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決勝戦:Simon Gortzen(ドイツ) vs. Kyle Boggemes(アメリカ)
決勝戦:Simon Gortzen(ドイツ) vs. Kyle Boggemes(アメリカ)
By Daisuke Kawasaki
カリフォルニア、サンディエゴの日曜日。
朝方は少し雨が降っていたが、それも昼にはやみ、ステレオタイプなカリフォルニアを思わせる青空が広がった。
雨が降っていた頃に会場に集まった観衆は、ふたつのことに注目していた。
ひとつは、だれが連勝中のLSVを倒すのか、つまり、LSVは連勝をどこまで続けられるのか。
もうひとつは、どのデッキがジャンドを倒すのか、つまり、ジャンドに対するメタデッキの解答はでるのか。
夕方。
決勝戦の結果を待たずして、観衆はその結果を知ることになった。
LSVは、ドイツのSimon Gortzenに敗北し、そのプロツアー連勝記録は17でストップした。
そして、どのデッキがジャンドに勝てるのか、という疑問にも答えは出てしまった。

決勝戦を戦うのはふたつのジャンド。日曜日に進出したもうひとつのジャンド、井川 良彦(東京)も、ジャンド対決で敗北していたわけで、今日、ジャンドを倒したデックは、ジャンドだけだったということになった。
つまり、ジャンドに勝てるのは、ジャンドだけ。
デッキの多様性を求めるプレイヤーにとって、これは面白くない結論かもしれないが、そう思うあなたは、ふたりのプレイヤーのレシピを見比べて見ることをオススメする。
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3 《竜髑髏の山頂》 3 《森》 3 《山》 4 《怒り狂う山峡》 2 《根縛りの岩山》 4 《野蛮な地》 3 《沼》 4 《新緑の地下墓地》 -土地(26)- 4 《血編み髪のエルフ》 2 《若き群れのドラゴン》 4 《朽ちゆくヒル》 2 《包囲攻撃の司令官》 4 《芽吹くトリナクス》 -クリーチャー(16)- |
4 《荒廃稲妻》 2 《探検》 3 《野生語りのガラク》 4 《稲妻》 3 《大渦の脈動》 2 《終止》 -呪文(18)- |
1 《瀝青破》 2 《死の印》 3 《強迫》 4 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 2 《大貂皮鹿》 1 《マラキールの血魔女》 1 《精神腐敗》 1 《終止》 -サイドボード(15)- |
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2 《竜髑髏の山頂》 4 《森》 2 《溶岩爪の辺境》 3 《山》 4 《怒り狂う山峡》 1 《根縛りの岩山》 4 《野蛮な地》 3 《沼》 4 《新緑の地下墓地》 -土地(27)- 4 《血編み髪のエルフ》 3 《若き群れのドラゴン》 4 《朽ちゆくヒル》 3 《包囲攻撃の司令官》 4 《芽吹くトリナクス》 -クリーチャー(18)- |
4 《荒廃稲妻》 2 《野生語りのガラク》 4 《稲妻》 3 《大渦の脈動》 2 《不屈の自然》 -呪文(15)- |
4 《死の印》 4 《大貂皮鹿》 1 《大渦の脈動》 3 《野生の狩りの達人》 1 《真髄の針》 2 《終止》 -サイドボード(15)- |
Game 1

