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yayaの奇妙な冒険 第5部:MOチャンピオンシップ決勝

yayaの奇妙な冒険 第5部:MOチャンピオンシップ決勝

By Daisuke Kawasaki

第四部までのあらすじ

 四日間続いたyayaの奇妙な冒険。

 この連載も「第四部:スタンダード・ウォッチングは掲載されない」が本当に掲載されず、ひとつ飛ばして一気に五部となった。そう、ついにイタリアはローマでやってる意味が出てきたのだ!ローマと言えばギャングスター!

 初日MOクラシックを発掘で2連勝後Anathikに敗北、2日目ゼンディカー・ドラフトは最終戦でAnathikに雪辱を果たし、3連勝。そして、3日目のスタンダードでは、続唱ジャンドを使用して、1勝1敗とハラハラさせながらも、最終戦勝利の単独トップで「やれやれだぜ」と決勝に進出したyaya3。

 そして、今、MOチャンピオンシップ決勝戦の席に、yaya3がついた。

yaya3 「なぁなぁ、なんでスタンダードウォッチング掲載されないん?」

川崎 「時が飛ばされた!」


第五部:レッド・ホット・チリ・エクスペリエンス


 MOチャンピオンシップ予選最終日。

 全日程中、唯一この日だけAnathikと対戦しなかったyaya3は、リプレイ機能を駆使してAnathikが本日使っていたデックをチェックした。

 Anathikの使用しているデックはジャンド!といっても、参加者8名中6名がジャンドを使っていたのだからそんなに不思議な話ではない。

 ジャンド対決はめくり合い。それは一日を通しての対戦から判明している。

 ジャンド対決を避けるために、他のデックを使用するか?

 そう、MOチャンピオンシップは、決勝戦で別のデックを選択することができるトーナメントなのである。

yaya3 「難しいところだよね。これはある種のチキンレースになってると思う。ジャンドだけをメタる事は簡単だけど、それを読み切られて普通の他のデックを持ってこられたら勝てない。裏読みしはじめたらきりがない」

川崎 「たとえば、カーステンの記事でも紹介されていた発掘デックで参加したりとかは可能性としてはないんですか?」

yaya3
4 《アガディームの墓所/Crypt of Agadeem》
4 《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4 《島/Island》
1 《湿地の干潟/Marsh Flats》
2 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《沼/Swamp》
1 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

-土地(21)-
4 《意思切る者/Architects of Will》
3 《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》
4 《絞り取る悪魔/Extractor Demon》
2 《命運縫い/Fatestitcher》
4 《面晶体のカニ/Hedron Crab》
2 《ケデレクトのリバイアサン/Kederekt Leviathan》
4 《巨怪なオサムシ/Monstrous Carabid》
4 《朽ちゆくネズミ/Rotting Rats》
4 《臓物を引きずる者/Viscera Dragger》

-クリーチャー(31)-
4 《不気味な発見/Grim Discovery》
4 《心の傷跡/Traumatize》

-呪文(8)-
4 《死の印/Deathmark》
4 《強迫/Duress》
4 《蔓延/Infest》
3 《否認/Negate》

-サイドボード(15)-

yaya3 「んー、カニ蘇生は結局ジャンドに勝てないんだよね。相手が素直にジャンドを使ってきたらおしまいじゃない」

川崎 「でも、ジャンド以外を使って、優勝したら英雄ですよ。ジャンドとジャンド以外が対戦していたら、みんなジャンドじゃない方を応援しますよ」

yaya3 「英雄になる為にマジックをやってるわけじゃない。このyaya3には夢があるッ!」

 そう、yaya3には夢がある。

 2年前のグランプリ・北九州。

 浅原 晃との準決勝で勝利し、浅原との対戦という大一番を勝利した気のゆるみか、yaya3は珍しくこんな言葉を口にした。

yaya3 「やっぱ、欲しいんだよね、個人タイトルが」

 自分の要望を、ストレートに口にすることの少ないyaya3が珍しく本音を語った瞬間だった。だが、決勝戦では彌永 淳也に敗れ、その後も、その「本音」は達成されていない。

