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Round 2:齋藤 友晴(東京) VS. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

Round 2:齋藤 友晴(東京) VS. Luis Scott-Vargas(アメリカ)

By Daisuke Kawasaki

 デュエルをすることと物語を紡ぐことは同じだ。

 デュエルをする時に、人は自分の生き様を、信念をすべてぶつけてくる。すべてのテーブルの両端には、それぞれの人間の人生があり、それ同士のぶつかり合いだからこそ、ひとつひとつのデュエルが、物語として語り得るものになる。

 だが、それはあくまでも机上の話。現実世界での「人生」はデュエルの外にある。

 今シーズンのマジックプロシーン、その前半戦での最大の話題は「ナシフとLSVのどちらがPoYを獲得するか?」であった。Jon Finkel(アメリカ)・Kai Budde(ドイツ)に続く第三の男と目されるナシフと、「復活したアメリカの象徴」として圧倒的な勝ち星を稼ぎ続けていたLSVがプロツアー京都の決勝で対戦したのだから、そのような世論ができあがるのも当たり前の話だ。

 とはいえ、最初のプロツアーでの優勝者・準優勝者であったから、という側面も少なくない。なんせ、まだ、その時点では大規模にプロポイントを稼げるイベントはプロツアー京都しか無かったのだから。

 それから8ヶ月。

 LSVは、プロツアー京都終了後に、ショップ運営に対しての比重を高め、多くのグランプリに遠征するようなことはしなくなった。実際、その後のポイントの積み重ねを経て、LSVの現在のPoYレースの順位は「優勝の可能性はある」といった位置に甘んじている。

 とはいえ、LSVはその間に結婚という人生の大きなイベントもクリアし、いわゆる「マジックと人生のバランス」を取る時期に入っているといえるだろう。

 LSVが人生とマジックのバランスを取っている、その間に多くのプレミアイベントが開催され、今や、Player of The Yearレースは、基本セット2010ドラフト期のグランプリで連続トップ8のワールドレコードを更新し、ゼンディカードラフトでもその好調を引き継いだ「人生と哲学の男」渡辺 雄也(神奈川)がトップを独走し、もはやほぼ渡辺で決まりだろう、という論調になっている。

 だが、まだ、渡辺の座を脅かす人物がいる。

 そのうちの1人が、LSVの対戦相手である齋藤 友晴(東京)だ。

齋藤 「たしかにはじめたばかりの頃は、その比重になやんだりしたことはありましたけど、今はもう、全然平気です。トーナメントに来るのが楽しくて仕方ないんですよ」

 齋藤はこう語る。日本を代表するトップレベルのトーナメントプレイヤーでありながら、世界中をトレーディングしてまわりネットショップ「晴れる屋」の店主として文字通り「マジックを仕事にした」男。

 その齋藤が、「仕事としてのマジック」として、持ち前のポジティブさもあわせて「楽しい」とまで言える所までバランスを取っている。

 マジックと人生のバランスは、トーナメントプレイヤーを長く続けていけばいずれぶち当たる問題ではある。

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 その問題に、答えを出しつつある男たちが、このローマ世界選手権のアリーナで対決する。

Game 1

 先手はLSV。

 《巨森、オラン=リーフ/Oran-Rief, the Vastwood》を含む2枚の土地を並べてターンを返すLSVに対して、齋藤は、《野蛮な地/Savage Lands》タップインから続く2ターン目に齋藤ジャンドの代名詞とも言える《不屈の自然/Rampant Growth》をキャストする。

齋藤 「《不屈の自然/Rampant Growth》もう抜けそうなんですけどね...」

 前日夜の時点では《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を入れるか否かでなやんでいた齋藤だったが、ここでは《不屈の自然/Rampant Growth》を投入する事を決定したよう。そして、

 ここで、手札に4マナのカードを持たず、3ターン目に《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》!といった動きこそ見せられなかった齋藤だが、LSVは3ターン続けてターンを返すのみ、この隙に、まずは《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャストする齋藤。

