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準々決勝:渡辺 雄也(神奈川) vs. 石川 錬(神奈川)

準々決勝:渡辺 雄也(神奈川) vs. 石川 錬(神奈川)

By Akira Asahara

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 勝つために必要なものとは何なのか?トーナメントプレイヤーにとってそれは最大の命題だ。

 GP新潟の準々決勝は奇しくも今年の日本選手権と同じ渡辺と石川の組み合わせになった。そう、再び彼らは勝ち進みこのトップ8の席へと座っている。

渡辺は先週に行われたGPバンコクでもトップ8入りしており、他のテーブルで戦う栗原もGP連覇を賭けている。

彼らが勝ち続ける秘密はなんなのだろうか。少なくとも幸運だけではGPトップ8に入ることはできないはずだ。

 筆者が確かに思うことは、才能や運といった要素は勝つための一つの要因でしかない。現状に満足せず、成長しつづけるプレイヤーこそが勝ち続けるプレイヤーになれる。自分自身という壁を越えていけるかどうか、その方法こそがもっとも重要なのかもしれない。
 そこで、筆者自身の疑問もあり、この2人に、今の勢いの秘密を直接聞いてみることにした。

渡辺 「お守りですね」

石川 「フラグですね」

 両者とも意味不明な上にオカルトだった。しかし、真意をこう話す。

渡辺 「漫画やアニメでは主人公は選ばれたかのように勝ちますよね。現実のトーナメントを物語に見立てるといかに自分が主人公になるかってことが重要なんです」

 つまり、物語のヒロインとして、好きなカードをお守りとしてデッキに付随させているのだ。

 と話したところで、石川が「なんで、あのキャラにしないの」と食いつくと渡辺も「あるなら、買ってるよ!」とトークがひとしきり盛り上がる。

 そして、その後は

石川 「デッキ弱いんだよね。うわーMOのチャンピョンシップ出れそうだなー(夜の9時からオンラインで行われるトーナメント)。」

渡辺 「いやいや、俺も弱いよ」

石川 「いやいやいや、俺こそ」

渡辺 「俺はマジやばいって」

 と今度は負けフラグの押し付け合い。知り合いとはいえ、これはひどい。

 参考にならなそうなので試合を見ていくことにしよう。

Game 1

 渡辺、先行。

 お互いにマリガン無し。

 石川は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(10E)》を戦場に出し好調に見える滑り出し。

 渡辺も《不屈の自然/Rampant Growth》を打ちマナを加速するものの、ライブラリーを見るなり。

渡辺 「デッキよぇーなー」

 とぼやく。フラグの押し付け合いと思いきや、確かに渡辺のデッキは弱そうだ、これはさすがに嘘ではない。そして、次のターンにも連続して《不屈の自然/Rampant Growth》から、《変幻のハイドラ/Protean Hydra》をX=5でキャスト。

 その間、石川は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》で攻撃するのみで何もしていないため、この巨大生物が戦場に緊張感を与える最初の存在になった。

 ただ、この《変幻のハイドラ/Protean Hydra》。効果はすごそうに見えて、ギリギリ生き残る程度のダメージを喰らわないと恩恵は得られない。相手にする場合、それを分かっているので戦闘トリックと併用しなければ、ただの相うちになりやすい。

石川 「効果知らないんだよね」

 分かっていなかった。渡辺が効果を説明すると、

石川 「まあいいだろう」

 何がいいのかという問題は置いておくとしてとりあえず致死ダメージなら死ぬことを理解した石川。石川も《暴走するサイ/Stampeding Rhino》で対抗する。そして、2体目の《暴走するサイ/Stampeding Rhino》は渡辺の《取り消し/Cancel》に阻まれるものの、すれ違いのライフレースが展開されライフは渡辺14、石川10。

 そして、渡辺は戦線に《噛みつきドレイク/Snapping Drake》を追加。

ir この返しで石川は長考。

 悩んだ末出したのは《気まぐれイフリート/Capricious Efreet》、渡辺もこれを残すのは当然ありえないので、《変幻のハイドラ/Protean Hydra》で攻撃し相討ちとなる。

