄也(神奈川)、三田村 和弥(千葉)。年間最優秀選手賞(Player of the Year)受賞、プロツアーチャンピオン戴冠といった輝かしいタイトルを引っさげた、いずれ劣らぬ日本屈指の名手達である。そんな彼らが世界中のプロツアーやグランプリをサーキットしていることを皆さんは御存知だろうか? 

 "Play the game, See the world!"というマジック・プロツアーのコピーさながらに、彼らはマジックというゲームを通じて世界中を旅し、肌の色や母国語の異なるさまざま人々と触れ合い、友達になり、競い合い、そして生計をたてている。

 マジックを通じてこういったライフスタイルを手にした、あるいは手にしつつある若者たちの物語については、2008年度の年間最優秀選手でもある中村 修平の連載記事「マジックプレイヤー的地球の歩き方」をぜひご一読いただきたい。

・「マジックプレイヤー的地球の歩き方:第0回」

 そして、日本人である中村たちが世界を旅しているように、ヨーロッパから、アメリカから、世界各地からここ北九州へと「遠征」してきている世界的な名手達がいる。

 観戦記事をより一層お楽しみいただくため、ここで皆さんに注目すべき海外勢選手たちを紹介しよう。

■Gaudenis Vidugiris(アメリカ)

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 遡ること僅か一週間前、陽光まぶしい米国フロリダ州タンパで開催されたグランプリを制したのがGaudenis Vidugiris(*ゴーデニス・ヴィドゥギリス)だ。先週末のフォーマットも「ゼンディカー」を使用してのリミテッド戦という種目であったわけだから、必然的にGaudenisはもっともこのグランプリ注目すべき存在のひとりと考えて間違いない。

 先週末を制したGaudenisがこのフォーマットについて語っているのは「シールドデッキ構築にせよドラフトにせよ、アグレッシブなデッキを心がけていくこと」が彼の基本的なスタンスで、特にドラフトにおいては「黒い速攻デッキを仕上げる」か「上から強いカードが潤沢に流れてくる色を読んで、その色でしっかり強いデッキを完成させる」ことを信条としているという。

 実際のところ、グランプリ・タンパを制したときのGaudenisのドラフトは《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》2枚、《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》1枚をはじめとした吸血鬼軍団を要する黒青の素晴らしいデッキへと結実した。

・Grandprix Tampa 2009 Event Coverage(英語)

 ちなみにGaudenisは今夏に日本で開催されたグランプリ・新潟(M10リミテッド)でもベスト8入賞を果たしている。すなわち、彼は使用セットを問わずリミテッドを得意とする熟練ドラフターであり、ここ日本という極東の島国でもアウェイの不利を感じさせない強さを見せることのできるホンモノだということだ。

・グランプリ新潟2009ライブカバレージ(日本語)

■Martin Juza(チェコ)

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8月:GPブライトン準優勝(M10リミテッド)
8月:GPバンコク準優勝(M10リミテッド)
10月:PTオースティン準優勝(エクステンデッド/ZENリミテッド)
10月:GPタンパTop 4(ZENリミテッド)

 2009年度だけでも、それも下半期の主要な戦績のみを切り取ってみても、かくのごとき大活躍を見せているのがチェコ共和国のMartin Juza(*マーティン・ジュザ)だ。彼は今年度の最優秀プレイヤー争いでも暫定二位という好位置につけており、ここ北九州での上位入賞によって逆転勝利への力強い一歩としたいところだろう。

【2009 Player of the Year Race Standings as of 2009/10/22】

1st Yuuya Watanabe (Japan) 63pts
2nd Martin Juza (Czech Republic) 59pts
3rd Gabriel Nassif (France) 55pts
4th Tomoharu Saitou (Japan) 52pts
5th Luis Scott-Vargas (United States) 48pts
5th Shuuhei Nakamura (Japan) 48pts
7th Kazuya Mitamura (Japan) 47pts
8th Paulo Vitor da Rosa (Brazil) 45pts
9th Gaudenis Vidugiris (United States) 41pts
10th Brian Kibler (United States) 38pts

 逆説的な話となってしまうが、ここまで驚異的な活躍を見せているMartinをおさえて暫定首位をとっている渡辺 雄也という若武者がいかに非凡であるか、我々は認識を新たにしなくてはならないだろう。そして、2008年の中村 修平、2007年の斉藤 友晴、2006年の八十岡 翔太、2005年の津村 健志といったプレインズウォーカーたちがPlayer of the Year賞を手にしてきているというのは...途方もないことなのだ。

 Martin Juzaを、そして彼をプロポイント6点分だけ離しての暫定首位を守っている渡辺 雄也を、ここ北九州でも是非注目していただきたい。

■Olivier Ruel(フランス)

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 Martin Juzaをご紹介するにあたって、Player of the Year賞を受賞するということがいかに困難であるかに触れた。ところが、その年間最優秀選手に四度も輝いている傑物が存在する。プロツアーに7回優勝している巨星「ジャーマン・ジャガーノート」ことKai Budde(ドイツ)だ。

