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準決勝: Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Noah Swartz(アメリカ)

準決勝: Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Noah Swartz(アメリカ)

By Bill Stark / Translated by Yusuke Yoshikawa

 このサンファンでトップ8に入ったことで、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサはマジックの歴史で3番目に優れたプレイヤーに昇りつめようとしている。ジョン・フィンケル(アメリカ)やカイ・ブッディ(ドイツ)のようにタイトルは持っていないが、参加した23回のプロツアーで6回のトップ8というのは、これまでに例のないことであり、彼のキャリアの短さを考えるとトップ8入賞率は驚異的といえる。そして、ここプエルトリコが、その名を歴史に刻む地となるのだろうか?

 無冠、ということではアメリカのノア・シュワルツも同じこと。今回初めてトップ8を果たした若きプレイヤーは、対戦相手ほどの経歴は持たないものの、最強レベルの白青デッキを手に、サンファンで名乗りを上げることを狙っている。

Game 1

 ダイスロールに勝ったパウロが《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》でスタートすることを選ぶと、シュワルツも《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》で応えた。ブラジルの青年は第3ターンに《目覚めの領域/Awakening Zone》を用意し、生み出されるトークンは間違いなく《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》の生け贄となることを待っている。
 シュワルツは《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》を唱えて《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》で攻撃し、マナをLvアップのためではなく、盤面を構築するために使う姿勢を見せた。

sf1_damodarosa_swartz_550.jpgパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサとノア・シュワルツの接近戦。

 落とし子・トークンからマナを得ながら、パウロは《オンドゥの巨人/Ondu Giant》を唱え、土地増やしと落とし子・トークンの両面からマナを加速して、6マナに手を伸ばそうとする。シュワルツは《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》をLvアップして、4点の攻撃を見舞った。

 マナ加速を果たしたパウロだったが、それにも関わらず、《野心の発動者/Wildheart Invoker》を出すだけで、さらなる脅威を並べることも、シュワルツの飛行クリーチャー2体に対して有効な回答を出すこともできなかった。
 一方、長くマッチを楽しみたいのなら守りに回るところだが、シュワルツはそう考えなかった。《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》をプレイしつつ、《野心の発動者/Wildheart Invoker》に《護衛の義務/Guard Duty》をつけた。飛行軍団でアタックした結果、ライフレースで16-10とシュワルツがリードとなった。

 パウロは攻撃して相手のライフを13に減らし、《最後の口づけ/Last Kiss》で《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》を除去するとともに自身のライフを12とした。これで《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》への除去が飛んでこなければ勝ちへのラインが明確に見えてくる。加えて、手札に残る《大群守り/Broodwarden》は《目覚めの領域/Awakening Zone》を大変な脅威に変えることだろう。
 シュワルツは《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》から《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》を導いて自身につけ、なんとか戦線を食い止めることを目指す。しかし《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》を対象にとったところで、パウロには《血の復讐/Vendetta》で両方を無効化する備えがあった。
 これでパウロのライフは7となり、《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》の攻撃で5になったが、シュワルツは《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》をブロックのために残した。

 パウロの手から《大群守り/Broodwarden》が現れ、トークンを含めた大群がレッドゾーンに押し寄せた。《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》をブロックした《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》を押しつぶしつつ、シュワルツのライフを7とした。
 シュワルツは次のターン中にパウロを倒すか、何らかのトリックやブロッカーを用意して生き延びるしかなくなった。彼は《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》で攻撃してパウロのライフを3とし、《飛び地の暗号術士/Enclave Cryptologist》を呼び出した。

 パウロは《目覚めの領域/Awakening Zone》から生成したトークンを恭しく戦場に置くと、ドローして、そして攻撃陣をタップして送り込んだ。シュワルツは《逆行/Regress》を《大群守り/Broodwarden》に撃ち、《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》をチャンプブロックすることで生き延びたが、戦闘後にパウロがキャストした《ジャディの生命歩き/Jaddi Lifestrider》によって1ターンでの射程圏から逃れられてしまった。
 シュワルツはドローし、戦場を見渡して策がないことを確認すると、第1ゲームを投了した。

