マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

準決勝:伊藤 大明(神奈川) vs. 三原 槙仁(千葉)

準決勝:伊藤 大明(神奈川) vs. 三原 槙仁(千葉)

By Kazumasa Koji

jpg

 「千葉の魔王」三原は体調不良を押しての参加で、鼻まで覆うマスク姿が痛々しい。昨日の夜に峠は越えたそうだが、今日一日で対戦中に咳をした回数は数えられない程だ。しかし言わずと知れた世界選手権06王者は、体調不良でもその腕、そして眼光に曇りは無い。

 「PWCの刺客」伊藤はその代名詞でも解る通り、関東で行われているトーナメント・PWCを中心に活動するプレイヤーだ。PWC独自に行われているポイントレースで上位を獲得した事もあり、腕は確かだと言える。

 ゲーム前にしている雑談では、PWCを使う三原が徴兵バントの伊藤に対し僅かに不利かもしれない、との事。隣で行われているキブラーvs八十岡に比べてギャラリーが非常に少なく、

三原 「これちょっと酷くない?(笑)」

伊藤 「こっちの方がやりやすいからいいよ」

 などと話しながら、準決勝の1ゲーム目が始まった。

Game 1
jpg

 即キープの三原、伊藤はテイクマリガン。《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》《森/Forest》と並べた伊藤に対し、三原は《広がりゆく海/Spreading Seas》で《森/Forest》を《島/Island》に変え、伊藤の行動を縛ろうとする。そして《前兆の壁/Wall of Omens》を2枚並べ、手札と防御を充実させた。

 伊藤は手札から《森/Forest》を置いて《不屈の随員/Dauntless Escort》。そして次のターンには《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で+0能力を使用する。ゆっくりした展開は三原の思う壺だが、徴兵バントには必殺技がある為、まだ三原が有利とも言い切れない。

 その時間を更に延ばすべく《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を唱えた三原。それには伊藤も《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を出して対消滅させ、帰ってきたターンに三原も《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を対消滅させる。

 伊藤は膠着した戦線をこじ開けるべく、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を出してから《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を呼び出し、+3/+3修正と飛行を《不屈の随員/Dauntless Escort》に与え攻撃。これをスルーしてライフは伊藤20-14三原。

 三原は少し悩んでから《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を配備し、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》には《忘却の輪/Oblivion Ring》を。そしてその《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》も伊藤の《天界の列柱/Celestial Colonnade》での攻撃によって墓地へ置かれ、ゲームは一進一退の様相を呈してきた。

 この好ゲームに惹かれたのか、徐々にギャラリーが集まってくる。

伊藤 「三原さんの好きなギャラリーが集まってきましたよ」

 苦笑しながらうんうんと小さくうなづいた三原は、伊藤が追加で戦場に出した3/3《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を前に長考する。ジャッジのスロープレーへの警告を聞いて、7マナオープンでターンを終えた。

 次に考えるのは伊藤の番だ。手札が3枚の三原は明らかに何かを構えている雰囲気がぷんぷんするのだが、伊藤の選択は《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動しての攻撃だった。三原も《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動してブロックし、相打ちに取る。《地盤の際/Tectonic Edge》で破壊する選択もあったのだが、今回はひとまず温存したようだ。自分のターンにも2枚目となる《天界の列柱/Celestial Colonnade》で攻撃して4点を伊藤に与え、終了を宣言した。

 そして伊藤の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》が回りだす。《平地/Plains》を生け贄に捧げ、《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》を経由して《森/Forest》をセット。これで《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》は6/6となった。

 その《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》がアンタップ状態で睨みを利かせての《不屈の随員/Dauntless Escort》アタックは、《貴族の教主/Noble Hierarch》の賛美を受けて4/4となり、ブロックした《前兆の壁/Wall of Omens》が破壊される。

 ここが攻め時と見たか、2枚目の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》と《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を追加して手札を空にした伊藤。そして《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》2体と《不屈の随員/Dauntless Escort》で攻撃を宣言する。

 三原は《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動し、《前兆の壁/Wall of Omens》と共にブロックに差し出したが、次のドローを見て

