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準々決勝: Noah Swartz(アメリカ) vs. Jeremy Neeman(オーストラリア)

準々決勝: Noah Swartz(アメリカ) vs. Jeremy Neeman(オーストラリア)

By Bill Stark / Translated by Yusuke Yoshikawa

 プロツアー・サンファンでトップ8に残った3人のアメリカ人のひとり、ノア・シュワルツは、殿堂プレイヤー・ズヴィ・モーショヴィツ謹製のブロック構築デッキによる大きな後押しによってこの場にいる。彼の予選ラウンドにおけるドラフトの成績は2勝4敗でしかなく、ドラフトによってトップ8の戦いが行われるとあっては、彼のチャンスはほとんどない、と当初は思われていた。
 しかし、彼はなんとかしてプランを組み立て、ドラフトでうまく実行に移した。そして卓内最強レベルの白青Lvアップ系デッキを引っさげて、この場に現れたのである。
 一方、オーストラリアから参戦のジェレミー・ニーマンは、1990年代中盤のトム・チャンフェン以降、かの国のプレイヤーが遠ざかっている偉業、すなわち「プロツアー制覇」に挑むこととなった。
 果たして、シュワルツはニーマンのパワフルなデッキを撃退することができるか、それともニーマンがオーストラリア勢2度目の栄冠に一歩近づくことができるか?

Game 1

 ダイスロールで先攻をとったシュワルツが《隊商の随員/Caravan Escort》でゲームをスタートする。第2ターンに1/1が2/2になって、ニーマンのライフは18となった。
 これに応えてニーマンは《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》をプレイ。しかしこれを「ピンガー」にレベルアップさせるのではなく、《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》をプレイして、4/2にした《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》を戦闘に送り込むことを選んだ。


qf1NeemanSwartz_550.jpgノア・シュワルツ(アメリカ,左)とジェレミー・ニーマン(オーストラリア)が、
フィーチャーマッチエリアの輝かしい光の中で対峙する


 シュワルツはこのやる気満々魔道士にさしたる心配をしなかったようで、自分の《隊商の随員/Caravan Escort》をLvアップし続けた。そしてLv3に達したことで、シュワルツのプレイした《勇者のドレイク/Champion's Drake》は4/4という驚くべきサイズで戦場に降り立つこととなった。これで《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》がLv1にアップしようとも撃墜されなくなり、劇的にシュワルツの刻むダメージクロックの速度が上がる。
 しかしニーマンも自身のクロックを上げていく。《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》が自身を強化しての攻撃でシュワルツのライフを12とし、戦闘後に《踏みつけの仔/Stomper Cub》を呼び出した。5/3トランプル持ちはかなりの脅威で、ライフが14対12であることを考えると、ニーマンがこのゲームで初めて主導権を握ったといえる。

 けれどもその主導権も長くは続かない。《勇者のドレイク/Champion's Drake》の一撃でニーマンのライフは10となり、《隊商の随員/Caravan Escort》はLvアップにより5/5先制攻撃となった。《踏みつけの仔/Stomper Cub》は確かに大きいが、もう大きな顔はできない。
 ニーマンは《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》をLvアップするものの、攻撃することができずにターンを返す。シュワルツはアンタップして、どう攻撃するか考える。《勇者のドレイク/Champion's Drake》と《隊商の随員/Caravan Escort》の両方をレッドゾーンに送り込もうとして、またためらって座り直す。《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》を戦闘前に唱えることにして、能力により持ってきた《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》を《勇者のドレイク/Champion's Drake》につける。今や5/5となった飛行戦力がニーマンのライフを半減させた。ニーマンはアンタップ前に《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》で1点のダメージをシュワルツに与える。