ダモ・ダ・ロサ 1-0 シュワルツ

Game 2

 どちらのプレイヤーも満足いく初手ではなく、それを戻して新たな6枚を引くことを選んだ。6枚はともにキープされ、シュワルツの《飛び地の暗号術士/Enclave Cryptologist》からゲームが始まった。これを第2ターンにLvアップしようとするが、パウロは《血の復讐/Vendetta》を用意していた。
 次なるレベルアッパーは《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》だった。第3ターンに余ったマナでLvアップし、続くターンにさらにLvアップするが、またしてもパウロの除去呪文、《葉の矢/Leaf Arrow》が飛んできた。

sf1_swartz_550.jpgシュワルツのご加護がありますように。

 第3の男として《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》がシュワルツのもとに現れ、パウロは《戦慄の徒食者/Dread Drone》、続くターンの《オンドゥの巨人/Ondu Giant》で対抗した。
 しかしここで除去呪文が尽きたことは明白で、シュワルツの次なる手《卓絶の達人/Transcendent Master》が《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》をまとい、3/3から7/7・絆魂・先制攻撃になっていくのを、パウロは見届けることしかできない。
 落とし子トークンがこれをチャンプブロックし、それを生け贄にすることで《卓絶の達人/Transcendent Master》の絆魂による回復を妨げる。もはや存在しないブロッカーにはダメージは与えられないからだ。しかしシュワルツの《勇者のドレイク/Champion's Drake》が新たな課題を突き付けてくる。

 《マーフォークの空偵者/Merfolk Skyscout》がシュワルツの戦線に加わり、パウロはどのような打つ手があるのかを考える。
 まず《死骸孵化/Corpsehatch》で《マーフォークの空偵者/Merfolk Skyscout》を除去しながら、さらなるチャンプブロッカーを用意して、パウロは《オンドゥの巨人/Ondu Giant》で攻撃した。
 シュワルツはダメージを受けると、相手の落とし子トークンをどうにかする手段をまた考える。彼は《カビーラの擁護者/Kabira Vindicator》を出してターンを返した。

 パウロはドローして、それだけでターンを返した。そしてLv1の《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》と《勇者のドレイク/Champion's Drake》の攻撃に身をさらす。《最後の口づけ/Last Kiss》で2ライフを得て1ターンを生き延びるが、彼のライブラリ・トップには何もなく、二人は1対1のタイスコアで第3ゲームに向かうこととなった。

ダモ・ダ・ロサ 1-1 シュワルツ

Game 3

 二人はシャッフルを済ませ、パウロは初手の7枚を引く。しかしそれに不満であることが、明確に見て取れた。彼はかぶりを振ると、もう一度初手をちらりと見て、結局マリガンすることを選んだ。

 シュワルツの《勇者のドレイク/Champion's Drake》が戦場に降り立つ最初のクリーチャーとして戦いの幕を開け、パウロも《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》、《オンドゥの巨人/Ondu Giant》で続いた。
 《生き残りの隠し場所/Survival Cache》がシュワルツにライフレースでの少しの猶予と2枚の追加のカードを与えるが、《マーフォークの空偵者/Merfolk Skyscout》は《葉の矢/Leaf Arrow》で撃ち落とされてしまい、さらに《野心の発動者/Wildheart Invoker》が追加されるに至って、シュワルツはパウロに主導権を握られる圧迫感を感じていたことだろう。彼のテンポ重視の青白アグロデッキが、パウロのマナ加速とファッティ戦略に追い付かれるようなことがあれば、次のゲームに望みをつなぐしかなくなる。

 その間も《勇者のドレイク/Champion's Drake》は攻撃し続け、さらに出した《霜風の発動者/Frostwind Invoker》でガッチリ、といきたいところだったがこれは素早く《血の復讐/Vendetta》で対処された。パウロは《ジャディの生命歩き/Jaddi Lifestrider》を出してライフを回復しつつ、追加のアタッカー、そしてブロッカーとしての恐るべきガッチリ感を見せつける。これはシュワルツにとってかなり悪い知らせだ。
 とはいえ、パウロがこれで手札を使い切ったのに対し、シュワルツはまだ4枚の手札を握っている。ゲームをなんとか減速させることができれば、逆にパウロを窮地に追い込むこともできるのだ。

