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準決勝:彌永 淳也(東京) vs. 石井 泰介(神奈川)

準決勝:彌永 淳也(東京) vs. 石井 泰介(神奈川)

By Daisuke Kawasaki

 運を、流れという言葉で片付けるのは、あまりに的確ではないし、ましてや偶然の積み重ねに意味を持たせようとすることにはあまり意味が無い。

 彌永 淳也(東京)が準々決勝で勝利し、トップ4進出を決めたあと、会場で準決勝開始を待っている彌永に、「おめでとうございます」と声をかけた。

 すると、彌永は、非常に彌永らしい表情で、こう答えた。

彌永 「いや、今シーズン、本当はもっと勝っててもよかったですよ。日本選手権にしても新潟にしてもついてなかった」

 「ついていなかった」と彌永はいった。人事を尽くして天命を待つ、とはよく使われる言葉ではあるが、多くのプレイヤーにその実力を認められ、ストイックにマジックに取り組み続けている彌永だからこそ言えるセリフではある。

 しかし、だからこそ、筆者は信じたい。

 北九州という土地と、彌永との関係性を。

Game 1

 ダイスロールで先手は石井。

 彌永が1ターン目に《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition》をキャストし、2ターン目はお互いに、石井が《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、彌永が《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》というスタート。

 石井は3ターン目に上陸で3/3となった《板金鎧の土百足/Plated Geopede》でアタックしつつ、《崖を縫う者/Cliff Threader》をキャスト。彌永は、《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition》のカウンターを2にした上で、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》をキャスト。そして、ある程度の消耗戦を戦い抜けるとの判断か、両方をブロッカーとして残し、ターンを終了する。

 石井の《雨雲の翼/Nimbus Wings》がそんな彌永のプランを崩壊させる。3/3先制攻撃と3/3飛行の2体がアタックし、彌永はブロックする事を選択できない。石井はさらなる《崖を縫う者/Cliff Threader》追加してターン終了。

 土地をセットし、4マナある彌永は長考。結果、《沼/Swamp》を1枚残して、《信頼おける山刀/Trusty Machete》をキャストし、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》に装備させる。

 石井は、土地をセットして、《風をまとう突撃/Windborne Charge》をキャスト。対象はもちろん、飛んでいない《崖を縫う者/Cliff Threader》と《板金鎧の土百足/Plated Geopede》だ。

 彌永は、《雨雲の翼/Nimbus Wings》がついている方の《崖を縫う者/Cliff Threader》をブロックして、相打ち、ライフを2とする。

 石井は、残った1マナで《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》をキャスト。これで、石井の手札はゼロ。

 見た目ではなんとか五分前後の場に持ち直せそうな彌永。だが、焦点は石井がなにを引くか、そして、《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》で土地がめくれるか。それぞれがなされたとしても、問題のない盤面を構築できるかどうか。彌永は長考する。

 最終的に彌永は、《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition》を使用して、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》を回収。これをキャストし、2マナを残して、ターンを終了する。

 明らかにバウンスフラグだが、ここで土地を引いた以上は、石井も全軍進撃以外の選択肢は無い。2体をレッドゾーンに送り込み、《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》はトリガーせず。彌永は《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を《乱動への突入/Into the Roil》で手札に戻し、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》で《崖を縫う者/Cliff Threader》を相打ちにとる。

 そして、彌永のターン。《ハグラの悪魔信者/Hagra Diabolist》をキャストし、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》を3/3にし、ターンエンド。石井はドローして、「土地では無いはずの手札」を保持してターンエンドする。

 再び彌永のターン。彌永は《アイオーの廃墟の探検/Ior Ruin Expedition》をキャスト、土地をセットして上陸を稼ぎ、再び長考する。なんにしろ、石井の手札が怪しすぎる。

 結果、彌永は《ハグラの悪魔信者/Hagra Diabolist》へと《信頼おける山刀/Trusty Machete》を装備させ、アタックでダメージを5点。さらに、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》へと《信頼おける山刀/Trusty Machete》を持ち替えさせる。

 石井が保持した手札を考え、最大限にケアを広げつつ、勝てる可能性を最大限まで高めたプラン。

 実際、石井の手札は《風をまとう突撃/Windborne Charge》であり、これで石井はかなり厳しい展開となったのだが......続く石井のライブラリートップはケアしようのない《噴出の稲妻/Burst Lightning》。

