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M10 Standard Metagame Breakdown

M10 Standard Metagame Breakdown

By Tomohiro Kaji

 基本セット2010(以下M10)の登場で急変した日本選手権2009のメタゲーム考察をしてみたいのだが、その前に、第10版時代からの変化や、日本選手権の直前予選までのトレンドを復習してみよう。

第10版からM10

 マジックの基本中の基本といえば、何が思い浮かぶだろうか?

 それは、間違いなく土地という存在で、過去にも《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》、《リシャーダの港/Rishadan Port》や《教議会の座席/Seat of the Synod》とスタンダード環境の構築の幅を広げたり、あまりの強さに使わないデッキタイプを淘汰したりと、マナソースという観点だけでなく、メタゲームをも強烈に変化させる力がある。

 なぜなら、マナが無ければ呪文は唱えられない。

 そして、今回の一番の変化といえば、10種類のダメージランドと5種類のミシュラランドが退場したことに尽きるだろう。

 M10には、《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》を代表する基本土地があればアンタップで戦場入りする土地が登場したわけだが、それはあくまで有効色5枚の範囲のみと、使い勝手の良い対抗色の2色ランドが1ポケット分なくなってしまった。

 この変化は、特に早いターンに対抗色を必要とする{W}{R}や{W}{B}Tokens、{G}{B}Elvesに強い影響を与え、著しくデッキの安定性を下げることとなったわけだ。

 たとえば、《沼/Swamp》を使って2ターン目に《苦花/Bitterblossom》、3ターン目に《幽体の行列/Spectral Procession》なんてキャストすることは《悪臭の荒野/Fetid Heath》無しではどうやってもできない。

 かといって、《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》の抜けた穴を埋めるカードはあるのだろうか?

 このように、対抗色のデッキは土地を引くだとか、引かないという不運な、いわゆる「土地事故」をクリアしても、「色事故」も防がなければならず、不自由なくゲームをプレイするためのハードルが高くなってしまった。

 こうした変化に対するプレイヤーができるアプローチは、単純に考えて2つある。

 1つ目は、要求される色マナの必要なターンを遅くする。

 2つ目は、要求される色マナの種類を減らす。

 1つ目のアプローチは、とてもわかりやすく、既に5色の強いカード満載で、《鮮烈な~》シリーズを使ったコントロールデッキはあるが、5色のビートダウンは存在できないことから容易にわかる。
 しかし、{W}{R}や{W}{B}Tokens、{G}{B}Elvesもビートダウンに属しているため、この手法を使ってしまうと、デッキのコンセプトに歪みが生じ、結果ポテンシャルを下げることになるだろう。

 では、2つ目のアプローチはどうだろうか?

 必要な色マナを極限まで切り詰めた結果に、M10で得た強力なカード《清浄の名誉/Honor of the Pure》、と《エルフの大ドルイド/Elvish Archdruid》を組み込み、これらデッキ達を実質単色化され、色マナの安定性とスピードを得てこの日本選手権に実際に登場したきた。

 では、大会で使用されたデッキ分布を見てみよう。

《風立ての高地》37Mono White Kithikin20
WX Tokens8
Mono White Tokens6
Mono White Weenie3
《威厳の魔力》21GW Affinity Elves!20
GB Elves1
《謎めいた命令》46UB Faeries26
5C Cruel Control13
WUB Esper Lark3
UR Swan2
RBU Counter Demigod2
《血編み髪のエルフ》405C Cruel/Cascade Control15
5C Doran11
RGB Jund Aggro7
4C Cascade Aggro3
Naya Aggro1
RGB Big Burn1
Cascade/Bloomtender1
RGB Angry Behemoth1
その他13RB Blightning6
RB Burn2
RW Burn1
WUB Aggro1
Turbo Fog1
RB Goblin1
UGW Bant Aggro1
合計157

 この表からわかるのは、先ほど話題に挙げた{W}{R}や{W}{B}Tokens、{G}{B}Elvesを選択したプレイヤーは、それぞれ全体の約1%に過ぎないということだ。
 そして、逆に単色化した{W}と{G}、ジャンド系の続唱から派生した{R}{B}は大幅に勢力を伸ばし、会場の半数近くに上ったことが分かる。
 もちろん、友好色系のアーキタイプや、コントロールはM10導入時のマナトラブルに巻き込まれず、{U}{B}Faeriesの数や、5色系コントロールを選択するプレイヤーは数多くいたわけだが、環境の速度は以上のことから若干早まったことが想像できる。

 さらにこのデッキ分布を深く深く解析してみると、大きく分けて現在のスタンダード環境はいくつかのキーカードに支配されていることが分かる。
 そしてなんと、それらを根幹にしたコンセプトが参加人数をほぼ4等分している!