 《イキーラルの先導/Ikiral Outrider》がパウロの脅威を止めるために現れたが、自信に満ちたブラジル人プレイヤーは《オンドゥの巨人/Ondu Giant》と《ジャディの生命歩き/Jaddi Lifestrider》を攻撃に送り込んだ。これによりライフは10対8とパウロがリードする。そして戦闘後に《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》を出してLvアップした。これにより、ダモ・ダ・ロサは次のターンから《野心の発動者/Wildheart Invoker》のパンプアップ能力を使用できるようになる。
 シュワルツには何があるか。今は彼にとって《英雄の時/Time of Heroes》なのだ、と考えていると、まさにそのカードがシュワルツの手から唱えられ、ターンが返された。

sf1_damodarosa_365.jpgパウロが笑っている。これは対戦相手にとってよくない兆候だ。

 しかしながら、それでは足りなかった。用意された追加マナにより、《野心の発動者/Wildheart Invoker》はパンプアップされ、付加されるトランプル能力もあってシュワルツのライフは削りきられ、パウロは第3ゲームを取り返して王手をかけた。

ダモ・ダ・ロサ 2-1 シュワルツ

Game 4

 第4ゲームは両者とも第2ターンのクリーチャーから始まった。シュワルツは《勇者のドレイク/Champion's Drake》、パウロは《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》である。パウロが《虚身の勇者/Null Champion》を続けたのに対し、シュワルツは《英雄の時/Time of Heroes》を出し、《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》を《勇者のドレイク/Champion's Drake》につけた。
 しかしそれに続くクリーチャーがなく、一方で《目覚めの領域/Awakening Zone》に直面することになってしまった。ノア・シュワルツの準決勝の物語は終わりに近づいているのだろうか?

 彼はそう考えてはいなかった。攻撃的な姿勢を保ち、族霊鎧をまとった《勇者のドレイク/Champion's Drake》を攻撃に送り込むと、そのあと《マーフォークの空偵者/Merfolk Skyscout》を続け、さらに《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》を《護衛の任務/Guard Duty》で足止めする。
 パウロの《目覚めの領域/Awakening Zone》がトークンを生み出すと、さらに《野心の発動者/Wildheart Invoker》が唱えられた。しかしシュワルツも《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》で応え、1度Lvアップする。これで《英雄の時/Time of Heroes》の効果により4/4となった。ライフは17対11で負けており、パウロがかえって窮地に追い込まれたかに見える。

 《野心の発動者/Wildheart Invoker》で攻撃すると、パウロは《オンドゥの巨人/Ondu Giant》をプレイして、さらに1マナの除去2枚によって2つの脅威を除去して見せた。つまり、《マーフォークの空偵者/Merfolk Skyscout》には《葉の矢/Leaf Arrow》、《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》には《血の復讐/Vendetta》である。ターンが終わったときには劇的に状況は変わっていたが、代償として4ライフを使い、残りは7である。
 戦うしかないシュワルツは攻撃してパウロのライフは5、そして《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》を唱え、オーラを何も持ってこないことを選んだ。おそらくもうオーラが残っていないのであろう。

 ゲームの行方はパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサの手中にあるかのようで、彼は攻撃して何のクリーチャーも失うことなくシュワルツのライフを10とし、《大群守り/Broodwarden》を唱えた。
 いよいよ窮地に追い込まれたシュワルツだが、《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》と《飛び地の暗号術士/Enclave Cryptologist》を持っていた。そして攻撃するかどうか考える。そして、《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》つきの《勇者のドレイク/Champion's Drake》をブロックに回し、そのままターンを返す方が賢明だ、と判断した。それは安全な策ではあるが、これでトップデッキの助けなしには勝つことはできなくなる。

 パウロはアンタップしてドローし、どのように攻撃するか、わずかに逡巡する。最終的に、《護衛の任務/Guard Duty》についている《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》と、出たばかりの落とし子トークンを除く、全軍を攻撃させることを選んだ。
 パウロがすでに7枚の土地と複数の落とし子トークンを得ていることで、8マナから《野心の発動者/Wildheart Invoker》を起動できることを念頭に置きながら、方策を考えるシュワルツ。

 レッドゾーンに送り込まれたクリーチャーを丁寧に動かし、適切なブロックを行うことで、シュワルツはそのターンを生き延びた。しかしながら、続く彼のドローは奇跡的なものではなく、ついにこのゲームが、このマッチが、このトップ8の時間が終わりを告げたことを知ったのだった。

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ダモ・ダ・ロサ 3-1 シュワルツ

パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサが決勝に進出!

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