 返しのターンでLSVのキャストしてきた《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》をマナ加速を活かした《瀝青破/Bituminous Blast》で対処すると、その続唱でめくれたカードが《荒廃稲妻/Blightning》。この理想的とも言えるアドバンテージ獲得の動きで、LSVの手札から《稲妻/Lightning Bolt》と《終止/Terminate》という2枚の除去をうばいさり、さらにダメージを重ねる。

 ここでLSVも返しに《荒廃稲妻/Blightning》をキャストするのだが、齋藤は土地を2枚捨てるのみ。たしかにジャンド系対決は土地の延びも重要とは言うものの、すでに5マナ揃っている齋藤にとってはそれほど大きな痛手ではない。

 その証拠として、齋藤が返しで《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》をキャストすると、LSVは並んだ土地をライブラリーに戻してシャッフルをはじめたのだ。

齋藤 1-0 LSV

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 さて、デッキビルダーとしても知られる両者の対戦だが、新たなテクニックを重視すると言うよりは、デッキ全体のバランスを優先してデッキを構築してきたかのように見える。

 デッキリストの眺め方にも、千差万別、人それぞれのやり方があるとは思うのだが、「斬新なデックテックを期待」する方には、いささか肩すかしな結果になってしまったかもしれない。

LSV "Good Standard Decks?"
Saito "You?"

苦笑しあう両雄。

Game 2

 後手齋藤はマリガン。

 お互いに2ターン目までは土地を置き合い、マナベースを整える。そして、LSVが早速3ターン目に《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャストする。

 ここで、手札に《稲妻/Lightning Bolt》を持っている齋藤ではあるが、当然これをキャストせず、まずは《荒廃稲妻/Blightning》をキャスト。LSVの手札から《稲妻/Lightning Bolt》と《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》を奪い取る。

 当然、ディスカードすると言うことは代わりのカードがあると言うことで、LSVの4ターン目のアクションは《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》。今度こそ《稲妻/Lightning Bolt》で除去した齋藤だが、3マナアクションの呪文が手札に無いため、3マナを残して、ターンを終了する。

 ここでLSVは《荒廃稲妻/Blightning》。手札が土地2枚と《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》《瀝青破/Bituminous Blast》という内容の齋藤は、長考の末に、5マナ目の土地を1枚と、5マナスペルの選択で《瀝青破/Bituminous Blast》を手札に残す。

 続く齋藤のドローは土地。ここで齋藤は、LSVのドロー後に《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》へと《瀝青破/Bituminous Blast》をキャストする。そして続唱でめくれたのが《精神腐敗/Mind Rot》。

 これによって、戦力を分散させられ、さらに手札をすべて無くさせられた形のLSV。

 さらに、続く齋藤のトップが、《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》!

 ピッタリマナまである齋藤は、これをキャスト。《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》から生み出された苗木トークンをブロックしたのは、《稲妻/Lightning Bolt》で片割れを除去されたものの、結果として4/4《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》と、1/1トークンとのダメージレースとなった。

 LSVの《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を《終止/Terminate》で除去する、といった場面もあったものの、4倍の差があるダメージレースはそう容易に覆されず、そして、最後のターンにLSVが願ったトップデック(おそらくは火力)も、自信のテックである《野生の狩りの達人/Master of the Wild Hunt》であった。

齋藤 2-0 LSV

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齋藤 「結局《不屈の自然/Rampant Growth》入りましたね。昨夜ナベ(渡辺)とやって、ボコボコにされたんで、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》弱いってなって...」

 さて、そんな渡辺と言えば、今、まさにPlayer of The Yearレースを独走中の相手。齋藤にPoY獲得への意欲を聞いてみた。

齋藤 「もちろん、今シーズンはPoY狙って無かったわけじゃないんですけど...でも優先順位的には個人戦プロツアー優勝の方が上だったんですよ。でも...この世界選手権は個人戦優勝=PoY獲得みたいなもんなんで。当然狙っていきますよ」

 このローマの地で、齋藤は虎視眈々と覇王の座を狙っている。

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