(1):《風立ての高地/Windbrisk Heights》

 土地でありながら、マナコストとカードアドバンテージという2本の柱を破壊する《風立ての高地/Windbrisk Heights》を生かすため、その起動条件を満たす《幽体の行列/Spectral Procession》や《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》を主軸にするアーキタイプ。

(2):《謎めいた命令/Cryptic Command》

 まさに万能というにふさわしい、カウンター呪文でありながら、パーマネントを対処し、カードアドバンテージに加え、エンドカードにもなる《謎めいた命令/Cryptic Command》。
 これによって場のコントロールを維持し、逆転の目を摘む最後の1枚になるのか、はたまた、自ら相手の行動を制限しに行き、展開力を殺そうと画策するのか。
 

(3):《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》

 色マナ拘束を無視しながら、ライブラリーから高カロリーカードを直接キャストできてしまう《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》。
 これを、対戦相手のパーマネント処理兼ブロッカーとして見立てるのか、速攻持ちでありながら、追加のクロックを調達するビートダウンクリーチャーとしてキャストするのか。

(4):《威厳の魔力/Regal Force》

 上記3タイプのように1枚のカードを中心にするのではなく、単体性能ではとても貧弱だが、カード同士の強烈なシナジーが生み出す大量のマナを、大量のドローに変換し、リソース量を爆発させる《威厳の魔力》なのか。

 この4つの「系統」というのが浮かび上がってくるのだ。

 ここで注目のデッキタイプ、Mono White Tokensと、GW Affinity Elves!に加え、成績の良かったデッキリストを掲載して終わりとしたい。

White Rose - Yukio Kozakai
Japan National Championship 2009 Standard, 4-0 on Day 1 Deck designed by Makihito Mihara
14 《平地/Plains》
4 《変わり谷/Mutavault》
4 《風立ての高地/Windbrisk Heights》

-土地(22)-
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
4 《運命の大立者/Figure of Destiny》
4 《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》
3 《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》
1 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
4 《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》
3 《警備隊長/Captain of the Watch》

-クリーチャー(20)-
4《流刑への道/Path to Exile》
4 《清浄の名誉/Honor of the Pure》
4 《幽体の行列/Spectral Procession》
2 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》
2 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
2 《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》

-呪文(18)-
2《軍部政変/Martial Coup》
3 《神聖なる埋葬/Hallowed Burial》
2 《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
3 《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract》
3 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
2 《目覚ましヒバリ/Reveillark》

-サイドボード(15)-
Blightning Burn- Taichi Fujimoto
Japan National Championship 2009 Standard, 4-0 on Day 1 Deck designed by Jun'ya Iyanaga
11《山/Mountain》
4 《野蛮な地/Savage Lands》
4 《偶像の石塚/Graven Cairns》
4 《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
1 《沼/Swamp》

-土地(24)-
4《運命の大立者/Figure of Destiny》
4 《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》
4 《呪詛術士/Anathemancer》
4 《復讐の亜神/Demigod of Revenge》

-クリーチャー(16)-
4 《炎の投げ槍/Flame Javelin》
4 《火山の流弾/Volcanic Fallout》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《荒廃稲妻/Blightning》
4 《マグマのしぶき/Magma Spray》

-呪文(20)-
4 《炎渦竜巻/Firespout》
2 《魔力のとげ/Manabarbs》
2 《死の印/Deathmark》
4 《叫び大口/Shriekmaw》
3 《苦花》

-サイドボード(15)-
Kazuya Mitamura 5-color control
1 《沼/Swamp》
3 《島/Island》
2 《滝の断崖/Cascade Bluffs》
3 《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》
3 《秘教の門/Mystic Gate》
4 《反射池/Reflecting Pool》
2 《鮮烈な岩山/Vivid Crag》
2 《鮮烈な湿地/Vivid Marsh》
4 《鮮烈な小川/Vivid Creek》
2 《鮮烈な草地/Vivid Meadow》

-土地(26)-
3 《羽毛覆い/Plumeveil》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
3 《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》

