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Round 1: 三田村 和弥(千葉) vs. 中島 主税(東京)

Round 1: 三田村 和弥(千葉) vs. 中島 主税(東京)

By Daisuke Kawasaki

 物語を紡ぐ事とデュエルをする事は同じだ。

 人と人との意志のぶつかり合いが物語を紡ぐとすれば、デュエルをする事も物語を紡ぐ事と同意といっても大げさではないだろう。

 人と人のぶつかり合いも物語を紡ぐが、その後のつきあいや関係はさらに大きな物語になることに異論は無いだろう。マジックというゲームがこれだけ長いこと愛され続けている以上、多くのプレイヤー同士の関係性が大きな、大きな物語をつくってきた。

 今、隣のテーブルでフィーチャーされている、津村 健志(大阪)と大礒 正嗣(広島)の関係など、その有名なもののウチのひとつだろう。

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 だが、目の前に座っているこのふたり、三田村 和弥(千葉)と中島 主税(東京)の関係もひけを取らない。彼らが有田 隆一(千葉)と3人で『D-25』というチームを組み、プロツアー・チャールストンでトップ4に入ったことは、もはや今更語る必要は無いほどの話だろう。

 そして、有田が多忙により、プロシーンから離れ国内中心での参戦となった後も、ふたりは多くの場合、共にプロツアーをまわっていた。特にラウンド後のチームドラフトでふたり一緒にいることは多く、三田村など「おっちゃん(中島)と一緒じゃないとドラフトやんねーし」というほどだ。

 筆者が戯れに「今、3人チーム戦があるとしたらだれとチーム組む?」という質問をしたときにも、互いを指名するほどに仲のよいふたりだったが、今シーズンの運命は真逆だった。

 シーズン序盤は、三田村が「ピエロ」だった。

 グランプリで0-3(スコア上は、不戦勝が3回あるので3-3)3大会連続、合計0-9というのは、レベル8プレイヤーとしてはまさにピエロであり、0-6のタイミングでは英語版ライターのBill Starkなどはこの件をわざわざトップ記事に書いたほどだ。

 だが、仙台でひとしきり飲んだくれた後、三田村の運命は上向いた。

 グランプリ・マニラでは初日全勝を果たし、トップ8入賞こそなかったものの、賞金圏でのフィニッシュを迎えることができた。一度底を経験しただけに、ここからの三田村の快進撃には期待できる。

 そんな三田村の今回使用するデックは、中島が前日に借りたいと言われたカードを総合すると、赤単ということなのだが、果たして。

Game 1
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 ダイスロールで先手は三田村。

 1ターン目に《天界の列柱/Celestial Colonnade》のタップインからスタートし、2ターン目には《平地/Plains》を置くのみの三田村に対して、中島は1ターン目に《貴族の教主/Noble Hierarch》、2ターン目には《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》召喚からの、《霧深い雨林/Misty Rainforest》セットで《貴族の教主/Noble Hierarch》という、まだフェッチランドも残した、ものすごい量のマナ加速を期待させる立ち上がり。

 返すターンに三田村はさらに《氷河の城砦/Glacial Fortress》をセット。対して中島は《霧深い雨林/Misty Rainforest》で《島/Island》をサーチ、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》の能力で青マナを生み出し、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をキャストする。

 だが、これは《否認/Negate》。さらに、2体分の賛美を得て4/3でアタックした《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》も《流刑への道/Path to Exile》でさばかれてしまう。

 ここで三田村は、環境最強の一角《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》をキャスト。能力でトークンを生み出す。この三田村のタップアウトの隙に中島は《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を召喚するが、三田村はこれを《忘却の輪/Oblivion Ring》で対処する。

 だが、三田村は土地が止まっている。したがって、ここで1マナしか残って無い事を踏まえて、中島は《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を召喚する。だが、三田村は2枚目の《流刑への道/Path to Exile》でこれをもさばく。これでもかというくらいにさばく、戦場の料理人、それが三田村 和弥。

 そんな話はさておいて、中島は、2体分の賛美で2/3となった《貴族の教主/Noble Hierarch》で《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》へとアタック。これを見て三田村は小考するが、攻撃を通す。

 三田村は、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》でトークンを増やし続けてターンを終了。中島は《流刑への道/Path to Exile》の力を借りて驚くほど伸びたマナを使って《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》を自力でキャストし、《貴族の教主/Noble Hierarch》にエンチャントする。だが、これもまた《流刑への道/Path to Exile》。鉄人、三田村。

 手札が1枚と八方ふさがりとなった中島に対して、三田村は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》をキャストし、-2能力で《貴族の教主/Noble Hierarch》を破壊、これで中島のパーマネントはゼロ。三田村は《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の能力を+3/+3に変更し、3体のトークンでアタックし、中島に6点のダメージを与える。これで中島のライフは8。

