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Round 5:高橋 優太(東京) vs. 北山 雅也(神奈川)

Round 5:高橋 優太(東京) vs. 北山 雅也(神奈川)

By Daisuke Kawasaki

 本日のRound 1の最中に行われたExhibition Round、プロツアー・オースティンのリベンジマッチの状況をお伝えしたが、マジックを長くやっているプレイヤーであれば、少なからず因縁のあるマッチアップというものは存在する

高橋 「今日のデッキ、青黒なんですよ。なんか、因縁めいてません?」

 とは、高橋は思っても口には出さなかった。なぜなら、その因縁は、高橋にとって、決して縁起の良いものでは無かったからだ。

 今でこそ、グランプリ2連覇をはじめとして、日本でも屈指のトッププレイヤーのひとりとして知られるようになった高橋だが、当時の、2007年日本選手権にトップ8入賞した時の高橋は、直前のプロツアーでトップ4入賞し、そして、ついに日本選手権でもトップ8入賞を果たした、「ニュー・カマー」のひとりだった。

 そして、そんな高橋の前に立ちはだかったのは、古淵コミュニティでも一番の古株のひとりであり、当時は「スタンダード・キング」と呼ばれていた北山 雅也(神奈川)だった。

 このマッチアップは、絶望的なものであり、そして、なすすべ無く高橋は敗れた。北山は、そのまま日本王者となった。

Game 1

 先手の高橋が、1ターン目に《涙の川/River of Tears》から、《思考囲い/Thoughtseize》をキャストする。

 北山は《闇の腹心/Dark Confidant》《思考囲い/Thoughtseize》《強迫/Duress》《燻し/Smother》《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》×2、そして《暗黒の深部/Dark Depths》という手札。どうやら、北山のデックはいわゆるDD(《暗黒の深部/Dark Depths》の略)系のデックの様子。高橋はここから《闇の腹心/Dark Confidant》をディスカードさせる。

 対して北山は、まずは《強迫/Duress》をキャストし、《涙の川/River of Tears》に、《マナ漏出/Mana Leak》《燻し/Smother》そして《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》が2枚という手札から《マナ漏出/Mana Leak》をディスカードさせる。

 続くターンに高橋がセッとした土地が《人里離れた谷間/Secluded Glen》だったことで、手札の内容を全部知っている北山は、続いて《思考囲い/Thoughtseize》をキャストし、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をディスカードさせる。

 この怒濤のディスカードタイムが終了し、高橋は、3枚目の土地として《涙の川/River of Tears》をセットするとターンエンド。すでに《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》をセットしていた北山は、《草むした墓/Overgrown Tomb》をサーチする。北山のデックは、緑入りのヴァージョンか。

 自身のターンに、北山は《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》のセットから、《引き裂かれた記憶/Shred Memory》を変成し、《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》を手札に加える。このターンエンドに高橋は《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をキャスト。そして、自身の手札を整理しつつ、クロックを用意する

 この《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》がアタックして、北山のライフは14。そして、《苦花/Bitterblossom》をキャストしてターンを返す。手札に《呪文嵌め/Spell Snare》を抱えてだ。

 しかし、北山はさらなる《強迫/Duress》を手札に持っていた。この《強迫/Duress》で高橋の手札から《呪文嵌め/Spell Snare》をディスカードさせると、《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》をキャスト。そして、《暗黒の深部/Dark Depths》をセットし、20/20のマリッドレイジトークンを生み出す。高橋はアタックできない。

 北山は小考の末に、帰ってきた自身のターンに、20/20でのアタックをする。これを1/1トークンでチャンプブロックした高橋は、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》でアタックし、活路を見いだす。この《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》へと《燻し/Smother》を撃った北山だったが、これは《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》でカウンターされてしまう。

 このままでは、単純にダメージレースで不利な北山。だが、《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》と《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をキャストし、一気にクロックを増量して、ターンを返した。そう、北山のデッキには《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が入っているのだ。