-クリーチャー(10)-
4 《神聖なる埋葬/Hallowed Burial》
3 《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》
4 《謎めいた命令/Cryptic Command》
4 《エスパーの魔除け/Esper Charm》
4 《火山の流弾/Volcanic Fallout》
3 《砕けた野望/Broken Ambitions》
2 《苦悶のねじれ/Agony Warp》

-呪文(24)-
4 《大貂皮鹿/Great Sable Stag》
3 《死の印/Deathmark》
3 《ルーンの光輪/Runed Halo》
2 《自我の危機/Identity Crisis》
2 《本質の散乱/Essence Scatter》
1 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》

-サイドボード(15)-
Yuuta Takahashi UB Faerie Day1 3-1
5 《島/Island》
4 《沼/Swamp》
4 《人里離れた谷間/Secluded Glen》
4 《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》
4 《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4 《変わり谷/Mutavault》

-土地(25)-
4 《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》
4 《ウーナの末裔/Scion of Oona》
4 《誘惑蒔き/Sower of Temptation》
4 《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》

-クリーチャー(16)-
4 《苦花/Bitterblossom》
3 《コショウ煙/Peppersmoke》
4 《苦悶のねじれ/Agony Warp》
4 《砕けた野望/Broken Ambitions》
4 《謎めいた命令/Cryptic Command》

-呪文(19)-
3 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《蔓延/Infest》
2 《対抗突風/Countersquall》
2 《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》
2 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
2 《羽毛覆い/Plumeveil》

-サイドボード(15)-
Kenji Tsumura Day1 4-0 Affinity Elf
8 《森/Forest》
4 《樹木茂る砦/Wooded Bastion》
3 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
2 《風立ての高地/Windbrisk Heights》
3 《苔汁の橋/Mosswort Bridge》

-土地(20)-
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《遺産のドルイド/Heritage Druid》
4 《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》
2 《貴族の教主/Noble Hierarch》
1 《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
4 《エルフの幻想家/Elvish Visionary》
4 《献身のドルイド/Devoted Druid》
4 《エルフの大ドルイド/Elvish Archdruid》
4 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
1 《雲打ち/Cloudthresher》
4 《威厳の魔力/Regal Force》

-クリーチャー(36)-
4 《原初の命令/Primal Command》

-呪文(@@)-
3 《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
1 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
4 《大貂皮鹿/Great Sable Stag》
2 《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk》
3 《流刑への道/Path to Exile》
2 《耳障りな反応/Guttural Response》

-サイドボード(15)-
Tsuyoshi Fujita Day1 3-1
1 《沼/Swamp》
1 《山/Mountain》
4 《鮮烈な岩山/Vivid Crag》
4 《鮮烈な湿地/Vivid Marsh》
2 《鮮烈な林/Vivid Grove》
4 《反射池/Reflecting Pool》
4 《黄昏のぬかるみ/Twilight Mire》
2 《偶像の石塚/Graven Cairns》

-土地(22)-
4 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》
4 《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》
3 《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》
4 《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》
2 《叫び大口/Shriekmaw》

-クリーチャー(17)-
3 《強迫/Duress》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《火山の流弾/Volcanic Fallout》
4 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
3 《魔力変/Manamorphose》

-呪文(21)-
2 《叫び大口/Shriekmaw》
4 《大貂皮鹿/Great Sable Stag》
3 《呪詛術士/Anathemancer》
2 《流刑への道/Path to Exile》
3 《黒騎士/Black Knight》
1 《蔓延/Infest》

-サイドボード(15)-
Shu Komuro Day1 3-1
16《平地/Plains》
2 《ひなびた小村/Rustic Clachan》
4 《風立ての高地/Windbrisk Heights》
2 《変わり谷/Mutavault》

-土地(24)-
4 《運命の大立者/Figure of Destiny》
4 《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》
4 《皺だらけの主/Wizened Cenn》
4 《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart》
4 《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain》
2 《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》

-クリーチャー(22)-
4 《流刑への道/Path to Exile》
4 《幽体の行列/Spectral Procession》
4 《清浄の名誉/Honor of the Pure》
2 《民兵団の誇り/Militia's Pride》

-呪文(14)-
3 《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract》
2 《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》
2 《目覚ましヒバリ/Reveillark》
4 《危害のあり方/Harm's Way》
2 《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》
1 《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》

-サイドボード(15)-

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