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準々決勝: Thomas Ma(アメリカ) vs. Paul Rietzl(アメリカ)

準々決勝: Thomas Ma(アメリカ) vs. Paul Rietzl(アメリカ)

by Tim Willoughby / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru

 ここプロツアー・アムステルダムでは、近年にないほどきら星のごときスターたちによるトップ8が行なわれているが、その中に1人だけまだ知名度のない人間がいた。その名はトーマス・マ。彼にとってこれは人生初のプロツアーで、その1回目のプロツアーでトップ8に入賞したということが彼を選ばれしプレイヤーの一員にした。ジャンドを使い、彼はコンリー・ウッズと調整して、この白ウィニー相手には万全の対策を取ってきた。マの対戦相手ポール・ライツェルはわずか25歳にしてマジックのベテランと呼ばれるに相応しい存在だ。彼のトップ8入賞はこれで3回目、そしてガブリエル・ナシフやカイ・ブッディのようなメンツと調整してきただけあって、彼は自分のデッキや作戦に自信を持っているようだった。


第1ゲーム

 スイス式で上位だったので先攻を選んだライツェルは、《闘争の学び手》から始めた。第2ターン、少し考えてから、《闘争の学び手》を2回レベルアップさせる。マは《燃え柳の木立ち》から《稲妻》を放ち、ライツェルの戦場にはアンリミテッド版の《平地》が2枚残るだけになった。


ジャンドと白単ウィニーの相性は圧倒的だ。
どちらが有利かは、トーマス・マに聞くかポール・ライツェルに聞くかによるだろう。

 《稲妻》に続くマの追撃は、ライツェルの《幽体の行列》のおかげで強化された《タルモゴイフ》だ。殴り込んで4点与えると、さらにもう1体が登場する。《野蛮な地》から、マは3色出せる状況を築き上げた。ライツェルはマッチ前に、マのジャンド・デッキがマナ事故を起こす可能性があるということ、そして白ウィニーにはその心配がないということを知らされていた。

 ポールは《イーオスのレインジャー》を唱え、《闘争の学び手》と《運命の大立者》を探してくる。《タルモゴイフ》はどちらもブロックせず、残りライフはわずか8点。しかしマは《台所の嫌がらせ屋》を出してライフを回復させる。《清浄の名誉》と、アントワン・ルーエルのインビテーショナル・カードによって徴集された2枚のカードが、ライツェルには強力な援軍となった。

 マの《荒廃稲妻》が放たれ、ライツェルは少し考えてから《精霊への挑戦》を唱える。マはそれに対応して《稲妻》で《イーオスのレインジャー》を除去していくが、ライツェルが緑を指定すると、ライフが残りわずか1点しかないライツェルのお決まりの防御を破ることは出来なくなった。

「何が足りない?」

 ライツェルは盤面を眺めながらそう言った。マの攻撃で残り1点まで削られていて、彼はレベルアップする余地がある。攻撃をしかければ相手を倒せる。彼は少し考えた。もしマの手札に火力があれば、ここで負けだ。様子見をしているだけだろうか?

 ライツェルがとどめの一撃を繰り出すと、マは自分のカードを片付けた。トーマスはただ単にレベルアップ後の戦力を見誤っていただけで、その報いを受けることになった。

ライツェル 1 - 0 マ

 デッキリストは公開されていて、マッチは3本先取ということで、夜通しの調整とサイドボード戦術の練り直しがトップ8での戦略の鍵となる。これはプロツアーの他の試合と大きく異なるところだ。

 今朝このマッチの前にライツェルと話したところ、ナシフと調整したサイドボード戦術は、マを驚かせる、ポールに新しい切り口を与えるものになったと言っていた。《流刑への道》はジャンドに非常によく効くが、これをサイドアウトして《大祖始の遺産》を代わりに入れるというのだ。《ブレンタンの炉の世話人》が入るのは当然としても、《大祖始の遺産》はマに巨大なスパナを投げつけるようなことになるだろう。《タルモゴイフ》、《罰する火》、《台所の嫌がらせ屋》に影響がある上、状況によってはキャントリップもできる。《エーテル宣誓会の法学者》は《血編み髪のエルフ》の威力を大きくそぐことに成功しているが、この変更によって普通は攻撃型の白ウィニーをコントロール型に寄せることが出来、ジャンドの足を押さえることで攻撃する時間を作るのだという。


第2ゲーム

「最悪の手札だ」

 マはそう言い、さっさとマリガンを宣言した。

「《野蛮な地》4枚と《怒り狂う山峡》3枚とか......」

 ライツェルの最初のプレイは、ごく普通に《ステップのオオヤマネコ》だった。マが第2ターンに《朽ちゆくヒル》を出したことによって、《ステップのオオヤマネコ》が攻撃するには助けが必要になった。そしてその助けは《乾燥台地》の形で訪れ、ライツェルは攻撃してダメージは4点。その後、彼は2枚目の《ステップのオオヤマネコ》を呼び出し、《ブレンタンの炉の世話人》もその横に並べる。マのサイドボードにある《ジャンドの魔除け》への備えである。

