マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

Round 4:渡辺 雄也(神奈川) vs. Antti Malin(フィンランド)

Round 4:渡辺 雄也(神奈川) vs. Antti Malin(フィンランド)

By Atsushi Ito

 3ラウンドを終えて1-1-1という何ともいえないラインからフィーチャーテーブルに呼ばれたのは、ご存知09年PoYの渡辺雄也と、08年世界選手権優勝のAntti Malin(フィンランド)である。

 渡辺のデッキは他にも多くの日本勢にシェアされている、今年の日本王者である森勝洋謹製の青黒コントロール。対してMalinのデッキは青白コントロールだ。

 今のスタンダードで青いコントロール同士の対決だと、ほとんどの場合《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をめぐる攻防が勝敗を決定する。

 にも関わらず森勝洋のデッキが多くの日本勢に使用を決断させたということは、当然青対決が抱えるそういった弊害をも乗り越えている、ということなのだろうか。

 その推測の当否が、渡辺の戦いぶりで明らかになる。

Game 1

 渡辺の先手。土地を置いてターンを返すMalinに対し、渡辺も《定業/Preordain》で静かにライブラリを掘り進むのみ。

 Malinは渡辺が4枚目の土地を置いてターンを返すと、渡辺の《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を《地盤の際/Tectonic Edge》で破壊するというアクションを2ターン続けて行うが、渡辺は4枚引ききった《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を苦笑しながらセットし、お互いにターンが飛んだだけの形。

 Malinに3枚目の《地盤の際/Tectonic Edge》はなく、ここでようやく5マナに到達した渡辺は《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を置いておく。

 ここまでお互い明らかに《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の先置きを意識した立ち回り。最初に着地させた方が0能力の《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》を行い、アドバンテージを得る権利を手にするからだ。

 Malinも初めて4枚目の土地として《氷河の城砦/Glacial Fortress》をアンタップインするが、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を置くことはせずノーアクション。カウンターされて返しで置かれたら目も当てられない。もちろん渡辺もそれを知っているから、こちらもやはり軽はずみに自分から仕掛けることはしない。

 Malinは《前兆の壁/Wall of Omens》をプレイし、渡辺は静かに《漸増爆弾/Ratchet Bomb》のカウンターを増やす。互いに雌伏の時。

 渡辺はついに6マナに到達するがここもターンエンド。Malinも《金属海の沿岸/Seachrome Coast》を6枚目としてタップイン。渡辺は3枚目の《定業/Preordain》をプレイし、7枚目の土地をおかずにターンエンド。

 対してMalinが7マナ目を置く・・・が、やはりターンエンド。渡辺の《漸増爆弾/Ratchet Bomb》には既に4個目が乗っている。万が一の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》先置きに対しても、渡辺だけは致命的な事態を防ぐことができる。

 渡辺は今度こそ7枚目の土地を置き・・・意を決して自ら動く。すなわち、《マナ漏出/Mana Leak》をケアした状態で《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》をプレイ。これが7マナオープンのMalinに対し着地するものの、手札にたまった《審判の日/Day of Judgment》がこれを処理。こちらも《マナ漏出/Mana Leak》をケアしている。長いデュエルになりそうな気配。

 だが渡辺はここで3マナ立てて《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をプレイ。ここにきてようやくこのマッチアップのキーカードの1枚目がスタックに置かれる。Malinは残った3マナから《剥奪/Deprive》をプレイするが、ここには当然渡辺の《マナ漏出/Mana Leak》。

 渡辺の場に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が着地する。

 即座に0能力を起動して、8枚目に《地盤の際/Tectonic Edge》が置いてターンエンド。やむなくMalinは《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を相殺しようと試み、これは通る。盤面は再び《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》のいない平和な世界へ。

 渡辺はなおも《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》をプレイ。これをMalinは再び《審判の日/Day of Judgment》しようとする。だが渡辺はこれに対しキッカー《乱動への突入/Into the Roil》をプレイし、《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》を救おうとする。地味にアドバンテージが稼がれてしまうMalinはこれを《マナ漏出/Mana Leak》。

