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Round 3: 津村 健志(大阪) vs. Nick Wise(アメリカ)

Round 3: 津村 健志(大阪) vs. Nick Wise(アメリカ)

By Daisuke Kawasaki

 「伝説の男」津村 健志(大阪)がプロツアーに帰ってきた。

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 一時期は、Jon Finkel(アメリカ)・Kai Budde(ドイツ)に続くスターと評された津村。高い技術を持っている津村だが、その最大の魅力はモチベーションの高さだ。「明日の自分は今日の自分より強くありたい」という言葉が示す通り、強くなることにどん欲であり、特に、津村の一番の長所は、ミスを自分の力にできることだ。

 しかし、大学進学を決意し、そのために、一時プロツアーから引退した。その後、無事大学には合格し、mtg-jp.com上でスタンダードの連載を開始した津村は、PTQを突破し、このアムステルダムの地で、プロツアーに帰ってきた。

 そこで、今回は、そんな津村のマッチアップをフィーチャーしよう。

 津村の使用するデックは、《むかつき/Ad Nauseam》。《天使の嗜み/Angel's Grace》とのコンボで大量のカードを手に入れ、《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》でマナをひねり出し、《燃焼/Conflagrate》のフラッシュバックで勝利するコンボデックだ。

 対戦相手のNick Wiseは、環境初期に最強と目されたフェアリー。

 コンボとクロックパーミッションの相性と言えば、クロックパーミッションの優位というのが定説だが、この環境に限れば、そうともいいきれない。果たして、津村は復帰戦をどのように戦い抜くのか。

Game 1

 津村は1ターン目に《霧深い雨林/Misty Rainforest》から《島/Island》をサーチして《定業》をキャスト。対するNickは《人里離れた谷間/Secluded Glen》《変わり谷/Mutavault》と続けてセットする。

 一方の津村も《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》《つぶやき林/Murmuring Bosk》とセットしてマナベースを整える。2枚目の《思案/Ponder》こそ《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》でカウンターされたものの、《連合の秘宝/Coalition Relic》を通すことに成功する。

 Nickは《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を追加してクロックを増やしつつ、津村のコンボ完成を阻害、一方の津村は、《連合の秘宝/Coalition Relic》の2枚目をキャストし、さらに《トレイリア西部/Tolaria West》を変成して《戦慄艦の浅瀬/Dreadship Reef》をサーチし、ますますマナを潤沢にしていく。

 そして、《否定の契約/Pact of Negation》を構えて、《燃焼/Conflagrate》をX=2でキャスト。1点ずつを2体のフェアリーに割り振る。《燃焼/Conflagrate》は墓地にさえあればコンボ成立するだけに、これは非常にうまい使い方だ。

 《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機し、《ウーナの末裔/Scion of Oona》をキャストしてじわじわと準備を進めるNickだが、津村も《むかつき/Ad Nauseam》をドローする。そして、2枚目の《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機し、Nickのマナが2マナになったところで《むかつき/Ad Nauseam》をキャスト。《マナ漏出/Mana Leak》を《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》で回避して、《むかつき/Ad Nauseam》スタート。

 だが、即《神秘の指導/Mystical Teachings》がめくられ、続いて《連合の秘宝/Coalition Relic》がめくれてしまったことで、津村のライフは6に。これ以上の《むかつき/Ad Nauseam》を続けるのは危険と、結局たった2枚のゲインで自身のターンを迎える津村。

 3枚目となる《連合の秘宝/Coalition Relic》をキャストすると、Nickのタップアウトの隙に《神秘の指導/Mystical Teachings》を使用。《天使の嗜み/Angel's Grace》をサーチする。

 Nickは《ウーナの末裔/Scion of Oona》でアタックしてターン終了。ここで津村のターン。まず、ふたつの《連合の秘宝/Coalition Relic》が2マナ生み出す。さらに4マナを追加して《神秘の指導/Mystical Teachings》をフラッシュバック。これがカウンターされず、《むかつき/Ad Nauseam》をサーチ。そして、《思案/Ponder》を使うと、2枚目の《否定の契約/Pact of Negation》を手に入れる。

 最後に、《トレイリア西部/Tolaria West》の変成で《否定の契約/Pact of Negation》の3枚目を手に入れたところで、ターンを終了する。

 アップキープに《祖先の幻視/Ancestral Vision》の待機が明け、手札が充実したNickだが、土地をセットしても合計で4マナしかない。

 これでは、3枚の《否定の契約/Pact of Negation》に守られた津村のコンボを止めることができない。結局、《天使の嗜み/Angel's Grace》と《むかつき/Ad Nauseam》のコンボが津村に20枚の手札を与え、フラッシュバックされた《燃焼/Conflagrate》が、それをすべてダメージとしたのだった。

津村 1-0 Nick

Game 2

 後手の津村の初手は、《むかつき/Ad Nauseam》に《定業》2枚と《思案/Ponder》、そして《トレイリア西部/Tolaria West》2枚と《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》というもの。1ターン目のドローが《否定の契約/Pact of Negation》で、《トレイリア西部/Tolaria West》をセットしてターン終了。

 すると、Nickが2ターン目の《思考囲い/Thoughtseize》。《むかつき/Ad Nauseam》をディスカードさせる。

 だが、津村は、《定業》と《思案/Ponder》を駆使して山札を掘り下げていく。一方のNickは、3ターン目に《ウーナの末裔/Scion of Oona》をキャスト。さらに津村のターンのアップキープにこれを覇権して《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》をキャストする。

 このターンは《氷河の城砦/Glacial Fortress》をセットして、《定業》をキャストした津村。だが、Nickはさらに《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を追加し、クロックを増加させつつ、津村の手札から《否定の契約/Pact of Negation》を失わせる。