 そしてニーマンのターン、このまま《勇者のドレイク/Champion's Drake》に対処できないと最後になってしまうのだが、族霊鎧がついているうえにタフネス5の生物に対処しろというのは、赤緑青のデッキには無理な注文である。《逆行/Regress》か何かバウンス呪文があれば、あるいは《熱光線/Heat Ray》で族霊鎧を何とかすれば1ターンを稼げるのだが。
 彼は《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》をLvアップして、《山/Mountain》《森/Forest》《島/Island》と立たせてターンを返した。
 続くターン、シュワルツが攻撃を宣言すると、ニーマンはさっさとカードを片付けた。単にブラフだったというわけだ。

シュワルツ 1-0 ニーマン

 二人は黙々とシャッフルをする。二人ともトップ8となると未知の領域だけに、迫る来る重圧をなんとかしようと苦闘しているようだ。

Game 2

 Game 2では双方のプレイヤーがマリガンを選択し、6枚でのスタートとなった。後攻のシュワルツが《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》で戦いの幕を開けると、ニーマンも《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》で応える。
 ニーマンが《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》に《蛇の陰影/Snake Umbra》をつけると、シュワルツも《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》をLvアップして、続くターンに《英雄の時/Time of Heroes》を唱え、にわかに巨大クリーチャーが動きまわる戦場となった。
 だが、《護衛の任務/Guard Duty》が《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》への切り札として用意されていた。ニーマンは巨大なブロッカーを持つことになったのだが、不運なことに、相手の大型生物はLvカウンターのおかげでブロックされない状態にあるのだった。

 攻撃を仕切り直すべく、ニーマンは《踏みつけの仔/Stomper Cub》を唱える。シュワルツも攻撃後、《霜風の発動者/Frostwind Invoker》で応える。ライフは14-10でシュワルツがリードしている状態である。
 《踏みつけの仔/Stomper Cub》が攻撃して《霜風の発動者/Frostwind Invoker》と相討ちになると、ニーマンは《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》を出して一度Lvアップ、4/4とした。
 だがこれでタップアウトとなってしまったので、シュワルツは悠々と《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》をLvアップし、被覆持ちの上に《英雄の時/Time of Heroes》の効果で5/5という生物を手に入れる。これで攻撃してニーマンのライフをまたも半減させると、たった1ターンで回答を用意しなければならない状況に追い込んだ。しかも彼自身は14というライフを残している。
 ニーマンはライブラリの一番上のカードを見たが、それは解決策ではなく、二人は第3ゲームに進むこととなった。

シュワルツ 2-0 ニーマン

 初のプロツアー・トップ8で瀬戸際に立たされて、ニーマンは第3ゲームに向けてシャッフルに全力を傾けていた。彼の息遣いの中に、彼自身を奮い立たせる言葉が呟かれるのが聞こえた。もはや1つの負けも許されないのだ。

Game 3

 第2ターンの《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》、そして第3ターンにそれをLvアップするという動きにより、ニーマンは第3ゲームにしてようやく先を見渡せる位置に立ち、勝ち残る希望を持つことができた。
 さらにシュワルツが何もできずに3ターンを過ごしたのに対し、ニーマンは《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》を守りに送り込む。4マナに到達して、シュワルツは《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》を出すが、2/4のパワフルな飛行クリーチャーをもってしても、《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》を止めるには不十分だ。


qf1Neeman_365.jpg「そうしたらこうやって......でも相手はこう来るから......こうなって......」


 さらに《猪の陰影/Boar Umbra》が《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》すらも恐るべきアタッカーに変化させ、2体がレッドゾーンへ。シュワルツはブロックしないことを選び、ライフは4となった。
 シュワルツは《カビーラの擁護者/Kabira Vindicator》をブロッカーとして送り込むものの、ニーマンはいまだ複数のファッティで突撃してくる。両方をブロックし、《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》は《強打/Smite》で対処するが、戦闘後に更なる戦力として《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》を出してくる。シュワルツに残されたクリーチャーは《カビーラの擁護者/Kabira Vindicator》だけだ。