 あれから口にすることは、もちろん無かったが、きっとyaya3は今も同じ夢を抱いている。

 プロツアーチャンピオンにして、Player of The Yearと、超大型タイトルをふたつも持っているyaya3。

 だが、PoYは通年タイトルであるし、プロツアーチャンピオンは、チャールストンでのチーム戦によるものだ。

 同じく、チャールストンのチームメイトであり、PoYである齋藤 友晴が、一年間の最大の目標を「個人戦プロツアー優勝」と語っているように。

 だが、その齋藤も、グランプリでの戴冠経験はある。齋藤が個人戦プロツアーにタイトルを厳選しているのはそのためである。

 一方のyaya3は、グランプリトップ8記録9回を誇るが、今、なお、個人戦タイトル自体を持っていない。

 すべてのゲームにおいて、「自分の能力だけで、勝つためだけに勝つ」yaya3にとって、個人戦のタイトルが無い事は大きい。初代MOPoYに輝いた事も、結局は通年タイトルである。今、この席で勝利しなければ、個人タイトルは手に入らない。

 そのためには、ストレートに全力を尽くすべきなのだ。

yaya3 「メイン1枚だけ入れ替えたけど、結局ジャンドで出ることにした」

 決勝戦の席に着いて、yaya3はこう語った。「ジャンドに勝てるのはジャンドだけ」その自身の言葉を信じて、yaya3は席に着く。

 個人戦タイトルという、黄金の経験を目指して。

yaya3 「しかし、ずいぶん観客少ないしょぼい対戦だよね。まさかこんな会場の片隅で、勝ち負けでグランプリ優勝分以上の賞金の差がつくとは誰も思わないよね」

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 なんて話をしながら、試合開始時間を待つ。ちなみに賞金は優勝が約130万円、準優勝は約90万円だ。

 試合が開始され、ダイスロールで先手はAnathikことAnssi Myllymaki(フィンランド)。

 マリガンチェックの末に、Anssiのセットしてきた土地は...

 そう、Anssiはジャンド同型対決を見越して赤単をチョイスしてきたのだ。

 あまりの事に、一瞬固まるyaya3。

yaya3 「とぅるるるるる、とぅるるるる」

 マウスを耳にあて、会話をはじめるyaya3。yaya3はおかしくなってしまったのだろうか?

yaya3 「あ、ボス?」

八十岡 「もういい、yaya3。ここは私がでる」

MOチャンピオンシップ決勝:八十岡 翔太(神奈川) vs. Anssi Myllymaki(フィンランド)

Game 1

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 1ターン目に《乾燥台地/Arid Mesa》をセットしてきたAnssiは、2ターン目に《山/Mountain》を2枚並べての《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》キャスト、そしてアタック。

 3ターン目も《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》の蘇生でダメージを積み重ねるAnssiだったが、八十岡はここでファーストアクションとなる《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》をキャストする。

 Anssiが《板金鎧の土百足/Plated Geopede》をキャストして返しで、八十岡は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をキャスト。そこから《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》がめくれ、八十岡は防御を固めてターンを返す。

 そのターンエンドに《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》へと《稲妻/Lightning Bolt》を打ち込むAnssi。

八十岡 「きっちぃなぁ」

 八十岡の予想通り《地震/Earthquake》が打ち込まれ、八十岡の戦場はまっさらになる。一方で、《板金鎧の土百足/Plated Geopede》はフェッチの力で5/5になっていたので生き残る。

 そのまま、《板金鎧の土百足/Plated Geopede》に殴られ、《噴出の稲妻/Burst Lightning》でライフを削りきられてしまったのだった。

Anssi 0-1 八十岡

Game 2

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 2ターン目に《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》をキャストした八十岡に対して、Anssiは3ターン目に《ボール・ライトニング/Ball Lightning》をキャストする。

 これは《終止/Terminate》で除去した八十岡だったが、続く《地獄の雷/Hell's Thunder》の《ぐらつく峰/Teetering Peaks》での強化を踏まえた6点は対処出来ない。

 《地獄の雷/Hell's Thunder》の蘇生にたいしては《瀝青破/Bituminous Blast》を構えた八十岡だったが、このターンにAnssiがキャストしてきたのは《消しえる火/Quenchable Fire》。