 ここで津村がドローしたのは、《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》。だが、自身のターンのドローで《否定の契約/Pact of Negation》を取り戻す。さらに《思案/Ponder》をうつと、トップ3枚の中には《むかつき/Ad Nauseam》が。

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 準備が整った津村は、手札が2枚のNickに対して、アップキープに《神秘の指導/Mystical Teachings》。これを《マナ漏出/Mana Leak》でカウンターしようと試みるNickだったが、津村の手札には前述の通り《否定の契約/Pact of Negation》が握られている。津村は無事《神秘の指導/Mystical Teachings》で《天使の嗜み/Angel's Grace》をサーチ。

 そして、アップキープに《天使の嗜み/Angel's Grace》で《否定の契約/Pact of Negation》のマナを踏み倒し、《むかつき/Ad Nauseam》をキャストする。

 だが、Nickの手札には、《謎めいた命令/Cryptic Command》が。

津村 1-1 Nick

Game 3

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 1ターン目に《つぶやき林/Murmuring Bosk》をセットするNickに対し、《睡蓮の花/Lotus Bloom》を待機した津村は、2ターン目に《思案/Ponder》をキャストする。

 だが、Nickはまたも2ターン目に《思考囲い/Thoughtseize》。ここでの津村の手札は《貴族階級の嘲笑/Patrician's Scorn》《天使の嗜み/Angel's Grace》《思案/Ponder》《否定の契約/Pact of Negation》《連合の秘宝/Coalition Relic》。Nickはここから《天使の嗜み/Angel's Grace》をディスカードさせる。

 津村は、2発目の《思案/Ponder》をキャスト。この3枚の中に《むかつき/Ad Nauseam》を発見すると、これを2枚目に仕込んで、ドロー。思惑通り、Nickは2発目の《思考囲い/Thoughtseize》をキャスト。《否定の契約/Pact of Negation》を失ったものの、《むかつき/Ad Nauseam》を守り通す。

 《睡蓮の花/Lotus Bloom》の待機が明けたところで、津村は《連合の秘宝/Coalition Relic》をキャスト。これを《マナ漏出/Mana Leak》したNickだが、津村は《睡蓮の花/Lotus Bloom》から生み出したマナで{3}を支払い、《連合の秘宝/Coalition Relic》を着地させる。

 《変わり谷/Mutavault》で攻撃するターンを1ターン挟んだ上で、Nickのマナは5マナに到達。津村のアップキープに《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》をキャストする。

 これに対応して《むかつき/Ad Nauseam》をキャストする津村。土地を除くと、《連合の秘宝/Coalition Relic》《否定の契約/Pact of Negation》《睡蓮の花/Lotus Bloom》《天使の嗜み/Angel's Grace》《定業》《燃焼/Conflagrate》《思案/Ponder》とめくれ、津村のライフが8になったところでストップし、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を《否定の契約/Pact of Negation》でカウンターする。

 《定業》を使用し、《むかつき/Ad Nauseam》を再び手に入れると、さらに《思案/Ponder》をキャスト。そしてこれが津村へと《否定の契約/Pact of Negation》をもたらす。《睡蓮の花/Lotus Bloom》を待機し、2枚目の《天使の嗜み/Angel's Grace》を含む大量のカードをディスカードした上で、津村はターンエンド。残した手札は《戦慄艦の浅瀬/Dreadship Reef》《天使の嗜み/Angel's Grace》《燃焼/Conflagrate》《否定の契約/Pact of Negation》《貴族階級の嘲笑/Patrician's Scorn》《むかつき/Ad Nauseam》×2の7枚。

 セットランドで6マナとなったNickは《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をキャスト。《否定の契約/Pact of Negation》をキャストした津村だが、《マナ漏出/Mana Leak》されてしまう。

 《天使の嗜み/Angel's Grace》を失った津村。もう1枚の《天使の嗜み/Angel's Grace》を残しておけばとは思うものの、後の祭り。返すターンに《否定の契約/Pact of Negation》のマナを通常通り支払い、そして、《燃焼/Conflagrate》で《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を除去する。

 Nickは《変わり谷/Mutavault》で攻撃し、津村のライフは5。一見、《変わり谷/Mutavault》に殴られるまでに《天使の嗜み/Angel's Grace》を引けるかというゲームになったかのように見えるが、津村はなんと《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》をキャストして、《変わり谷/Mutavault》を押しとどめる。

 待機の明けた《睡蓮の花/Lotus Bloom》が《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》にカウンターされたターン。残りライフが5の津村は長考する。そして、《むかつき/Ad Nauseam》をキャスト。

 めくれた1枚目は、《連合の秘宝/Coalition Relic》。

 これによって3ライフを失った津村は、残りライフが2。やむなく《むかつき/Ad Nauseam》を終了し、続くターンのトップデック《天使の嗜み/Angel's Grace》にかける。

 だが、津村のデックトップは、3枚目の《むかつき/Ad Nauseam》だった。

津村 1-2 Nick

津村 「《天使の嗜み/Angel's Grace》の2枚目を捨てたとき、《根絶/Extirpate》をケアしていたんですが、手札破壊をケアできない形になってましたね。《根絶/Extirpate》をうたれた場合は、どちらにしろ負けていたので、凡ミスですね。恥ずかしい」

 デッキは強いものの、サイド後の練習不足が出てしまったという津村。

津村 「でも、このミスで次のプロツアー(12月の世界選手権)へのモチベーションがすごいあがりました。次は、もっとがんばります」

 津村の一番の長所は、ミスを自分の力にできることだ。

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