マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

準決勝: 田籠 渉(奈良)vs. 森 勝洋(大阪)

準決勝: 田籠 渉(奈良)vs. 森 勝洋(大阪)

By Shiro Wakayama

jpg

 2日間かけて選ばれた8人の猛者達は、ものの1時間程度で早くも4人に絞られた。決勝トーナメントはシングルエリミネーション。決勝トーナメント進出の喜びに浸れるのは僅かに一晩だけ。準々決勝で厳しい戦いを繰り広げた二人が、日本最強の座を賭けたテーブルへの切符を賭けて戦う。

 "強い日本"の象徴である森。この日本選手権では、森を知るものなら誰もが違和感を覚えるような、赤単をチョイスしている。テクニカルなデッキを好むイメージの強い森だが、特定のデッキを扱うのがうまいわけではなく、変幻自在に、まるで水銀のようにどんなデッキのポテンシャルも引き出せるのが森の強みなのだ。対ジャンドは6:4位で有利とは本人談。このまま決勝への切符を手に入れられるのか。

 対する田籠。マジックショップが近隣に少なく、週末に大阪まで遠征してPTQやGPTに頻繁に参加して、プレイスキルを研鑽しているとの事。テーブルの脇には、結婚指輪と愛息の写真。今年の12月9日に1歳になるというが、奇しくも世界選手権の開催日である。
 日本代表としての雄姿を愛息に見せるために、強豪の森の待つテーブルへと向かう。

Game 1
jpg

 先手森。お互いにマリガン無し。

 決勝トーナメントまでの道を切り拓いてきた《ゴブリンの先達/Goblin Guide》が勢いよくレッドゾーンに送り込まれる。さらに2ターン目にも《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》をプレイし、田籠のライフは見る見るうちに削られていく。

 田籠は、他のマッチアップであればグッドムーヴと言える、2ターン目の《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》をプレイするが、既にライフはフェッチランドの起動も含めて13。相手のデッキを考えると只の色拘束のきつい2/2バニラクリーチャーに等しい状態。
 少しでも生き永らえて、ジャンドの時間である4マナ域行こうに辿り着きたい田籠だが、森はドローと同時と言ってよいほど素早く《ボール・ライトニング/Ball Lightning》をプレイ。《ゴブリンの先達/Goblin Guide》は《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》でブロックするものの、既にライフは7。
 《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を出して、何とか反撃の準備をしようとするが......森のアクションは《地獄の雷/Hell's Thunder》、《稲妻/Lightning Bolt》。

 瞬殺。

田籠 0-1 森

Game 2

 先手田籠、お互いマリガン無し。

 田籠の《野蛮な地/Savage Lands》×2という、ジャンドとしては安定感のあるスタートだが、スロースターターのジャンドを尻目に、森の《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》がプレイ、蘇生+《ぐらつく峰/Teetering Peaks》でフェッチランド起動込で一気にライフは11まで落ち込む。

 だが、森の動きも決して良いわけではなく、逆の言い方をすれば11のライフを残して、4マナ域まで田籠は到達する。アラーラ再誕がリリースされてから、スタンダードで常に猛威を奮ってきた《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が反撃の狼煙をあげようとするが、続唱でめくれたのは《稲妻/Lightning Bolt》。除去では無いだけマシだが、合格点はつけられないカードがめくれてしまう。

 森も少し気合いを入れてカードを引くが、後続を引けず、《乾燥台地/Arid Mesa》をセットしてターンを田籠へと返す。

 森の手札に除去が無いとは余り思えないが、のんびりしていてはどうにもならないので、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》と《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をレッドゾーンへと送り込むが、森の回答は最悪で《焼尽の猛火/Searing Blaze》×2。盤面を一掃されてしまった上に、ライフは半減。

 そのまま《噴出の稲妻/Burst Lightning》キッカー込み、《稲妻/Lightning Bolt》で田籠のライフはゼロとなる。

田籠 0-2 森

 赤単有利のマッチアップだが、その相性を超えたレベルでの瞬殺劇。田籠のプレイが悪いわけでは無く、森の引きとプレイが完璧過ぎるのだ。

 だが、だからと言って負けが許されるわけでもない。一矢報いるために、そしてそのまま勢いにのって大逆転の序章とするために、まずは一つ勝星が欲しい。

jpg

 愛息の写真をじっと見つめて、小さく頷き、デッキを改めてシャッフルする。

Game 3
jpg

 先手田籠。《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》、土地4枚という手札をキープ。

 またも開戦早々レッドゾーンへと一番乗りをする《ゴブリンの先達/Goblin Guide》。めくれたのは《稲妻/Lightning Bolt》という名のレッドカード。

 デッキの動きがシンプルな故、プレイが簡単と思われがちな赤単だが、ある程度早いターンで勝つ事を想定したデッキなだけに、長期戦を想定したデッキと違い、リソースの使い方を間違えるとそれが負けに直結してしまう。既に見えている《稲妻/Lightning Bolt》を前に、森は大きく悩む。
 結局、2体目の《ゴブリンの先達/Goblin Guide》を繰り出して《ぐらつく峰/Teetering Peaks》でドーピング。だがドーピングは認められないと、4/2になった《ゴブリンの先達/Goblin Guide》は一発レッドカードで即退場。田籠はライフを削られた代償に、土地が2枚手に入る。
 
