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Extended Dechtech:渡辺 雄也:発掘

Extended Dechtech:渡辺 雄也:発掘

By Daisuke Kawasaki

 今回、多くのプレイヤーにエクステンデッドのデックテックをインタビューしているが、その中でも、間違いなくもっとも多くのプレイヤーがサイドボードでの対策を施していたデックが、発掘デックだ。

 やはり、先日のプロツアー・オースティンでの躍進が理由としては大きい。

 日本人も、渡辺 雄也(神奈川)と清水 直樹(東京)のふたりが発掘デックを使用し、トップ8に入賞、そして今回の世界選手権でも、両名とも同じデックを(ただし清水のデックは『イオナズン』から『イオグランデ』にパワーアップしているが)使用している。

 ここでは、個人戦、そして、国別対抗戦で発掘デックを使用した渡辺 雄也のデックを紹介しよう。

渡辺 雄也
世界選手権2009 / 個人戦
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
3 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3 《湿った墓/Watery Grave》
2 《繁殖池/Breeding Pool》
2 《島/Island》
2 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》

-土地(20)-
4 《恐血鬼/Bloodghast》
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》
4 《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
4 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4 《面晶体のカニ/Hedron Crab》
4 《溺れたルサルカ/Drowned Rusalka》

-クリーチャー(26)-
3 《留まらぬ発想/Ideas Unbound》
4 《不可思の一瞥/Glimpse the Unthinkable》
3 《戦慄の復活/Dread Return》
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》

-呪文(14)-
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
2 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
3 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
1 《壌土からの生命/Life from the Loam》
1 《暗黒破/Darkblast》

-サイドボード(15)-

 デッキの基本的な動きは、まず、発掘を持ったクリーチャーを墓地に落す。

 そして、ドローフェイズのドローを発掘に置換することで、ライブラリーから墓地に落ちる時にコスト無しで戦場にだす事ができる《ナルコメーバ/Narcomoeba》を戦場にだしつつ、《黄泉からの橋/Bridge from Below》などの「墓地にあることで効果があるカード」を墓地に送り込む。

 墓地に十分な枚数の《黄泉からの橋/Bridge from Below》が落ち、その他のクリーチャーも含めて、3体のクリーチャーが戦場にならんだら、《戦慄の復活/Dread Return》をフラッシュバックで墓地からキャスト。これで、《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》をを戦場にだし、並んだゾンビトークンと共に一気にフィニッシュする、というのが基本的な流れだ。

 もともと、高いデックパワーを持つデックだったものの、墓地をテーマとしたオデッセイブロックのローテーション落ちにより、一時期失速。しかし、ゼンディカーで強力な墓地強化クリーチャーである《面晶体のカニ/Hedron Crab》と、《ナルコメーバ/Narcomoeba》と並んで、墓地を肥やすことで戦場にだす事ができる《恐血鬼/Bloodghast》の登場によって、返り咲いたアーキタイプである。

 それでは、渡辺にデックの解説をしていただこう。

 なお、個人戦で使用したデックと、団体戦で使用したデックはわずかにレシピの変更がある。

渡辺 雄也
世界選手権2009 / 個人戦
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
3 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3 《湿った墓/Watery Grave》
2 《繁殖池/Breeding Pool》
2 《島/Island》
1 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》

-土地(19)-
3 《恐血鬼/Bloodghast》
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
1 《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》
4 《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
4 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4 《面晶体のカニ/Hedron Crab》
4 《溺れたルサルカ/Drowned Rusalka》

-クリーチャー(26)-
3 《留まらぬ発想/Ideas Unbound》
4 《不可思の一瞥/Glimpse the Unthinkable》
3 《戦慄の復活/Dread Return》
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》
1 《壌土からの生命/Life from the Loam》

-呪文(15)-
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
3 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《壌土からの生命/Life from the Loam》
2 《暗黒破/Darkblast》

