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Standard Decktech:逢坂 有祐:システマゼロ

Standard Decktech:逢坂 有祐:システマゼロ

By Daisuke Kawasaki

 さて、ノルマと言っていいジャンド紹介も終わったところで、今度は対ジャンドを想定して構築されてきた意欲作を紹介していこう。

 本日・明日と続けてデックを紹介していく予定だが、まず、ひとつ目として、もっとも異端のデックを紹介しよう。

 すでに、Round 4の森 勝洋(大阪)のカバレージでも紹介されている、《時の篩/Time Sieve》と《蔵の開放/Open the Vaults》を使用したアーティファクトデック、その名もシステマゼロだ。

逢坂 有祐
システマゼロ
4 《湿地の干潟/Marsh Flats》
1 《沼/Swamp》
4 《平地/Plains》
7 《島/Island》

-土地(16)-
3 《意思切る者/Architects of Will》
4 《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》
2 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》

-クリーチャー(9)-
4 《天使歌/Angelsong》
4 《万華石/Kaleidostone》
4 《吠えたける鉱山/Howling Mine》
4 《時間のねじれ/Time Warp》
2 《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
2 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
4 《蔵の開放/Open the Vaults》
4 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
4 《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》
3 《時の篩/Time Sieve》

-呪文(35)-
4 《境界線の隊長/Perimeter Captain》
4 《瞬間凍結/Flashfreeze》
3 《否認/Negate》
2 《審判の日/Day of Judgment》
2 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》

-サイドボード(15)-

 このデックを使用した森は、スタンダードを3勝2敗で折り返した。今大会で日本勢が持ち込んだデックの中でも、特に興味深いデックだろうと思われる。

 構築したのは逢坂 有祐(北海道)。昨年のプロツアー・京都などでも名前が出たように、一部では知られるデックビルダーであり、《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》緑単など、意欲的なメタデックを投入してくることで知られる。

逢坂 「デッキビルダーとか、やめてください。我々はそういうのとは違うんです。ひとり回しが好きなカジュアルプレイヤーと言って下さい」

 はやくも面倒臭そうな空気が出ているが、それはそれとして、逢坂にこのデックを構築した動機と、特徴を聞いてみよう。

川崎 「まずは、システマゼロという名前をつけた理由を聞かせて下さい」

逢坂 「アーティファクトをたくさん並べて、その大量のアーティファクトを搾取して利益を得ると言うことと、このデッキをシェアして、多くの人にハッピーになって欲しいという気持ちを込めて命名しました」

川崎 「あぁ、そうですか。デッキの基本的な動きを教えてもらっていいですか?」

逢坂 「基本的には、《時間のねじれ/Time Warp》と《時の篩/Time Sieve》でターンを獲得するデッキです。《蔵の開放/Open the Vaults》は《時の篩/Time Sieve》を再利用しつつ、《万華石/Kaleidostone》などでアドバンテージを獲得してくれ、なおかつ《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》でのフィニッシュにもつなげてくれる、非常にゼロマージンなカードです」

川崎 「ゼロマージン?」

逢坂 「余計なコストをかけないで墓地から戦場に出せる事で、大きな利益を生み出すカード、ってことです」

川崎 「なるほど。ちなみに、実際のデュエルではどのような感じの展開が理想となりますか?」

逢坂 「2ターン目に《吠えたける鉱山/Howling Mine》を出せるのが理想です。そうしたら、サイクリングを持ったアーティファクトを墓地に送って行きます。で、5ターン目には《時間のねじれ/Time Warp》をキャストし、まずは1ターンを獲得。ここで《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》や《吠えたける鉱山/Howling Mine》があれば、ターンを勧誘した事によって、マージンが得られますね」

川崎 「そこから半無限ターンがはじまりますか」

逢坂 「理想的な展開ではそうですね。ここまでに境界石などを並べておけば、《時の篩/Time Sieve》で5枚のディストリビューターを...」

川崎 「ディストリビューター?」

逢坂 「あぁ、すいません、アーティファクトのことです。我々の業界ではディストリビューターとよんでいます。この5枚のディストリビューターを生贄にすることで、またターンという利益を獲得し、ここで《吠えたける鉱山/Howling Mine》があれば、さらにマージンを獲得する事が可能です」

川崎 「なるほど。どんどん、アーティファクト...ディストリビューターでしたっけ、を集めていくことで、ターンを獲得するごとに得られる利益が大きくなるってことですね」

逢坂 「システマゼロが特徴敵なのは《蔵の開放/Open the Vaults》というシステムを採用していることです。《万華石/Kaleidostone》あたりによって、さらなるマージンが期待できます」

川崎 「最後はどうやってゲームを終えるのですか?」

逢坂 「《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をキャストしたり、《蔵の開放/Open the Vaults》による利益を得た《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》でのブロックされない10点アタックなどですね」

