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Draft Report:三田村 和弥(千葉)

Draft Report:三田村 和弥(千葉)

By Tomohiro Kaji

 先日のPTホノルルで優勝した三田村 和弥(千葉)。

 ホノルルは、決勝ラウンドにアラーラドラフト、予選ラウンドがアラーラ限定構築とアラーラドラフトのミックスフォーマットとなっており、その内のドラフト部門9回戦を三田村は全勝した。

 そんなPTチャンプからドラフトのコツを学ぶべく、今回、三田村に密着した。

 ドラフトが始まる前に、どんなアーキタイプが好きですか?と聞いてみたところ、

三田村  「赤黒メインでやりたいですね。3色目は青でも緑でも取れる方で。

 PT京都の時も、PTホノルルの時も、この環境は除去カラーが最強だと思います。」
とのことだ。

 実際に彼のピックを追いつつ、その後の構築時の考察を引用して、そのカードをピックした理由と、その強さはどこから来るのかを探ってみよう。

ks

アラーラの断片

1手目:《圧倒する雷/Resounding Thunder》

他の選択肢:《マグマのしぶき/Magma Spray》、《エスパーの戦闘魔道士/Esper Battlemage》

除去で大切なのはマナコストではないと思う。

 最初手からマナのテンポ面を意識しすぎるよりも、カードアドバンテージや、エンドカードになる可能性を考えてのピックか。

 《エスパーの戦闘魔道士/Esper Battlemage》は、エスパー自体が集めにくいこともあり、下に流すことに。

2手目:《ジャンドの魔除け/Jund Charm》

他の選択肢:《天望の騎士/Knight of the Skyward Eye》

あまりこのカードをピックしたくなかったですが、他の選択肢よりは強いので。

こういったカードをデッキに入れる場合、2マナ圏のクリーチャー、たとえば《ナヤの静刃/Naya Hushblade》の様なカードを使いにくくなるわけですが、この場合、この2マナクリーチャーを生かした方がゲームに勝てる可能性が上がるように思います。

 1枚の強いカードを中心に構築するよりも、マナカーブを整えて、テンポよくクリーチャーを展開することの方がゲームに勝つことはよくあること。

 この基本を守れない時はとても多く、自分もよくやってしまうのだが。

3手目:《熊手爪のガルガンチュアン/Rakeclaw Gargantuan》

他の選択肢:《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》、《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》

これは純粋にカードパワーに差があったように思う。

 ただ、ナヤカラーは、{R}{B}という色から1つずれてしまっているのが気になるところ。

4手目:《熊手爪のガルガンチュアン/Rakeclaw Gargantuan》

他の選択肢:《エルフの幻想家/Elvish Visionary》

 これもカードパワーの差がありすぎるのでピックされた。

 潤滑油よりもゲームに勝てるカードが優先されるのが彼のマジックの基本なのか。

5手目:《エルフの幻想家/Elvish Visionary》

他の選択肢:《骸骨のカターリ/Skeletal Kathari》

 この時点で5マナのカードを取りすぎると、マナカーブを意識して軽いカードを早く取らなければならなくなるので、今後の選択肢を狭める恐れがあるためこうしたピックに。
 {B}を濃くする理由もないことも理由の1つか。

