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Round 16:井川 良彦(東京) vs. 佐々木 優太(東京)

Round 16:井川 良彦(東京) vs. 佐々木 優太(東京)

By Daisuke Kawasaki

 15ラウンドで大塚 高太郎(神奈川)が勝利し、16ラウンドでID(合意の引き分け)を選択できたことで、トップ8入賞を確実なものとした。

 一方で、残る3敗ラインには日本人はいないため、4敗でのオポーネントマッチパーセンテージ(ここまでに対戦した相手の勝率)差でトップ8のタイブレークを狙うことになる。

 その、4敗ラインで戦う権利を持った日本人同士がマッチアップされた。

 ひとりは井川 良彦(東京)。

 二度目のプロツアー、初の海外参戦であったプロツアー・サンディエゴで日本人唯一のトップ8入賞を果たし、ツアー戦線に名乗りを挙げたプレイヤーだ。突破当時はフロックではないかという声も多かったが、2大会連続でこのラインに残っている以上、その実力は本物だ。

 対するは佐々木 優太(東京)。

 今回が初のツアー参戦であり、マジックのキャリアは1年ちょっとというライジングスター中のライジングスターである。

 といっても、それはマジックでの話。幼少期のデュエル・マスターズをはじめ、数々のTCGでタイトルを総なめしてきた筋金入りのTCGプレイヤーである。「まだまだトップの強さの底が見えない」と初プロツアー参戦の感想を語る佐々木だが、浅原 晃や渡辺 雄也といったプレイヤーも太鼓判を押す抜群のセンスを持ったプレイヤーである。

 共に、次世代の日本を背負う人材同士の対戦。

 ラウンド15終了後のスタンディングを見る限りでは勝利しても、トップ8入賞はかなり厳しいが、トップ12はほぼ確定できるラインである。

 グランプリ・仙台に参加できない井川も、いまだ世界選手権の参加資格を持たない佐々木も、ここは1ポイントでも多くプロポイントが欲しい場面。

 青白の同型対決を制するのはどちらか。

Game 1

 ダイスロールで先手は井川。《未達への旅/Journey to Nowhere》が4枚の手札を相手のデックを知っているだけにマリガン。マリガン後の手札も《未達への旅/Journey to Nowhere》が2枚というものだったが、これをキープ。

 2ターン目の《前兆の壁/Wall of Omens》からスタートした井川に対して、佐々木は《広がりゆく海/Spreading Seas》で井川の《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》を《島/Island》にし、マナを縛りにかかる。

 井川の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を《呪文貫き/Spell Pierce》で予定通りカウンターした佐々木は、返しで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をキャストする。

 これによって大きくアドバンテージを取った佐々木。さらに井川は土地が止まってしまう。

 この隙を逃さず、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の+2能力で井川の山札のトップを確認する佐々木だったが、そこにいたのは《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》。ならばと、小考の末に《エメリアの天使/Emeria Angel》をキャストする。

 ここで井川は、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の対消滅ではなく、《エメリアの天使/Emeria Angel》を《未達への旅/Journey to Nowhere》で除去することを選択する。土地自体が伸びない井川に対して、佐々木も青マナがふたつしかないという状況のため、ここで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の《渦まく知識/Brainstorm》能力を使用する。ここで《島/Island》をゲット。

 その後、佐々木は《エメリアの天使/Emeria Angel》をキャスト。この《エメリアの天使/Emeria Angel》を《剥奪/Deprive》でカウンター使用とする井川だったが、またも《呪文貫き/Spell Pierce》が刺さる。《島/Island》をセットし、青マナをふたつ残した状態でターンエンド。

 すでにトークンが2体でているため、5点クロックを完成させている佐々木。これを崩すためにキャストした《未達への旅/Journey to Nowhere》が《剥奪/Deprive》されてしまう。

 佐々木はここで、《広がりゆく海/Spreading Seas》を唯一の《平地/Plains》にキャストし、さらに《地盤の際/Tectonic Edge》で《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》を破壊。井川の白マナを完全に縛ってしまう。

 対応策として手札に《審判の日/Day of Judgment》を持つものの、これを完全に封じられた形になってしまった井川は、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を対消滅させたものの、飛行クロックへの対抗策がないのだった。

