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1st Draft:Drafting With Asahara Akira

1st Draft:Drafting With Asahara Akira

By Daisuke Kawasaki

浅原 「今回のドラフトのポッドは、ディ・モールトいいですよ」

 イタリアに来てから、なぜか「アリーベデルチ」だの「ベネ」だのとやけにイタリア語を話すようになった浅原。

浅原 「イタリアに来るにあたって、イタリアの事をしっかり飛行機の中で勉強してきましたからね」

 どのような勉強をしていたかは筆者には興味は無いが、浅原のポッドには興味がある。

 なにせ、あの「帝王」Kai Budde(ドイツ)と同じ卓なのだ。

浅原 「『帝王』はこのKai Buddeだ!依然変わりなくッ!」

 と、Kaiと同じ卓になったことで俄然テンションの高くなっている浅原 晃。というわけで、第1ドラフトでは、Kaiと同卓になり、「浅原 晃にはKai Buddeと対戦したいという夢がある!」と語る浅原のドラフトをお届けしよう。

 ちなみに、やりたいアーキタイプは、青系、特に青黒をやりたいということだが...

浅原 「『青黒をやりたい』...そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜなら、オレや八十岡は、その言葉を思い浮かべた時には!実際に青黒の完成形を思い描いてピックしているからだ。だから、使った事がねェー。『青黒をやった』なら使ってもいいッ!」

 なんだか、やけに盛り上がってしまっている浅原だが、とりあえずその完成形を思い描いた青黒のピックとやらをみていこう。

■第1パック

順目 ピックしたカード
1 《忌まわしい最期》
2 《サラカーの匪賊》
3 《霊気の想像体》
4 《永遠の器》

 1パック目序盤は、初手《忌まわしい最期/Hideous End》をはじめとして、回避能力の高いクリーチャーを順にピックしており、かなり順調なスタートを予想させるものだ。

 この先も《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》と、それにあわせる形で同盟者の《海景の曲芸士/Seascape Aerialist》をピックできており、青黒系のデックとして基盤が固まりつつあると言っていいだろう。《沼のぼろ布まとい/Bog Tatters》も単体では十分とは言えないが黒に人気のある昨今では単体でゲームを決めることも期待出来るカードである。

順目 ピックしたカード
6 《ニマーナの売剣》
7 《血の長の刃》
8 《海景の曲芸士》
9 《沼のぼろ布まとい》

 この1パック目での浅原の感想を聞いてみよう。

浅原 「《ウマーラの猛禽/Umara Raptor》ってよォ...『ウマーラ』ってのはわかる...、コイツは3マナクリーチャーにしては「ウマい」クリーチャーだからな...だが《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》ってのはどういう事だ?『ニマーナ』のクセに『4マナ』じゃねーかよーーッ!ナメやがって超イラつくぜぇ~ッ!2マナで出せるもんなら出してみやがれ、クソッ!クソッ!」

 この後も、「《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》ってよぉ、『弱し』のクセにつよいじゃねぇか、どういう事だ、クソッ!クソッ!」と続けていたのだが、ドラフト自体と特に関係ないようなので、無視しよう。

 要約すると、《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》は結構好きなクリーチャーであると言うことと、《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》が欲しかったという事のようだ。

■第2パック

順目 ピックしたカード
1 見栄え損ない
2 《生きている津波》
3 《乱動への突入》
4 《サラカーの匪賊》

 黒の除去としてもコンバットトリックとしても一流の性能を持っている《見栄え損ない/Disfigure》を初手に取り、その後も帰ってきた《竜巻のジン/Waterspout Djinn》こと《生きている津波/Living Tsunami》や《乱動への突入/Into the Roil》《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》のように、順調に軽量ながら使い勝手のいいパーツを集めていく浅原。

