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Round 5:Noah Boaken(オランダ) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)

Round 5:Noah Boaken(オランダ) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)

By Jun'ya Takahashi

 日本に将棋や囲碁やかるたがあり、ドイツにはボードゲーム、そしてイギリスにはトランプがあるように、その国々発祥のゲームというものは国の数だけ存在する。そして、それらは段々と文化交流を通じて共有されていき、あらゆる土地の人々に愛されたゲームは、それぞれの土地でコミュニティーを生み、いつしか世界中のファンを集めた大規模な世界大会を行うくらいに「共通の文化」として楽しまれている。規模の大小はあるものの、このMagic:The Gatheringもそういった多くの人々に愛されたゲームの内の一つであることは、今回の『世界選手権2010』に来場しているプレイヤー達を見るに間違いないだろう。

 近年流行が著しいカードゲームというカテゴリーは、日本でいうとM:TGのようなトレーディングカードゲームを指すものとなるが、欧米諸国やアジアだと違うニュアンスとして受け取られることとなる。カジノ業の発達したそういった地域でのカードゲーム。

 そう、Pokerだ。

 日本でも広く知られている5枚引いた札を1回取り替えて出来た役を競う「ドローポーカー」を始めとして、流行の一端を担った「テキサスホールデム」と、トランプとチップを使用するという2点以外には特に取り決まりが無いくらいにPokerのルールは多種多様なものがある。

 M:TGプレイヤーにもPokerの熟練者は多く存在し、今回の世界選手権を機に殿堂入りしたGabriel Nassif(フランス)や2004年度の世界チャンピオンであるJulien Nuijten(オランダ)もPokerで大活躍しており、今大会にも特別招待枠で参加しているDavid Williams(アメリカ)や古くからのプレイヤーには馴染み深いGabe Walls(アメリカ)に至ってはPokerでの生涯獲得賞金は4億円を軽くオーバーしている。

 今回のフィーチャーリングマッチとして選んだ2人も、上で挙げたプレイヤー達と遜色ない、「テキサスホールデム」というルールにおけるエキスパートだ。Coimbraはオンライン(オンラインカジノでのゲーム)で、Boakenはライブトーナメント(実際に面と向かってプレイするトーナメント方式)と戦う舞台は違うものの、Poker業界でも指折りの有名人として活躍している。

 そんな二人が顔を突き合わせたら花が咲くのはPokerに関してで、「最近どうよ」やら「今度のトーナメントでる?」だのと、シャッフルと共にこれからの予定について話し合っている。

筆者 「ちなみにそのトーナメントって参加費いくらなんですか?」

二人 「んー。50万円とかだっけ? 70万円だったかも」

 ちょっとトッププレイヤーの感覚にはついていけそうにない。

R5_Coimbra.jpg

 何故か今まで全くフィーチャーマッチに呼ばれていなったCoimbraは、去年の「世界選手権2009」を『ナヤ・ライトセーバー』で王者に輝いた、つまりは現世界チャンピオンである。今回のデッキは、前回の『ナヤ』のデッキビルダーであるMichael Flores(アメリカ)謹製の『Flores Wave』と呼ばれる青緑のコンボデッキらしい。《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》や《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》といったマナクリーチャーでマナ加速をし、4枚ずつ搭載されている《原始のタイタン/Primeval Titan》と《霜のタイタン/Frost Titan》に繋ぐか、《起源の波/Genesis Wave》をX=6以上でプレイすることでライブラリーの中に眠っているタイタン達を一気に大量展開するという大味なデッキだ。ゲン担ぎは上手い方向へと転がるのだろうか?