佐々木 1-0 井川

Game 2

 後手の佐々木がマリガン。

 対して、井川は2ターン目に対同型での秘密兵器とも言える《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》をキャストする。これに対して、佐々木は《広がりゆく海/Spreading Seas》で白マナを縛ることしかできない。

 井川は《剥奪/Deprive》用の{U}{U}を確保しながら、じわじわとレベルアップを重ね佐々木のライフを削って行く。

 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を《取り消し/Cancel》され、返しに《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をだされるという、Game 1で自身がやったことの鏡うちをされる佐々木。違うのは、戦場に《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》というクロックがあるか無いか、だけだ。

 佐々木は、《エメリアの天使/Emeria Angel》を追加。これに対して、井川はまず、自身の山札を《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で確認し、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》をキャスト。スーパープレインズウォーカータッグを完成させる。

 佐々木は、セットランドとフェッチで2体の1/1飛行を追加し、《家畜化/Domestication》をキャスト。これで、《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》のコントロールを奪う狙いだ。井川は《呪文貫き/Spell Pierce》をキャストするが、2マナ残っているにもかかわらず、佐々木はなぜか《呪文貫き/Spell Pierce》でカウンター仕返す。

 井川は少し首をひねるが、これによって《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》の忠誠カウンターは3に。自身のターンに井川は《エメリアの天使/Emeria Angel》を《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》の能力で除去し、《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》を《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》でバウンスする。

 改めてキャストした《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》で守りを固めてターンを終了。佐々木は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》の退場には成功したものの、トークンをさらに1体失って、残りは2体に。

 井川が《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》をX=2でキャストし、マナベースを整えた次のターン。佐々木は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》をカウンターされたことで、土地を片付けた。

佐々木 「《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》つよ!」

井川 「そりゃそうだ」

佐々木 1-1 井川

Game 3

 後手の井川はマリガン後の手札を見て、思わず苦笑いをする。なんと、デッキに入っている《エメリアの天使/Emeria Angel》3枚が全集合していたのだ。

 仕方なくダブルマリガンでゲームをスタートする井川。佐々木が4ターン目にキャストしてきた《エメリアの天使/Emeria Angel》こそ《取り消し/Cancel》で打ち消したが、引いた4枚目の土地が2枚目の《地盤の際/Tectonic Edge》で、佐々木は基本土地しかコントロールしていない。

 そして、《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》をX=1で出したものの、《天界の列柱/Celestial Colonnade》を佐々木の《地盤の際/Tectonic Edge》で破壊されてしまい、青マナが2マナ確保できなくなってしまう。

 ここで、佐々木は2枚目の《エメリアの天使/Emeria Angel》をキャスト。当然これへのカウンターを持たず、続くターンにも、青マナを引けない。まったくやることがなくなってしまった井川は、X=2の《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》を置いてターンエンド。

 そしてこの《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》が《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》で破壊され、マナでも枚数でも、そして盤面でもアドバンテージを取られてしまう。

 続くターンに《霧深い雨林/Misty Rainforest》を引き、やっと確保した{U}{U}で《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》をキャストし、レベルを3にした井川だったが、この《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》を《家畜化/Domestication》されてしまうと、あとは右手を差し出すことしかできないのだった。

佐々木 2-1 井川

井川 「あー、トップ8まであと1勝のところから、2連敗した......本当にくやしい......」

佐々木 「一応目標はプロツアー・アムステルダム権利(トップ50・佐々木はすでに目標達成済)だったから、満足といえば満足ですけど...途中あと一回勝ててれば......」

 日本の歴史上で最強プレイヤーを決めるとすれば、大礒 正嗣(広島)の名前を挙げる人は多いだろう。その大礒は、マッチに敗北すると、席に残って、黙々と一人回しをはじめ、自身の敗北への怒りをぶつける。

 大礒に限らず、強いプレイヤーは、自身の敗北に憤り、隠しきれないほどに悔しい気持ちを持っていることが多いように思える。その怒りが、次の勝利への糧となるのだ。

 世界をまわるレベル8プレイヤーである、齋藤・中村・三田村・渡辺の4人が、今期に入ってから口を揃えていっていることがある。

 世界のレベルが上がった。他の国は層の厚さが違う。日本は今、遅れている。

 彼らが言うのならば、おそらくそれは事実なのだろう。

 だが、その層の薄さをフォローする人材も、今、日本で着々と育っている。

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