ダイスロールで先手はSimon。同型対決は先手が有利であることが多いが、このマッチはそんな事と関係ないくらいに圧倒的なマッチだった。
互いに土地をセットし、Simonは3ターン目に《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャスト。対するKyleは、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》2枚と《根縛りの岩山/Rootbound Crag》という土地のため、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャストできない。
ここでSimonは、Kyleがクリーチャーをコントロールしておらず、続唱でめくられる除去が無駄になることを嫌って、4マナ揃っているにもかかわらず、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》ではなく《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャスト。1体目の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》がアタックし、Kyleのライフは17。
Kyleは、黒マナを、土地をおくことができない。Simonは、2体の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》でアタック、Kyleのライフを11にすると、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》をキャストし、その忠誠カウンターを4にする。
なおも土地がひけず、まったくアクションを取れないKyle。続くターンに《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》の《踏み荒らし/Overrun》能力が発動してしまえば、(3+3)×2の12点のダメージが入る事が確定してしまい、続く自分が先手のゲームへとかける事にする。
Simon 1-0 Kyle
初日の時点で、齋藤と八十岡というふたりのPoYに、ジャンドについてインタビューした。
《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》と《不屈の自然/Rampant Growth》、別々のアプローチのジャンドを持ち込んだふたりの出した結論と意見には、大きく違うところも数々あった。
一見、ワールドウェイクはジャンドに有効なカードを与えなかったように思えたが、《《怒り狂う山峡/Raging Ravine》という土地の投入は、ジャンドの戦略を大きく変えたということだった。
実際に、このプロツアー全体を見た感想として、ワールドウェイクで投入されたクリーチャー化する土地の与えた影響は大きいと思う。
マジックで、ゲームを壊し得るメカニズムを4つあげるとすれば、それはすべてコストを軽減し、ゼロにするメカニズムだ。
ウルザブロックのフリースペル、ミラディンブロックの親和、ラヴニカの発掘。すべてがコスト無しでの行動を可能とし、コストによって平穏が保たれているマジックの世界を破壊する。
では4つめは何か。
それは土地だ。
すべてのコストを生み出す土地だが、そのセットにはコストがかからない。
だから、強い土地が登場すれば、それは環境に大きな影響を与えることは間違いない。
少なくとも、このサンディエゴの結果がそれを示している。
Game 2

Kyleが《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、Simonが《大貂皮鹿/Great Sable Stag》とキャストした3ターン目を経て、Kyleは4ターン目にキッカー付きで《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》をキャストする。
これによって《怒り狂う山峡/Raging Ravine》が破壊され、Simonは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を出しつつ、また3枚目の土地をおく。
ここで、セットランドから1マナ余らせてKyleがキャストした《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が2枚目の《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》をカスケード。余った1マナでキッカーを支払い、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》2枚目を破壊する。
さらに、Simonがセットした《野蛮な地/Savage Lands》が《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》3体目で破壊され、Simonは手札にある4マナのカードをなかなか活かすことができない。逆に、3回の土地破壊で優位を築いたKyleは、盤面的には損をするにもかかわらず、強引に5体のクリーチャーでアタック。
《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》の犠牲のもとに、7点のダメージが与えられ、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の能力を使ったSimonのライフは11点に。
セットランドでも、まだ3マナのSimon。ここで《大貂皮鹿/Great Sable Stag》をキャストしてターンを終了。返しのターンでKyleは《荒廃稲妻/Blightning》をうち、Simonのライフは8になる。さらに戦場に《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を追加する。
やっと4マナに達したSimonはついに《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》を戦場に降臨させる...が、Kyleは1枚で8点持って行ける《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》をキャスト。
Simonの手札には、この《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》への対抗策は無く、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》の続唱も、この1ターンクロックを解決してはくれなかった。
Simon 1-1 Kyle
冒頭であげた両名のデックリストをみて、その上で、齋藤・八十岡両名のインタビューを見て、気づいたことは無いだろうか?
齋藤は《不屈の自然/Rampant Growth》を、そして八十岡は《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を。どちらを投入するかでジャンドは大きく分類されていた。
では決勝戦を戦っているこのふたりのジャンドは、どちらのジャンドか。
答えは両方。そう、彼らは、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を投入し、そして《不屈の自然/Rampant Growth》、もしくは《探検/Explore》を投入しているのだ。
Game 3