 シュワルツは《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》を出して一気に4/4までLvアップさせる。これで次のターンを生き残るだけのクリーチャーは用意できた、《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》と交換にはなってしまうが。
 しかしながら、対戦相手は違ったプランを持っていた。ニーマンは《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》を唱え、その誘発型能力で《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》をパンプアップさせる。これでこの緑のクリーチャーを有効にブロックするすべがシュワルツにはなくなってしまい、彼のライフ4はビートダウンを生き延びるには足りなさすぎた。
 シュワルツは一応生き延びることはできたが、第4ゲームに頭を切り替えることにした。

シュワルツ 2-1 ニーマン

 同時に行われていた他のマッチが終了したことで、カメラがシュワルツとニーマンのところにやってきて、特にニーマンにとっては最後になるかもしれないゲームを中継することになった。
 彼らはさらなる視線に悩まされることになったかもしれないが、少なくともそんな様子は、彼ら両方から感じられなかった。

Game 4

 第3ゲームにして初めて負けたことで、シュワルツは先攻で第4ゲームを始めることとなった。
 《勇者のドレイク/Champion's Drake》でスタートしたシュワルツは、このマッチ2度目となる、第2ターンの《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》を見ることとなった。これに対し、第3ターンの攻撃後に《生き残りの隠し場所/Survival Cache》を唱え、2点のライフと1枚のカードを得た。《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》はLvアップして4点のダメージを与えてきたが、無事に反復でもう2点と1枚を得ることができた。

 その第4ターン、《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》がシュワルツの新戦力として登場した。ニーマンは《バーラ・ゲドの獣壊し/Beastbreaker of Bala Ged》で攻撃するが、驚くことにシュワルツはこれを出したばかりの2/1をブロックに差し出した。その理由はすぐに明らかにされた。白マナから《強打/Smite》が打ち出され、ファッティを墓地へと送ったのだ。
 戦闘終了後、ニーマンは《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》を唱え、さらに《蜘蛛の陰影/Spider Umbra》をつけた。このオーラで《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》は到達を得て、相手の飛行クリーチャーをブロックできるようになった。


qf1Swartz_550.jpgシュワルツのTシャツには、(もしかすると見えないかもしれないが) 'Real Men Knit' と書かれている。


 シュワルツは《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》を《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》につけ、いざ攻撃......しようとしたところで相手のクリーチャーが到達を得ていることに気がついた。代わりにと、その《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》に《護衛の任務/Guard Duty》をつけ、《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》を出して2度Lvアップした。ニーマンは攻撃に備え、2枚目の到達クリーチャー《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》をテーブルに置いた。パワフルなブロッカーを目にして、シュワルツは明らかに不愉快な表情をした。

 「ちょっと、カメラが......」

 シュワルツは小声で不満を言う。ゲームが長引いていくことに疲れを隠せないようだ。
 それはともかくとして、《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》はついに6/6となり、ニーマンが《島/Island》をコントロールしていることでブロックされない状態となった。そして、シュワルツは勝負の鍵が8枚目の土地にあることに気がついた。《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》さえ生きていれば、相手のクリーチャーをタップさせて攻撃を仕掛けることができるのだ。
 族霊鎧がついているため、ニーマンはこのタッパーを何とか除去するためにはかなりの労力を払わなければならない。そして時間もない。シュワルツが総攻撃を宣言すれば、13点のダメージを与えられることになる。今は18点なので、2回の攻撃で十分だから。

 シュワルツが攻撃し、《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》に向けて《血の復讐/Vendetta》が唱えられ、《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》が破壊される。しかしすべてが解決されるとニーマンのライフは5になった。
 彼は2枚目の除去呪文を持っているのだろうか?
 ニーマンはアンタップし、ドローして、攻撃を宣言した。
 シュワルツが全てのクリーチャーをタップすると、ニーマンは礼儀正しいほほ笑みを浮かべ、彼の手を差し出した。

シュワルツ 3-1 ニーマン

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