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Round 14:森 勝洋(大阪) vs. Gabriel Nassif(フランス)

Round 14:森 勝洋(大阪) vs. Gabriel Nassif(フランス)

By Daisuke Kawasaki

 「帝王」森 勝洋(大阪)が、かつてのように、そう、2006年シーズンの様にトーナメントシーンに戻ってくるのはいつの日になるのだろうか。

 今もなお、森は圧倒的に強いプレイヤーだが、しかし、たとえば、世界の現在のトッププレイヤーのような戦績を、たとえば、今、目の前に座るGabriel Nassif(フランス)のような成績を残せていない。

 ここ数年、森は人生の転機を迎えており、何度もマジックから離れようとしていた。だが、森はマジックから離れる事ができなかった。森はマジックを愛しており、そして、マジックも森を愛しているからだ。今回も、マジックの神はグランプリ・北九州で森へとプロツアーの権利をプレゼントした。

 そして、ここ数回のプレミアイベントと違い、森は、このプロツアーに向けて練習を積んできた。もともと練習好きのプレイヤーである森だけに、久々の練習は楽しかっただろう。

 今回、森は、逢坂 有祐(北海道)の構築した、《時の篩/Time Sieve》によるターン獲得コントロールデック、「システマゼロ」を持ち込んでいる。

 このむやみに難しく、長いターンを見通したゲームプランが必要とされるデックは、森にこそふさわしいデックであるし、逢坂自身もそれを認めている。

 だが、目の前に座るのは、あのGabriel Nassifだ。

 そのNassifが、青白の、これまたNassifにふさわしいとしかいえないデックを構築し、持ち込んできた。初日を全勝で折り返したものの、ドラフトでの3連敗を含む4連敗によって、一気に森のラインでの対戦となった。

 人知の及ばないプレイヤー同士のウルティモなマッチアップ。

 圧倒的に重厚なゲームになることが予想される。

Game 1

 先手の森、後手のNassifと共に《島/Island》をおくという、この環境では珍しい立ち上がりでゲームがスタートする。

 ここで2ターン目に森が《吠えたける鉱山/Howling Mine》をおくと、Nassifは思わず、カードを確認する。対して、Nassifも《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》をキッカー1でキャストする。

 ここでクロックの無いNassif相手に森は《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をキャスト。自分だけドローの能力を使用。それに対抗して、Nassifは、新しい方のジェイス、つまり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をキャスト、能力の使用を宣言しよう、という所で、森が対消滅で墓地に落ちることを指摘する。

Nassif 「え?本当に?」

 ジャッジから説明があり、Nassifは渋々《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を墓地に。森はさらに《吠えたける鉱山/Howling Mine》を重ねてキャストし、続くターンにアクションの無かったNassifは、ターンエンドにカードを2枚ディスカードする。

 森は続けて《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》をキャスト。これにはNassifもかなりなやんだ上で、《取り消し/Cancel》をキャストする。Nassifは、土地をセットし、ディスカードするのみでターンを終えていく。

 森の《時間のねじれ/Time Warp》を《否認/Negate》でカウンターし、森が《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》をおいた次のターン、《宝探し/Treasure Hunt》をキャストするNassif。ここでめくれたのは、1枚目が《審判の日/Day of Judgment》。2枚目の《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》をキャストしてターンを終了する。

 ここで森は、システマゼロのメインエンジンである《時の篩/Time Sieve》をキャストする。これをNassifがカウンターしなかったことで、森はNassifデックの必殺兵器である《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》のマナコストを確認する。親切に9マナだと教えるNassif。いい男。

 この時点でターンエンドのディスカードで墓地にすでに《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を捨てている森。Nassifのマナが8マナであり、次のターンに9マナに突入することを確認すると、《時間のねじれ/Time Warp》をキャストする。これをNassifはカウンターしない。

 獲得したターンで、森はまず《万華石/Kaleidostone》をキャスト。森は長考を重ねた上で、2枚目の《万華石/Kaleidostone》をキャストし、さらに2枚目の《時の篩/Time Sieve》を追加。さらに《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をサイクリングしつつ、《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》を大体コストでキャストすると、森の戦場のディストリビューターは8枚。

 これらをサクリファイスして、《時の篩/Time Sieve》の能力を起動し、追加ターン2回目。ターンエンドに2枚目の《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をディスカードする。

 森の手札にはすでに《蔵の開放/Open the Vaults》があり、これが通ってしまえば森の勝利は確定だ。

 そして、Nassifには、その手段はないのだった。

森 1-0 Nassif

Game 2

 互いにマリガンのないスタート。森が1ターン目から《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》をキャストしたのに対して、Nassifは《宝探し/Treasure Hunt》でターンエンドにディスカードするほどのアドバンテージを獲得する。

 森は2ターン目に《吠えたける鉱山/Howling Mine》。《吠えたける鉱山/Howling Mine》デックは《吠えたける鉱山/Howling Mine》をつぶせ、の格言通り、Nassifは《忘却の輪/Oblivion Ring》でこれに対処する。森は3ターン目に。正規のコストを支払って《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》をキャストする。

