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決勝戦: 井上 徹(福岡) vs. 林 翔也(大阪)

決勝戦: 井上 徹(福岡) vs. 林 翔也(大阪)

By Daisuke Kawasaki

 全国の店舗予選・地区予選を勝ち抜いて権利を獲得し、この世界選手権の会場に集まった『リミテッド』の猛者たちも、二日にわたる戦いを経て、残るはふたりとなった。

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 赤黒「《燃えさし鍛冶/Embersmith》」という、ニッチなアーキタイプを構築し、卓内最強と目された《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》擁する「感染」デッキを準決勝でやぶった林 翔也(大阪)。

 「感染」や「金属術」という与えられたテーマに惑わされず、リミテッドの基本である強力なクリーチャーと便利な除去をあつめ、強力な緑黒「大型クリーチャー&飛行」デッキをまとめ上げた井上 徹(福岡)。

 下馬評では、デッキ内のカードパワーで勝る井上有利と言われるが、マジックはゲームが始まってみなければわからない。

 地元の店舗の、そして地域の代表として、2010年のThe Limits王者をかけた戦いが、世界選手権準々決勝が行われるアリーナをバックに開始される。

Game 1

 先手は林。1ターン目に《煙霧吐き/Fume Spitter》、2ターン目に《鉄のマイア/Iron Myr》と展開すると、3ターン目に《地層の鎌/Strata Scythe》を共通の基本地形である《沼/Swamp》刻印で戦場に送り出す。一方の井上は、2ターン目に《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》をキャストし、林の攻勢を緩めたものの、戦場に《沼/Swamp》が5つ並んでしまい、《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》では対応できないサイズに成長してしまう。

 《真っ二つ/Slice in Twain》で《地層の鎌/Strata Scythe》を処理した井上。林はアーティファクト対策を使わせたところで、今度は《精神隷属器/Mindslaver》をプレイする。だが、井上の手札には2枚目の《真っ二つ/Slice in Twain》が。

 そして、林が《連射のオーガ/Barrage Ogre》をプレイしたところで、井上は《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》を送り出す。

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 《鉄のマイア/Iron Myr》で《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》をブロックし、ダメージ前に《連射のオーガ/Barrage Ogre》で生け贄にささげるという形で対応した林だったが、次第に弾は尽きていく。

 井上はさらに《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》とレアを追加する。《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》が林の山札を削り、《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》との驚愕の友情コンボが続々と完成しそうなところで、林はデッキのカードがばれないようにと、投了を選択した。

井上 1-0 林

Game 2
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 先手の林が《トゲ撃ちの古老/Spikeshot Elder》をプレイしたのちに、互いに《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》を並べあう展開。林が《逆刺の戦具/Barbed Battlegear》をプレイするのに対して、井上は《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》をプレイ。

 緑マナを確保できない林にっては、飛行クリーチャーは鬼門。《燃えさし鍛冶/Embersmith》を追加でプレイし、1点ダメージが大量に発生しそうな盤面になるのだが、肝心の赤マナがひとつしか確保できない。

 だが、マナトラブルに見舞われているのは林だけではない。井上も土地が3枚で止まっており、それに気がついた林は井上の《パラジウムのマイア/Palladium Myr》を《粉砕/Shatter》する。

 そして、林がついに2枚目の《山/Mountain》にたどり着く。これをセットすると、まずは《トゲ撃ちの古老/Spikeshot Elder》と《燃えさし鍛冶/Embersmith》でアタックする。何故か《燃えさし鍛冶/Embersmith》ではなく、《トゲ撃ちの古老/Spikeshot Elder》をブロックする井上。そう《荒々しき力/Untamed Might》だ。

 続いて林がプレイしたのが《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》だったことを考えると、ここで《トゲ撃ちの古老/Spikeshot Elder》を除去されてしまったのはかなり痛い。だが井上はまだ土地を引かない。愚直に《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》でアタックを繰り返す。

 一方、2つ装備品を並べたものの、アタックできるクリーチャーは《燃えさし鍛冶/Embersmith》のみの林。この装備品を2つ《燃えさし鍛冶/Embersmith》に一気に装備させて、アタック。井上はこの「毒カウンター8つアタック」を《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》でブロックする。そして、ついに4枚目の土地を引くと、《闇の掌握/Grasp of Darkness》で《燃えさし鍛冶/Embersmith》を除去し、《鉛のマイア/Leaden Myr》を追加する。

 林のライフは残り8。単純計算で3ターン井上が《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》で攻撃し続けられればチャンピオンだ。だが、マジックはそんな単純計算で答えはだせない。林は《執行の悪魔/Carnifex Demon》をプレイする。

 まさに悪魔。まず、一回能力が起動され、《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》のパワーは2に。これで4回攻撃しなければならなくなってしまった。いや、まずは《執行の悪魔/Carnifex Demon》を突破してダメージを通す方法を考えなければならないのだ。

 そして、《連射のオーガ/Barrage Ogre》がこの《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》に2点のダメージを。最終的に、《逆刺の戦具/Barbed Battlegear》をまとった《執行の悪魔/Carnifex Demon》が、井上のライフを削りきった。

井上 1-1 林

Game 3

 先手の井上が3ターン目に《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》をプレイする。

 対して、林も2~3ターンと連続して《燃えさし鍛冶/Embersmith》《鉄のマイア/Iron Myr》をプレイ。《燃えさし鍛冶/Embersmith》がアタックしつつ、能力で《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》に蝕まれた井上のライフを削り続ける。

 一方の井上も、《感染の賦活/Instill Infection》で林の戦線を削りつつ、変わらず《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》で攻撃し続ける。そして、ついに、《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》へとたどりつき、これをプレイする。

 林は《モリオックの模造品/Moriok Replica》をプレイ。この自力で生け贄に捧げられるアーティファクトクリーチャーがつかの間の足止めを《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》に対して行いつつ、林の手札を充実させる。だが、井上もここで《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》《モリオックの肉裂き/Moriok Reaver》と展開する。

 林は起死回生の《知性の爆発/Cerebral Eruption》をプレイ。

 ここでめくれたのは......《森/Forest》!!

 九死に一生を得た井上は、ここで一斉攻撃にでる。これで林のライフを7点にまで削りきり、追加でX=5の《キマイラ的大群/Chimeric Mass》をプレイする。返しで、再びキャストされたは《知性の爆発/Cerebral Eruption》で3マナの呪文がめくられて、井上の盤面は《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》と《キマイラ的大群/Chimeric Mass》を除いて一掃される。

 めくられた3マナのカードとは、《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》。

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 《キマイラ的大群/Chimeric Mass》がこの《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》をまとい、アタックすると林のクリーチャーは半壊状態となる。

 チャンプブロックでしのぎ続ける林だったが、毎ターン2体のチャンプブロッカーを供給し続けることなどできるわけがないのだった。

井上 2-1 林

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 あまりにも劇的なマッチが続いた決勝戦。3本のどの勝負を見ても凡庸なマッチはなく、そしてそれぞれが別々の印象を受ける熱いゲームであった。

 「ゲームをするたびに環境が変わるのがいい」と世界中のリミテッド好き達は、みな声をそろえて答える。もちろん、井上もまた「リミテッドが好きですね」と語る。

 過去にLimitsの取材を主に行ってきた筆者の印象では、「リミテッドが好きだ」と胸を張って答えられるプレイヤーが、Limitsを優勝してきている記憶がある。だからこそ、この大会には、「リミテッド王者決定戦」としての意味が存在し続ける。

 来年は、これを読んでいる「リミテッド好き」のあなたこそが、あらたな王者になれるかもしれない。

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