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レガシー選手権'09 決勝戦:佐宗 一歩(東京) vs. 宇田川 恒(埼玉)

レガシー選手権'09 決勝戦:佐宗 一歩(東京) vs. 宇田川 恒(埼玉)

by Naoki Kubouchi

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 日本で最初の『レガシー王者』の座を賭けたテーブルへ、古の呪文を操る2人のプレインズウォーカーが席につきました。

 右の席についたのは、日本選手権 関東神奈川予選を見事勝ち抜いて、ここ広島の地へと訪れた宇田川 恒(埼玉)。

 今大会がレガシーフォーマットでの初めての大会だという宇田川は、以前からレガシーの大会には機会さえあれば出場しようと、常にデッキだけはいくつかストックしており、この第1回レガシー選手権がちょうどその「いい機会」であったと語ってくれました。

 そして、左の席についたのが佐宗 一歩(東京)。

 日本レガシー界でも屈指の大会実績を誇るAncient Memory Conventionを主催する佐宗は、今年の1月に行われた第1回ALMC(別名『関東レガシー最強位決定戦』)で、マジックプレイヤーならば誰もが知る浅原 晃(神奈川)との素晴らしい戦いを繰り広げたことで、「日本レガシー界にこの人あり」と不動の地位を築いたレガシープレイヤーでもあります。

 さて、閉場間近にも関わらずこの最後の戦いを多くの観衆が見守る中、とても落ち着いた雰囲気でシャッフルを行う2人。

 宇田川が使用するのはドレッジ。

 ラブニカブロックを代表する能力【発掘】をエンジンとし、山札から墓地へと大量のカードを送りこむことにより、《イチョリッド/Ichorid》や《黄泉からの橋/Bridge from Below》から発生する2/2ゾンビ・トークンで相手を倒すコンボデッキです。

 一方の佐宗は、《相殺/Counterbalance》と《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》によるバックアップの下、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》がフィニッシュを決めるカウンター・トップ・ゴイフを選択し、ここまで勝ち残ってきました。

 Game1の勝率という面から見て、相性的には宇田川が有利なマッチアップではありますが、経験で勝る佐宗がどのような試合運びを見せてくれるのでしょうか?

 今回はカバレージはyoutubeで公開されている対戦動画と併せて熱戦の模様をご覧下さい。

 それでは、いざ戦いの場へ。

Game 1

ビデオカバレージ:Game 1
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 ダイスロールで先攻は佐宗に決定。

 佐宗は序盤の展開と、土地が1枚で止まる危険性のある《Volcanic Island》《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》×2《渦まく知識/Brainstorm》《Force of Will》を悩むことなくマリガンを宣言。

 そして、このマッチアップの先手の手札としては上々の《Tundra》×2に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》《相殺/Counterbalance》《渦まく知識/Brainstorm》《炎渦竜巻/Firespout》の6枚でキープします。

 相手のターンエンドに《渦まく知識/Brainstorm》で山札の上に呪文コストが1の《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を置いた状態で《相殺/Counterbalance》を展開するというプランも期待できます。

 対する宇田川も同じくマリガンを宣言。

 《真鍮の都/City of Brass》と《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》《入念な研究/Careful Study》《セファリッドの賢者/Cephalid Sage》《イチョリッド/Ichorid》《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》というベストに近い手札をキープします。

 後攻1ターン目、宇田川は《真鍮の都/City of Brass》プレイから《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》をキャスト。

 対応して佐宗は《Tundra》の青マナから《渦まく知識/Brainstorm》を唱え、《目くらまし/Daze》をドロー。《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》を《目くらまし/Daze》で使わせるプランを選択したようです。

 続いて宇田川の唱えた《入念な研究/Careful Study》を対象に《目くらまし/Daze》をキャストという、お互いの手札状況を知る由もない戦っている2人にしてみれば、ある種の予定調和的な流れ。

 この《目くらまし/Daze》の要求する1マナを調達するため《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》を起動(※起動コストとして初手のクリーチャーカード3枚と、このターンにドローした《入念な研究/Careful Study》を捨てる)し、《入念な研究/Careful Study》の解決へと移ります。

 そして、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》のコストで捨てた《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》の【発掘6】で墓地に落ちた6枚の内訳は、《打開/Breakthrough》《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》×2、それに《黄泉からの橋/Bridge from Below》が2枚!!