再びSimonが先手をとる。そして、このマッチでも再びKyleは土地事故に見舞われる。
互いに3ターン目に《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を並べあったが、Kyleは4枚目の土地を置けない。一方のSimonは順調に土地を並べて、2枚目の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を戦場に追加する。そして、残った1マナでターンエンドにKyleの《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を除去する。
そして、2体の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》でアタック。Kyleは3体の苗木トークンで一方をブロックし、1体のダメージを通す。これで、Simonは一方的に苗木3体と《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を得ることとなる。さらに、《大貂皮鹿/Great Sable Stag》が追加される。
土地が3枚のままであるKyleは、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を追加。しかし、この《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》も《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》との相打ち要員にしかならず、Kyleのライフは7になり、そして《荒廃稲妻/Blightning》が4へと削る。
苗木トークン6体と、《大貂皮鹿/Great Sable Stag》に対抗する方法は、このマナ域ではほぼ無かった。
Simon 2-1 Kyle
一言にジャンドが強い、というのは簡単だが、今までに《不屈の自然/Rampant Growth》と《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》の2タイプがあったように、そして、今回決勝を戦っているハイブリッドタイプに進化したように、ジャンドはジャンドで変化を続けている。
それを、ひとつのアーキタイプが独占している時代だとしか見れないのは狭量ではないか。
事実として、新しい形のジャンドが、今、決勝戦を戦っている。
これは、つまり、ジャンドに勝てるデッキが無かったのではなく、ジャンドに勝てるデッキに勝てるジャンドという、真の意味でのメタジャンドを完成させてきたプレイヤーがいたということだ。
このことに留意しないで、「ただ、ジャンドが勝っただけ、続唱ゲーつまらない」という感想を持っている人間がいたとしたら、彼らのデッキリストを、彼らが築いてきた練習を、彼らの物語をキチンと見ていないということになってしまう。
最強のデッキに勝てるデッキを構築するのと同じくらい、最強のデッキを勝てるデッキとして構築してくることは難しいのだから。
Game 4
1ターン目に《野蛮な地/Savage Lands》をセットしたKyleは、《強迫/Duress》でSimonの手札から《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を奪う。
Kyleが《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、Simonが《大貂皮鹿/Great Sable Stag》を並べた末に、Kyleは《荒廃稲妻/Blightning》をキャストする。
ここで、手札に1枚の土地である《山/Mountain》をディスカードするか否かで小考した上で、Simonは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》と《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をディスカード。そして、残した《山/Mountain》をセットして、《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》をキャストする。
だが、この《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》は《稲妻/Lightning Bolt》で除去され、2枚目の《荒廃稲妻/Blightning》がSimonの手札をゼロにする。
互いの《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、そして苗木が相打ちを繰り返し、展開につぐ展開から、トップデック合戦に突入する。
このトップデック合戦を制するかと思われたKyleの《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》は、手札がゼロの相手には非常に残念な《精神腐敗/Mind Rot》。とはいえ、パーマネント数で圧倒的に優位のKyleは全軍でアタックする。
ここでいったん場を整理しよう。この時レッドゾーンに送り込まれたKyleのクリーチャーは、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と3体の苗木トークン、そして《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》。対するSimonの用意できるブロッカーは2体の《大貂皮鹿/Great Sable Stag》。
Simonは《大貂皮鹿/Great Sable Stag》と《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を相打ちさせ、苗木のうち一体を《大貂皮鹿/Great Sable Stag》で一方的に討ち取る。さらに、Simonは《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》のトップデック返しを見せ、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》をカスケード。一気に陣容を整える。
だが、しかし。Kyleが無傷の20ライフなのに対して、Simonのライフはわずか5点。互いにコントロールしている《怒り狂う山峡/Raging Ravine》のサイズも同じ+1/+1同士である故に、攻めやすいKyleの方が依然として有利だといえる。
そのままKyleは攻め続け、Simonは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》のチャンプブロックで耐えるが、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》は大きくなるばかり。最終的にSimonは《怒り狂う山峡/Raging Ravine》を自身の《怒り狂う山峡/Raging Ravine》と《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》で討ち取り、苗木を残して、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を《大貂皮鹿/Great Sable Stag》と相打ちする。
これによって、Kyleのコントロールするパーマネントは大量の苗木トークンだけになる。ライフは残り1だが、《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》をトップデックすれば勝てる場をSimonは構築した。
しかし、《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》は引けず、結局、Kyleは自身が起動した《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》で削られた1点しかライフを削られずゲームを終えた。
Simon 2-2 Kyle
先ほども述べたように、このマジックというゲームはコストの概念に大きく依存しているため、コストを踏み倒すメカニズムには注意が必要だ。
ジャンドというデックの骨子になっている続唱もまた、コストを大きく踏み倒すメカニズムであり、前述の4つのメカニズムと肩を並べうるだけのメカニズムだろう。
だが、ジャンドと言えば、続唱、という固定概念にとらわれていないだろうか?
《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》はたしかに4枚入るだろう。そして、《瀝青破/Bituminous Blast》はマナカーブが許す限り投入するべきだろう。
この考え方にとらわれたジャンドは、決勝まで上ってきていない。
もう一度、デッキレシピをよく見て欲しい。
このふたりのレシピをあわせても、《瀝青破/Bituminous Blast》の枚数は、Kyleのサイドボードに投入された1枚のみ。
彼らは《瀝青破/Bituminous Blast》の対象を減らしてくるジャンドメタデックに勝利するためには、《瀝青破/Bituminous Blast》にこだわるのではなく、軸をずらしたデックとして構築してくる必要があると考え、そしてそのデックで勝利を得たのだ。
Game 5

