マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

準々決勝: 石川 翔(東京) vs. 田籠 渉(奈良)

準々決勝: 石川 翔(東京) vs. 田籠 渉(奈良)

by Yusuke Yoshikawa

jpg


 予選から紡がれる物語がある。

 過去最高の盛り上がりをもって迎えられた今年の日本選手権予選。結果として多くの権利獲得者を生み出し、この本戦も世界最大の規模となった。その激戦を勝ち抜いて、いま二人はタイトルへの挑戦権を得て、この場についている。

 石川 翔(東京)は6月20日の板橋2次予選、田籠 渉(奈良)は5月9日の名古屋1次予選を突破しての出場で、本大会で使うデッキも予選とほぼ同じ構成の、石川は白緑青ビッグマナ、田籠はジャンドである。
 それは予選で通用するものが、本戦でも戦えるということの何よりの証左であり、また細かな調整が奏功したということでもある。

 予選から、本戦へ、世界へ。
 彼らはどんな軌跡を描くだろうか。

Game 1

 ダイスロールで石川が先攻。双方とも少し緊張した面持ち、手つきで準備を進める。
 田籠の《野蛮な地/Savage Lands》に、石川が《広がりゆく海/Spreading Seas》で干渉するところからスタート。自分は《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》でマナを伸ばす。
 しかし十分なマナを引き込み、田籠は《荒廃稲妻/Blightning》との選択肢が取れる中から、まずは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を送り込む第3ターン。
 石川も挨拶代わりの第4ターン《悪斬の天使/Baneslayer Angel》。これは予定調和的に田籠の《終止/Terminate》にあい、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》が最初の攻撃を刻む。
 《地盤の際/Tectonic Edge》で《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》を破壊しつつ、石川は《忘却の輪/Oblivion Ring》で《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》に対処した。
 続く田籠の《荒廃稲妻/Blghtning》で《忘却の輪/Oblivion Ring》《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を捨てると、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を出して「+2」能力を使用、少し考えてライブラリの一番下に送る。
 田籠の手札には《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が見えるが、これを温存して《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》から。
 石川はジェイスの《渦まく知識/Brainstorm》を使用して、《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》を経由しての《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》、トークン生成。
 これでフルタップの石川に、満を持しての《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》は《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を呼び込む。先に戦場に出ていたものとあわせ2体での攻撃は《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》へ向かい、片方が兵士にチャンプブロックされて《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》は生き残る。田籠は《怒り狂う山峡/Raging Ravine》を出して終了とした。
 石川の次なる援軍は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を。よく見られた3種プレインズウォーカーの競演で、それぞれが忠誠度を増やす動きをする。
 田籠はトークンに向けて《瀝青破/Bituminous Blast》をキャスト、またも《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》が出る。3体での攻撃は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に向かい、これを撃退。
 石川は《霧深い雨林/Misty Rainforest》起動でライブラリをリフレッシュ、ジェイスの《渦まく知識/Brainstorm》で有効カードをかきあつめ、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を出して《前兆の壁/Wall of Omens》、と守りを固める。
 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》への直接的な対応策を持たない田籠は《瀝青破/Bituminous Blast》を《前兆の壁/Wall of Omens》へ。これが《稲妻/Lightning Bolt》を導きトークンを除去、少し考えたのち2体の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》へ、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に向かわせる。
 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》の能力でライフは回復されるが、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を除去したうえで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の忠誠度を減らすことができた。
 しかし、石川が再度の3枚ドローを経て示したのは《徴兵されたワーム/Enlisted Wurm》。ライブラリから《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》が垂直落下してくる!
 これが《悪斬の天使/Baneslayer Angel》に+3/+3を与え、田籠のライフは一気に9へと減少。石川のライフが射程圏外の24へ逃げ、さらに視線の先には《天界の列柱/Celestial Colonnade》が。
 数少ない残り時間となり、田籠は引いた《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》から《荒廃稲妻/Blightning》を続唱。石川の手札をはぎ取り、名案を与え続けてきた《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を除去することに成功する。
 そして苗木トークン2体、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》2体を《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》2体を石川自身に向ける。これで《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》も退場させた。
 そのうえで、手札を2枚保持したまま、ターンを返す。石川には9点分のダメージソース、田籠のライフは9。
 石川は気持ちを抑えにかかるところだが、こうなっては策もない。少しの迷いと恐れを残した手つきで、《天界の列柱/Celestial Colonnade》を起動し、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》とともに攻撃を宣言する。
 田籠に対応はなく、まず石川が第1ゲームを得て、大きな息をつく。

石川 1-0 田籠

石川のサイドボーディング
OUT
3《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
1《忘却の輪/Oblivion Ring》
1《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》

IN
2《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》
3《天界の粛清/Celestial Purge》

田籠のサイドボーディング
OUT
4《稲妻/Lightning Bolt》
3《瀝青破/Bituminous Blast》
1《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》

