マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

2nd Draft:最後の下位卓者

2nd Draft:最後の下位卓者

By Daisuke Kawasaki

 プロツアー・サンファン二日目が開幕!

 本日のフォーマットはエルドラージ覚醒ドラフト3回戦+ゼンディカーブロック構築5回戦。つまり、まずはエルドラージ覚醒ドラフトにて、3回戦を戦い抜くデックを作製しなければならない。

 「FFfreak」ことBrad Nelsonや、殿堂プレイヤーZvi Mowshowits、さらには日本の井川 良彦といった注目プレイヤーの集まる第2卓はこちらのドラフトビュワーで確認していただけるとして、こちらでは他の卓を追いかけてみようと思う。

 さて、今回の二日目進出者は、8の倍数に対して3人足りない。

 ドラフトは卓に8人座って行われるものなので、当然ながらこれでは卓が成立しないのだ。こう言う場合にプロツアーではどうするかというと、足りない人数分の下位卓が7人ドラフトとなる。

 たとえば、序盤連敗からからくも二日目進出を果たした齋藤 友晴(東京)はこの7人卓であった。

齋藤 「これで、2日目1勝は確定ですね!生きていて良かった!」

 ほぼ負けの許されない3敗ラインでのドラフト、ということで、決してポジティブな状態ではないのだが、それをもポジティブにとらえるあたり、さすがは「ポジティブの貴公子」と言った所か。

 さて、そんな下位卓の中に、ひときわ目立った卓がある。

 16番卓だ。

 ちょっとメンバーを見ていただこう。

1.Frank Karsten
2.Sebastian Thaler
3.Thomas Enevoldsen
4.Luis Scott-Vargas
5.Stephan King
6. 渡辺 雄也
7. Bernhard Sternbauer

 どうだろうか。殿堂プレイヤーのFrank Karstenをはじめとして、世界最強の一角LSVに、2006年新人賞のSebastian Thaler、そしてなにより、日本の渡辺 雄也。

 上位卓であればフィーチャリング間違い無しの豪華面子によるドラフトが、この下位卓の7人卓で行われている。

 これだけ豪華なドラフトを見逃すのも非常にもったいないので、この2nd Draftではmtg-jp.comでもドラフト記事を好評連載中の渡辺 雄也のピックを追いかけてみよう。


第1パック


1 《絶望の誘導/Induce Despair》
2 《こだまの魔道士/Echo Mage》
3 《溶口/Magmaw》
4 《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》
5 《現実離れした回顧/Surreal Memoir》
6 《血儀式の発動者/Bloodrite Invoker》
7 《尊大な血王/Arrogant Bloodlord》
8 《肉喰らうもの/Rapacious One》
9 《オーガの歩哨/Ogre Sentry》
10 《グロータグの包囲抜け/Grotag Siege-Runner》
11 《ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher》
12 《世界大戦/World at War》

 オープニングパックで渡辺が考慮したのは、《絶望の誘導/Induce Despair》と《肉喰らうもの/Rapacious One》の2枚。かなり検討した上で、渡辺は除去を優先して《絶望の誘導/Induce Despair》をピックする。

 3手目で《巣立つ大口獣/Fledgling Mawcor》をピックした上で、5手目で《現実離れした回顧/Surreal Memoir》と赤いカードをピックし、赤黒の除去系デッキを指向。

 2手目ではまったく取るカードが無かったため、《こだまの魔道士/Echo Mage》をピックしたものの、青赤黒の3色除去コントロールよりも、赤黒2色に絞りたかったとのこと。

 そして8手目。7人ドラフトなので。これは渡辺のオープニングパックなのだが、初手候補としてなやんでいた《肉喰らうもの/Rapacious One》がここに来て一周してくる。

 こちらの記事でもあるように、《肉喰らうもの/Rapacious One》を喰らうものは、多くのコンボを内包しているカードであるし、なによりこれによって4手目の《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》が俄然使いやすくなる。

 喜び勇んでピックした。

 この時点での卓の色配置は以下の通り。

1.Frank Karsten 赤黒
2.Sebastian Thaler 青黒
3.Thomas Enevoldsen 白緑
4.Luis Scott-Vargas 赤緑黒
5.Stephan King 青白
6. 渡辺 雄也 赤黒
7. Bernhard Sternbauer 青白

 上下を青白に挟まれ、さらに、4番卓のLSVのデックも、緑黒に強い赤の除去をタッチするかどうかというもの。

 位置取りとしては非常によい。

渡辺 「赤の位置取りはすごく良かったと思います。1パック目の途中で赤黒がいけそうだったので、そのままいけたのがよかったですね」


第2パック


 逆回りとなる第2パック。

1 《血の復讐/Vendetta》
2 《黒死病の悪魔/Pestilence Demon》
3 《軟体の起源/Gelatinous Genesis》
4 《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》
5 《コジレックの捕食者/Kozilek's Predator》
6 《戦いへの欲望/Lust for War》
7 《血儀式の発動者/Bloodrite Invoker》
8 《思考の消滅/Perish the Thought》
9 《思考の消滅/Perish the Thought》
10 《本質の給餌/Essence Feed》
11 《ルーンの苦役者/Runed Servitor》
12 《餌食の復讐/Prey's Vengeance》