ここまで、互いに自分の先手番に勝利したため、2勝同士の最終戦までもつれこむ。
そして、この最後のゲームで先手番を得たのは、ダイスロールで先手を得たSimonだった。
Simonが2ターン目《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》、3ターン目に《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》と並べるのに対して、Kyleは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を《終止/Terminate》し、《大貂皮鹿/Great Sable Stag》をキャストする。
《大貂皮鹿/Great Sable Stag》を《稲妻/Lightning Bolt》で対処したSimonは《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》でアタック。《不屈の自然/Rampant Growth》で土地を伸ばし、ターンを終える。
返しでKyleは動けない。だが、Simonもジャンプアップしたマナを最大限に活かすわけでもなく、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》でアタックすると、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》をキャストするのみでターンを返す。
ここでKyleは《瀝青破/Bituminous Blast》を《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》に。この《瀝青破/Bituminous Blast》が、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》、そして《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》というジャンドオールスターと言っていい続唱を見せつけ、一気に盤面を均衡させる。だが、アタックした《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》は《稲妻/Lightning Bolt》で除去されてしまう。
Simonがアタックさせた《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》が《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》同士で相打つと、戦場には互いに3体ずつの苗木トークンがばらまかれる。Simonは、このトークンだらけの戦場に、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》でさらに3体のトークンを追加する。
Kyleは《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を追加し、これまた別の、今度は3/3のトークンを追加する。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》がいては、ゴブリンがゴブリン以上の存在になってしまうため、これを《稲妻/Lightning Bolt》で除去する。
それなら《稲妻/Lightning Bolt》返しだと、Simonも3/3ビーストを《稲妻/Lightning Bolt》で除去。6体の1/1トークンでアタックする。Kyleは3体の苗木でゴブリン3体を討ち取る。Simonはさらに《荒廃稲妻/Blightning》をうち、Kyleの手札をゼロにした上で、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を退場させる。
返すターンのKyleのドローは《怒り狂う山峡/Raging Ravine》。Simonも返しに《怒り狂う山峡/Raging Ravine》をセットしつつ、《溶岩爪の辺境/Lavaclaw Reaches》と3体のトークンでアタック、Kyleのライフを4にする。
Kyleは、トップデックに期待して、そして、ひいたカードを見て、Simonに手を差し出した。

Simon 3-2 Kyle
Kyleの撃った、たった1枚の《瀝青破/Bituminous Blast》は、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をめくり、そして《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》へとつながった。ジャンドの続唱としては最高の展開で、あり、普通に考えれば、これだけでゲームに勝てる展開だ。
だが、結果として、Kyleはそのゲームを落とし、マッチを落した。
ゲームを制したのは、より多くのクリーチャー化する土地、《溶岩爪の辺境/Lavaclaw Reaches》を投入していたSimonだった。
先手後手の問題も大きく、単純にデックレシピだけに結果を求めるのはおかしいが、だが、デックレシピをまったく見ないで、ジャンドが勝った、先手が勝った、とだけ考えて、今の環境をつまらないと考えてしまうのは、あまりにもマジックをハッピーに楽しんでいない。
ワールドウェイクは、大きく環境を変化させ、そのワールドウェイクで登場した《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》は、LSVを17連勝させて、マジックの歴史を大きく変えた。
ほんの小さな事が世界を大きく変える。それはワールドウェイクの世界観が物語っていることであり、そして、今回のプロツアー・サンディエゴという大会で紡がれた物語が証明していることだ。
来月開催される、グランプリ・横浜は、レギュレーションをエクステンデッドにかえ、世界の見え方を変えるだろう。4月には、エルドラージ覚醒が発売され、きっと、また世界を変化させるだろう。変化は必ず訪れるが、それが必ず大きいとは限らない。
全勝優勝すると思われたLSVが、準決勝で敗退したように、最強と思われているジャンドというデックが敗北する日も来るだろう。そして、また、それに勝つジャンドが登場もするだろう。
なぜなら、変化こそが、マジックの本質なのだから。

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