 中島は、手札の《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》を召喚するのだが......三田村の盤面には、すでに《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に+3/+3能力を使用することで飛行クロックでの8点のダメージが確定している。

 そして、それを防ぐ中島の唯一の《天界の列柱/Celestial Colonnade》の対策手段である《地盤の際/Tectonic Edge》もすでに戦場に置かれているのであった。

三田村 1-0 中島

三田村 「まぁ、みなさんの予想通り青白ですよ。いろんなデッキ使ってるように見えて、《天界の列柱/Celestial Colonnade》と《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》はここ最近使い続けてるからね」

中島 「くそー、初手に《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》があったから勝ったと思ったのにー!」

 さて、マニラで運気を回復させた三田村だったが、時同じくしてマニラで圧倒的な悪運を招き入れてしまったのが中島だ。

 マニラで初日落ちしてしまった、中島だったが、それは序章にすぎなかった。

 マニラ直前で引っ越しをしていた中島だったが、そこからの中島の一ヶ月は激動と波乱に満ちたものだった。マニラで脚をケガし、そのまま細菌をもらってきてしまったのだから。それが生活の急な変化と悪い意味で噛み合ってしまい、大変としか言いようのない状況だった。

 これを、プロプレイヤー用語で「カルマをためる」という。

 たまったカルマが放出されれば、爆勝極勝間違いなし。バイオリズムと、プレイヤースキル、そしてデッキチョイスさえ噛み合えば優勝も夢ではない。

 はたして、中島のカルマが放出されるのは、この京都の地か。

Game 2
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 代わって先手は中島。

 《森/Forest》のセットから《貴族の教主/Noble Hierarch》、続くターンには《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》キャストからの《天界の列柱/Celestial Colonnade》セット、そして《極楽鳥/Birds of Paradise》キャストという、またもや圧倒的なマナ加速を魅せる。2ゲーム続けてのこの展開は伊達にカルマをためていない。

 一方の三田村は、《平地/Plains》と《島/Island》をセットするのみだが、Game 1の裁きまくりの鉄人三田村のイメージがあるだけに、動きにくい中島。賛美された《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》で3点のダメージを与えると、《活発な野生林/Stirring Wildwood》をセットしつつ、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》をキャストするのみにとどめる。

 ここで三田村は2枚目の《島/Island》をセットし、《平地/Plains》を残して《活発な野生林/Stirring Wildwood》へと《広がりゆく海/Spreading Seas》を張り、ドローを進める。

 だが、中島の手札は完璧なものであり、ドローも素晴らしいものだった。

 ここで《霧深い雨林/Misty Rainforest》を引いた中島は、これによってマナを加速しながらの《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》をキャスト、そして飛んできた《流刑への道/Path to Exile》を《否認/Negate》でカウンターする。

 返すターンでの対応策は、さすがの三田村にも無かった。

三田村 1-1 中島

 上り調子の三田村と、カルマをためた中島の勝負は一進一退の攻防となった。

 この、第1回戦だが、最初の戦いが勝負の流れを決めることもある。

 最終決戦、勝負の振り子はどちらに傾くか。

Game 3

 後手の中島がマリガン。そして、1ターン目のセットも《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》という勢いの無いもの。

 三田村は《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》《島/Island》《平地/Plains》と着々とマナを伸ばしていく。

 中島は、2枚続けて《霧深い雨林/Misty Rainforest》をセットした上で、フェッチし、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をキャスト。だが、これには《流刑への道/Path to Exile》が飛んでくる。そして、返して三田村は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をキャスト。《渦まく知識/Brainstorm》能力を使用してターンを返す。

 中島は、この《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を自身のキャストした《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で対消滅させるのだが、三田村は続いて《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》をキャストする。

 中島は《活発な野生林/Stirring Wildwood》を5枚の手札から、《極楽鳥/Birds of Paradise》だけをキャスト。明らかに不審な動きを前に小考する三田村。結果、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》の忠誠カウンターをさらに2つふやし、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をキャスト、《平地/Plains》を1枚残してターンを終える。

 ここでの中島の手札は、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》、そして《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》というもの。戦場の土地は5枚。

 ここで中島は何かしらの決断を強いられる形になってしまった。

 すでに三田村の手札に《流刑への道/Path to Exile》は無いだろうことを読み取っていた中島は、《忘却の輪/Oblivion Ring》、もしくは《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が無い事にかけて《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をキャストする。

 大きく盤面をひっくり返されなかった事で、俄然動きやすくなった三田村。《前兆の壁/Wall of Omens》でドローを進めた上で、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をキャスト。中島の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を手札に戻す。

 これで完全に蓋をされてしまった中島は、土地を片付けた。

三田村 2-1 中島

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