 渡辺はついに《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》をアタックに出すが、Malinはこれを《糾弾/Condemn》。Malinの鉄壁の前に渡辺は攻め手がない。

 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》以外にインパクトあるアクションが起こせない二人。しばらくドローゴーが続く。

R4_Watanabe_Malin.jpg

 ここでMalinが一瞬《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を出そうとする・・・が思いとどまり、何もせずにゴー。その意味するところが伝わったか、渡辺は苦笑で返すしかない。

 お互いのミシュラ土地を《地盤の際/Tectonic Edge》で牽制しあった上、それがお互いの青マナ阻害になって仕掛けるタイミングが作れない。先に仕掛ける方は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の青ダブルシンボルと総呪文コスト4マナの分、カウンター合戦では確実に不利だからだ。青いコントロール対決特有の、いつ終わるともしれない意地の張り合いの構図である。

 しかし《マナ漏出/Mana Leak》と《呪文貫き/Spell Pierce》を抱えたMalinはここで4マナ残しの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》プレイを決断する。

 だが渡辺は《マナ漏出/Mana Leak》2枚でこれを撃退。返しに渡辺の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が再び着地。即対処できなければ致命的だが、Malinはこれを渡辺のアップキープにキッカーなしで《乱動への突入/Into the Roil》する。渡辺は再び《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を・・・プレイしない。Malinの動いた隙をあくまで狙うつもりか。

 渡辺はここでエンド前に《地盤の際/Tectonic Edge》を起動し、6マナ残しの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》。のべ3回目のジェイスチャレンジである。

 Malinは《剥奪/Deprive》で応え、これに対し渡辺は《取り消し/Cancel》。Malinは《マナ漏出/Mana Leak》、に加えて《呪文貫き/Spell Pierce》。さすがにこれは打ち消されざるをえない。

 渡辺はフルタップだがお互い2枚ずつの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を失い、三度このまま膠着になるように思われた。しかしMalinは《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》をプレイ。《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に対する牽制としつつ、フィニッシャーを用意する。

 渡辺は既に4個貯めてあった《漸増爆弾/Ratchet Bomb》には手を触れず、2枚目の《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を用意する。《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》が6/6として渡辺のライフを削りにかかるが、渡辺側がライフで詰められる可能性はほとんどないと考えたか、2回も6点パンチをスルー。さらにMalinの《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》が登場する。ジェイス対決を見越した構成が効を奏したか。

R4_Malin.jpg

 渡辺はここで既に4個たまっていた《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を5個にする。Malinはカウンターを増やすために《漸増爆弾/Ratchet Bomb》をタップしたところで《乱動への突入/Into the Roil》をキッカーで。これが通れば《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に殴られて負けうる・・・か?

 渡辺はこれを《マナ漏出/Mana Leak》+《呪文貫き/Spell Pierce》でカウンター。さらにMalinをフルタップにする。

 渡辺はこのゲームで初出となる《墓所のタイタン/Grave Titan》をプレイ。Malinの3枚目の《審判の日/Day of Judgment》で阻まれる。《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を排除するべく、渡辺はエンド前に2個目の爆弾を3個にし、そのまま自分のターンも起動せずエンド。

 Malinは忠誠度1の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をお互いドローで回復させる。Malinの次のアップキープにさすがに渡辺は《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を3で起動し、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》は墓地へ。

 だがそのMalinのメインでさらなる《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》!!何枚ジェイス入ってるんだと言いたくなる展開。渡辺は置いてあった《漸増爆弾/Ratchet Bomb》も使い尽くし、ジェイス対決はMalinに軍配が上がるか。だが、それはこのゲームの勝敗をも決定づけかねない。

 渡辺は4枚目の《定業/Preordain》で解決策を探すが、渡辺からプレイされたのは何と《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》。メインから入っている異色のカードにも動じず、Malinはこれを4枚目の《審判の日/Day of Judgment》で流す。

 しかし渡辺は再び《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》をプレイする!!