IN
4《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》
4《破滅の刃/Doom Blade》

Game 2
jpg

 「先手いただきます」と静かに田籠。
 3色タップインランドを置く立ち上がりから、《前兆の壁/Wall of Omens》対《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の構図へ。 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の攻撃は先を見据えて通され、2点と4点の交換。
 石川の《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》は《破滅の刃/Doom Blade》され、《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》が《海辺の城塞/Seaside Citadel》を壊しながら駆け出してくる。《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の攻撃が通って、また2点4点。
 田籠は、さらにもう1枚の《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》を唱える。
 マナを縛られて劣勢の石川、目の前には3枚の土地。ここで《審判の日/Day of Judgment》できないと苦しいが、《平地/Plains》を引けた。ひとまず場は平たくなる。
 だが田籠の《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》が戦力を再供給しはじめる。《怒り狂う山峡/Raging Ravine》を《広がりゆく海/Spreading Seas》して、《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》は《天界の粛清/Celestial Purge》する石川だが、次のターンには《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を続唱して、《広がりゆく海/Spreading Seas》が壊され《怒り狂う山峡/Raging Ravine》がまた蘇ってしまう。
 そして攻撃を受けた石川のライフは4。
 先ほどは4枚目を引けたが、今度は6枚目を引いて《徴兵されたワーム/Enlisted Wurm》さえプレイできれば......。だが、それは叶わず。
 さらなる《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が3体目の《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》を続唱するのを見届けて、石川は投了を告げた。

石川 1-1 田籠

石川のサイドボーディング
OUT
2 《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》

IN
1 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
1 《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》

田籠のサイドボーディング
なし

Game 3

 再び先攻は石川だが、短く「マリガン」とひとこと。田籠は「キープします」と変わらぬ冷静な声。
 6枚から、田籠の《野蛮な地/Savage Lands》を《広がりゆく海/Spreading Seas》して、自分は《天界の列柱/Celestial Colonnade》に《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》をつけてまずは一安心の石川。《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の返し、早くも5マナに到達して《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を召喚。
 田籠が土地を置かずに考えているため、ワンチャンスを期待してしまうのが観戦者だが、そこはしっかり《破滅の刃/Doom Blade》。《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》が2点4点のクロックを刻みはじめる。
 石川はめげずに2枚目の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》、だがこれも《破滅の刃/Doom Blade》され、さらには2枚の手札目がけて《荒廃稲妻/Blightning》が飛んでくる。
 わずかにうつむいて、墓地に落としたカードは《天界の粛清/Celestial Purge》と、3枚目の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》。
 《前兆の壁/Wall of Omens》を引いて、いちるの望みをドローに懸けるもかなわず、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》からの《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》が見えるに至って、石川は頭を次のゲームに切り替えた。

石川 1-2 田籠

 石川が軽く天を仰ぐ。
 今回の予選ラウンド、予選大会、いやもっと前?
 去来する思いや、いかに。

Game 4
jpg

 両者、「いきます」の声は力強く。石川の《前兆の壁/Wall of Omens》が幕を開け、田籠は《山/Mountain》《野蛮な地/Savage Lands》の順でセット。第3ターンには《根縛りの岩山/Rootbound Crag》から《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を。
 石川に第4ターンの動きなく、田籠は《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》で攻撃。ブロックはなく、2点4点。戦闘後に出てきた《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》で石川は唇を軽くかんで、対象とされた《海辺の城塞/Seaside Citadel》を墓地に置く。
 次の攻撃は《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》を止めるが、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》は止まらない。さらに田籠には《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》の援軍、それがさらに《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》を呼び込む。
 ようやく5マナを供給できるようになった石川は、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に登場願って「攻撃強制」。
 田籠の攻撃を経て、石川は《悪斬の天使/Baneslayer Angel》、願いを込めるように。
 
 《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》は《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を田籠にもたらしてお役御免。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》は《荒廃稲妻/Blightning》を続唱し、ダメージは石川自身を蝕んでライフ9。攻撃はすべて《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に向かい、これを排除する。
 軽くライブラリをたたく石川。
 もう一度、と《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を送り込む。
 田籠は先ほどの《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を戦場へ。しかし除去も、攻撃もなく、3枚の土地を残したままターンを返してきた。

 このままではジリ貧である石川、その手札には《徴兵されたワーム/Enlisted Wurm》、土地は5枚。
 望みを託してドロー、そこには《霧深い雨林/Misty Rainforest》! 希望を取り戻すように手に力が入る!
 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》か、《審判の日/Day of Judgment》か、すべてを懸けて《徴兵されたワーム/Enlisted Wurm》から続唱されたのは......

 ......《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》。
 「これじゃねーよ!」という声が思わず漏れる。

 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》の攻撃でライフは石川11:田籠9と一時は逆転するが、目の前には田籠の圧倒的な軍勢。
 総攻撃に一度はブロックを割り当てるものの、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》の存在が、石川に次のターンを与えなかったのだった。

石川 1-3 田籠

 肩を落とす石川に、観戦していた友人の手が添えられる。ゲームの緊張感が少しずつほぐれる。
 感想戦で意見を交わす様子は、普段の大会となんら変わりのないもので。
 そのあと、二人はまた握手を。

 デッキを組み上げ、調整し、予選から始まった石川の物語は、ここにひとまずのピリオドを打つ。
 それと同じように、予選から始まった数多くの物語もまた、この会場で人知れず終幕を迎えているだろう。
 けれど、予選が本戦とつながっているように、日本選手権での経験はいつものゲームにフィードバックしていく。華やかな戦いも普段のゲームも、もっと鮮やかなものにしてくれると信じている。

 だから、また、あなたの物語を見たいと思う。

前の記事: 準々決勝: 森 勝洋(大阪) vs. 清水 直樹(大阪) | 次の記事: 準々決勝: 八十岡 翔太(東京) vs. 池田 剛(福岡)
イベントカバレージ/日本選手権2010 一覧に戻る

イベントカバレージ