 そして《噛みつきドレイク/Snapping Drake》も、トップデッキした《地鳴りの一撃/Seismic Strike》で墓地に送ると戦況は石川の方に傾きだした。

 不利そうだった場が、有利になったことで、俄然調子が出てきた石川。

石川 「わおーん」

 と叫びつつ《夜の群れの雄叫び/Howl of the Night Pack》でトークン4体を出すテンションも高い。

石川 「わおーん」

 大事な呪文なんで2回吠えている。これで渡辺は攻撃が全く通らなくってしまう。手札に《踏み荒らし/Overrun》もあるのだが、戦場のクリーチャーが少なく、どう計算してもダメージも足りない。

 渡部がもじもじしている間に、石川は少し殴ってから《火の玉/Fireball》でこんがり焼いて終了。石川のデッキはそれなりに強いのではないだろうか?

石川 「強いとこ引いた」

渡辺 0-1 石川

Game 2

 先手、渡辺。

 《森/Forest》が無いものの、《踏み荒らし/Overrun》がある手札を苦笑いしながらキープする渡辺。

 《不屈の自然/Rampant Growth》があるので、《森/Forest》を引きこめれば、というところでファーストドローは《森/Forest》。《不屈の自然/Rampant Growth》をすかさずプレイする。

 が、持ってきたのは《平地/Plains》。そして、4ターン目にプレイされる《セラの天使/Serra Angel》。場には2枚の《島/Island》と2枚の《平地/Plains》、1枚の《森/Forest》。そして手札には《踏み荒らし/Overrun》。

ir石川 「デッキ違くね?」

渡辺 「サイドボードでーす」

 苦肉の策での色替えだった。かなり、苦肉である。

 そこから、石川は《大蜘蛛/Giant Spider》、渡辺は《包囲マストドン/Siege Mastodon》と展開したところで、盤面では渡辺有利。そして、ドローしたカードを見て石川はため息を付く。

石川 「くそー4点で打つしかねぇ」

 と出したカードは《チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar》。強い、カードが強いよ。彼女の忠誠度は下がったが、石川のテンション度はさらに上昇する。

 逆にテンションの下がった渡辺。《セラの天使/Serra Angel》を失ったことは実際に渡辺は勝ち手段を失ったに等しかった。石川の《チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar》は確実に渡辺を画面端へと追い詰めており、もし、3個目の能力をバーストされようものなら、読めていてもどうしようもない。

 決められるわけにはいかない渡辺は《睡眠/Sleep》から《包囲マストドン/Siege Mastodon》の攻撃で《チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar》の忠誠度を減らし墓地送りとする。このディフェンスに定評のある《包囲マストドン/Siege Mastodon》の活躍で盤面は一旦平らになったように思えたが、石川の《気まぐれイフリート/Capricious Efreet》がその思惑を崩す。

石川 「はい、これ123、これ456。ダイスロール、はい俺の《エルフの幻想家/Elvish Visionary》死亡。」

渡辺 「なんも了承してないんだけど...、まあいいけど」

 と完全に石川ワールドを作り出しつつ、《囁き絹の外套/Whispersilk Cloak》を出すと《気まぐれイフリート/Capricious Efreet》に装備して攻撃。

 次のダイスロールも味方のクリーチャーを破壊するが石川の場はまだまだ有利。というよりも、渡辺がロクなカードを引けていない。

 そして、

石川 「うわきついなー」

 といいながら、《超大なベイロス/Enormous Baloth》をプレイする石川。

渡辺 「ソーナノカー」

 これに、うんざりしながら答える渡辺。《超大なベイロス/Enormous Baloth》に《囁き絹の外套/Whispersilk Cloak》が装備されると、渡辺のライフは一瞬で0になった。

渡辺 「主人公は負けて強くなるんですよ。また強い人と練習してきます」

石川 「ヤソとかに比べたら、僕とか100分の1くらいの強さですよ」

 彼らに共通する点を挙げるなら、それは強者に対する尊敬なのかもしれない。彼らのこれからの成長に期待したい。

渡辺 0-2 石川

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