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Extended Dechtech:中島 主税:白黒エメリア

Extended Dechtech:中島 主税:白黒エメリア

By Daisuke Kawasaki

 ゼンディカーではフェッチランドはもちろんのこと、上陸をはじめとして魅力的なカードがたくさん登場し、実際にエクステンデッドでは多くの新しいアーキタイプが登場することとなった。

 その中でも、レアの土地サイクルは、そのカードパワーの高さから、単体でそれを軸としたデックを誕生させるにたり得る力がある。

 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》に関してはまた、別デックの解説を見ていただくとして、ここでは《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》を軸としたデックをご紹介しよう。

 今回、《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》を投入したデックを使用している日本人は3人いるが、その中でももっともベーシックな作りなのが、この中島のデックだろう。

中島 主税
世界選手権2009
11 《平地/Plains》
3 《湿地の干潟/Marsh Flats》
3 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《神無き祭殿/Godless Shrine》
2 《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》
1 《霧覆いの平地/Mistveil Plains》
1 《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》

-土地(25)-
4 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
3 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
4 《砂の殉教者/Martyr of Sands》
1 《運命の大立者/Figure of Destiny》
1 《屑山の人形/Heap Doll》
1 《壊死スリヴァー/Necrotic Sliver》
3 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》

-クリーチャー(17)-
3 《神の怒り/Wrath of God》
3 《審判の日/Day of Judgment》
4 《流刑への道/Path to Exile》
3 《忘却の輪/Oblivion Ring》
3 《苦花/Bitterblossom》
2 《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth》

-呪文(18)-
3 《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》
3 《貪欲な罠/Ravenous Trap》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《根絶/Extirpate》
1 《偽りの希望の神/Kami of False Hope》
1 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
2 《幽霊街/Ghost Quarter》

-サイドボード(15)-

 デッキの動きは、伝統的な白コントロールである。

 クリーチャーデッキ相手に無類の強さをほこる白コントロール。その強さの礎となっているのが、最強クラスの全体除去、《神の怒り/Wrath of God》である。ここで、《神の怒り/Wrath of God》と《審判の日/Day of Judgment》が中途半端な枚数になっているのは、《翻弄する魔道士/Meddling Mage》や《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》のような名前を指定するカードに対する対策である。

 4マナ域まで生き残ることが重要であるため、デックには、軽量の除去が詰まれている。このデッキの場合、序盤から中盤を支えるのは、《流刑への道/Path to Exile》や《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》などの定番ユーティリティカードである。

 そして、終盤まで生き残ってしまえば、《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth》の予見が動き出す。このカードで墓地の《砂の殉教者/Martyr of Sands》を使い回すことで、1ターンに十数点のライフを回復し続ける。このエンジンが動き出せば、ライフが50点を超えることも珍しくなく、Zooをはじめとしたライフで攻めるタイプのデックは非常に厳しい戦いを強いられることとなるのだ。

 そして、その動きをサポートするのが《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》なのだ。マナを使用しない《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》であれば、《砂の殉教者/Martyr of Sands》のエンジンを使用しながら自由に動くことも可能であるし、《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth》と組み合わせれば、ライフ回復速度が倍になるのだ。

 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》は、このデッキのキモである《砂の殉教者/Martyr of Sands》をサーチできるだけでなく、《屑山の人形/Heap Doll》や《運命の大立者/Figure of Destiny》などのユーティリティをシルバーバレットする使い方もできる。さらに、手札の枚数が少ないと効果の低い《砂の殉教者/Martyr of Sands》をフォローするために手札を増やす事のできる数少ないカードでもある。

川崎 「はじめにこのデックを使用しようと考えたきっかけを教えてください」

中島 「メタゲーム的にZooが多いだろうというのと、個人的に《神の怒り/Wrath of God》を撃ちたかったので、白コンを使いたいと考えていました。で、過去のプレミアイベントのサイドイベントで工藤さんが使っていた白コンにたどり着きました」

川崎 「それはどんなデックだったのですか?」

中島 「このデッキのメインである《砂の殉教者/Martyr of Sands》と《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth》のコンボを中心にしたデッキでした。このデッキを元に、湯浅(謙太郎)と調整を重ね、環境のローテーションで抜けたカード、たとえば《賛美されし天使/Exalted Angel》などを、新しいカード、この場合は《悪斬の天使/Baneslayer Angel》に入れ替えたりしているうちに、《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》へとたどり着きました」

川崎 「なるほど。このコンボの魅力を教えてください」

中島 「昔の世界選手権でナシフが使っていた時もそうですけど、ものすごい量のライフが手に入るので、Zooをはじめとした殴ってくるデッキに有利に戦えるのが大きいです」

川崎 「色々な形が存在する《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》コントロールですが、このデックの特色はなんと言っても《苦花/Bitterblossom》だと思うのですが。このカードを採用することになった経緯を教えてください」

中島 「ショックランドがあるので、平地といっても、基本地形に拘る必要は無かったので、白単ではなく、何かしらの色をたそうと考えていました。採用基準は、《神の怒り/Wrath of God》につなげる為の序盤での守りを固められるカードと、苦手とするコントロール相手に強いカードで、それがある色を2色目にしようと考えていました」

川崎 「結構早い段階で黒になったんですか?」

中島 「いや、最初は《空の遺跡、エメリア/Emeria, the Sky Ruin》をサーチできる《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》と、除去でもある《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》を投入できる白緑で結構長く調整をしていました。これらのカードはコントロール、特にNext Level Blueなど相手にはクロックとしても機能したので悪くはなかったのですが、白単の持つもっさりした感じを払拭してくれるカードではありませんでしたね」

川崎 「《苦花/Bitterblossom》は、そのあたりを単体で兼ねられたと」

中島 「はい、そうです。早いデックに対しては、序盤のチャンプブロッカーに...そうですね《Forcefield》みたいな感じで使えますし、コントロール相手には対処しにくいクロックとして機能してくれます。あと、一応勝ち手段にもなりますしね」

川崎 「なるほど。メインボードは《苦花/Bitterblossom》だけですか」

中島 「はい。ただ、サイドボードは黒いカードが多いです。2色目を黒に決めた決め手は、このサイドボードカードの豊富さです。環境で強いデックのほとんどが黒いカードでサイドボーディングできるっていうのは魅力的でしたね」

 古典的な白コントロールを最新セットのカードと、《苦花/Bitterblossom》を入れるという発想で換骨奪胎した中島 主税。

 《神の怒り/Wrath of God》を使いたい!という方は、このデッキを使ってみてはいかがだろうか。

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