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準々決勝: 本波 友行(東京) vs. 黒田 正城(大阪)

準々決勝: 本波 友行(東京) vs. 黒田 正城(大阪)

by Yusuke Yoshikawa

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 「縁起がいいね」と黒田 正城が言う。

 カバレージライターとして、私とJosh Bennettが並んで座ったときのことだ。
そういえば、2004年に黒田が初戴冠を飾ったプロツアー神戸の決勝戦と同じだった。Joshが久しぶりに日本を訪れたこともあり、しばらくなかった組み合わせ。確かにそれはゲンがいい。

 一方の本波 友行は『帝國』の二つ名で知られる、東京で長く活躍する社会人プレイヤー。目立った戦績はなかったものの、それだけに秘めたものはあり、スイスラウンド最終戦で勝利を決めたときには、期せずして目に光るものがあったという。盟友である石井 泰介(神奈川)に続き、タイトルをつかみ取ることができるだろうか?

 本波がZoo、黒田が《超起源/Hypergenesis》というマッチアップ。後には引けない、一触即発の戦い。
わずかなりとも、目を逸らすなかれ。

Game 1

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 ダイスロールにて黒田が先攻をとる。

 オープニングハンド7枚を見て、じっくりと考える両者。

 こと、このマッチアップにおいては、初手の時点で勝負の大半が決まっていると言ってもいい。

 黒田は静かに、本波はじっくりとゲームプランを考え、息を吸って覚悟を決めた表情で、それぞれキープを告げた。

 黒田が《菌類の到達地/Fungal Reaches》、本波が《寺院の庭/Temple Garden》ペイ2ライフから《貴族の教主/Noble Hierarch》という立ち上がり。

 《宝石鉱山/Gemstone Mine》を置いてゴー、の黒田に対して、本波は《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》アンタップインから《野生のナカティル/Wild Nacatl》《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》と並べて、次なる猛攻を予告する。

 《菌類の到達地/Fungal Reaches》にチャージして、黒田の第3ターン。土地もプレイせずに静かに手札を繰る。静けさののちには嵐が来るか。

 黒田は《森/Forest》をテーブルに置き、もう一度じっくりと考えて、《野生のナカティル/Wild Nacatl》を対象に《悪魔の戦慄/Demonic Dread》をプレイした。

 続唱能力により、予告登板の《超起源/Hypergenesis》が現れる。呪文が解決され、黒田から交互にパーマネントを出していく。

黒田:《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》
本波:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》(タップイン)
黒田:《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》
そこで本波が応えて:《時間の孤立/Temporal Isolation》
しかし黒田は:《テラストドン/Terastodon》

 ここで本波は何も出さないことを宣言、黒田もなく、《超起源/Hypergenesis》の解決が終了。
 《時間の孤立/Temporal Isolation》のエンチャント先として《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》が指定されるが、黒田は《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》の能力をスタックへ載せる。指定は《野生のナカティル/Wild Nacatl》に3点、《貴族の教主/Noble Hierarch》に1点、本波へ1点。

 さらに《テラストドン/Terastodon》の能力にて《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》自分の《宝石鉱山/Gemstone Mine》ともども《時間の孤立/Temporal Isolation》を破壊、ヘルカイトのダメージ能力を意味あるものにする。本波のライフは15に。
 返ってきたターン、本波は《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を場に出すだけ、と言ってもそのサイズはすでに5/6だ。与えられた象トークンとともに攻撃を待ち受ける。
 黒田は《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》《テラストドン/Terastodon》をレッドゾーンへ。3/3トークン2体が《テラストドン/Terastodon》をブロック、ヘルカイトにより本波のライフは10となる。

 戦闘終了後、《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》で1/1トークンを与えつつ、《強迫的な研究/Compulsive Research》で手札を整える。
 本波もターン終了時に《テラストドン/Terastodon》に《稲妻/Lightning Bolt》を打ち込み、これを排除。さらに《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で攻撃を加え、逆転を試みる。
 黒田は《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》で勝利へのカウントダウン。
 ここで本波は《時間の孤立/Temporal Isolation》2枚目をプレイ、ダメージを抑制しようとした。
 しかし《暴力的な突発/Violent Outburst》が放たれる。続くは必然の《超起源/Hypergenesis》。
 《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》と、本波の最後の手札である《長毛のソクター/Woolly Thoctar》の交換を経て、現れた《絶望の天使/Angel of Despair》が《時間の孤立/Temporal Isolation》を叩き割る。
 目論見を崩された本波のライフは4に。そして眼前には航空戦力が2体。
 それでも本波は諦めることを潔しとせず、愚直に攻撃を続け、黒田も適切なブロックで迎え撃つ。
 本波は攻撃を受け、自らのライフが0になることを見届けた。

本波 0-1 黒田

 本波のサイドボーディング

Out

3《時間の孤立/Temporal Isolation》
2《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
1《タルモゴイフ/Tarmogoyf》

In

2《月の大魔術師/Magus of the Moon》
2《流刑への道/Path to Exile》
2《爆裂+破綻/Boom+Bust》

 黒田のサイドボーディング

Out

3《強迫的な研究/Compulsive Research》
1《騙り者、逆嶋/Sakashima the Impostor》
1《アクローマの記念碑/Akroma's Memorial》
1《超起源/Hypergenesis》

In

2《叫び大口/Shriekmaw》
2《炎渦竜巻/Firespout》
2《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》

