マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

準々決勝:森 勝洋(大阪) vs. 大礒 正嗣(広島)

準々決勝:森 勝洋(大阪) vs. 大礒 正嗣(広島)

By Yohei Tomizawa

jpg

 「オレ、ルーキー(大礒)に勝ったことないんだよねー。」

 ピック前、準々決勝の対戦相手が大礒とわかると、こう漏らした。

 森と大礒と言えば、共に調整を行い、切磋琢磨してきた仲である。GP新潟のGodo's Giftsや、青トロン、エクステンデットにおけるセプターチャント、青白Desireはあまりにも有名だ。

 実績という観点で見ても初代、2代目ルーキーであり、日本王者と同じタイトルも有する。もちろん、スター性も十分だ。

 だが、過去の成績なんてここでは関係ない。二人が求めているもの、それは勝つこと。勝ち、自分の正しさを証明することである。

 勝利への飢えという、原点回帰となった試合。それは森のトラッシュトークで幕が開ける。

 「勝ったほうが優勝しよう。」

 「気合で先行とろっ。」

 「ルーキー、デック強い?」

 森のトラッシュトークは止まらない。

Game 1

 森の手札 :《罰する火/Punishing Fire》、《未達への旅/Journey to Nowhere》、2《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》、《山/Mountain》、《沼/Swamp》、《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》

 大礒の手札:《噴出の稲妻/Burst Lightning》、《業火の罠/Inferno Trap》、3《山/Mountain》、《森/Forest》

jpg

 マリガンを選択すると、大礒は深く息を吐く。マリガンを憂いてか、集中を増すためか。


 大礒の初動《緑織りのドルイド/Greenweaver Druid》を「シュッ」と《罰する火/Punishing Fire》でいなし、《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》をキャストする森。

 大礒は攻撃に対し《業火の罠/Inferno Trap》、2体目にはキッカー込みの《噴出の稲妻/Burst Lightning》とゲームをスローダウンさせ、《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》をキャスト、逆にクロックを作り上げる。

 「流石ルーキー。」

 そう言った直後にキャストしたのは《光輪狩り/Halo Hunter》。

 2枚の除去を使い切った大礒は、《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》で攻撃し、《リバー・ボア/River Boa》を召還とダメージレースの形を取らざるを得ない。《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》でゲインしていたため、森のライフは20となる。

 森の《光輪狩り/Halo Hunter》の重い一撃が入り、大礒のライフ14まで落ち込む。

 《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito》と《松明投げ/Torch Slinger》を互いにキャストし合った結果、アドバンテージの取り合いは大礒に軍配が上がる。が、ダメージクロックが違いすぎる。《カザンドゥの隠れ家/Kazandu Refuge》を挟んで大礒ライフは9。そして追加されるのは上陸で威嚇を得る《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》。またしても威嚇もちである。

 《松明投げ/Torch Slinger》、《リバー・ボア/River Boa》で攻撃し、14。

 8点のダメージが入り、残りが1となると、森は《尖塔の連射/Spire Barrage》を提示した。

大礒 「マリガンきちー。」

 すぐさまシャッフルを始める森に対し、サイドボードに手を伸ばす大礒。

 勝負を分けたのは1枚差の手札。運といったら、それまでかもしらないが、大礒は納得しない。何処かに活路があったはずだと、試合を反芻する。どんなか細い道だとしても、勝利を諦めない。それがプロフェッショナル、それが大礒である。

森 1-0 大礒

 後1枚、スペルかクリーチャーがあったら除去は残していた、と大礒は語る。

大礒 「マジック下手になってるー、もうだめだー。」

 少しナーバスな大礒に対し森は、

 「きっとルーキー2本目取ると思うよ。」

 と一言声をかける。

大礒 「むずいっちゅーねん、くそー」

 そう悔しがる大礒だが、顔には僅かだが、笑みが垣間見える。相手が強いから、だからこそマジックは面白い。それが自分が認めた人なら、なおさらである。

 喉が渇いたと森は飲み物を買いに行く。この行動を見て大澤、小倉は

大澤&小倉 「やばいよ?勝ってジュースいったよ(森は対戦中に席を立つことで、なんども鮮やかな勝利をおさめてきたためである)?」

 という。ところが、大礒は冷静に切り返す。

大礒 「いや、むしろ勝って流れかえるのは・・・」

 ナーバスな大礒に森が一言声をかける。

 「このワンカットで運命変えてやるよ。」

 言葉は現実となる。

Game 2

 マリガン後、6枚のカードを山札から裏向きで取ると、キープを宣言する。久しぶりに見た、森のノールックキープである。

 大礒の手札:《砕土/Harrow》、《カビのシャンブラー/Mold Shambler》、《大木口の幼生/Timbermaw Larva》、3《森/Forest》、《山/Mountain》

jpg

 緊張気味の大礒は《砕土/Harrow》のマナ加速を経て《大木口の幼生/Timbermaw Larva》というアタッカーに繋げる。

 そっと見た森の手札は

《忌まわしい最期/Hideous End》、《高地の狂戦士/Highland Berserker》、《尖塔の連射/Spire Barrage》、《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》、《沼/Swamp》、《山/Mountain》