 青マナを支払うことができない八十岡は、6点のダメージを受けてしまう。これで八十岡のライフは7。

 6マナの八十岡が、《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》をキャストした瞬間に、Anssi側の後ろでみていたギャラリーから歓声があがる。

 《噴出の稲妻/Burst Lightning》キッカーから《地震/Earthquake》が4点。

Anssi 2-0 八十岡

 勝負は一瞬だった。具体的には15分だった。

 試合を観戦しようと遅れてきたSamuel Black(アメリカ)が「もう、おわっちゃったの?」と拍子抜けする程度には、一瞬だった。

 八十岡は、その持ち前のケアの広さを活かし、ほぼジャンド対決だろうと考えていたとしても、たとえば、デックのマナ域を後ろにしすぎる事もなかった。相手が他のデックを持ち込んできたとしても、最低限戦えるデックを使うことにしたのだ。

 だが、Anssiの赤単は、そのブン回りも含めて、完全なジャンドキラーだった。世界選手権本戦ではどのデックがジャンドキラーか、という話題で盛り上がっているが、決勝戦で間違いなく相手がジャンドなら、この選択肢はただしい。

 八十岡は裏を読みすぎたのだ。

八十岡 「まぁ、しゃーないけどね...」

 そんな八十岡に追い打ちをかけるように、もう一戦行われることが宣言される。

 今度は副賞である、ビデオカメラを賭けて。勝者にはマジック特製柄のビデオカメラが用意される。

Extra Round:八十岡 翔太(神奈川) vs. Anssi Myllymaki(フィンランド)

Game 1
 

 八十岡のダイスは1。

 1ターン目の《ゴブリンの先達/Goblin Guide》から、3ターン目に《ぐらつく峰/Teetering Peaks》をセットしながらの《地獄の雷/Hell's Thunder》と一気にライフを削って行くAnssi。

 続いて《ボール・ライトニング/Ball Lightning》が登場すると、八十岡のライフはなくなった。

Anssi 1-0 八十岡

Game 2

 先手の八十岡は、Anssiの2ターン目の《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を《稲妻/Lightning Bolt》でいなし、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》と《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》が相打ちする。

 さらに八十岡は《荒廃稲妻/Blightning》を2連続で打ち込む。その間にAnssiができたのは、《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》を蘇生することだけなので、一挙に大量のカードが墓地へと送り込まれることとなる。

 《地震/Earthquake》によって《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》のトークンを一掃された返しで、八十岡が《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》をキャストすると、Anssiは、投了をクリックした。

Anssi 1-1 八十岡

Game 3

 またも1ターン目に《ゴブリンの先達/Goblin Guide》、そして《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》という高速展開のAnssi。

 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》のキャストで《ゴブリンの先達/Goblin Guide》と相打ちをする八十岡だが、またも《ゴブリンの先達/Goblin Guide》が。

 この《ゴブリンの先達/Goblin Guide》が《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》によって除去される。一方のAnssiは土地がつまり気味のため、かなり苦しそうに見える。

 だが、それでも、八十岡の残りライフは7。

 《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》までつなげれば...というところでAnssiは《消しえる火/Quenchable Fire》を。

 これでライフが1になってしまった八十岡に、AnttiはX=1の《地震/Earthquake》を。

Anssi 2-1 八十岡

 2連敗、まさに八十岡 翔太の鎮魂歌。

 この世界選手権、最後の一歩、までいきながらも、その最後の一歩で苦渋を味あわさせられてきた八十岡。いや、その最後の一歩に何年間なやまされてきただろうか。

 しかし、筆者は信じている。八十岡が、その最後の一歩を踏み出し、念願の個人タイトルをいつか獲得してくれると、それだけの実力者であると。

 四日間にわたって続いた、このyayaの奇妙な冒険もひとまず幕を閉じる。

 だが、yayaが正義の心、MOジャンキーの心を忘れない限り、来年も、また冒険の幕は開かれる。

 来年の世界選手権の会場は、千葉幕張メッセ。

→To Be Continued

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