マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

Round 2:井川 良彦(東京) vs. 中村 肇(東京)

Round 2:井川 良彦(東京) vs. 中村 肇(東京)

By Atsushi Ito

 ここでフィーチャーテーブルを離れ、幸先良く1勝を挙げた日本人同士の対決をお届けしよう。

R2_Ikawa.jpg

 赤白の上陸ビートダウン、いわゆる『Boros Landfall』を駆る井川は、今シーズン最初のプロツアーであるプロツアー・サンディエゴでトップ8に入賞し、続くサンファンでも24位と好成績を収めている。その意味では、日本人の中で今最も勢いに乗っているプレイヤーといっても過言ではない。

 9月に行われたプロツアー・アムステルダムでこそ初日落ちしたものの、構築フォーマットにおいて一つのデッキを使い込むタイプの調整には定評がある。今回の『Boros Landfall』も、同じレシピを使った人物が前週に行われた草の根大会で優勝するほどのポテンシャルを秘めており、メジャーなアーキタイプながらもそのカードチョイスには所々独自のセンスが垣間見える。

R2_Nakamura_h.jpg

 対する中村は『Vamps』。MO上でメタゲームの産物として生まれ、瞬く間に広まり暴れだしたこのデッキは、単体のカードパワーの低さと一見低そうな打点とは裏腹に、吸血鬼同士のシナジーが噛み合った際には恐ろしいほどの速度と同時に対処しにくさをも発揮する。《反逆の印/Mark of Mutiny》のために赤をタッチしたバージョンも存在するが、中村は純正の黒単である。09年のプロツアー京都で白単キスキンビートを使用して21位に入賞しデビューを果たした中村が、今度は黒単ビートで世界の頂点を狙う。そして中村の『Vamps』も、この日のために草の根大会で牙を研いできた珠玉の75枚なのだ。

 若きビートダウン使い2人の極限の攻防、ダメージレースを制するのはどちらか。

Game 1

 お互いマリガンなしで、先手は中村。《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》に対し、井川は《沸騰する小湖/Scalding Tarn》から《ゴブリンの先達/Goblin Guide》がアタックするアグレッシブなプレイ。これにより《沼/Swamp》が中村に供給される。

 続いて中村は《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》を召喚するもこれは井川が即座に《未達への旅/Journey to Nowhere》(スタックで自身をサクリファイス)。だが中村は3ターン目に《恐血鬼/Bloodghast》と《臓物の予見者/Viscera Seer》をプレイし、展開を緩めない。

 対する井川は後手1ターン目のアタックも頷けるようなビッグイニング。《冒険者の装具/Adventuring Gear》をプレイして《ゴブリンの先達/Goblin Guide》に装備してから《乾燥台地/Arid Mesa》を起動、さらに《ゴブリンの先達/Goblin Guide》の2枚目をプレイして2体でアタックしたのだ。さすがに6/6は通せないと、《臓物の予見者/Viscera Seer》がチャンプブロックでその役目を終える。井川が後手ながらダメージレースで有利に立ちそうな気配だ。

 しかし中村のリソースはなおも途切れることなく、4枚目の土地を置きつつの《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》+《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》召喚で殴り合いの構え。これに井川は《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》を《稲妻/Lightning Bolt》した後、フェッチをおいて《冒険者の装具/Adventuring Gear》つきの《ゴブリンの先達/Goblin Guide》1体でアタック。《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》が残したエルドラージ・落とし子トークンがこれをチャンプブロックし、井川は《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を出してエンド。

 押しているのは依然井川のように見える・・・が、それほど《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》の攻撃を食らったわけではないものの、フェッチランドの連続使用で井川のライフは既に10にまで落ち込んでいる。そして《稲妻/Lightning Bolt》を使用させたこのタイミングで、中村は満を持しての《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》を召喚!!

 そのまま2マナを立たせた状態で《恐血鬼/Bloodghast》と《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》でアタックすると、これを《板金鎧の土百足/Plated Geopede》と《ゴブリンの先達/Goblin Guide》がそれぞれブロックしても《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》の効果で4点ドレイン。しかも中村は《恐血鬼/Bloodghast》を《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》を置くことで場に戻す。結局除去を使いきった上での残りライフ6点では《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》のドレインを防ぎきれない井川は投了せざるを得なかった。

井川 0-1 中村

Game 2

 お互い7枚で、今度は井川の先攻。《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》に対し
中村は《臓物の予見者/Viscera Seer》で応える。