Game 2

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 繰り返しになるが、このマッチアップでは初手の時点で勝負の大部分が決まってくる。
 それだけに運命を預ける7枚を見る両者には、祈りにも似た感情が見え隠れする。

 本波の「マリガンします」の声に、黒田はいっそう視線に力を込め、じっと見つめた後、「キープします」と静かに応えた。

 一方、本波は新たに手にした6枚をたぐり、大きく息をついた。

 少し考えるための時間を求めると、黒田は了承。本波は静かに考え続けるが、その表情は芳しくない。その手札で勝てるプランを模索しているのか、これから引くカードの期待値を計算しているのか、それとも、マリガンを決心すべき「ふっきれ」を待っているのか。

 少し苦笑いを浮かべると、本波は2回目のマリガンを宣言した。5枚に本波はキープ。
 《乾燥台地/Arid Mesa》と《反射池/Reflecting Pool》からの立ち上がり。

 本波はドローし、そしてそのままターンを返した。少しでも土地ドローの可能性を上げるため、《乾燥台地/Arid Mesa》には手をかけない。
 2ターンにわたり土地を置けない間に、黒田は《石灰の池/Calciform Pools》《氷の橋、天戸/Tendo Ice Bridge》と土地を伸ばす。
 ようやく2枚目の土地、2枚目の《乾燥台地/Arid Mesa》にめぐり合えた本波は、《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》《平地/Plains》を一気にフェッチしてきて、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》に賭ける。しかしそのサイズはまだ1/2だ。

 第4ターンの黒田は考える。優位には変わりないが、この優位をどうやって勝利に結びつけるか。
 黒田はすべての土地をタップ、さらに《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》によって5マナ目を得て、《叫び大口/Shriekmaw》を「普通に」プレイした。能力の対象はもちろん《タルモゴイフ/Tarmogoyf》。

 本波が《野生のナカティル/Wild Nacatl》を呼んでターンを返すと、黒田は攻撃から《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》でトークンを渡しながらも2枚目の《叫び大口/Shriekmaw》で主導権を離さない。
 本波も与えられた条件での最善手を模索し続ける。今出された《叫び大口/Shriekmaw》は《稲妻/Lightning Bolt》し、トークンでの攻撃。次の黒田のターンに攻撃以外の動きがないことを見ると、自らの1/1トークンに《流刑への道/Path to Exile》を打ち込み、《森/Forest》を求める。

 そして自らのターン、3枚の土地から《月の大魔術師/Magus of the Moon》。黒田も対応する機会を得るべく本波を遮るが、《山/Mountain》になりゆく《石灰の池/Calciform Pools》にカウンターを溜めるのみ。黒田は《森/Forest》1枚を残して、土地が《山/Mountain》となる。
 黒田は畏怖攻撃をするのみで後続はない。土地も6枚のままである。
 本波はここぞと、用意していた基本土地から《長毛のソクター/Woolly Thoctar》を並べる。
 黒田は攻撃するのみ。本波は勇躍反撃を加え《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を送り込む。すわ、逆転か。

 この時点で黒田のライフは10、本波は4である。
 黒田のコントロール下には《叫び大口/Shriekmaw》が1体、ずらり並んだ特殊地形は《月の大魔術師/Magus of the Moon》の能力により《山/Mountain》になっている。ただ1枚の《森/Forest》を除いて。
 黒田は攻撃を宣言し、その《森/Forest》を含む3枚の土地をタップし、1枚の呪文を唱えた。

 パワーを1増加させる、それが本来の機能。

 ルールに則って続唱能力を解決しようとする黒田を、本波は笑顔で遮って、真っ直ぐに手を差し出した。

本波 0-2 黒田

 「相手が7枚でキープしたので、これは3ターン目に決まる手札だな、と」

 試合終了後、第2ゲームに入る前のマリガンについて、本波が話してくれた。

 「(1回マリガン後の)6枚にはクリーチャーがいっぱいいたのですが、それではダメかなと思いました」

 相手の手札を推測して、それに打ち勝つだけの手札を求めた、攻めのマリガンであったということなのだ。
 結果として土地に恵まれず、苦しい戦いに終始したのであったが、悔しくもあるはずの本波は、凛然として言った。

「恥ずかしくない試合は、できたと思います」

 ところが一方、黒田の手札は、最速の《超起源/Hypergenesis》にはなり得ない構成であった。

 2枚の《叫び大口/Shriekmaw》と《炎渦竜巻/Firespout》、コンボによらず相手の攻勢に耐えて勝てるか、というプランだった。
 もちろん、マリガンしてコンボ成立を狙う手もある。決まれば、もっと楽に勝てる可能性もあった。

「けど、《森/Forest》引いたしね。キープでいいかなと」

 黒田は笑う。その理由は、相手が出してくるであろう《血染めの月/Blood Moon》への唯一の回答だからだ。
 結果としては月は月でも《月の大魔術師/Magus of the Moon》であったため、《炎渦竜巻/Firespout》で対処はできたのだが、あるデッキにおけるキープ基準、という点では非常に明確ではないだろうか。

 基準、という点では、黒田はもっと明確なことを言った。

「サイドボード(から入れたカード)3枚引いたし、キープ」

 その相手のために入れた対策カードなのだから、そうでなければ意味がない、と。

 ゲームを始める、大事な大事な初手。
 あなたのマリガンは、的確に行われているだろうか?

 黒田 正城、準決勝進出!

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