 《審判の日/Day of Judgment》を使いきったMalinに対処手段はあるのか。

 ここでMalinは《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》自分だけドローから2枚目の《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》。これには渡辺、《冷静な反論/Stoic Rebuttal》。

 だが返しで渡辺は《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》の上陸を行えずに1点アタック。Malinの《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》が忠誠度1で生き残る。

 これをMalinが自分ドローで使いきり、ついにMalinの3枚目の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が着地する。ここまでで試合時間はもう残り20分程度。

 0能力を起動した後Malinは《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》をプレイ。これも通る。いよいよ終盤か。

 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》と《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》、紙一重の盤面を渡辺の《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》1体が支えている状況。だがMalinも《審判の日/Day of Judgment》を使い尽くしているから、《前兆の壁/Wall of Omens》などでチャンプするしかできない・・・はずである。

 果たして渡辺は《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》で上陸アタックし、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》は死亡。対して、《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》に1個目のカウンターが乗る。

 Malinは3枚目の《前兆の壁/Wall of Omens》をプレイ。最後の望み、《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》へカウンターを載せるプランに全てを賭ける。

 だがここまで全く使う機会がなく、手札に貯まりに貯まった除去の中から渡辺は《消耗の蒸気/Consuming Vapors》をプレイ。《前兆の壁/Wall of Omens》を排除し、ついに《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が無人の荒野をかけ始める。

R4_Watanabe.jpg

 Malinは渡辺の《地盤の際/Tectonic Edge》を相殺した後、《天界の列柱/Celestial Colonnade》をセットし、必死で《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》を止めようと試みる。

 だが渡辺の手札は除去で溢れかえっており、《破滅の刃/Doom Blade》が《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》の条件達成を許さない。

 結局渡辺の可愛い《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》を阻み続け、Malinはほとんど座してライブラリアウトを待つしかない状況。結局渡辺のライブラリ3枚、Malin2枚という状況で一本目を渡辺雄也が先取した。ちなみにこの時点で残り時間は12分である。

渡辺 1-0 Malin

Game 2

 残り時間が少ない中、なんとしても一本取り返して引き分けに持ち込みたいMalinだが、あろうことか《島/Island》と《氷河の城砦/Glacial Fortress》の2枚で土地が止まってしまう。3ターン目の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(LRW)》につながると見込んだキープが完全に裏目に出た形のようだ。

 もっとも、1ターンをおいた先手4ターン目には《乾燥台地/Arid Mesa》を引きこみ、やはり《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をプレイする。しかしこれを渡辺はしっかり《マナ漏出/Mana Leak》し、続く《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(LRW)》2号機も《呪文貫き/Spell Pierce》で弾く。

 そしてその隙をついて渡辺の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が降臨してしまう。渡辺は最初こそ0能力を起動したものの、Malinが何もできずにターンを返すと、依然土地3枚で止まっているMalinのトップを『検閲』し始める。

 そんな状況下でどうにかMalinが掘り当てた3枚目の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(LRW)》も《取り消し/Cancel》し、渡辺の独壇場。Malinはついにディスカードし始める。

 Malinがようやく4枚目の土地を引いてもそれは4枚目であるが故にタップインの《金属海の沿岸/Seachrome Coast》。何もかもが噛み合わない。渡辺の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の忠誠度は既に11、ついでに残り時間も5分を切っている。

 ついに《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の忠誠度は13個にまで達し、Malinは《乱動への突入/Into the Roil》を唱えることもなく・・・渡辺はメインフェイズに入ると即座に12個のカウンターを取り除き・・・奥義が発動し・・・Malinは一応テキストを確認し・・・

 渡辺に手を差し出したのだった。

渡辺 2-0 Malin

前の記事: Round 4:大澤 拓也(神奈川) vs. Nicolai Herzog(ノルウェー) | 次の記事: Round 5:Noah Boaken(オランダ) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)
イベントカバレージ/世界選手権10 一覧に戻る

イベントカバレージ