 井川は《乾燥台地/Arid Mesa》をセットし、4点アタック後《コーの空漁師/Kor Skyfisher》でサーチした《平地/Plains》を戻す。これに対する中村は《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》で防御を固める構えだ。

 井川は《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse(TSP)》をセットし2体でアタック、これを中村はスルーしてフェッチが起動され6点。ここで中村は《恐血鬼/Bloodghast》を召喚し、《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》とフェッチとのコンボでダメージレースの逆転を目論む。

 だが、これには召喚にスタックして立っていた山1枚から《稲妻/Lightning Bolt》が《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》に突き刺さる。プランを崩された中村は《臓物の予見者/Viscera Seer》のみでアタックするしかない。

 返しで井川は《平地/Plains》を置くが中村は負けじとこのパンプにスタックして《見栄え損ない/Disfigure》を。だが《コーの空漁師/Kor Skyfisher》のアタックで中村はライフ7。中村はブロックできない《恐血鬼/Bloodghast》と《臓物の予見者/Viscera Seer》でアタック後、《不気味な発見/Grim Discovery》で《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》と《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》を回収。再度のコンボ達成を狙う。

 しかし井川は《コーの空漁師/Kor Skyfisher》でアタック後、手札から2枚目の《稲妻/Lightning Bolt》と《電弧の痕跡/Arc Trail》を公開したのだった。

井川 1-1 中村

 それにしても中村は2ゲームとも4ターン目までの10マナを綺麗に使い切っている。吸血鬼に愛されているとしか思えない動きだ。

Game 3

 中村に先手が戻って。お互い三度マリガンなし。《臓物の予見者/Viscera Seer》で始める中村に対し、井川は《山/Mountain》を置いてエンド。中村は《恐血鬼/Bloodghast》を追加する。

 井川は《乾燥台地/Arid Mesa》で《平地/Plains》をサーチしてから《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を召喚。中村は《臓物の予見者/Viscera Seer》で《恐血鬼/Bloodghast》を生け贄に捧げて占術し、トップの《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》をそのまま残した後、《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》を召喚。

 このままでは押し切られてしまう井川は《電弧の痕跡/Arc Trail》で《臓物の予見者/Viscera Seer》と《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog》を処理するが、中村の場に2体のトークンが生まれる。中村は《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を《血の復讐/Vendetta》し、《恐血鬼/Bloodghast》と合わせて3体のクリーチャーがいる場で先ほどトップに残した《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》を召喚する。

 返しで井川は《稲妻/Lightning Bolt》を《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》に打ち込むが、エルドラージトークン2体が生け贄に捧げられるに過ぎない。《コーの空漁師/Kor Skyfisher》で戻した《山/Mountain》を立たせてエンド。

 ついに中村が《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》を召喚。《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》、《恐血鬼/Bloodghast》、《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》の3点セットが揃う・・・かと思いきや井川はここで持っている。値千金の2枚目の《稲妻/Lightning Bolt》が、《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》の着地にスタックして《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》に飛ぶ。さらにこの機を逃さないとばかりに井川は返しで《槌のコス/Koth of the Hammer》をプレイ!!

 だが中村はこれをあっさり《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》で処理。さすがに打ち止めか、と思われたが井川はさらに《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》をプレイする。このシーソーゲームはどこまで続くのか。

 ここで《血の長の刃/Blade of the Bloodchief》が《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》に装備され、中村は《恐血鬼/Bloodghast》でアタック。吸血鬼を逐一除去してきたものの、細かく殴られたのとフェッチの使用が効いて井川のライフは8。井川は《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》を《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》に装備しアタック。中村はこれをスルーするもこの10枚で《恐血鬼/Bloodghast》が落ちず、井川は《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》を追加。《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》を付け替えて攻防両面にまわせる分、盤面は若干井川が有利か。

 それでも均衡はついに崩れた。中村がトップデッキした《臓物の予見者/Viscera Seer》をプレイしたのだ。これにより盤面の《恐血鬼/Bloodghast》と《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》とを合わせた3点セットが完成し、井川のライフを吸い尽くした。

井川 1-2 中村

 勝利をもぎとった中村はもちろん、井川も敗れはしたものの、両名ともにぶん回りといえる動きで二転三転する見ごたえのある戦いであった。この先のラウンドも2人の活躍に期待したい。

前の記事: Round 2:小室 修(東京) vs. Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) | 次の記事: Round 3:大礒 正嗣(広島) vs. Thomas Kiene(アメリカ)
イベントカバレージ/世界選手権10 一覧に戻る

イベントカバレージ