-サイドボード(15)-

 団体戦は世界選手権初日から行われているので、こちらのレシピの方が先に使用されたバージョンである。マイナーチェンジの理由も聞いて言ってみよう。

川崎 「まず、このデックを選択した理由を教えてください」

渡辺 「正直なことを言うと、世界選手権では発掘を使いたくなかったんですよ。対策されているのはわかりきっていましたから」

川崎 「やはり、プロツアー・オースティンで目立ちすぎてしまいましたか」

渡辺 「そうですね。プロツアーの時は、前情報であまり警戒されていないという情報があったので、自信をもって持ち込めたんですけどね。ただ、世界選手権前のグランプリが結構ハードスケジュールだったので、エクステンデッドの練習に時間を割けず、練習不足のデッキを使うくらいなら...と持ち込んだ感じですね」

川崎 「なるほど。国別代表戦で使用した後に、個人戦に向けてマイナーチェンジが行われていますが、その理由を教えていただけますか?」

渡辺 「国別の時に比べて、《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》と《恐血鬼/Bloodghast》が1枚ずつ増えてます。代わりにメインボードから抜けたカードは《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》と《壌土からの生命/Life from the Loam》ですね」

川崎 「《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》はうまく機能しませんでしたか?」

渡辺 「そういうわけじゃないんですけどね。もともとプロツアーのレシピと比べて一番の違いは、《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》を投入した所なんですが、これは思ったより強くて、投入枚数を増やしました。このデッキはもう、抜けるカードがほとんど無いんですけど、《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》は一応マナさえあれば《溺れたルサルカ/Drowned Rusalka》があれば代用できますし、メインで強い瞬間が少なかったので、抜けました。もちろん、マナを使い切ってクリーチャーをキャスト、そっから《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths》を《戦慄の復活/Dread Return》みたいに強い瞬間はもちろんあったんですけどね」

川崎 「なるほど。《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》は活躍しましたか」

渡辺 「ええ。土地を置きたい、って思う瞬間が多いデッキなので、《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》はかなりいい動きをしてくれました。これで安定して土地が供給できるようになったので、相性のいい《恐血鬼/Bloodghast》も3枚から4枚に増やしました。《壌土からの生命/Life from the Loam》は枚数調整的な意味合いですね。あとはいじれるところは《溺れたルサルカ/Drowned Rusalka》を1枚減らせるかどうか...くらいですので。形としてはかなり気に入っています」

川崎 「メインボードはほとんど変更が無い一方で、サイドボードには大きく変更が入っていますが...」

渡辺 「実際にやって痛感しましたが、発掘は相当メタられてましたからね。墓地対策は大量に投入されて当たり前の環境になったので、軸を変えるサイドボードに変更しました。具体的には、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》ですね」

渡辺 「特に《虚空の力線/Leyline of the Void》を入れている場合に多いですけれども、発掘相手には瞬殺もあるので、墓地対策を引くまでダブルマリガンくらいまでなら余裕で相手はしてくるんですけど、そうやって手札が減った相手は、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》のビートダウンをさばききれない事が多いんです。一種のアグレッシブサイドボードですね。もちろん、Zoo相手にも強いです」

川崎 「サイドボードのパーマネント対策も《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》に絞ってありますね」

渡辺 「《残響する真実/Echoing Truth》だと結局手札に戻すだけで、再びキャストされるとどうしようもないですし、動きも制限されてしまうので。メインボードに《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》を採用した関係上、土地の枚数が増えて、うちやすくなったから、安心して入れられるようになりました。ソーサリーだって言う部分はそんなに気にはなりませんでしたね。残りの2枚、《壌土からの生命/Life from the Loam》と《暗黒破/Darkblast》は微妙な枚数調整です」

川崎 「なるほど。さて、発掘マスターと呼んでも過言ではないと思う渡辺さんですが、これから発掘を使ってみよう、という方への技術的なアドバイス、というかテクニックみたいなものを少しおしえていただけますか?」

