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Round 14: Gabriel Nassif(フランス) vs. John Kolos(アメリカ)

Round 14: Gabriel Nassif(フランス) vs. John Kolos(アメリカ)

by "FOREST" Keita Mori

 Gabriel Nassif、齋藤 友晴。この二人には共通すべき点が多い。

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 二人とも、年間最優秀プレイヤー(Player of the Year)賞を獲得したことがある。
 二人とも、チーム戦フォーマットのプロツアーで王者に輝いている。
 二人とも、構築フォーマットにおける技量で知られ、エクステンデッドを得意としている。
 二人とも、この世界選手権の結果によっては、Kai Budde以来となる「年間最優秀プレイヤー賞の複数回受賞」という栄誉をつかみ取れる可能性を残している。

John Kolos:《飛行機械の鋳造所》コンボ+《燃え柳の木立ち》コントロール
Gabriel Nassif:青白コントロール

Game 1

 ともに青系のコントロールデッキである両者は、静かに土地を並べあい、まもなくカードアドバンテージをめぐる戦いが繰り広げられた。

 Nassifが相手のターンのエンドステップに《知識の渇望/Thirst for Knowledge》をプレイし、これがKolosによって《否認/Negate》される。すると、Nassifは返すターンのメインステップに《知識の渇望/Thirst for Knowledge》を通し、《金属モックス/Chrome Mox》を捨てつつカードを3枚引くことになった。

 Kolosも《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》を建造しようと試みるが、Nassifはこのプレイにスタックで《知識の渇望/Thirst for Knowledge》を打ち込んで手札を整理し、《呪文嵌め/Spell Snare》でカウンター。

 しばらく淡々と土地を置きあうという流れのゲームとなるが、Nassifは敵陣に《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》が置かれるのを見て露骨に反応を示した。具体的には、まばたきしてから、その立派な鼻筋を指で掻いた。

 ここでNassifが警戒しているのは、プロツアー・オースティンで紹介された新しいコンボだ。《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》によって赤マナを供給することによって対戦相手は1点のライフを獲得し、「相手のライフゲイン」によってトリガーされる《罰する火/Punishing Fire》の墓地回収能力を活用し、再利用できるというシナジーだ。

 現在のエクステンデッド環境において、この火力とこの特殊土地は「セット投入」されていると考えてほぼ間違いない。すなわち、《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》コンボと《燃え柳の木立ち》+《罰する火》コンボデッキを内包したコントロールデッキがJohn Kolosの正体であることをGabriel Nassifは看破したのだ。

 John Kolosのデッキに採用されている「火力再利用コンボ」への対処方法は、大別すると二通りの方策が考えられる。たとえば《虚空の杯/Chalice of the Void》や《翻弄する魔道士/Meddling Mage》などのような、《罰する火/Punishing Fire》という呪文それ自体をプレイすることを禁じるような手立てを用意するか。あるいは、墓地に置かれた《罰する火/Punishing Fire》を追放してしまうか、だ。

 そして、《アカデミーの廃墟/Academy Ruins》でのアーティファクト循環コンボを内包したNassifの青白コントロールには、《虚空の杯/Chalice of the Void》と《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》という二通りの対処方法がメインから投入されているのだが、これをJohn Kolosが実にうまく対処していくのである。

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 《虚空の杯/Chalice of the Void》を《忘却の輪/Oblivion Ring》でいなし、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》を《古えの遺恨/Ancient Grudge》で破壊するJohn Kolos。

 Nassifのフィニッシャーである《悪斬の天使/Baneslayer Angel》は《審判の日/Day of Judgment》で除去され、John Kolosは《罰する火/Punishing Fire》を引き当てて《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》と協奏曲を奏ではじめる。

 Nassifはふたたび《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を召喚するが、Kolosは《神聖なる埋葬/Hallowed Burial》でこれを除去。

 ここからNassifが展開できた脅威は、いずれもこの火力再利用コンボで対処可能な《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》や《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》といったラインナップのみである。
 
 Nassifのターン終了ステップに「バイバック」状態で火力を撃ち込むJohn Kolosが試合の主導権を完全に掌握。《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》の2枚目と《罰する火/Punishing Fire》の2枚目が循環しはじめるにおよんで、Gabriel Nassifは投了を余儀なくされた。

John Kolos 1-0 Gabriel Nassif

Game 2

 サイドボードからクリーチャーの数を増やし、潤沢なマナを要するJohn Kolosのコンボが決まる前に、ダメージクロックを設置してからのパーミッション戦術を完遂したいNassifが先手を選択。

 Nassifは3ターン目に《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を展開し、静かにビートダウンを開始する。対するKolosはNassifが出した《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》に《古えの遺恨/Ancient Grudge》を使用するが、これを《マナ漏出/Mana Leak》で退けるNassif。ならば、と《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》で破壊しにかかるKolos。

 ここでNassifは二体目の《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を召喚してクロックを巨大化。みるみるうちに8点までKolosのライフを削り落したが、Kolosも《知識の渇望/Thirst for Knowledge》での手札整理から《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》と《罰する火/Punishing Fire》のコンボを完成させ、除去火力として活用して止血に走る。

 ここでJohn Kolosは《ヴェズーヴァ/Vesuva》を《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》として場に設置。間もなくNassifの盤面からすべての脅威が取り除かれてしまう。

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 コントロール対決におけるもっとも根本的な問題、すなわちマナベースの確立という分野において、John Kolosが悠々と8マナ域に到達しているのに対して、Nassifには4マナしか存在しない。そんな中でKolosは淡々と《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》によって《罰する火/Punishing Fire》を再利用し続ける展開。

 マナ確保に苦しむNassifの《金属モックス/Chrome Mox》を《否認/Negate》するという手堅さを見せるKolosは、2枚の《罰する火/Punishing Fire》によって状況を完全にコントロール。

 最終的には《真髄の針/Pithing Needle》で《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》を封じ込め、その上でX=1の《虚空の杯/Chalice of the Void》を設置して《罰する火/Punishing Fire》を延々と「バイバック」するJohn Kolos。

 Nassifは《悪斬の天使/Baneslayer Angel》出してみるものの、これも3発の《罰する火/Punishing Fire》の的になるだけの話で、情勢は変わらなかった。

 ちなみに、時すでに遅しという情勢になってからNassifが青白ながら《巨森、オラン=リーフ/Oran-Rief, the Vastwood》をセットしていることを付記しておこう。これは、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》と素晴らしいシナジーを見せることになる...はずだったのだ。

John Kolos 2-0 Gabriel Nassif

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