 と上々のもの。そのまま《高地の狂戦士/Highland Berserker》で先にクロックを作り、《忌まわしい最期/Hideous End》で相手のクロックをはずす。ライフは森22-14大礒。

 キッカーで《カビのシャンブラー/Mold Shambler》をキャストし、森の《沼/Swamp》を破壊する。色マナが足りず、何も出来ない森に対し《松明投げ/Torch Slinger》をキャストし、《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》を続ける。

 《カビのシャンブラー/Mold Shambler》こそ《尖塔の連射/Spire Barrage》で破壊するも、4点クロックは止まらず、気がつけばライフは11となる。

 これ以上は危険と判断し、森は抱えていた除去でクロックを下げにかかる。なんとかクリーチャーを引き、膠着に持ち込みたい。

 だが減ったクロックが《冒険者の装具/Adventuring Gear》によって元に戻ると、森はゲームをたたむしかなかった。

 森のドロー、それは土地、土地、土地、そして土地。

 「引き弱っ」

森 1-1 大礒

 森は《血の長の昇天/Bloodchief Ascension》を抜き、先手の利を最大限に生かすべく《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》をサイドイン。

 一方の大礒は《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》と《山/Mountain》を・・・入れ替えたふり。

 念入りにシャッフルを繰り返す大礒に対し、森は

 「早くやろう。プレイじゃない、運なんだから。」

 と急かす。

 大礒は目を瞑り、念じながらシャッフルする。

Game 3

 森の手札:《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》、《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》、《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》、《罰する火/Punishing Fire》、《沼/Swamp》、2《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》

 《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》と最高の回りの森。《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》を2枚置き、ライフは森21-16大礒である。

 大礒の初動は《緑織りのドルイド/Greenweaver Druid》。クロックをかけられるカードか、除去が欲しいこの場では、少し厳しいカードである。

 森は《探検の地図/Expedition Map》で《山/Mountain》サーチし、攻撃、12とする。ファッティが出てこようと、除去や回避持ちで削りきれる考えからだろう。

 だがこの《緑織りのドルイド/Greenweaver Druid》が除去されなかったことで、さらに《山/Mountain》をドローしたことで、《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》をキャストし《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》サーチすることに成功。しかも《噴出の稲妻/Burst Lightning》を構えるという動きがとれたのである。

 時が止まったかと思うほど長考し、森の出した結論は《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》。

 森のターン終了時に質問のために席を立った大礒。そして帰ってきた時、今までとは別人かのような顔つきで現れた。予選とは先ほどまでの大礒とは大違い、気のせいか空気が張り詰め、痛いほどである。

 大礒は冷静に場を眺めると《噴出の稲妻/Burst Lightning》をキャスト、《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》を対象にとる。

 続く大礒のターンはビックイニングとなった。すなわち《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》に《冒険者の装具/Adventuring Gear》を装備し、上陸後に攻撃し、森のライフを16としながら、《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》の2番目の能力により、自身のライフを16まで引き上げたのだ。

 さらに溢れるマナから《カビのシャンブラー/Mold Shambler》をキャストし、唯一の《沼/Swamp》を破壊し、森の動きを止める。

 《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》が支配力を発揮し、ゲームをコントロールし始める。

 森は《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》に威嚇を与え、《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》の忠誠心を2とするも、セットされたのは《山/Mountain》。何も唱えることが出来ない。

 大礒は《カビのシャンブラー/Mold Shambler》、《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》で攻撃し、ライフで押されている森は《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》でチャンプブロックを試み、残りは13に。

 《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》の2番目の能力でライフを得ようとすると、スタックで《罰する火/Punishing Fire》を《カビのシャンブラー/Mold Shambler》に打ち込みながら、回収する。

大礒 「下手こいたー」

 大礒はそういうが、まだ森はキツイ。

 《乾燥台地/Arid Mesa》で次のターンに《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》を破壊できる体制を整え、相手のクロックを《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》でもって封じ込めようとする。しかし森に出来たのはここまでだった。

 上陸から《巨身化/Gigantiform》をエンチャントし、《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》へ《マグマの裂け目/Magma Rift》をキャスト、一気に12点を削る。

 「1かよ、やべーな」

 まるで他人事のような物言いであるが、これは森に突きつけられた現実である。何かしら呪文なり、黒マナなりを引かない限りはゲームが終わってしまう。

 森はカードを引き、盤面を見ると、静かにカードを片付けた。

森 1-2 大礒

 Game 1でのマナフラッドに陥りながらのダメージレース、大礒はそれを制することが出来るカードが1枚だけ入っていた。それは《巨身化/Gigantiform》をキッカーでキャストするということであった。大礒のデックには2枚入っているのだ。

 黒マナを破壊されたことで、森は動きを封じられ、大礒の攻めを受けきることができなくなってしまった。運という要素もあるだろうが、大礒の読み、正確なプレイは感嘆の一言である。

 結果は大礒の勝利となったが、試合自体は知的スポーツに恥じない、素晴らしいものだった。

 心から言いたい、いい試合をありがとう、と。

前の記事: 準々決勝:菅谷 裕信(千葉) vs. 彌永 淳也(東京) | 次の記事: 準々決勝:渡辺 雄也(神奈川) vs. 行弘 賢(福岡)
イベントカバレージ/グランプリ北九州09 一覧に戻る

イベントカバレージ