6手目:《アンデッドのレオトー/Undead Leotau》

他の選択肢:《バントの全景/Bant Panorama》

 単体で先ほどのカターリよりもカードパワーが高く、色のかみ合いが中途半端な土地は流すことに。

7手目:《ジャングルの織り手/Jungle Weaver》

他の選択肢:《グリクシスのオベリスク/Obelisk of Grixis》

 融通のききやすいこのカードをこの手順でピックはとても嬉しい。

 パワー5、到達にサイクリングと、とても丸いカード。

8手目:《呪文摘み/Spell Snip》

他の選択肢:《凶暴な飢え/Savage Hunger》

同じサイクリングならば、プレイできた時に効果の大きい方を選ぶのがセオリー。

9手目:《切り裂き隊の壊し屋/Rip-Clan Crasher》

他の選択肢:《帰化/Naturalize》

 この順手でこのスペックならば悪くはないか。

 {R}{G}ベースになるかわからないが、2マナ圏のクリーチャーという存在は大切。

10手目:《血茨のなじり屋/Bloodthorn Taunter》

 この辺りからとくに何も選択肢がなかったが、ナヤのキーワードである、パワーが5以上のクリーチャーに付加価値を与えるカードなのでピック。

 単体が弱くとも、使わないからで一蹴せず、シナジーが生まれる要素を逃さないようにピックしたい。

11手目:《茨団のヴィーアシーノ/Thorn-Thrash Viashino》

 あまりサイズを大きくするのに損をしたくはないが、《エルフの幻想家/Elvish Visionary》等もあることなので、生かせる可能性も。

12手目:《太陽の種の育種士/Sunseed Nurturer》

 10手目の《血茨のなじり屋/Bloodthorn Taunter》よりも、マナとライフを生む可能性という意味では優良カード。

 しかし、単体でのポテンシャルから普段は物足りなくなるが、今回三田村のデッキに採用されている。

コンフラックス

ks

1手目:《流刑への道/Path to Exile》

他の選択肢:《燃えさしの織り手/Ember Weaver》、《血の間の軟泥/Bloodhall Ooze》

 さすがにスタンダードやレガシーにまで使用されるカードだけあって、マナコスト対効果は強烈。

 序盤のクリーチャーにはキャストしたくはないが、《茨異種/Thornling》の様な、よくわからないカードにも対応できる幅の広さは魅力的。

2手目:《野生のレオトー/Wild Leotau》

他の選択肢:《無秩序の点火/Ignite Disorder》、《闇の感情/Dark Temper》

 このピックは自分にとっては少し意外だったのだが、冷静に4マナのパワー5であり、かつ、それぞれの除去にムラがあることを考えるとこういったピックをするべきなのかもしれない。

3手目:《燃えさしの織り手/Ember Weaver》

他の選択肢:《断ち割る尖塔/Rupture Spire》

 コンフラックスの緑のクリーチャーの中で群を抜いて存在感のあるカード。

 たとえ赤いパーマネントが無かったとしても、2/3到達は高スペック。

4手目:《天球儀/Armillary Sphere》

他の選択肢:《断ち割る尖塔/Rupture Spire》、《アミーシャの模範/Paragon of the Amesha》、《天界の粛清/Celestial Purge》

 《天球儀/Armillary Sphere》はカードアドバンテージ的には良いカードだが、所詮は土地2枚で、ゲームには勝てない。

 最終的にカードが余ったことと、2,3ターン目にキャストから能力を使ったとしても、テンポよくビートされると、その分の損出の方が大きくなってしまうのではないかとの理由でこのピックだけ三田村が《断ち割る尖塔/Rupture Spire》を選ぶべきだったと後悔した1手。

5手目:《燃えさしの織り手/Ember Weaver》

他の選択肢:《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》、《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》

 3手目同様、飛行をブロックできるという到達が魅力的な1枚。

 リミテッドにおいて《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》は瞬間的なダメージにしかならず、今回は下に流されることに。

6手目:《野生のレオトー/Wild Leotau》

他の選択肢:《闇の感情/Dark Temper》

 これも2手目同様、4マナのパワー5というスペックを重視してのこと。

 この時点で、4マナ以降のクリーチャーの質はかなり高めになっている。

7手目:《古代の聖塔/Ancient Ziggurat》

他の選択肢:《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》

 デッキに入るカードには限界があるが、土地カードならばスペル枠を圧迫せずに使用できる。

 とくに、このカードは低マナ域の色拘束が厳しいが、高スペックなクリーチャーに向いている。

8手目:《金線の破れ目/Filigree Fracture》

他の選択肢:《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》

この1枚はエスパー戦の結果を左右するくらいのピックですね

 メインボードの中途半端なカードよりも、相手次第ではドロー付き除去になりえる1枚で、単純に《帰化/Naturalize》に1マナ多く払うメリットとデメリットと天秤にかければポテンシャルが高いことにすぐ気付ける。

9手目:《エイヴンの先駆者/Aven Trailblazer》

他の選択肢:《ナカティルの野人/Nacatl Savage》

 これこそ協調の成果と言える1枚で、普通のピックが行われていたらこの手順で流れてくることはなかっただろう。{UB}系のカードに触れなかったことが下からのパスにつながったようだ。