 これで、次のターンから《イチョリッド/Ichorid》が戦場を駆け抜け、《黄泉からの橋/Bridge from Below》からのゾンビ・トークンが量産される体制が整ったことになり、下手をすると残り3ターンで決着がつくことになるのです。

 1ターン目にして、大きくリードを奪われる形となった佐宗。

 続く先攻2ターン目、佐宗は《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》プレイから《Tropical Island》を選び出し、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》をキャストしてターンエンドします。

 宇田川の2ターン目のアップキープ。

 能力が誘発された《イチョリッド/Ichorid》を戦場へと送り出し、ドローステップのドローを《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》の【発掘6】に置換します。

 ここで新たな【発掘】能力持ちのクリーチャーカードが落ちないことを祈るしかない佐宗にとっては非情な《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》《イチョリッド/Ichorid》《ナルコメーバ/Narcomoeba》《黄泉からの橋/Bridge from Below》の3枚目と4枚目が墓地へと追加されます。

 《イチョリッド/Ichorid》による攻撃で佐宗のライフは19→16になり、ターン終了時には宇田川の戦場に2/2ゾンビ・トークンが4体と《ナルコメーバ/Narcomoeba》が1体。

 こうなっては手の施しようのない状況の佐宗ですが、わずかな可能性をあきらめることなく、懸命に《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》とフェッチランドを駆使し山札から解答を見つけ出そうとします。

 この後、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》で《イチョリッド/Ichorid》を戦場から追放し、赤マナのみでキャストした《炎渦竜巻/Firespout》でゾンビ・トークンを取り除くものの、2体の《ナルコメーバ/Narcomoeba》と4枚の《黄泉からの橋/Bridge from Below》というこの状況を打破することは叶いませんでした。

佐宗 0-1 宇田川

佐宗

in
2《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
2《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
2《クローサの掌握/Krosan Grip》
3《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》

out
4《相殺/Counterbalance》
4《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
3《炎渦竜巻/Firespout》


宇田川

in
4《真髄の針/Pithing Needle》
1《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》

out
1《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
1《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》
1《セファリッドの賢者/Cephalid Sage》
1《綿密な分析/Deep Analysis》
1《戦慄の復活/Dread Return》

Game 2

ビデオカバレージ:Game 2
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 先攻の佐宗は初手の7枚をキープ。

 対する宇田川の初手は《Underground Sea》と《入念な研究/Careful Study》《イチョリッド/Ichorid》《黄泉からの橋/Bridge from Below》《ナルコメーバ/Narcomoeba》《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》《陰謀団式療法/Cabal Therapy》の7枚。

 【発掘】能力を持つクリーチャーカードが無く、佐宗の《目くらまし/Daze》&《Force of Will》の2枚待ちを考慮に入れると、若干気になるハンドです。

 少考の後、1本目を取った宇田川は賭けに打って出ることなくマリガンを選択します。

 開かれた6枚のハンドは《Underground Sea》と《入念な研究/Careful Study》《ナルコメーバ/Narcomoeba》《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》《陰謀団式療法/Cabal Therapy》×2となり、これを宇田川はキープ。

 2枚の《陰謀団式療法/Cabal Therapy》が炸裂するプランが見え隠れします。

 そんなGame2の先攻1ターン目。

 佐宗は《Tropical Island》をプレイし、2枚の《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》を戦場に出すというロケットスタートでターンを渡します。

 宇田川は《陰謀団式療法/Cabal Therapy》キャストで、《目くらまし/Daze》を指定。

 しかし、佐宗の手札からは《汚染された三角州/Polluted Delta》《タルモゴイフ/Tarmogoyf》《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》《渦まく知識/Brainstorm》が公開され、佐宗の初手は相当強力なハンドだったことを告げます。

 そして、佐宗は宇田川のエンドステップに《渦まく知識/Brainstorm》を唱え、続く2ターン目に《Tundra》プレイから《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を戦場に送り込みます。

 後攻2ターン目のドローステップ、なんと宇田川のドローは《真髄の針/Pithing Needle》!!

 Game1の勢いそのままに、このまま宇田川が勝利する流れか!?と思ったのも束の間、先程の《渦まく知識/Brainstorm》から得た《目くらまし/Daze》によって宇田川の《真髄の針/Pithing Needle》が打ち消されるというビッグプレイが飛び出します!!

 まだまだやられる訳にはいかないとばかりに魅せる佐宗。

 続く3ターン目、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》の攻撃で宇田川のライフは20→17となり、《渦まく知識/Brainstorm》で得ていたもう1枚のカード、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》をキャストしてターンエンド。

 一刻も早く《真髄の針/Pithing Needle》を引き当てたい宇田川は、《入念な研究/Careful Study》で山札を掘り進めていきます。

 が、この時点で早くも《タルモゴイフ/Tarmogoyf》のサイズは5/6で宇田川のライフが17→12となり、追加投入される《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》と併せて次のターンには12→4へと推移。