 マは《台所の嫌がらせ屋》を出し、フェッチ土地で強化された《ステップのオオヤマネコ》2体をブロックできるように備えた。

「んー......プレイテスト中にはこの状況はなかったな。どうするかな」


白いライト、白いシャツ、白い枠。

 ライツェルは、《台所の嫌がらせ屋》を残して《朽ちゆくヒル》が殴ってくるのをただ眺めていた。マはさらに《朽ちゆくヒル》と《タルモゴイフ》を追加したものの、ライツェルの《幽体の行列》と、《タルモゴイフ》を無力化する《大祖始の遺産》を見て後ずさった。スピリット・トークンで攻撃した後、ライツェルは《ブレンタンの炉の世話人》と《エーテル宣誓会の法学者》を唱えて手札を空にする。

 マは2体目の《台所の嫌がらせ屋》を出し、ライフを回復させて一息ついた。マからの攻撃で、頑強によって蘇った《台所の嫌がらせ屋》は《ブレンタンの炉の世話人》と相打ちになり、《タルモゴイフ》の攻撃が2点。

 マの地上戦力がどうあれ、空はライツェルのものとばかりにスピリット・トークンが舞い踊る。《大祖始の遺産》で《タルモゴイフ》のサイズを削りながら、ライツェルはカードを引いた。マが《燻し》を《運命の大立者》に唱えると、再び《タルモゴイフ》はそのサイズを伸ばす。しかしその成長は一歩及ばず、2枚目の《幽体の行列》がゲームを決めた。

ライツェル 2 - 0 マ

「ホントにこれが初めてのプロツアーなのかい」

 ポールがさらっと問いかけると、マはただ笑った。

「すごいな。俺は初めてトップ8に入るまでに、25回ぐらいかかったぜ」


第3ゲーム

 両プレイヤーがシャッフルを終え、初手を引く。《大祖始の遺産》が暴れたにもかかわらず、マはサイドボード戦術を変えないままこの最後になるかも知れないゲームに挑んでいた。

「いつだって期待はずれさ」

 ライツェルはマが初手7枚をキープしたのを見て笑った。ライツェルは少し考えた後、同じくキープすることにした。

 マが素早くキープしたのは大当たりを引いたからで、《タルモゴイフ》が《大祖始の遺産》で縮められていた。《燻し》が《運命の大立者》を殺したことで《タルモゴイフ》は再び勢いを得たが、それは一時的な者だった。ポールは《大祖始の遺産》に寄っていると見て、土地1枚の手札をキープし、土地を出し損ねることを選んだ。第3ターンに《平地》を出し、彼は《白蘭の騎士》を呼び出した。《タルモゴイフ》よりも大きいだけでなく、ライツェルに土地を供給してくれる。これで速度を取り戻せるのだ。

 マが2枚目の《タルモゴイフ》を出すと、《大祖始の遺産》が鍵となる。ライツェルの《イーオスのレインジャー》が《ブレンタンの炉の世話人》を2枚引き寄せる。マが《ジャンドの魔除け》を《紅蓮地獄》として使っても、それで殺せるのはマ自身の《タルモゴイフ》だけだろう。

 マは《タルモゴイフ》2体で攻撃し、《罰する火》で《イーオスのレインジャー》を殺す。《大祖始の遺産》で《イーオスのレインジャー》を追放すると、ダメージは4点に抑えられた。

 ポールのターンに、《ブレンタンの炉の世話人》2体が戦列に加わる。さらに《大祖始の遺産》も2枚目が登場。《大祖始の遺産》を使って、ポールは《罰する火》が戻ってこないようにする方法を手に入れた。

 マの頼れるクリーチャーは《朽ちゆくヒル》だけとなった。《幽体の行列》のトークンをブロックできない。ライツェルの唱えた《闘争の学び手》は即座にレベル2にレベルアップする。マの《ジャンドの魔除け》は《ブレンタンの炉の世話人》で止められ、《大祖始の遺産》が墓地のカードを全て追放していく。


2-0であっても、入賞できたトーマス・マは嬉しそうだ

 そしてライツェルは《ステップのオオヤマネコ》を唱えた。

「これはキツイぜ」

 ライツェルは大事な《大祖始の遺産》の1つを取り除いてカードを1枚引く。そして引いてきたのはもう1枚の《大祖始の遺産》。マは笑ったが、大問題は残っている。2回目の《ジャンドの魔除け》も、やっぱり《ブレンタンの炉の世話人》が止めた。

 ライツェルは攻撃し、マのライフは残り6点。

「負けるとしたら?」

 ライツェルは自問した。その答えは3枚目の《ジャンドの魔除け》。対抗策に、彼は次なる《ブレンタンの炉の世話人》を《イーオスのレインジャー》から引いてくる。次のターン、《精霊への挑戦》がゲームを終わらせた。

ライツェル 3 - 0 マ

 ゲームの後、ライツェルは対戦相手のことを気の毒に思った。

「ナシフと俺が昨夜検討したところだと、マッチはこっちのほうがはるかに有利だった。12-1ってところだ」

「俺も昨夜検討したけど、スコアはそんな感じ。勝敗は逆だったけど」

「誰と検討したんだ?」

「コンリー・ウッズ。サイドボードの読みが足りなかったからだと思う。《大祖始の遺産》を2枚入れてくるとか、乱暴すぎるよ」

 ポール・ライツェルが3-0で勝利。

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