10手目:《森の報奨/Sylvan Bounty》

 これも遅めにピックできた1枚で、後半でもライフというリソースになることから《天球儀/Armillary Sphere》と比べても好きだとのこと。

 確かに、残り数ライフを削るフルアタックに合わせられた時の損出は、かなり大きくなってしまうだろう。

11手目:《クラニオセロス/Kranioceros》

他の選択肢:《骨組み溶かし/Molten Frame》

 パワー5のクリーチャーの追加としては悪くない程度だが、この手順ならば安く手に入れられたのではないだろうか。

アラーラ再誕

1手目:《復讐に燃えた再誕/Vengeful Rebirth》


他の選択肢:《終止/Terminate》

《苦悩火/Banefire》よりも全然強いですよ

 全く同感で、レアのX火力というだけで《苦悩火/Banefire》は強く感じてしまうが、墓地から回収するカードの1枚分のアドバンテージと、それが重いカードであるほどダメージが増加するので、後半戦の活躍は間違いない。

 《ジャングルの織り手/Jungle Weaver》や《森の報奨/Sylvan Bounty》との相性の良さは、今更か。

2手目:《マリーシの双子爪/Marisi's Twinclaws》

他の選択肢:《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute》、《ヴィティアの背教者/Vithian Renegades》

 {R}{G}に寄りすぎたパックで、本当はこの3枚とも欲しいのだが、戦闘能力の高さから選ばれた。

3手目:《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》

他の選択肢:《途方もない力/Colossal Might》、《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》

 2マナ2/2と思いきや、賛美を持っているので一人で3/3になり、さらに《帰化/Naturalize》を内蔵しているという高スペックさ。

4手目:《ヴィティアの背教者/Vithian Renegades》

他の選択肢:《ナヤの滞留者/Naya Sojourners》

 そろそろデッキの仕上げに入っており、どちらのカードも強力だが、マナカーブを整えるために3マナのこちらを選択。

 《境界石》シリーズもあることで、エスパー以外にも活躍できるかもしれない。

5手目:《谷のラネット/Valley Rannet》

 重要なマナサポートカードで、後半のマナが余っている状態でも6/3でキャストできるのは、無駄にならないので、デッキの安定性を増すために欲しかった1枚。

6手目:《結晶化/Crystallization》

他の選択肢:《茸の番人/Mycoid Shepherd》

 この手順で2マナ除去をピックできるのはかなり嬉しい。

 《茸の番人/Mycoid Shepherd》も、デッキ的に良いカードなのだが、重さを意識して軽いカードを重視した。

7手目:《ナヤの静刃/Naya Hushblade》

他の選択肢:《暴力的な突発/Violent Outburst》、《セロドンの一年仔/Cerodon Yearling》

 コントロール寄りならば、《暴力的な突発/Violent Outburst》も2マナ以下の除去呪文を引き出すのに良く使われるが、今回は《流刑への道/Path to Exile》や《結晶化/Crystallization》ということを考えて、ビート方向にピック。

8手目:《ジャンドの神追い/Godtracker of Jund》

 1パック目の最後と同様に、普段はデッキに入らないようなカードでも、今までにピックした7枚のパワー5生物のバックアップがあれば変わるかもしれない。

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 さて、そろそろピックの考察ではなく、デッキ構築に目を向けてみよう。

 実際に、三田村の構築したデッキは、以下の写真のようになる。

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 マナカーブを意識しているため、ナヤにありがちな重いカードに偏ることもなく、2マナ域からのしっかりしたパーマネント展開が期待できそうで、本人はコンフラックス4手目が、結局プレイしなかった《天球儀/Armillary Sphere》ではなく、《断ち割る尖塔/Rupture Spire》だったならば、あと1枚分のピックを生かせたと少し残念そうだった。

そして、結果の方だが、

Round5 vs.清水 直樹 win

Round6 vs.渡辺 雄也 lose

Round7 vs.黒田 正城 win

 と、非常に濃い当たりで、唯一負けてしまった渡辺戦では、色マナに不自由し、土地の中の1枚が《断ち割る尖塔/Rupture Spire》だったならゲームに勝利できただろうと語ってくれた。

 そして、そのゲームはマッチにかかわるもので、この1枚のピックがドラフト連勝記録を止めてしまったようだ。

 しかし三田村は2-1と勝ち越し、スタンダードの3-1と合わせて17位で初日を終えた。

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