 「もうだめだー」

 と、デッキを片付けだした。
 
 まずは「PWCの刺客」が「魔王」から1本先取。

伊藤 1-0 三原

Game 2
jpg

 デッキをシャッフルしている間も、デュエル中も苦しそうな咳が止まない三原。

伊藤 「体調悪いんだったら早くドロップした方がいいんじゃないですか~?」

 と、トラッシュトークを交えながらのデュエルだ。

 三原が開いたオープニングハンドには4枚の土地と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に《前兆の壁/Wall of Omens》がある。伊藤は緑マナの無いハンドを悩みに悩んだ末、7枚でスタートすることにした。

 2ターン目に《前兆の壁/Wall of Omens》、3ターン目に3マナの方の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》で1枚引く三原。この通称「ちびジェイス」が三原の勝利に貢献してきたであろう事は想像に難くない。
 
 伊藤はタイトな賭けに勝利して《森/Forest》を引き込む事に成功し、2ターン目に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》。3ターン目にはセット土地から《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》で《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を飛ばして、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を破壊した。
 
 ゲームスピードを遅らせたい三原は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》をバウンス。伊藤はその《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を再召喚してから《天界の列柱/Celestial Colonnade》をセットして緑マナを得、《貴族の教主/Noble Hierarch》を追加した。手札は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》《不屈の随員/Dauntless Escort》×2、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》だ。

 順調に土地をセットした三原は5ターン目に《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を呼び出して、更に時間を稼ぐ。これに対し伊藤は《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動して、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の能力で飛ばし、一撃で《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を討ち取った。

 邪魔な《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を対消滅に持ち込みたい三原は、《天界の列柱/Celestial Colonnade》2枚をアンタップ状態で構えている伊藤からカウンターの危険を排除するべく、まず《地盤の際/Tectonic Edge》でうち1つの《天界の列柱/Celestial Colonnade》を破壊。対応して青マナを生み出す伊藤だったが、三原は戦闘フェイズに入ることを宣言し、伊藤の青マナを消滅させた。その後無事に対消滅させるという堅実なプレイを見せる。

 伊藤はずっと持っていた2枚目の《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》で兵士トークンを飛ばし、三原の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》目掛けて攻撃を仕掛け、これを破壊した。

 今度は《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》の方を呼び出した三原は自分だけ1枚ドローし、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に《忘却の輪/Oblivion Ring》を付けて、防戦に指揮を振るう。

 またも《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を排除したその後、伊藤の側に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が登場し、念願の+0能力で手札を整理。すると今度は三原の側に《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》が登場した。一進一退の好ゲーム、プレインズウォーカー達があっちに出たりこっちに呼ばれたり大忙し。ライフはまだ伊藤20-17三原だ。

 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に攻撃してきた《天界の列柱/Celestial Colonnade》は、先ほど出しておいた《予言のプリズム/Prophetic Prism》と《島/Island》から白マナを出しての《流刑への道/Path to Exile》で対処し、兵士トークンが+3/+3されて伊東の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を倒した。

 ここで三原は力強く《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を召喚する。手札に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》という取りあえずの回答を持っている伊藤ではあったが微妙にマナが足りず、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を2体自軍に加えてターン終了を宣言。

 三原はフルアタックしてからの《審判の日/Day of Judgment》で場を一掃。トークンを出してエンドするが、伊藤は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》でトークンをバウンスして、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を維持できる状態にしつつ耐える時間帯か。三原はバウンスされた《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を戦場に再び送り、トークンを出してターンエンド

 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に《天界の列柱/Celestial Colonnade》が攻撃するが、8の忠誠度を4に落とすのみ。そして三原の《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》で飛んだトークンが《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を破壊する。更に《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》三度と、場を完全に掌握した。

 2時間を越える長い長いゲームの末、「魔王」がまずひとつ星を取り返す。

伊藤 1-1 三原

Game 3

 「ブラマス(伊藤のニックネーム)の表情的に、《予言のプリズム/Prophetic Prism》を忘れてたんじゃないですかね。あれがなければ8割負けてました」

 三原は《天界の列柱/Celestial Colonnade》を《流刑への道/Path to Exile》で追放したシーンをそう述懐する。しかしまだマッチは終わっていない。