 返すターンに、今度こそ《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を着地させるNassif。《渦まく知識/Brainstorm》能力によって、手札を整理し、森へとターンを返す。

 土地をセットして5マナの森。ここで、フルタップでの《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をキャストする。手札に除去として《天界の粛清/Celestial Purge》しかもpたないNassifは、この青白のアーティファクトクリーチャーに対処することができない。

 Nassifは、フェッチで山札を一新した上で、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の-1能力で《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をバウンス。5マナをフルに使って《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をキャストする。

 森は、ここで手札に有効なカードが無い。《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をサイクリングし、《万華石/Kaleidostone》をキャストしてドローを進めるが、《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》のキャストでマナを加速するのみにとどめる。

 Nassifは《悪斬の天使/Baneslayer Angel》で攻撃して、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の《渦まく知識/Brainstorm》能力を使用する。この2枚の親和レアの持つ力は、すさまじい。

 森は《意思切る者/Architects of Will》をサイクリングすると、2マナを残して《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》をキャストする。この時点で森は、4枚のディストリビューター、改めアーティファクトをコントロールしている。

 Nassifは、改めて《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》のテキストを確認すると、《取り消し/Cancel》をキャスト。だが、森の手には《否認/Negate》が握られていた。この《否認/Negate》をさらにNassifの《否認/Negate》が打ち消すという古典芸能的な打ち消し合戦の後に、Nassifは《宝探し/Treasure Hunt》で3枚の土地と、《思考の泉/Mind Spring》を手に入れる。

 手札の枚数に圧倒的な差がついてしまった森とNassif。森は、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をキャストし、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》こそ対処したものの、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》への解答を持たない。Nassifは手札で腐っていた《天界の粛清/Celestial Purge》で森の《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》を追放する。

 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》のアタックを《天使歌/Angelsong》でいなし、なんとかもう1ターン自分のターンを得ようと考えた森だったが、Nassifはそんな森のプランを《否認/Negate》したのだった。

森 1-1 Nassif

Game 3

 先手の森は、土地が《島/Island》のみのハンドをキープし、《意思切る者/Architects of Will》をサイクリング。しかし、土地を引かない。そして、《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》もまた、森に土地を与えない。

 だが、一方で、Nassifも、《平地/Plains》しか引かず、《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》でマナを加速するのみ。だが、2枚目を多重キッカー×2でキャストした所で、7マナに達した事を確認し、森は一言「うわーキツイ...」とこぼす。

 この頃には森も《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》を引いており、2マナで《万華石/Kaleidostone》をキャストするのだが、それでも2枚目の土地にはたどり着けない。

 一方のNassifも青マナがなく、壮絶な事故り合いとなった。Nassifは《忘却の輪/Oblivion Ring》で《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》を追放するが、森は、ここで《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》を引く。

 しかし、この事故から先に脱出したのはNassifだった。《ハリマーの深み/Halimar Depths》を引き当てたのだ。一方の森は、サイクリングを続けども、やはりマナが増えない。

 ここでとうとう、Nassifが《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》をキャストする。だが、色の選択で、森の墓地を確認し、長考する。

 「《死の印/Deathmark》?」

 たったの一言だ。この一言に意味はない。そして、森のデックには、《死の印/Deathmark》はない。Nassifは長考の末に黒を選択する。

 ここでやっと、2枚目の土地を引き当て、3マナを確保した森は、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をキャストする。だが、引けども引けども、森は追加のマナが手に入らない。

 Nassifは、《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》でアタックを続ける。森は、ドローを続ける。そして、ついに土地にアクセスすることに成功した森は、俄然やる気を取り戻す。《天使歌/Angelsong》で《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》の攻撃をいなした後に、2マナを残した状態で《審判の日/Day of Judgment》をキャストしたのだ。

 実は、この時点で、Nassifはなおも青マナが《ハリマーの深み/Halimar Depths》1枚という状況だった。結局、Nassifは、自身の《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》に《流刑への道/Path to Exile》をキャストし、《島/Island》を持ってくる事を選択した。

 これで、俄然、森は体制を立て直した。少なくとも、完全に負けたゲームから、勝ちうるゲームにまでは取り戻した。

 《時間のねじれ/Time Warp》をキャストするが、これをNassifが《取り消し/Cancel》。そして、森のマナが無い隙に、NassifはX=9の《思考の泉/Mind Spring》を、《島/Island》2枚を含む5マナを残してキャストした。そして、返すターンで森の5点のライフを削る為に、《コーの火歩き/Kor Firewalker》をクロックとして追加した。

 残り1ターンとなった、森。

 Nassifは残したマナと引いてる手札の枚数から、間違いなく《取り消し/Cancel》を持っていることが予想される。

 森は、《蔵の開放/Open the Vaults》をキャストしたが、Nassifの手札は予想通りの者だった。

森 1-2 Nassif

 これで、森にトップ8の目は完全になくなった。

 しかし、今後の成績を積み重ねて森はきっと、プロツアー・サンファンへの権利を獲得してくれるだろう。

 また、あの強いモリカツをみなに見せるために。

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