R5_Boaken.jpg

 対するBoakenは、「こういうデッキが好きなんだよ」と絶賛する『赤黒吸血鬼』を選択している。軽量の吸血鬼のビートに、アクセントとして優秀な火力呪文である《電弧の痕跡/Arc Trail》や《稲妻/Lightning Bolt》を練りこんだ昔懐かしい匂いのするビートダウン。『青白』等のクリーチャーコントロール以外には分のいい勝負ができる優秀なデッキだ。

 近年のM:TGを象徴するようなマナ加速からのパワーカードか、手札を使いきることで効率性を追求した伝統的なウイ二ーデッキか、戦いの火蓋は切って落とされた。

Game 1

 ダイスロールの結果、Boakenが先手となり《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》でトライアルを開始した。Coimbraはコンボデッキらしく《ハリマーの深み/Halimar Depths》でこれからのプランを相談し、2ターン目の《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》で理想的なスタートを切ることに成功する。

 戦闘ダメージと火力呪文の合わせ技で貴重なマナ加速を失うのを避けたCoimbraは、吸血鬼の攻撃を壁でブロックせず、自分のライフを犠牲にデッキのスピードを上げようと画策するが、Boakenのドローと吸血鬼達はCoimbraの想像以上に優秀だった。

 《恐血鬼/Bloodghast》と《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn》を戦線に追加して攻勢を維持するBoakenに対し、Coimbraは《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》のビースト・トークンで迎え撃つものの、《稲妻/Lightning Bolt》と《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》によって身を守るためのトークンも壁も失ってしまい、終にはゲームを続けるだけのライフというリソースさえも空になってしまった。

Boaken 「これがあるからやめられないよね」

 所要時間は5分間。僅かに5ターン。電光石火の瞬殺劇。

Boaken 1-0 Coimbra

Game 2

Coimbra 「ちょっと早すぎるね」

 1ゲーム目の感想戦をしながら和やかなサイドボーディングを終え、先攻でゲームを始める事を告げたCoimbraは、土地が3枚と《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》、《原始のタイタン/Primeval Titan》2枚に《起源の波/Genesis Wave》、というなんとも重たい手札とにらめっこする。マナ加速と問題無い程度の土地があり、その3枚の土地の中に《ハリマーの深み/Halimar Depths》があることを確認すると、納得するようにプレイを始めた。

Boaken 「今回はさっきよりは遅いかな」

 《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》を2枚横に並べながら《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》を1ターン遅れで2体展開したBoakenは、Coimbraの2ターン目に出した《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》を《血の饗宴/Feast of Blood》で退かして攻撃を開始する。マナ加速が非常に重要な『Flores Wave』にとってこの損失は非常に大きく、手札に眠っている《原始のタイタン/Primeval Titan》達の出番が遠ざかる。

 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》で《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》を処理してなんとかゲームを作ろうとするが、2枚目の《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》を《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》で排除されたことでマナが止まってしまう。《ハリマーの深み/Halimar Depths》で積みこんでおいた虎の子の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で5・6枚目の土地を探すものの、待ち望んでいる土地の姿はどこにも見えない。

 Boakenは《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》と《溶岩爪の辺境/Lavaclaw Reaches》で再び攻撃を開始し、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》は放置してCoimbraのライフを淡々と狙い打つ。

 てっきり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を破壊されると思っていたCoimbraは、もう一回土地を探し当てるチャンスを手に入れるものの、そこにあった3枚は《原始のタイタン/Primeval Titan》《起源の波/Genesis Wave》《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》という超重量級のカード達。身動きが取れないCoimbraは、手札のプレイできないカード達を眺めて泣く泣くターンを終了するしかない。

 次のターンに再び2体をレッドゾーンへと送り込んだBoakenは、その戦闘でCoimbraのライフが6になったことを確認すると、手札の《稲妻/Lightning Bolt》を2枚順番にテーブルに並べた。

Boaken 「まあ、こういうこともあるからマジックはやめられないよね」

 それを聞いてため息をついたCoimbraも《原始のタイタン/Primeval Titan》3、《起源の波/Genesis Wave》2、という絶望的な内容を順番に並べていき、静かに手を差し出した。

Coimbra 「どうだろうね」

Boaken 2-0 Coimbra

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