渡辺 「《恐血鬼/Bloodghast》の存在や、《面晶体のカニ/Hedron Crab》を考えると、土地をセットする、という行為が想像以上に重要なデッキとなってるので、手札にある土地を必要以上に置かないということは心がけた方がいいと思います。たとえば、初手に土地が3枚あった場合、3マナ必要な場面はほとんどありませんので、3ターン目に3枚目の土地を置かないで温存しておくというのは当たり前のようですが重要なテクニックです」

川崎 「ゼンディカーの上陸メカニズムが重要な動きをするデックですものね。ゼンディカーといえば、発掘殺しの《貪欲な罠/Ravenous Trap》がありますが...」

渡辺 「ケア不可能、といわれている《貪欲な罠/Ravenous Trap》ですけれども、僕としてはがんばればケア出来る場面もあると思います。もちろん、プロツアー時のようにどんなデッキに入ってくるかもわからないで、使われるかどうかもわからないなら難しいかもしれませんが、今みたいにほとんど入ってくるのが確定していて、こちらも《貪欲な罠/Ravenous Trap》を使われるのに馴れている状況なら、ケアは可能です」

川崎 「具体的にはどのようにケアするのですか?」

渡辺 「基本は、《貪欲な罠/Ravenous Trap》を持っているだろう相手には踏み込みすぎると死ぬ、っていうことを念頭に置いてください。ちょっと場が有利になったら、一気に勝ちに行くんじゃなくて、力を温存してターンを返してしまえば、相手は常にいつ《貪欲な罠/Ravenous Trap》を使うかの選択を迫られますし、また、《貪欲な罠/Ravenous Trap》の発動条件(3枚のカードが墓地に行く)をトリガーさせないで《戦慄の復活/Dread Return》につなげたりすることが可能です」

川崎 「国別対抗戦第3回戦では、相手の手札に3枚の《貪欲な罠/Ravenous Trap》があるのを《思考囲い/Thoughtseize》で確認しているのを逆手にとって、3体の《面晶体のカニ/Hedron Crab》と《不可思の一瞥/Glimpse the Unthinkable》で一気にライブラリーを28枚削る場面もありましたね。プロツアーオースティンの決勝ラウンドで清水さんも魅せていましたが、相手のライブラリーを《面晶体のカニ/Hedron Crab》で削る瞬間って結構あるものですか?」

渡辺 「そんなにあるわけではないんですけど、重要なテクニックではありますね。基本的には相手のライブラリーを削るって戦略は無いんですけど、場が有利な時には削ることもありますし、複数の《面晶体のカニ/Hedron Crab》が並べられたなら、積極的に狙うこともあります。実際、個人戦のスイスラウンドでは3回相手のライブラリーを削りきって勝っています」

川崎 「同型戦も削り合いだと聞いたことがありますが」

渡辺 「難しいところですけど、たしかに序盤はお互い自分のライブラリーをとにかく削るんで、狙える瞬間はありますから、注意していきたいですし、逆に自分が削られないように注意しなきゃいけないところでもあります。基本、同型戦は《戦慄の復活/Dread Return》で《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》を出して、黒を宣言し、相手の《戦慄の復活/Dread Return》を封じる戦いかたになるんですけど、そこで調子にのって《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》で殴りはじめると、《ナルコメーバ/Narcomoeba》でチャンプブロックを連打され、《黄泉からの橋/Bridge from Below》からうまれるトークンで殴り返されて負け、っていうこともありますので。そういう場になった時は《面晶体のカニ/Hedron Crab》で削って行くこともあります」

川崎 「最後に、発掘デックを使ってみたい方にメッセージをお願いします」

渡辺 「デッキとしてのパワーは非常に高いですが、サイドボードを多く取られる逆風の状況なので、その覚悟は必要ですし、その分、デッキもプレイングも練り込んで持ち込む必要はあります。このデッキはまだまだ改良する先があると思いますので、是非ともこのレシピを元に昇華させた物をThe Finalsではみせてもらいたいです」

 逆風でもかまわねぇ!オレは発掘をするんだ!という方は、是非ともこのレシピを元に、昇華された発掘デックにたどりついてみていただきたい。

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