石井 1-0 彌永

 第10ラウンドで、石井 泰介(神奈川)が大礒 正嗣(広島)との全勝対決で呼ばれた時に、石井はこういった。

石井 「4年ぶりですよ」

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 フィーチャリングされる事自体が4年ぶりという石井。しかも、それがこの北九州の会場だったのだから、石井と北九州との間にも運命的な関係性を求めてしまうのが筆者の悪い癖だ。

 実際、第10ラウンドでそう言われた時に、筆者は石井にそう伝えた。そうすると、石井はこう答えた。

石井 「北九州は相性いいかもしれないけどさ、2年前(前回)の北九州は、全然勝てなかったんだよね」

 やはり、北九州だから勝てる、というのは偶然で、そこに関係性を求める事自体が間違いなのだろうと筆者は思い知らされた。

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 だから、その石井がボロボロだったと語る北九州で優勝した彌永と、こうして準決勝の場で対戦していることにもなんらかの関連性を求めることは、やっぱり無駄で無意味だろうと思うので、そういう事に紙幅を割くのではなく、実直にマッチの様子を伝えていくべきなのだろう。

Game 2

 後手の石井はマリガン。

 彌永が1ターン目《信頼おける山刀/Trusty Machete》、2ターン目《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》と並べれば、石井も、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》《崖を縫う者/Cliff Threader》と応戦する。

 ここで小考した彌永は《蜘蛛糸の網/Spidersilk Net》をキャストし《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》に装備。

 しかし、石井は、《ぐらつく峰/Teetering Peaks》をセットし、上陸とあわせて《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》を4/3とすると、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》へと《未達への旅/Journey to Nowhere》を打ち込み、6点のダメージを彌永に。

 彌永は、《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》をキャスト。これが、《噴出の稲妻/Burst Lightning》で除去されてしまい、さらに石井がキャストし装備させた《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》がトリガーしたことで、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》の上陸が2回起動し、またも6点のダメージが彌永に与えられる。これで彌永のライフは6。

 彌永は、2枚目の《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》をキャストし、小考の後に、これに《蜘蛛糸の網/Spidersilk Net》を装備させ、ターンを終えるが、石井は《マグマの裂け目/Magma Rift》でこれを退ける。幸い、セットランドも《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》のトリガーもなかったことで、このターンの石井からのダメージは2点ですんだが、彌永のライフは4となる。

 彌永、《乱動への突入/Into the Roil》を《崖を縫う者/Cliff Threader》にむけてキャスト。石井の次のドローが土地でないことは《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》がトリガーしなかったことから確定している。

 石井は、《雨雲の翼/Nimbus Wings》を《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》につけてアタック。幸い《探検者の望遠鏡/Explorer's Scope》はトリガーしなかったことで、彌永のライフは、3。石井は《崖を縫う者/Cliff Threader》をキャストしてターンを返す。

 彌永は、《無謀な識者/Reckless Scholar》をキャストし、これに《蜘蛛糸の網/Spidersilk Net》を装備させ、黒マナひとつを残してターンを終える。

 石井は、彌永の残りライフが3点であることを確認すると、《風をまとう突撃/Windborne Charge》をキャストし、2体をレッドゾーンに送り込む。

 彌永は、それを制止し、《見栄え損ない/Disfigure》を《崖を縫う者/Cliff Threader》に打ち込み、《無謀な識者/Reckless Scholar》のチャンプブロックで延命する。

 彌永は、この状況をなんとかできないものかと、カードをドローする。

 しかし、なんともならないものは、なんともならないのだった。

石井 2-0 彌永

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 プレイングのすべてを尽くしても、なんともならないくらいになんともならないことを、人は「ついていなかった」という。

 グランプリ・新潟を優勝した池田は、自身の長年のマジック人生を振り返って「最後は運です」と語ったし、10年選手の石井が、今回初日全勝から、二日目も快進撃を続け、トップ8入賞から、今、決勝へとコマを進めたことも「ついていた」ということは出来るだろう。

 マジックが、ランダム性を持ったゲームである以上、「運」と呼ばれるものがつきまとうのは当たり前であるし、だからこそ、ドラマがうまれ、よりマジックは魅力的なものになる。

 で、その「運」と呼ばれるものを意図的に掴むことは人間には不可能で、だからこそ、それは「運」で、なにが言いたいかわからなくなりはじめているけれども、端的に言えば、北九州と彌永の間に関係性を求め、物語を構築しようというのは間違いだったのだ。

 それならば、筆者は純粋に信じよう。

 彌永というプレイヤーの実力と、「運」がそれについてくることを。

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