 「見た目のカードパワー」でいえば最強クラスの青黒がなかなか強くならない理由のひとつは、低マナ域をうまく集めることが難しく、特に4マナ域が渋滞しやすいからだ。

浅原 「『カードパワーを上げる』『テンポをとる』『両方』やらなくちゃあならないってのが『青黒』のつらいところだな。覚悟はいいか?俺はできてる」

 現在の浅原のように、低マナ域を中心にピックをまとめられる展開だと、この後の中~高マナ域のカードも躊躇無く集めていくことができる。

 青黒でなかなか勝てるデッキが作れない、という方は参考にされてみてはいかがだろうか。

 さて、浅原も例に漏れず、この先、青の高マナカードの代表例である《空の遺跡のドレイク/Sky Ruin Drake》をピックしていくのだが、結構どうでもいいことで小考していたりする。

順目 ピックしたカード その他候補
5 《空の遺跡のドレイク》 《湿地の干潟》
6 《空の遺跡のドレイク》 《面晶体のカニ/Hedron Crab》《潮汐を作るもの、ロートス》

 5手目では、値段的に魅力の高い《湿地の干潟/Marsh Flats》と、そして6手目では浅原大好きな蟹とタコ、《面晶体のカニ/Hedron Crab》《潮汐を作るもの、ロートス/Lorthos, the Tidemaker》となやんでいる。

 他ふたつに関してはともかく、《潮汐を作るもの、ロートス/Lorthos, the Tidemaker》は実際にピックしたかったともいう浅原。ピックしなかった理由に関して「8っていう数字は不吉なんだ」とでも答えるかと思ったのだが...

浅原 「《生きている津波/Living Tsunami》出す前提のデッキなので、8マナまで到達するビジョンがあんまりないっすね」

 と、ここはマジレス。

順目 ピックしたカード
7 《飛翔する海崖》
8 《地鳴りの揺るぎ》
9 《アイオーの廃墟の探検》
10 《地鳴りの揺るぎ》
11 《探検の地図》
12 《アイオーの廃墟の探検》

 「ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」こと《飛翔する海崖/Soaring Seacliff》をきっちりゲットした浅原。

 《生きている津波/Living Tsunami》の土地を手札に戻す能力は、上陸をはじめとして土地に関わるギミックの多いゼンディカーではデメリットでありながら多くのシナジーを形成する。このコモンの能力を与える土地のサイクルもそのひとつだ。

 《飛翔する海崖/Soaring Seacliff》ならば、共に攻撃する飛行クリーチャーを増やせるし、《ぐらつく峰/Teetering Peaks》であれば《生きている津波/Living Tsunami》の打撃力を強化できる。

 《生きている津波/Living Tsunami》も、《飛翔する海崖/Soaring Seacliff》もシナジーが多いカードであるので、他にも考えてみていただきたい。

第3パック

 さて、比較的こぢんまりとまとまりながらも、あとひとつパンチが欲しい感じの浅原 晃。

 この第3パックの序盤ピックが正念場か。

浅原 「真の『覚悟』はここからだッ!」

 この時点で浅原の2人上のKai Buddeは黒緑、そのもうひとつ上のJan Ruessも白緑。さらに浅原の直接の上家も緑系と、かなり浅原にとって幸運な第3パックになりそうだ。

 ...だが、ここで事件が発生する。

 浅原の開封したパックは、14枚ではなく、12枚だったのだ。

 浅原はすぐさまジャッジにアピールし、4枚ずつ3回数え、12枚しか無い事を伝える。ジャッジが一回、浅原に示されて「あれ、それって14でしょ?」と計算間違いをする場面もあったが、結果無事に浅原には新しいパックが提供される。

浅原 「4枚4枚4枚ってやっておきながら、なんで12枚より増えるんだよ、この......」

 さておき、ピックをみていこう。

順目 ピックしたカード
1 《マーフォークの海忍び》
2 《心臓刺しの蚊》
3 《ハグラの悪魔信者》

 高い制圧力を誇る《マーフォークの海忍び/Merfolk Seastalkers》、そして、優秀除去《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito》。さらに追加の同盟者として《ハグラの悪魔信者/Hagra Diabolist》となかなかに順調なピックを続ける浅原。