 高橋は小考の末に、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》と《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》でアタックする。これで北山のライフは7。一方の北山は、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》でアタック。これで高橋のライフは6になるのだが、北山には、4点のライフを守るだけの戦線が不足している。

 北山は、最後の希望をかけて《消耗の儀式/Rite of Consumption》をキャストする。

 だが、高橋は、ここでやはり《呪文嵌め/Spell Snare》を引いているのだった。

高橋 1-0 北山

 当時のマッチで高橋が使用していたのは、青黒ピクルスで、北山が使用していたのは緑黒のタルモラックだった。

 《強迫/Duress》を打ち合い、《呪文嵌め/Spell Snare》でカウンターし、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が殴る。

 そう考えると、当時と彼らが使っているデッキは同じように見えるが、しかし、それはカードの本当に端的なパーツだけの話だ。

 北山が使用しているのは、黒緑の《暗黒の深部/Dark Depths》。そして、高橋の使用しているのは、グランプリ2連覇を高橋にもたらした「魂の《苦花/Bitterblossom》」こと青黒フェアリーだ。

 2007年のマジックでは、青黒は黒緑に絶望的に勝てなかった。

 だが、この2010年の、エクステンデッドのマジックでは立場が逆だ。

 黒緑の《暗黒の深部/Dark Depths》は、青黒フェアリーに絶望的に勝てない。

Game 2

 後手の高橋がマリガンをしている隙に、北山は《金属モックス/Chrome Mox》に《北方行/Into the North》を刻印し、《引き裂かれた記憶/Shred Memory》の変成で、《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》を手札に加える。対して、高橋は《苦花/Bitterblossom》をキャスト。

 この《苦花/Bitterblossom》は北山の《帰化/Naturalize》で破壊され、さらに北山は《暗黒の深部/Dark Depths》をセットする。完全に秒読み状態だ。しかし、高橋は、北山のドロー後のタイミングで《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をキャストする。

 これに対応して《暗黒破/Darkblast》で《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を除去すると、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》の能力が解決され、北山の手札から《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》が失われる。北山は、《闇の腹心/Dark Confidant》をキャストして、ターンエンド。

 この《闇の腹心/Dark Confidant》を《燻し/Smother》で除去すると、高橋は《変わり谷/Mutavault》でアタックし、ダメージレースを仕掛ける。一方の北山は、1度攻撃を通した後に、2回目のアタックには対応して《燻し/Smother》を《変わり谷/Mutavault》へと打ち込む。

 しかし、これは《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》。

 北山は《思考囲い/Thoughtseize》で、高橋のもつ2枚目の《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》こそ除去したが、しかし、2枚目の《変わり谷/Mutavault》による攻撃に対応できない。

 3点ずつのクロックが刻まれ、北山のライフは7に。そして、北山が《引き裂かれた記憶/Shred Memory》をドローした瞬間......

高橋 「ドロー後」

 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》がキャストされ、《引き裂かれた記憶/Shred Memory》が、そして北山の勝利が、山札の下へと送られた。

高橋 2-0 北山

北山 「また、同じ色の組み合わせであたったんだけど。成長してないね、お互い」

 北山をもってして、絶望的なゲーム相性を跳ね返すことはできなかった。当時の北山・高橋と、今の北山・高橋は何が違うのだろうか。北山の言うとおり、二人は成長していないのだろうか?

高橋 「あの時は、まだ《苦花/Bitterblossom》が無かったから。だから」

北山 「いや、タルモラックに《苦花/Bitterblossom》入ってたら、もっと絶望的だったから」

高橋 「あ、ほんとだ」

 当時の高橋は、まだ、《苦花/Bitterblossom》を持たない、グッドプレイヤーだった。高橋の成長のすべてが《苦花/Bitterblossom》にあったわけではなくても、《苦花/Bitterblossom》と出会ってからの高橋が、圧倒的な強さであったことは疑いないだろう。

 スタンダード・ブロック構築とふたつのフォーマットで行われたグランプリを《苦花/Bitterblossom》で制した高橋が、今度は、エクステンデッドを《苦花/Bitterblossom》とともに制するのか。

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