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Dech Tech: 齋藤 友晴・赤青緑《紅蓮術士の昇天》

Dech Tech: 齋藤 友晴・赤青緑《紅蓮術士の昇天》

By Daisuke Kawasaki

 今回、同一のデックリストとしては、おそらく日本人最高人数が使用することとなった青赤緑《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》。

 そこで、そのメインデザイナーである齋藤 友晴(東京)に話を聞いてみた。


齋藤 友晴
プロツアー・アムステルダム2010 / エクステンデッド
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《滝の断崖/Cascade Bluffs》
4 《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》
4 《島/Island》
1 《森/Forest》
1 《山/Mountain》

-土地(22)-

4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》

-クリーチャー(4)-
4 《定業/Preordain》
4 《思案/Ponder》
4 《魔力変/Manamorphose》
4 《罰する火/Punishing Fire》
4 《マナ漏出/Mana Leak》
4 《謎めいた命令/Cryptic Command》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
2 《時間のねじれ/Time Warp》
4 《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》

-呪文(34)-
4 《田舎の破壊者/Countryside Crusher》
3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《否認/Negate》
2 《瞬間凍結/Flashfreeze》
2 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
1 《火山の流弾/Volcanic Fallout》

-サイドボード(15)-


 青赤《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》自体は日本ではメジャーなアーキタイプであり津村 健志の記事でも基本的な動きが紹介されている。

 この時のリストではサイドボードに入っていた《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をメインボードに入れ替えたのがこのリスト、というわけだ。

 齋藤と言えば、デック名、というわけで、まずはデック名をきいてみた。

齋藤 「デッキ名ですか......シーストンピーですね」

 シーストンピーといえば、2006年に齋藤が愛用していた青赤緑のクロックパーミッションだ。色が同じだからといって、それは無理なネーミングなのではないか......

齋藤 「たしかに1本目は《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》で勝つデッキですが、2本目以降は、クロックパーミッションにもなるデッキなんです」

 そういえば、Round 1のフィーチャーマッチ後に、渡辺 雄也も同じようなことを言っていた。

 サイドボーディングで、コンボとクロックパーミをスイッチするデッキなんです、と。

 その秘密を握るのがサイドボードに用意された《田舎の破壊者/Countryside Crusher》だ。

齋藤 「基本的に《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》は(エンチャント破壊でも墓地対策でも)対策されやすいデッキなので、2本目は《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》と《時間のねじれ/Time Warp》あたりの専用パーツを抜いて、《田舎の破壊者/Countryside Crusher》を入れてクロックパーミとして戦います」

 ここで、2本目で対戦相手が入れてきた対策カード次第で3本目の動きを決めるという。

齋藤 「3本目は相手の動きをよく見て、《クローサの掌握/Krosan Grip》や墓地対策の枚数なんかをチェックして、コンボで行くか、クロックパーミで行くかを決めますね」

 ここで、ゲーム中はもちろん、サイド中に至るまで対戦相手の動きをよく観察することが重要だと齋藤は強調する。たとえば、3本目の前に2枚のカードをサイドボーディングしていれば「《クローサの掌握/Krosan Grip》を抜いたのかな?」と類推したりすることが必要という。

 また、相手にどちらにスイッチしたか疑惑を与えるためにも、2本目と3本目の間に(サイドボーディングをする気がなくとも)カードを入れ替える振りをしたりと「相手の混乱を誘う」ことが戦術として重要だと語る。

齋藤 「といっても、《田舎の破壊者/Countryside Crusher》がただ強いカードだったんですけどね。このカードの発見が大きかったです」

 では、そんなシークレットテックとなった《田舎の破壊者/Countryside Crusher》はどのようなきっかけで発見されたのか。

齋藤 「もともと、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》がサイドボードで対策されやすいデッキなのはわかっていたので、サイド後に使えるいい勝ち手段はないかを考えていました」

 ちなみに、補足しておくと、この時点でメインに《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を投入するというアイディアは、彌永 淳也(東京)が早い段階で使用していたこともあってすでに実地済みだったという。つまり、さらに追加で何かないか、という話である。

齋藤 「最終的にデッキには入っていますけど、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》はちょっと重いので、軽いクリーチャーで強いカードが無いかを探したんですよ」

 最初に考慮されたのは、《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad》だった。確かに青くて軽いカードを大量に使うデックだけに、往年のグロー系デックを思わせる動きを

齋藤 「懐古的なんで。といっても最初のサイズが小さすぎて《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad》はだめでしたね。結局《罰する火/Punishing Fire》で焼かれてしまう」

 続いて齋藤が目をつけたのが《探検家タクタク/Tuktuk the Explorer》だった。

齋藤 「3マナ5/5じゃん!強い!ってことで使ってみたんですけど、強いときは強かったんですが......結局殴ってこないようなデッキ相手で自分でも《罰する火/Punishing Fire》を引けないと、何がしたいのかわからないみたいになることが多かったんですよね」

 というわけで、残念ながら《探検家タクタク/Tuktuk the Explorer》は解雇。

 だが、これによって、赤の3マナ域のカードを探す機会ができ、そこで《田舎の破壊者/Countryside Crusher》にたどり着いたという。

齋藤 「直感的にこれは強い!って思っていて。調整の時にみたむー(三田村)とナベ(渡辺)にちょっと話してみたら『さっきちょうど話していたけど、微妙じゃないかな』って言われて。まぁ、思いついていたんならってことで一緒に調整することになったんですが、使ってみたら、直感通り強かったですね」

 今回のデックの完成度についてはどうか。

齋藤 「デッキはかなり強く作れたと思います。《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》は日本ではやりすぎて、かなりメタられていたんですけど、それに対抗できたので。ただ、その分プレイングが難しくなってしまいました。それが欠点と言えば欠点ですね」

 最後に、このエクステンデッドの環境について聞いてみた。

齋藤 「非常におもしろい環境だと思いますよ。晴れる屋(齋藤の店)の大会でも調整のためのプロプレイヤーだけの大会では無かったですし、是非もっといろんな人に楽しんでもらいたいです」

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