 田籠は《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を出して、エンド。何とか防御を固めるが、森の《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》によって、すぐに苗木トークンへと姿を変える。《ゴブリンの先達/Goblin Guide》によりさらに土地が田籠の手札に入り、森も苦笑い。

 田籠、2枚目となる《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を盤面に追加し、何とか地上戦は安心できる陣容が整う。そして、森は土地が2枚で土地が止まってしまっている。

 「ひかねぇ。。。」

 仕方がなく、墓地の《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》を特攻させるが、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》と一緒にはじけ飛び、田籠の場には都合6体のトークンが並ぶ事となる。森のデッキには《地震/Earthquake》が入っている事が公開されているが、ケアしている余裕も無く、盤面上での最大効率を求めていく田籠。

 返す自分のターンで、長かった守備の時間を終え、反撃の狼煙を盛大に上げ、全軍で攻撃。1体は《ゴブリンの先達/Goblin Guide》によって葬られるものの、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を追加して、森のライフを詰めにかかる。

 そのまま攻め手を一切緩めず、森のライフは瞬く間に6に。7枚目の土地をしっかりと追加して《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》をプレイ。

 《地震/Earthquake》による盤面一層からの大逆転もしっかりとケアをして、森を投了へと追い込んだ。

田籠 1-2 森

Game 4

 このまま勢いに乗せて最終戦に持ち込まれたくない森。頬を少し叩いて気合いを入れなおす。

 先手森。逡巡の後お互いにキープを宣言。
 三度走り出す《ゴブリンの先達/Goblin Guide》。しかし今回の《ゴブリンの先達/Goblin Guide》は短命で、田籠に2枚の土地をもたらした上で、《稲妻/Lightning Bolt》にて退場。

 そして、なんと森は1ランドでストップしてしまう。だが、冷静に状況を把握して、エンドに《稲妻/Lightning Bolt》、さらなるターン終了時にも《噴出の稲妻/Burst Lightning》を田籠に打ち込み、土地を引き込めた時の勝率を少しでも引き上げる。

 やっと土地を引いた森だが、そのままエンド。

 待望の4マナ域までライフの減少を7で押さえた田籠。《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》により、森の手札の様子を確認すると、見えたのは《地震/Earthquake》、《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》、《焼尽の猛火/Searing Blaze》×3。この中から《地震/Earthquake》をディスカードさせ、

 《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をプレイする。

 この《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》は予定調和で《焼尽の猛火/Searing Blaze》にて苗木トークンへと変貌を遂げる。ランドを引き始めた森だが、田籠の《荒廃稲妻/Blightning》が2ターン連続で突き刺さり、火力が4枚墓地に落ち、森は丸裸に。

 場のクロックが大きいわけでは無いが、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が田籠の陣容に加えられると、森は最終戦で決着を付ける事を決めた。

田籠 2-2 森

Game 5

 4ゲームでかかったのはわずか30分。

 日本選手権決勝に進むのはどちらなのか。

 先手は森。マリガンは無し。

 このマッチ初めて、田籠が先手を取る。《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》で森の手札から《焼尽の猛火/Searing Blaze》を叩き落とし、森が引きこんだ《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》は《稲妻/Lightning Bolt》で対処。蘇生した《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》は田籠を焦がし、ライフは17。

 そうこうしている内に、田籠は4マナ域への到達を達成する。そして、戦場へ送り込まれるは《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》。

 森はここで大きく悩んで、火力の使い処を計算する。森はそのまま土地を起こす。そしてアップキープに《乾燥台地/Arid Mesa》を起動して、引きこんだのは、対ジャンド最強兵器の《消しえる火/Quenchable Fire》。

 田籠もここで大きく悩む。見えている火力は《稲妻/Lightning Bolt》×2、《焼尽の猛火/Searing Blaze》の9点分。フェッチを起動して、ライフは16。
 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》と戦場に追加して、森が火力を使い切る前に勝負を決めようと画策する。

 佳境へと入った準決勝最終戦。森は慎重に、思慮深く悩んで、《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》を墓地から戦場へと蘇らせる。田籠もよく考えた上で、先ほど戦場に追加した2体のクリーチャーでブロックをするが、《焼尽の猛火/Searing Blaze》で《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を焼き殺し、トランプルと合わせて5点のダメージが入って、田籠のライフは8。

 すれ違う田籠のアタックで森のライフは10。森の手札に残るは《稲妻/Lightning Bolt》×2。

 ライブラリートップから森が叩きつけたのは、、《噴出の稲妻/Burst Lightning》。

田籠 2-3 森

 森が、緻密な計算と、それに応えたトップデッキでフルセットの準決勝に勝利した。

 田籠は肩を落とすが、未だ3位4位決定戦がある。即ち日本代表の最後の椅子をかけたマッチだ。
 愛息がまだ0歳と聞いて少し心配になった筆者は、家族の賛同と応援は得られているのかを聞いてみた。

田籠 「準決勝まで残っちゃったんで、家空けまくりになっちゃいました。でも、応援してもらってますよ!!」

 マジックザギャザリングを続けるには、時間をはじめとして、あらゆるリソースを消費する。それでも家族の賛同を得てマジックを続ける田籠。
 家で待つ家族に持ち帰る土産として、代表の椅子を得るために、最後の決戦の場へと向かう。

前の記事: Photo Blog: アーチエネミー・魔王撃滅? | 次の記事: 準決勝: 池田 剛(福岡) vs. 玉田 遼一(大阪)
イベントカバレージ/日本選手権2010 一覧に戻る

イベントカバレージ