 だが、実は、この第3パックでの青系の流れの良さに目をつけた浅原の上家が、2色目をうまく決めかねていたのをいいことに、青いカードをピックしてきていたのだった。

 たとえば、この後の浅原のピックと、上家のピックはこうなっている。

順目 ピックしたカード 上家がピックしたカード
4 《生きている津波》 《失われた真実のスフィンクス》
5 《グール・ドラズの吸血鬼》 《鞭打ちの罠》
6 《沼のぼろ布まとい》
7 《麻痺の掌握》 《生きている津波》
8 《ぐらつく峰》

 追加の《生きている津波/Living Tsunami》や、序盤を支える《麻痺の掌握/Paralyzing Grasp》など、それなりに優秀なパーツを追加できている浅原だが、基本的にワンランク上のカードを上家に押えられている。もしも、これらのパーツも手に入れられていれば、浅原の言うところの「ディ・モールト良い」デッキになっていたかと思うと、少々残念だが、パーツを手に入れられているだけにベリッシモといった所か。

浅原 「この流れは...上家と被ってる『流れ』だぜ...」

 さて、紆余曲折ありながらも完成した浅原のデック。浅原にデックの点数を聞いてみよう。

浅原 「2点すね。7点満点中で」

 7点とはずいぶん中途半端な数字だ。

浅原 「デッキを評価する時にはチェックするポイントが7つあるんですよ。それをいくつクリアしたかで点数を決めますね」

 なるほど。さすが完成形を描いてピックをする男。ちなみに、そのチェックポイント7つとは何かと聞いてみると...

浅原 「スマンありゃウソだった」

 もう、なにが言いたいのかわからない。


 茶番はこれぐらいにして、実際の浅原のマッチを簡単に追いかけてみよう。

 まずは、Round 7。このマッチにおいて、浅原は2本とも土地を引かず、なすすべも無く負けたという。スピードの速いゼンディカーの環境ではよくあることではある。

浅原 「土地を引かなかった...マナが、ローリング...じゃなくて、スパイラル......は違う...うぐぐ...回転でもなくてウルフ...」

 マナスクリュー(土地を引かない事故の事)ですか?

浅原 「知ってんだよオオ!国語の教師か、オメーはよォォォ」

 次のRound 8の対戦相手は、プロツアー・ハリウッドの決勝ラウンドにて、青白マーフォークで中村 修平を打ち倒しているJan Ruess。

浅原 「Jan Ruessをマーフォーク(《マーフォークの海忍び/Merfolk Seastalkers》)で倒しましたよ」

 と、中村ばりのニヤニヤ顔で報告してくる浅原。

 ちなみに、このマッチでは《永遠の器/Eternity Vessel》が大活躍だったという。

浅原 「毎ターン15点ぐらいまで回復しますからね。どんだけ殴ってもライフ減らないんですよ。終わりが無いのが終わり、それが《永遠の器/Eternity Vessel》」

 ここまでの2ラウンドを負け→勝ちと進めている浅原。気になるあの「帝王」との対戦だが...

浅原 「BuddeがRound 7で負けたのは確認したんですよ。このラウンドでBuddeは勝つとエピタフで見えたんで、Jan Ruessには勝っておきました」

 浅原の予想通り、Kai BuddeはRound 8を勝利し、Round 9で浅原とマッチアップされることとなった。

 歴史と伝統を愛する男、浅原 晃が、歴史と伝統の象徴とも言えるKai Buddeと対戦する。このマッチの模様は、是非ともフィーチャーマッチレポートをご覧ください。

浅原 「これは『試練』だ。過去に打ち勝てという『試練』とオレは受け取った」

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