 ここで望外の《血の復讐/Vendetta》をピック。赤黒除去系のデックを目指しているだけに申し分のない第1ピックだ。

 続いて、2手目で《黒死病の悪魔/Pestilence Demon》をピックした上で、3手目では《軟体の起源/Gelatinous Genesis》をピック。さらに、5手目でも《コジレックの捕食者/Kozilek's Predator》をピックしている。

 この時点で、赤緑、もしくは黒緑への移行を検討したのだろうか?

渡辺 「基本的にはカットですね。でも、色を変えよう、とは思っていませんでしたが、《予言のプリズム/Prophetic Prism》をピックして、タッチすることは考えていました」

 こちらでも紹介している《予言のプリズム/Prophetic Prism》によるタッチのテクニックだ。

渡辺 「まぁ、《予言のプリズム/Prophetic Prism》が1枚も流れて来なかったのでできませんでしたけどね」

 その後は全体的にカードが厳しいピックが続いてしまった。

渡辺 「《戦いへの欲望/Lust for War》は意外と強いカードなので、今度記事でも紹介するかもしれませんね!」

 この時点での色配置は以下の通り。

1.Frank Karsten 赤黒
2.Sebastian Thaler 青黒
3.Thomas Enevoldsen 白緑
4.Luis Scott-Vargas 緑黒
5.Stephan King 青白
6. 渡辺 雄也 赤黒
7. Bernhard Sternbauer 青白

 4番のLSVがほとんど緑単といっていいピックを行い、赤の可能性を捨てていたように見える。

 順回りになる3パック目にかなり期待ができる配置だ。


第3パック


1 《血の復讐/Vendetta》
2 《最後の口づけ/Last Kiss》
3 《薄暗狩り/Gloomhunter》
4 《熱光線/Heat Ray》
5 《よろめきショック/Staggershock》
6 《最後の口づけ/Last Kiss》
7 《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》
8 《最後の口づけ/Last Kiss》
9 《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》
10 《ネーマの沈泥潜み/Nema Siltlurker》
11 《窯の悪鬼/Kiln Fiend》
12 《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》
13 《孔の歩哨/Vent Sentinel》
14 《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》

 初手での《血の復讐/Vendetta》をはじめ、3枚の《最後の口づけ/Last Kiss》と遅い順目での《よろめきショック/Staggershock》をピックできた、大収穫のパックだったといえるだろう。

渡辺 「3パック目で除去を取れないと《現実離れした回顧/Surreal Memoir》が使えないので意識して除去を取っていましたね。ちょっと取れすぎでしたけど。後半は十分に除去があったのだから、もう少しクリーチャーをとっても良かったかもしれません」

 とはいえ、非常に充実したピックを終えた渡辺。

 できあがったデックはこちらだ。

jpg

 それでは、ピックの感想を渡辺に聞いてみよう。

渡辺 「7人卓はかなり感覚が違って困りましたね......途中から修正しようとしましたけど......」

 通常のマジックであれば、なかなか経験することの少ない7人卓。ここでの感覚の違いに戸惑ったという。

渡辺 「普段ドラフトする時は、自分のピックしたパックから何が帰ってくるかを考えてドラフトしているんですけど、7人だと戻ってくる枚数が違って、それでちょっとびっくりしましたね」

 一周してくるカードを予想してピックを組み立てるのはドラフトをする上でも重要なテクニックのひとつだが、渡辺レベルの完成度となると、逆に1枚のズレが大きな戸惑いにつながるようだ。

渡辺 「あと、ディフェンシブなカードの点数に違いがあったのが気になりましたね。とくに3パック目での《孔の歩哨/Vent Sentinel》が取れたのがもったいなかったです」

 取れたのにもったいなかったというと?

渡辺 「もう1枚あれば、デッキにいれられましたからね。このデッキだと、4マナ域がちょっと弱くて守れないので。《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》につなぎたいことを考えても欲しかった感じはします」

 なるほど。

 ちなみに、このデックのコンボは?

渡辺 「《黒死病の悪魔/Pestilence Demon》と《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》です!」

 まったくコンボであるようには見えないが、その辺の解説は、再来週に更新されるプロツアー実践編に期待しよう。

前の記事: Draft Viewer: Draft 2, Table 2 | 次の記事: Round 9:井川 良彦(東京) vs. Brad Nelson(アメリカ)
イベントカバレージ/プロツアー・サンファン10 一覧に戻る

イベントカバレージ