 その圧倒的な強さと途方もない大記録によって知られているBuddeは、ある意味でプロツアー殿堂の創設への契機となった人物だ。そう、Kai BuddeやJon Finkelの記憶と記録を語り継いでいくために、プロツアー殿堂は誕生したと言っても過言ではない。

 そして、そんなKai Buddeの大記録のひとつを、今まさに打ち崩そうとするフランス人プレイヤーが存在する。2008年度に現役ながら殿堂入りを果たした強豪、Olivier Ruel(*オリヴィエ・ルエル)だ。

【Lifetime Pro Point Standings as of 2009/10/29】
1st 478点 Kai Budde(ドイツ) 2nd 474点 Olivier Ruel(フランス) 3rd 426点 Jon Finkel(アメリカ) *日本勢際上位 331点 Shuuhei Nakamura (日本)8位/参考記録


 不世出の英雄と言われた偉人と同じ高みまで、あと4点。

 すなわち、グランプリ・北九州で決勝ラウンドに勝ち進んだ段階で・・・Olivier Ruelは不可能と同義語とされていた「Kai Budde越え」をとうとう果たすということになるのだ。

・マジック殿堂者プロフィール:Olivier Ruel(フランス)

 マジックのトーナメントシーンが新しい歴史を刻む瞬間、ここ北九州で「そのとき」が訪れるのかどうか!? 皆さんにもぜひ注目していただきたい。

■Sam Black(アメリカ)

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 ここ数年来のトーナメントシーンの大きなトピックの一つ、「アメリカ復権」というストーリーにおいて非常に大きな役割を果たしているのがSam Blackだ。顕著な、そしてどちらかというと堅実な活躍をつづけるタイプのBlackだが、実は彼こそが2008年度世界選手権メンフィス大会の団体戦でアメリカを優勝に導いた立役者なのである。


・世界選手権2009メンフィス大会ライブカバレージ(日本語)

 構築三種目で争われた団体戦において、キーポイントとなるエクステンデッドを任されたBlackは準決勝戦で日本代表の主将である大礒 正嗣を打ち破り、この年の新人王に輝いた「オーストラリア代表の司令塔」Aaron Nicastriを決勝戦でも見事撃破。取りこぼしの許されないシングルエリミネーションという戦いで決定的な役割を果たしている。

 Sam Blackは、前出の年間最優秀プレイヤー争いの上位十傑にこそランクインしていないものの、今年だけで二度のグランプリベスト8進出を果たしており、しかもその両方が海外遠征先であるという興味深い事実も存在している。つまり、世界選手権ローマ大会までの今季終盤戦での大きな巻き返しの第一歩が今大会となるやもしれぬのだ。やはり注目すべき存在であることは間違いない。

 ちなみに、根っからのゲーマーが揃っているのがマジックのトッププロの世界だ。そして、そんなプロツアーの世界においてさえ、彼は数少ない「真の」ゲーム愛好家のひとりとして一目おかれている存在だ。「アクワイヤ」や「ドミニオン」をはじめとしたさまざまなボードゲームを片手に対戦相手を物色しているSamの姿が・・・世界中のイベント会場で、おそらく北九州でも、目撃されることになるからだ。

■「日本の顔」中村 修平

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 海外勢の紹介という本稿の趣旨から少し逸脱してしまうが、今年度日本王者でもある中村 修平のことを少し触れたい。なぜなら、世界中のトッププロたちが、グローバル・トーナメントシーンにおける日本勢の最重要人物として彼の名前を挙げるからだ。

 中村は日本の大多数のプレイヤーたちが世界に遠征する際の旅券や宿泊先を手配し、たとえばプロツアー予選を抜けて海外初参戦となるようなプレイヤーたちの実質的な引率者として活動している。自他共に「日本のトップ」と認める中村は、こういったかたちで日本の競技シーン、およびコミュニティに貢献しているのだ。そればかりか、中村は「英語が通じない国」である日本に遠征したいという海外のプロプレイヤーたちのガイド役を買って出たり、宿泊先を提供したり、一緒に観光につきあったりしているのだ。

 「プロフェッショナルのマジックプレイヤーとして世界でもっとも尊敬しているのはシュウヘイだ」と断言するのは前出の若きMartin Juza。いまや、国際舞台の若い世代には中村を憧憬の対象とさえしている者たちが存在するのだ。

 実際、今月アメリカで開催されたプロツアー・オースティンのためのプレイテストの場所としてMartin Juzaが選んだのは大阪の中村邸であった。欧州勢が北米遠征のための調整のために日本に滞在するという、数年前では想像だにできなかった事実。そしてJuzaは、オースティンでベスト8入賞という大成功をおさめているのだ。

 金曜日の夕方、本稿で紹介した海外勢たちがグランプリの前日受付にやってきた。

 やはり、彼らは中村が運転する車から現れたのだった。

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