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2nd Draft:齋藤 友晴

2nd Draft:齋藤 友晴

By 大澤 拓哉

 毎年日本選手権と言えば1敗ライン辺りにプロプレイヤーが集まる卓ができる。

 今年も例外ではない。

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 なんとPOYが3人、日本王者が2人というモンスターポッドが3番卓に出来上がった。

 ここでは名実共に日本のトッププロとなった斉藤 友晴のピックを見ることにする。

1st Pack

1手目
《死骸孵化/Corpsehatch》
他の候補 《マンモスの陰影/Mammoth Umbra》 《成長の発作/Growth Spasm》

 黒の強力除去カード《死骸孵化/Corpsehatch》。

2手目
《よろめきショック/Staggershock》
他の候補 《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》 《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》

 落とし子トークン戦略の軸になる《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》ではなく、除去コントロールも見据えて手広く《よろめきショック/Staggershock》

3手目
《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》 他の候補 《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》 《オンドゥの巨人/Ondu Giant》
4手目
《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》 他の候補 《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》 《記憶の壁/Mnemonic Wall》 《死者のインプ/Cadaver Imp》

 1手前に相性の良い《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》を取れていて、黒が不確定で赤を確定させたい意味でも《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》。

5手目
《窯の悪鬼/Kiln Fiend》
他の候補 《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》 《大群の力/Might of the Masses》

 《よろめきショック/Staggershock》と相性抜群の《窯の悪鬼/Kiln Fiend》
 この辺りからデッキの方向性が見えてきたか。

6手目
《グロータグの包囲抜け/Grotag Siege-Runner》 他の候補 《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
7手目
《現実離れした回顧/Surreal Memoir》 他の候補 《逆行/Regress》 《オーガの列断剣/Ogre's Cleaver》 《予言のプリズム/Prophetic Prism》

《窯の悪鬼/Kiln Fiend》をサポートするナイスカード。

8手目
《戦いへの欲望/Lust for War》
他の候補 《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》

 ライフを詰めつつ、擬似的にブロッカーを退かせる《窯の悪鬼/Kiln Fiend》をサポートするナイスカード2。

9手目
《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》 他の候補 《ゴブリンの付け火屋/Goblin Arsonist》
10手目
《現実離れした回顧/Surreal Memoir》 他の候補 《ひずみの一撃/Distortion Strike》

 この順目で2枚目の《現実離れした回顧/Surreal Memoir》が取れたということは上の方とコンセプトが被っていることはなさそうだ。

11手目
《葉の矢/Leaf Arrow》
12手目
《重力の井戸/Gravity Well》
13手目
《ゴブリンの付け火屋/Goblin Arsonist》
14手目
《抑え難い餌食/Irresistible Prey》

 デッキの方向性が決まり、2枚の《現実離れした回顧/Surreal Memoir》を活かせるかがピックの焦点になってくるだろう。

2ndPack

1手目
《熱光線/Heat Ray》
他の候補 《マンモスの陰影/Mammoth Umbra》 《死骸孵化/Corpsehatch》 《産卵の息/Spawning Breath》 《コジレックの捕食者/Kozilek's Predator》 《巣の侵略者/Nest Invader》

 点数だけで見ると《死骸孵化/Corpsehatch》をピックしてしまいがちだが、ここはとにかくインスタントを集めることに専念。

2手目
《溶口/Magmaw》
他の候補 《巣の侵略者/Nest Invader》

 赤の強力クリーチャー《溶口/Magmaw》

 1Pack目で赤を意識してピックしていた賜物と言えるだろう。

3手目
《炎の斬りつけ/Flame Slash》 他の候補 《死者のインプ/Cadaver Imp》 《軟体の起源/Gelatinous Genesis》 《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》 《巣の侵略者/Nest Invader》 《夢石の面晶体/Dreamstone Hedron》

 やはり赤のポジションは良いようだ。

 それと同様に1Pack目では流れてきていない緑も流れてきているので、上下共に比較的協調できていると言えるだろう。

4手目
《血の復讐/Vendetta》 他の候補 《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》
5手目
《戦いへの欲望/Lust for War》 他の候補 《悪性の強打/Virulent Swipe》 《孔の歩哨/Vent Sentinel》

 インスタントということもあり、《悪性の強打/Virulent Swipe》と多少の迷いはあったようだが、展開次第では1枚で勝負を決める可能性を秘めている《戦いへの欲望/Lust for War》

6手目
《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》
他の候補 《剥奪/Deprive》 《ひずみの一撃/Distortion Strike》

 既に構想外のコンセプトになりつつあるが、他に目ぼしい赤いカードもないので取り合えず《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》。
 筆者的にはこの時点でこのクリーチャーがデッキに2枚投入される可能性は限りなく低いと思ったので青いカードを取っておいても良かったと思う。

7手目
《補強された防壁/Reinforced Bulwark》
他の候補 《思考の消滅/Perish the Thought》 《エムラクールの手/Hand of Emrakul》

 《現実離れした回顧/Surreal Memoir》のテンポの悪さを補ったり、《戦いへの欲望/Lust for War》とも相性が良い《補強された防壁/Reinforced Bulwark》。

8手目
《欠片の双子/Splinter Twin》 他の候補 《ひずみの一撃/Distortion Strike》 《尊大な血王/Arrogant Bloodlord》