川崎 「でも、それだと、ターンがかかりすぎてしまいませんか?」

逢坂 「そうですね。動き出してから、勝つまでに時間はかかります。4ターンくらいはかかりますかね。でも、その間のターンは全部自分のものですし、心配することはありません。時間はかかりますが、最後は必ず勝つことができます。是非システマゼロで勝ち組をめざしましょう」

川崎 「なるほど、了解しました。ちなみに《蔵の開放/Open the Vaults》で《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を釣るという動きもあると聞いたのですが...」

逢坂 「ジャンド相手にはよくあります。《荒廃稲妻/Blightning》などを撃たれたら、《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をディスカードしてしまえば、5ターン目や6ターン目に《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》が出ます。真面目にマナを支払うのもばかばかしいので、ショートカットできる時はショートカットをするのが、勝ち組になるコツです。ショートカットを活用して、勝利という夢を手に入れよう、ということです」

川崎 「実際、ジャンド相手にそのターンに《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》が出てきてしまったら、勝ったも同然ですね」

逢坂 「こちらのデッキをコントロールだと勘違いして、サイドボードから《精神腐敗/Mind Rot》を追加してくる相手もいますが、そうすると、サイドボーディングによってこちらの勝率が上がるという状況になります」

川崎 「このデックを構築しようとしたきっかけはなんですか?」

逢坂 「昨年の日本選手権で、アーティファクトを使ったデッキを作るというテーマでデッキを作ったのが最初です。『プロツアー・京都でサンキュー』で有名なラッシュこと高橋 純也の青白GAPPOをベースに《時の篩/Time Sieve》を入れ、ちゃんと勝てるデッキにした感じのデッキでした」

川崎 「実際に、あの頃に《時の篩/Time Sieve》はフランスでOlivier Ruel(フランス)が使用してトップ8入賞していましたね」

逢坂 「フランス支部長ですからね。支部長のデッキは、あの時の我々がたどりついていなかった《蔵の開放/Open the Vaults》にたどりついていた事ですね。こちらはまだ《蔵の開放/Open the Vaults》によるゼロマージンにたどりついていなかったので実戦投入はできませんでした。ただ、ポテンシャルは高かったですね」

川崎 「可能性は感じられるアーキタイプだったと」

逢坂 「そうですね。フランス選手権より早く開催された日本選手権のトップ8に入賞したうちの会員のデブ(藤本 太一)が、プロフィールで『無限ターンデッキ』に言及していたことからも、うちの会の先見は理解いただけるかと思います」

川崎 「そのデッキが、今回、実戦投入されたと」

逢坂 「その前に、The Finalsですね。ここで、また会員の大将(若山 史郎)が『チンネーン、デッキ作ってくれよー』って泣きついてきたので、このデッキを構築しました」

川崎 「黒田(正城)さんも使っていましたね」

逢坂 「日本人最初のプロツアーチャンピオンである黒田さんですね。ちょうど前に大阪に遊びに行った時にデッキを見せ、満足していただいてうちの会員になっていただきました。この時は、ふたりとも3-1という好成績を収めていることからもシステマゼロのすばらしさが理解いただけるでしょう」

川崎 「そして、今回のデッキがさらに調整されたと」

逢坂 「調整はかなり重ねましたが、結局、The Finalsの時と2枚、たったの2枚しかカードは変わっていません。《意思切る者/Architects of Will》と《時の篩/Time Sieve》が1枚ずつへって、《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》が2枚になりました」

川崎 「このデッキはアンチジャンドというテーマで構築されたと聞きましたが」

逢坂 「その通りです!ただ、The Finalsの時と違い、今のジャンドには《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》と《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》が帰ってきてしまったので、このデッキにとっては向かい風ですね。今のメタだとジャンド相手は5割ってところです」

川崎 「それでも5割ですか」

逢坂 「《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》と《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》の無いジャンド相手なら7割いけます。環境の大体のデッキに相性がいいのがこのデッキの長所ですね。特にジャンドが同型対策を進め、キルターンが遅くなればなるほど有利になります」

川崎 「苦手なのはどんなデッキですか?」

逢坂 「逆にキルターンが早い赤単のようなデッキや、スペルに対処できる早いバントビートなんかはつらいと思いますが、そこはがんばりましょう。むしろ、一番の敵は自分自身です」

川崎 「プレイングが難しいと好評ですね」

逢坂 「2007年PoYの齋藤 友晴さん、グランプリ2連覇の高橋 優太さん、プロツアーホノルル王者の三田村 和弥さん、The Limits優勝の栗原 伸豪さんといった、そうそうたるメンバーにご好評いただいてます」

川崎 「森 勝洋さんは簡単だっていってましたね」

逢坂 「でもミスってましたけどね」

川崎 「ちなみに、このデッキを使った逢坂さんの成績は?」

逢坂 「企業秘密です」

 危うく丸め込まれそうになるほどの説得力と妖しい魅力をもったこのデッキ。

 ジャンド一強のスタンダード環境に飽きたあなた、是非、システマゼロで勝ち組になりましょう!

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