 伊藤はまたも6枚からのスタート。初動は3ターン目の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》だが、三原は2ターン目にご存知《前兆の壁/Wall of Omens》を配備しており、まだ攻撃は通らない。

 三原は伊藤の手札が5枚なのを確認後、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》へ《流刑への道/Path to Exile》を打ってターンエンド。

 5マナへ到達した伊藤はまず《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を唱えたが、これは三原が冷静に《否認/Negate》。返しのターンに《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を出し、攻撃する為の隙を伺う。

 場になにもいなかった伊藤だが、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を出して《乾燥台地/Arid Mesa》を起動。4枚の土地をタップして《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を召喚した。当然「召喚酔い」しているので即徴兵という訳にはいかず、三原に対処する時間を与えてしまう。

 三原は当然のように《忘却の輪/Oblivion Ring》で《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を追放した。

 1枚目は撒き餌だったらしく、伊藤は2枚目の《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を召喚して、今度は《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》が即アタック。《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》がエンチャントされた。

三原 「まずい、ミスったー」

 といいつつ、エンチャント後に《流刑への道/Path to Exile》を《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》へ。返しのターンに《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を戦場に出した。

 伊藤は8枚の土地から《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》を普通に手札から唱えて、《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》が攻撃する。これを見て、頭を抱える三原。

 三原 「他のマッチで《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》を1枚サイドアウトしてるところを見てたから、それを前提にプレイしてたからね......。思い込み過ぎたー」

 滅殺2で土地を2枚生け贄に捧げ、《前兆の壁/Wall of Omens》でチャンプブロックし11点の大ダメージを受けてしまった。

 だが、まだ三原には《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》と2体の兵士トークン、それに《悪斬の天使/Baneslayer Angel》がいる。《悪斬の天使/Baneslayer Angel》が+3/+3されて8点ゲインしながら痛烈なパンチを返し、伊藤4-16三原。

 伊藤は手札が1枚しかない。本体のライフを削りきれないと判断し、伊藤は15/15で《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に向かって攻撃。そして1枚の手札が《極楽鳥/Birds of Paradise》で、三原の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》へ値千金の防波堤となる。

 滅殺でじりじりパーマネントを失っている三原も全く楽ではない。《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》は先ほど滅殺で生け贄に捧げてしまったので、1/1トークン2体と《悪斬の天使/Baneslayer Angel》の7点分クロックがある。伊藤のライフは残り4。

 悩んだ末、3体でのフルアタック。《極楽鳥/Birds of Paradise》が《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を、《天界の列柱/Celestial Colonnade》がトークンを受けて、1点スルー。

 そして15/15の3度目のアタック。

 このずっしりと重過ぎる攻撃で三原もライフが僅か残り5。
 
 もう時間が無い。そして三原のドローは......

 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》!!

jpg

 まず《悪斬の天使/Baneslayer Angel》で攻撃し、《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動された後に《地盤の際/Tectonic Edge》を使うかどうか考える。伊藤は2枚目の《天界の列柱/Celestial Colonnade》をコントロールしていた為、そちらに使う事にしたのかこれを温存。《天界の列柱/Celestial Colonnade》が普通にチャンプブロックに回った。三原は5点のライフを得て、伊藤3-10三原。

 そして《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の-1能力で15/15をやっと退場させた。しかしまだゲームは終わっていない。

 伊藤のターン。三原を倒す手段を伊藤は持たない。

 三原が《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をレッドゾーンに横向きで叩き付ける。

 天使から身を守る手段も、もう残っていなかった。

伊藤 1-2 三原

jpg

 決勝はブライアン・キブラーと、そして三原 槙仁。

前の記事: 準決勝:八十岡 翔太(東京) vs. Brian Kibler(アメリカ) | 次の記事: 決勝戦:Brian Kibler(アメリカ) vs. 三原 槙仁(千葉)
イベントカバレージ/グランプリ仙台2010 一覧に戻る

イベントカバレージ