 《現実離れした回顧/Surreal Memoir》を中心としたピックなのでクリーチャーが少ないデッキになるのは目に見えているし、この時点でエンチャントして嬉しいクリーチャーが少なかったため、《尊大な血王/Arrogant Bloodlord》でも良かったかなと筆者的には思う。

9手目
《虚身の勇者/Null Champion》
10手目
《炎の覆い/Wrap in Flames》 他の候補 《ゴブリンのトンネル掘り/Goblin Tunneler》 《アクームの岩足/Akoum Boulderfoot》
11手目
《記憶の壁/Mnemonic Wall》 他の候補 《ひずみの一撃/Distortion Strike》
12手目
《補強された防壁/Reinforced Bulwark》 他の候補 《ルーンの苦役者/Runed Servitor》
13手目
《断固たる盾持ち/Stalwart Shield-Bearers》
14手目
《汚染された地/Contaminated Ground》

 2色目が黒に決定したとまでは言い難いが、コンセプト的にも黒が有力。

 《記憶の壁/Mnemonic Wall》が取れてるので、赤黒タッチ青、赤青タッチ黒も視野に入ってるだろう。

3rd Pack

1手目
《よろめきショック/Staggershock》
他の候補 《死骸孵化/Corpsehatch》 《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》 《血の復讐/Vendetta》 《熊の陰影/Bear Umbra》

 《窯の悪鬼/Kiln Fiend》との相性の良さや、黒が薄くなることを考えての《よろめきショック/Staggershock》。

2手目
《ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher》 他の候補 《地獄彫りの悪魔/Hellcarver Demon》
3手目
《炎の斬りつけ/Flame Slash》
4手目
《ズーラポートの処罰者/Zulaport Enforcer》
5手目
《窯の悪鬼/Kiln Fiend》 他の候補 《バーラ・ゲドの蠍/Bala Ged Scorpion》 《欠片の飛来/Shard Volley》 《二股の稲妻/Forked Bolt》

キーカードとなる待望の2枚目の《窯の悪鬼/Kiln Fiend》

6手目
《現実離れした回顧/Surreal Memoir》 他の候補 《虚身の勇者/Null Champion》 《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》

 キーカードであるのは確かだが、筆者的には3枚目の《現実離れした回顧/Surreal Memoir》よりは《虚身の勇者/Null Champion》でデッキの安定を図ったほうが良いように思える。しかしハマった時の強力さは手がつけられないので、本番での爆発力に期待。

7手目
《虚身の勇者/Null Champion》
他の候補 《グロータグの包囲抜け/Grotag Siege-Runner》
8手目
《悪性の強打/Virulent Swipe》
他の候補 《虚身の勇者/Null Champion》

 クリーチャーの数が少ないだけにあまりメインに投入されるビジョンが見えないので《虚身の勇者/Null Champion》のほうが良かったように思う。

9手目
《思考の消滅/Perish the Thought》 他の候補 《ゴブリンの付け火屋/Goblin Arsonist》
10手目
《群れの誕生/Brood Birthing》 他の候補 《統一された意思/Unified Will》
11手目
《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》 他の候補 《強打/Smite》
12手目
《闇の追い返し/Repel the Darkness》 他の候補 《ひずみの一撃/Distortion Strike》
13手目
《光明の目覚め/Luminous Wake》
14手目
《ラガークトカゲ/Lagac Lizard》


 3枚の《現実離れした回顧/Surreal Memoir》に対してインスタントカードは多少心もとない数になってしまったが、デッキの方向性はとても明確で、斉藤のこの環境の熟練度がうかえるドラフティングであった。

インタビュー

 卓の印象は?
「自分の周りは協調してたんじゃないかな?特に上二人とはきれいに住み分けてると思う。カードの出かた的に下(中村修平)はきつそうだね。」

 続いてデッキの話。

 このアーキタイプは狙っていた?
「実はこのタイプの赤黒は初めてなんだよね。使われたことはあったから頭にはあったけど。普段は除去と落とし子トークンとエルドラージカードって感じの普通の赤黒。《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》はこの環境『先制攻撃』が強いから好きなんだけど、ちょっと今回のデッキとは合わなくなっちゃったね。」

 クリーチャーの数をそんなに意識してる感じじゃなかったんだけど、その辺はある程度早い段階からデッキの最終型は頭にあった?
「そうだね。やっぱり出来るだけインスタントを取りたかったからクリーチャーでビートするって感じではなかったね。《補強された防壁/Reinforced Bulwark》は《現実離れした回顧/Surreal Memoir》とか《戦いへの欲望/Lust for War》を活かすためにピック段階から入れようって思ってた。《補強された防壁/Reinforced Bulwark》界の中では強い使われ方してんじゃない?」

 ズバリいけそう?
「ちょっとバランス悪くなっちゃったから酷い展開もありそうだけど、ハマったら強いと思う。でも除去多いし強いんじゃないかな?頑張るよ!」

 余談だが、斉藤こそが「真」のマジックのプロプレイヤーだと筆者は思っている。

 常に勝利への準備を怠らず、安定した成績を残すことももちろんだが、マジックの繁栄、斉藤風に言うならば『マジックプレイヤーのハッピーの期待値』をここまで考えているプレイヤーが他にいるだろうか。

 数々のタイトルを手にしてきたが、意外にも日本代表は未経験。
 今シーズンを通してずっと「殿堂入り、POY、世界王者」の三冠王を獲ると公言している斉藤。
 年末、幕張メッセで行われる国別対抗戦優勝を加え四冠王になることができるのだろうか。

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