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1st Draft:曲者が曲者と呼ばれる理由

1st Draft:曲者が曲者と呼ばれる理由

By Daisuke Kawasaki

 ブロック構築5回戦が終了し、初日も残すところ、あとドラフト3回戦のみとなった。残り3回戦を戦った結果によって、二日目に進出できるか同化が決まることとなる。

 まずは、その運命の3回戦を戦い抜くブースタードラフトが行われる。

 今回最大の注目は、Darwin Kastle・Ben Rubin・Brian Kiblerといったスターの並ぶ3番卓だが、そちらはドラフトビュワーが用意されているので、そちらを参照していただきたい。

 というわけで、この記事では、10番卓でおこった出来事を簡単に追いかけていきたい。

 10番卓のメンバーは以下の通り。

1.Jan Ruess(ドイツ)
2.彌永 淳也(東京)
3. 大塚 高太郎(神奈川)
4.Peta Picard(アメリカ)
5. Paul Rietzl(アメリカ)
6. Tuomi Sami(フィンランド)
7. Matthew Nass(アメリカ)
8. Julien De Graat(ドイツ)

 プロツアー・トップ8二回のJan Ruessを筆頭に、なかなかに濃い面子が揃っている。この卓の日本人プレイヤーは

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 2005年日本選手権準優勝、グランプリ・北九州優勝とリミテッド・構築問わず高い技術力と練習量で成績を残し続ける真のストイック彌永 淳也(東京)と

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 2003年日本チャンピオンにして、今なお安定した成績を残し続ける古淵のアベレージキング、「曲者」大塚 高太郎(神奈川)の2名。

 個性的な二人が上下で並ぶ形になったので、このふたりのピックを眺めながら、この卓でおこった出来事を簡単に追いかけてみよう。

■彌永の場合

彌永 「最初のパックの序盤がひどすぎて大変だった......」

 彌永の初手は、《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》。続く2手目でも《大群守り/Broodwarden》をピックし、赤緑の落とし子系デックを狙う。

 だが、その後、まったく緑のカードが流れてこない。

彌永 「たぶん、上が緑だと思うんだけど......」

 この時、彌永の上である1.Jan Ruessは赤白をピックしていたものの、さらに上に当たるJulien De Graatは赤緑をピックしている。

 3ピック目で《死者のインプ/Cadaver Imp》を取り、4ピック目で《裏切りの本能/Traitorous Instinct》をピックした上で、5手目。

彌永 「ここで、本当は色変えしておけばよかったんですけどね......」

 ここで彌永がピックしたのは《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》。

 《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》や《裏切りの本能/Traitorous Instinct》とのシナジーも良好であり、すでに《死者のインプ/Cadaver Imp》をピックしていることも含めて、赤黒の落とし子系への移行をすすめた。

 だが、ここで思い切って青白のレベルアップ系に行けば良かったという。

彌永 「ここまで取ったカードとのシナジーがあるからって《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》をとって流れを無視したのは失敗だった。そこまでもそれなりに青白のカードは流れていたのに......」

 実際に、先ほども言ったように、彌永の上は赤白・赤緑と、赤がかぶっている。

 この時点で彌永にとっては非常に苦しいのだが、さらに彌永が厳しくなる状況となっていく。

 実は、その上のMatthew Nassも赤緑系のピックをしていたのだが、その二人上であるPaul Rietzlが実質緑単のピックをしており、《オンドゥの巨人/Ondu Giant》をはじめとする緑系のカードをほぼ独占していたのだ。

 そして、そこから漏れた緑系のカードも6番席に座り、白緑系のピックをしているSami Tuomiが拾っているため、完全に緑の流れがシャットアウトされてしまったのだ。

 これによって、困ったMatthewとJulienの二人はどうしたか。

 赤と組み合わせる色を黒へとチェンジしたのだ。

 この傾向は、3パッく目で特に顕著で、結果として、彌永の上には、Jan Ruessを挟んで二人の赤黒がうまれることとなった。

 その状況でくみ上げた彌永のデックがこれだ。

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彌永 「下(大塚)のデッキはすごい強いと思いますよ。本当はオレがやらなきゃいけない位置だった青白やってるはずですから。青白のすごい強いレベルアップデッキを作ってるはずです」

 それでは大塚のピックを見てみよう。

■大塚の場合

 まずはデックを見てもらおう。

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 たしかに彌永の予想通りの青白なのだが......レベルアップどこ?

大塚 「あぁ、レベルアップですか、そんなシステムありましたね」

 大塚のデックのメインになっているのは、この2枚だ。

大塚 「《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》は白い《叫び大口/Shriekmaw》!」

 とまで断言したかどうかは置いといて、大体こんな感じのことをいっていた。

 それほどまでに見事な《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》デッキ。《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》しかいない!しかだけに!

 《睡眠発作/Narcolepsy》をファーストピックした大塚は、その後、《記憶の壁/Mnemonic Wall》をピックし、赤青+黒のピックを目指していたが、そこで彌永同様に青白の流れが良いことに気がついた。

 ここで普通なら、彌永のいうように、青白のレベルアップを目指すのだが、そこは曲者の大塚、カウンターを中心としたピックをしていたのだ。

 そんな中、3パック目で大量の《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》が流れてくる。1手目・3手目・5手目と続けて《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》をピックし、見事な《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》デッキが完成したのだ。

 繰り返すが、《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》は白い《叫び大口/Shriekmaw》。

 しかし、デックを見ると、あまりにもクリーチャーが少ないような......

大塚 「《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》をカウンターで守りきってやりますよ!」

 大塚の強い意気込みと、曲者ならではの独創的にすぎるデックが完成したこのドラフト。

 果たして、彌永と大塚はこの相棒と共に、二日目進出を果たすことができるのか。

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