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Round 3: 荒堀 和明(東京) vs. 津村 健志(大阪)

Round 3: 荒堀 和明(東京) vs. 津村 健志(大阪)

by Yusuke Yoshikawa

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 男子三日会わざれば刮目して見よ、という。

 そんな書き出しで津村 健志(大阪)の試合の観戦記事を書いたのは、2005年、横浜で行われた世界選手権にて、日本勢として初となるPlayer of the Year(年間最優秀選手)の獲得を決めた、その最終マッチでのことだった。

 それから、4年半。

 この大会で初となるフィーチャーマッチの組み合わせが発表されると、会場に軽いどよめきが起こった。

 対戦相手の荒堀 和明(東京)も、2001年にこの地、仙台でグランプリを制したチャンピオンである。相手にとって不足なし、「3回戦とは思えない」マッチアップ。

 3回戦の不戦勝を持つプレイヤーたちが見守る中、杜の都の名勝負物語をはじめよう。

Game 1

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 ダイスロールで荒堀が先攻をとる。マリガンの荒堀に対し、津村は7枚でキープ。

 荒堀が《平地/Plains》、津村が《氷河の城砦/Glacial Fortress》をセットする、コントロール対決を思わせる静かな立ち上がりとなった。

 しかし、だからこそ、もはや気が抜けないのだ。津村は2枚目の土地を置く前に早くも軽く考え、《乾燥台地/Arid Mesa》から《広がりゆく海/Spreading Seas》を荒堀の《平地/Plains》に。

 マリガンの影響か、荒堀は3枚目、4枚目の土地を置くためにそれぞれ1ターンを余計に要した。一方、津村は順調に土地を並べていく。

 土地を引けない荒堀がふっ、と息を漏らす。温存してあった《湿地の干潟/Marsh Flats》から《平地/Plains》を導き、《前兆の壁/Wall of Omens》でカードを求めるが、どうしても行動に制限が及ぶ。

 津村はこの隙に《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を呼び出し、兵士トークンを出して攻撃の先鞭をつける。

 対して荒堀は《忘却の輪/Oblivion Ring》で対処するが、津村の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が続く。荒堀のライブラリトップを確認、これは土地である《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》だが引かせる。手札には《地盤の際/Tectonic Edge》がある。

 さらに《忘却の輪/Oblivion Ring》に自身の《忘却の輪/Oblivion Ring》をぶつけ、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を戻し、トークンを+3/+3&飛行の強化をして攻撃を開始。

 荒堀はまたも《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に《忘却の輪/Oblivion Ring》で押しとどめようとするが、津村は《地盤の際/Tectonic Edge》を残しての《思考の泉/Mind Spring》で、カードカウントの差を確定的なものにする。

 マナベースの差はそのまま盤面の差となって、荒堀は投了せざるを得なかった。

荒堀 0-1 津村

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 三日会わざれば。ならば、4年半ではどうだろう。

 その間、津村がマジックと付き合う関係は変化していた。マジックが大好きで、それに動機付けられた練習量で技術を身につけた少年は、マジックを通じて「やりたいこと」を見つけ、それを実現させるために、マジックから一時離れることを選んだ。

 好きなもののために、それから一時とはいえ距離を置く、ということは、それほど簡単なことではない。離れている間に気持ちが切れてしまうということもありえる。

 しかし津村はこの春、夢への道を一歩、踏み出した。そして再びこうして帰ってきて、またマジックを楽しんでいる。

Game 2

 「先手で」と荒堀。眼鏡の奥から、静かで鋭い眼光で津村を見据える。

 《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》《湿地の干潟/Marsh Flats》の荒堀、《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》《平地/Plains》の津村、という立ち上がり。

 荒堀が《エスパーの魔除け/Esper Charm》のドローモードで手札を増やす。《強迫/Duress》と《否認/Negate》の軽い交換を経て、津村のX=2《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》は通り、荒堀の《エスパーの魔除け/Esper Charm》はまたもドローモード。

 しかし、時計の針は急に動き出した。フルタップの津村に、荒堀が《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》で鐘を鳴らす。これに応える形で、《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》が姿を現す。

 荒堀は《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》からトークン生成し、津村はこの《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に向けて《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》で攻撃して、これはそのまま通り遍歴の騎士は墓地へ。続くアクション津村のX=4《思考の泉/Mind Spring》だが、荒堀が《否認/Negate》でこれを認めない。

 またもフルタップの津村だが、荒堀は《広がりゆく海/Spreading Seas》で《天界の列柱/Celestial Colonnade》を《島/Island》にして、《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》とトークンで攻撃、《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を戦場に加えて終了。

 動き出したゲームを減速させるか、津村は考える。《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を出して、「両方ドロー」能力を起動、そして攻撃せずターンを返した。

 荒堀は《広がりゆく海/Spreading Seas》を《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》につけるが、これはマナベースを劇的に変化させない。続くは本命、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》だが、これに津村は何もしない意思を表示。

 続くターンのドロー津村はマナを数えて、わずかに天を仰ぐ。《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》で次のカードを見ると、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》の「自分ドロー」で手札に加える。

 そしてX=6の《軍部政変/Martial Coup》。

 フルタップの荒堀は静かに展開したクリーチャーを片付け、一方には津村がトークンとして使っているプロプレイヤー・カードが並べられる。

 荒堀は《前兆の壁/Wall of Omens》を設置して、クリーチャー化した《天界の列柱/Celestial Colonnade》で《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》に向けて攻撃、これを処理する。

 津村は《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》から兵士1体を強化、総攻撃。荒堀は《破滅の刃/Doom Blade》で強化されたものを除去して残りを受け止める。この《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》は荒堀の《天界の列柱/Celestial Colonnade》《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》で攻撃を受け、退場。

 しかし押しているのは津村。またも手札から《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》、強化、攻撃。

 荒堀は自分のターンに動きなく、土地を残して待ち受ける。

 強化・攻撃に、荒堀は《天界の列柱/Celestial Colonnade》で強化されたものをブロックして相打ちをとる。だが津村は《思考の泉/Mind Spring》X=7で差を広げる。

 荒堀も《強迫/Duress》で《否認/Negate》を使わせた後に《忘却の輪/Oblivion Ring》で《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を除去、さらに自らの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を展開、決定的な展開にはさせじと抵抗する。《地盤の際/Tectonic Edge》を置いて、《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》《天界の列柱/Celestial Colonnade》と並べて終了。

 津村は《地盤の際/Tectonic Edge》で荒堀の《地盤の際/Tectonic Edge》を破壊、荒堀もこれに従う。さらに《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》を《広がりゆく海/Spreading Seas》して色マナ供給源を潰しつつ、津村の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で対消滅をとった。

 これで新たな策を求める手がなくなった荒堀は、静かに笑った。

荒堀 0-2 津村

 「MOに青白いなくて、あんまり練習できてないからね...」と荒堀がこぼす。

 「でもいましたよ、カジュアルルームで5回連続当たりました」とは津村。

 時間を思うようにとれない立場では、Magic Onlineはかなり効果的なツールとして使えているようだ。

 「ラス全部抜いてて、これは数で押し切られるな、と」
 「そういう展開にするために《軍部政変/Martial Coup》を残して」
 「メイン勝つために黒を入れてるのに...」
 「自分も同系に勝つために...」

 話は尽きない。でも物語は始まったばかり。

 津村とマジックの物語も、また、まだ始まったばかり。

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