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1st Draft: 北山 雅也

1st Draft: 北山 雅也

by 大澤 拓也

 日本選手権2007優勝者、北山 雅也(神奈川)のピックを見ていきたいと思う。
 筆者と北山の付き合いは長い。
 共に権利がなく、日本選手権出場を目標に切磋琢磨していたあの頃から、10年。
 まさかこのような形で日本選手権に携わることになるとは、お互い想像もしてなかっただろう。

 この環境は最近のセットにしては選択肢が広く、プレイヤーの好みや癖で十人十色のドラフトデッキが出来ると思っている。
 普段から練習会やMagic Onlineでの北山のドラフティングを見ていると、青系、特に青白レベルアップを得意としている印象なので、そのあたりにも注目して見ていきたい。

1st Pack

1手目
《征服するマンティコア/Conquering Manticore》
他の候補 《失脚/Oust》 《敬慕される教師/Venerated Teacher》 《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》 《成長の発作/Growth Spasm》

 言わずと知れた赤の強力レア。
 ただ、アーキタイプの指針となるわけではないので、ここからの北山のビジョンに注目したい。

2手目
《二股の稲妻/Forked Bolt》 他の候補 《敬慕される教師/Venerated Teacher》 《戦慄の徒食者/Dread Drone》 《オンドゥの巨人/Ondu Giant》

 2色目として選ぶにはちょっとインパクトが薄かったか、ここは無難に赤いカードをピック。
 個人的に赤のパートナーとしては黒か緑が良いと思っているので、他のカードで代用できる《二股の稲妻/Forked Bolt》よりも《戦慄の徒食者/Dread Drone》を取り、シナジーを意識しても良かったと思う。

3手目
《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》 他の候補 《空見張りの達人/Skywatcher Adept》 《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》

 ここで最初の2色目候補として白いカードをピック。
 赤のパートナーには白よりも青のほうが良いと思うのだが、ここは点数の差の問題で《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》なのだろう。

4手目
《巣の侵略者/Nest Invader》 他の候補 《失脚/Oust》 《睡眠発作/Narcolepsy》 《バーラ・ゲドの蠍/Bala Ged Scorpion》 《オンドゥの巨人/Ondu Giant》

 北山の頭にも筆者同様、赤には黒か緑という意識があったらしくここで緑へ。

5手目
《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》 他の候補 《戦慄の徒食者/Dread Drone》 《大群の力/Might of the Masses》

 赤緑エルドラージのコンセプトにあったカード。
 ここからこれらをサポートするカードを取れるかどうかが重要になってくる。

6手目
《戦争売りの戦車/Warmonger's Chariot》 他の候補 《護衛の任務/Guard Duty》
7手目
《群れの誕生/Brood Birthing》 他の候補 《海門の神官/Sea Gate Oracle》 《短刀背のバジリスク/Daggerback Basilisk》 《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》 《オーガの列断剣/Ogre's Cleaver》

 《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》をピックしたこともあり、緑の無難なカードより、コンセプト色の強いカードをピック。

8手目
《略奪の爆撃/Raid Bombardment》 他の候補 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
9手目
《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》 他の候補 《蛇の陰影/Snake Umbra》
10手目
《蜘蛛の陰影/Spider Umbra》 他の候補 《強打/Smite》
11手目
《分かち合う発見/Shared Discovery》 他の候補 《この世界にあらず/Not of This World》
12手目
《闇の追い返し/Repel the Darkness》 他の候補 《啓蒙/Demystify》

 赤は決定した印象。
 2色目の候補としては白、緑となっているが、相性的に見ても今の所、緑が有力か。

2nd Pack

1手目
《よろめきショック/Staggershock》
他の候補 《死者のインプ/Cadaver Imp》 《二股の稲妻/Forked Bolt》 《熊の陰影/Bear Umbra》 《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》

 特にコンセプトに必要なカードもなく、レベルアップ系のデッキ相手に強力な《よろめきショック/Staggershock》をピック。

2手目
《大群守り/Broodwarden》
他の候補 《最後の口づけ/Last Kiss》

 北山の想定するアーキタイプの核になるカード。

3手目
《探検家タクタク/Tuktuk the Explorer》 他の候補 《カビーラの擁護者/Kabira Vindicator》 《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》 《剥奪/Deprive》
4手目
《肉喰らうもの/Rapacious One》
5手目
《死骸孵化/Corpsehatch》
他の候補 《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》

 2手目以降、緑の目ぼしいカードがない中、黒の強力除去カード登場。
 迷った挙句、候補が《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》ということもありここは《死骸孵化/Corpsehatch》をピック。