 最後は、1マナで《打開/Breakthrough》を唱えた宇田川が、ドローを確認して投了するのでした。

佐宗 1-1 宇田川

Game 3

ビデオカバレージ:Game 3
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 Game1では宇田川が《黄泉からの橋/Bridge from Below》を4枚、Game2では佐宗が墓地対策の《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》×2と《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》×2の墓地対策カード4枚を全て引き切る展開を見せた両者の勢いは、この最終戦においても留まることなく、非常に波乱に満ちたゲーム展開となりました。

 先攻の宇田川がマリガンした後の6枚は《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》《真鍮の都/City of Brass》と《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》×2、《真髄の針/Pithing Needle》。

 《真髄の針/Pithing Needle》に希望を託し、宇田川はこれをキープします。

 そして、マリガンを選択しなかった佐宗の初手は《Tropical Island》×2《Volcanic Island》《Tundra》と《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》《思案/Ponder》《Force of Will》の7枚。

 土地が4枚と枚数が多いものの、キープ基準の要となる《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》があるため、これをキープします。

 両者共にドローに望みを、そして覚悟を決めてゲームスタート。

 では、宇田川の先攻1ターン目。

 《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》からの《真髄の針/Pithing Needle》を、佐宗は《Force of Will》(※追加コストとして1ライフと《思案/Ponder》を手札から追放)で打ち消します。

 後攻1ターン目、佐宗のドローは《Tundra》。

 《Tundra》から《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》をキャストし、能力起動で宇田川の《真髄の針/Pithing Needle》を墓地から追放します。

 2ターン目、3ターン目と、宇田川は《ナルコメーバ/Narcomoeba》&《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》を戦場に出し、3ターン目にドローした《打開/Breakthrough》をいつ唱えるか、といったところです。

 一方の佐宗は2ターン連続となる《Tundra》ドローで、佐宗の引いた土地は都合6枚とドローが芳しくない苦しい状況。

 しかし、3ターン目のドローで見事、土地ではない《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》を引くことに成功。

 救世主になり得るこのクリーチャーを力強く戦場へと送り出します。

 こうなると2体のクリーチャーによる勝ちに持っていくことができなくなった宇田川は、佐宗の場にある土地3枚が全てタップ状態のうちに本来のデッキの動きを行うべく、このターンにドローした《入念な研究/Careful Study》を唱えます。

 渾身のドローは《真髄の針/Pithing Needle》!!

 さらにディスカードは《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》と《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》の【発掘】能力を持つ2枚で、次のターンに《Force of Will》を引かれたとしても、手札に抱える2枚の《打開/Breakthrough》で一気に【発掘】させる準備が整ったのです。

 ただし、気が付けばいつの間にか宇田川のライフは自身の《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》&《真鍮の都/City of Brass》によるダメージで13にまで減っており、佐宗4ターン目の《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》の攻撃でライフは13→10に。

 宇田川の先攻5ターン目。

 ドローステップのドローを《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》に置換し、《打開/Breakthrough》をX=0でキャスト。

 それに対応して、ライフを1点でも多く削るため、佐宗は《打開/Breakthrough》を対象に《目くらまし/Daze》をキャストし、宇田川のライフを10→9→8へと減らしていきます。

 が、既に残りライフの少なさは関係ない勝負になってしまっています。

 現状のまま宇田川が次のターンを迎えた場合、アップキープに《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を起動しての3ドロー&3ディスカードと、ドローステップの通常ドローを併せると《黄泉からの橋/Bridge from Below》からゾンビ・トークンが大量生産されるのは、少しでもドレッジを触ったことのあるプレイヤーであれば、誰の目にも明らかでした。

 ここでトップデッキするしかない状況に追い込まれました佐宗。

 そして、運命のドロー。


 祈るように引いたカードは、なんと《クローサの掌握/Krosan Grip》だったのです!!
 この千載一遇のチャンスを逃すまいと、冷静になって状況を何度も再確認する佐宗。

 間違いが起こらないことを確認した佐宗は《クローサの掌握/Krosan Grip》で《真髄の針/Pithing Needle》を破壊し、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》の能力を起動して墓地にある全てのカードを追放。

 急転直下。

 負けていたとすら言える場面からのトップデッキ。

 宇田川にとっては、残りライフ5で、3枚の《打開/Breakthrough》が既に追放されているこの状況では、再逆転の可能性は極めて低いと言わざるを得ないでしょう。

 しかし、あと一歩のところまでやってきた宇田川。

 「あきらめるわけにはいかない」そんな祈りが聞こえそうなドローは、無常にも《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》。

 そして、佐宗の戦場に追加される《タルモゴイフ/Tarmogoyf》によって幕が下ろされるのでした。

佐宗 2-1 宇田川

Congratulations to Saso Kazuho, Champion of Japan Legacy Championship 2009 !

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