6手目
《死者のインプ/Cadaver Imp》 他の候補 《剥奪/Deprive》 《戦闘塁壁/Battle Rampart》
7手目
《予言のプリズム/Prophetic Prism》 他の候補 《戦闘塁壁/Battle Rampart》 《炎の覆い/Wrap in Flames》

 色決定まで多少時間もかかったので、3色目を見据え、最悪キャントリップにもなる使い勝手の良い《予言のプリズム/Prophetic Prism》をピック。

8手目
《ズーラポートの処罰者/Zulaport Enforcer》 他の候補 《護衛の任務/Guard Duty》 《ゴブリンのトンネル掘り/Goblin Tunneler》
9手目
《尊大な血王/Arrogant Bloodlord》 他の候補 《死者のインプ/Cadaver Imp》
10手目
《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》 他の候補 《記憶の壁/Mnemonic Wall》
11手目
《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》 他の候補 《解明/Lay Bare》
12手目
《略奪の爆撃/Raid Bombardment》 他の候補 《孔の歩哨/Vent Sentinel》

 5手目の黒参入が功を奏す。
 ただ、順回りであまり黒に良い印象がないのが心配。

3rd Pack

1手目
《絶望の誘導/Induce Despair》
他の候補 《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》 《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》 《ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher》

 コンセプト的には《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》が欲しい所だが、族霊鎧にも対抗できる万能除去の《絶望の誘導/Induce Despair》をピック。

2手目
《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》
他の候補 《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》

 今まで一貫してコンセプト重視だった北山だったが、迷った挙句《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》。
 確かに《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》は1枚で試合に勝てるパワーのあるカードだが、これまでピックしてきたコンセプト的には《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》でも良かったんじゃないか、というのが筆者の意見。

3手目
《バーラ・ゲドの蠍/Bala Ged Scorpion》 他の候補 《ペラッカのワーム/Pelakka Wurm》
4手目
《産卵の息/Spawning Breath》 他の候補 《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》 《茨噛み付き/Bramblesnap》 《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》
5手目
《ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher》 他の候補 《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》 《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》
6手目
《よろめきショック/Staggershock》 他の候補 《ひずみの一撃/Distortion Strike》
7手目
《記憶の壁/Mnemonic Wall》
8手目
《オーガの歩哨/Ogre Sentry》
9手目
《前兆の壁/Wall of Omens》
10手目
《オーガの歩哨/Ogre Sentry》

 やはり順回りでは黒いカードをほとんど回収できず。
 赤いカードの流れもそれほど良いわけではなかったため最低限の枚数を確保したのみとなった。

インタビュー

 デッキ構築後、北山にインタビューしてみた。
 卓全体の印象を聞くと、
「カードプール的には普通?ただ自分は上の中野くんと最低1色、下手したら2色被ってそうなのがキツかった。」
 とのこと。

 1st Pack 3手目のピック(《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》)について、筆者としては赤のパートナーは白よりも青のほうが良いと思っていたので、北山にそのあたりを質問してみた。
「下が2手目で青いカードを取ってる可能性が高いと思ったから流したんだけど、タイミングは難しかったけど結果的には青やってるのが正解だったっぽいね。下で青やってる人が強いんじゃないかな。」

 また、黒への色替えについて、
「赤は確定させたいから下に流さないために赤いカードを優先してピックしたけど、初手で赤いカードを取った時点で、《略奪の爆撃/Raid Bombardment》とかを使った、落とし子を活かすデッキを狙ってたから、もうちょっと積極的に《戦慄の徒食者/Dread Drone》を取っても良かったかな。
 ただ1st Pack終了時に黒に行く可能性もあるっていうのは頭にあったから、2nd Pack 5手目の《死骸孵化/Corpsehatch》はある意味想定の範囲内だったかな。」

 デッキ構築で印象的だったのは、2枚の《オーガの歩哨/Ogre Sentry》。
「結果的にシナジーの薄いデッキになっちゃったから、下を止めて後半勝負って感じだね。《戦争売りの戦車/Warmonger's Chariot》もあるし。
 てか、2nd Pack 10手目で《記憶の壁/Mnemonic Wall》をもう1枚取ってればタッチして、もうちょっと除去コントロールっぽくできたかも。」

 最後に予想成績を聞いてみたところ、
「良くて2-1かな。」
 と非常に北山らしい、謙虚な答えだった。

 発言は謙虚だが、日本選手権でのパフォーマンスの派手さでは定評のある北山。
 来年の日本選手権開催地が関東になることを充分に期待していいだろう。

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