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世界選手権2010 Standard Metagame Breakdown

世界選手権2010 Standard Metagame Breakdown

By Tomohiro Kaji

 5年ぶりに日本で開催されている世界選手権が始まった。
 さっそく、初日の種目であるスタンダードのメタゲームをいつもの様に分析してみたいと思う。

 今回の参加者は352名となっており、スタンダードが6回戦、2日目以降はドラフト、エクステンデッドと種目が変わっていくわけだが、Top8のプレーオフである日曜日の種目にも採用されており、3種目の中では特に重要度が高い。

 各デッキの使用者分布は下表のようになった。英語版の記事も参考にしていただきたい。

デッキタイプ 合計 割合
ヴァラクート 114 32.39%
青白コントロール 59 16.76%
青黒コントロール 51 14.49%
吸血鬼 28 7.95%
赤青緑 22 6.25%
白(単)アーマー 18 5.11%
ボロスウィニー 15 4.26%
青緑《起源の波/Genesis Wave》 10 2.84%
レッド・デック・ウィンズ 9 2.56%
緑単エルドラージ 7 1.99%
黒青緑 6 1.70%
緑単《エルドラージの碑/Eldrazi Monument》 5 1.42%
エルフ 3 0.85%
感染 1 0.28%
《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》 1 0.28%
青黒赤コントロール 1 0.28%
青赤プレインズウォーカー 1 0.28%
白単ウィニー 1 0.28%
合計 352


一つのデッキ、一枚のカード

 津村健志の週刊連載のお陰で、みなさんも現在のメタゲームについて詳しい方が多いと思うが、そんな方なら「赤緑ヴァラクート」がどれだけ圧倒的で暴力的かはご存じだろう。

 実際に、世界選手権の参加者もその攻撃力の高さからか、参加者の約1/3の114名がこのデッキを選択した。緑特有のマナ加速からの《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》を最速でキャストし、誘発能力で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle(ZEN)》を探し出すことでゲームをコントロールし、勝利する。

 実際にタイタンが場に出てしまえば、土地を置くだけで誘発する《稲妻/Lightning Bolt(M11)》効果でクリーチャーが全滅させられるか、プレイヤーのライフが持たなくなるのに、それがたったの6マナという破格の安さ。

 しかし、このデッキにも難しいところがあり、デッキの構築の幅があるために《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》を含む基本パーツ以外の部分をどうするか、サイドボードをどうするかといったところで、カウンターデッキや、高速のビートダウンとのマッチアップの相性が大きく変わってしまう。その為にも、今回の分布を正確に予想し、最適にチューンナップしてくる必要があっただろう。

青い対抗勢力

 次に人気だったのが青白コントロールと、青黒コントロールだ。

 この二つのデッキを足せば赤緑ヴァラクートとほぼ同数の使用者がおり、これらの青いデッキが形成される要因で、もっとも重要なのが《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》の存在だ。

 単体のカードパワー異常なほど高く、ドロー、バウンスに加えてエンドカードにもなるという化け物カードで、エクステンデットやレガシーでも活躍している。さらに、《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》といった大振りなカードにつき刺す《マナ漏出/Mana Leak》や、ドローの質を高める《定業/Preordain(M11)》といった優良カードによって、抜群の安定性を誇る。

 そして、二色目が白、黒であるのは、ワールドウェイクとミラディンの傷跡、基本セット2011にある友好色ランドの存在と、除去呪文の存在が大きいだろう。白ならば《糾弾/Condemn(M11)》や《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》、黒ならば《破滅の刃/Doom Blade(M11)》を代表とするスペルと打ち消しの組合せは、まさに鉄壁。

古典的ビートダウン戦略

 そしてゼンディカーブロックを代表した種族デッキのバンパイアが続くが、コンボ内蔵型では、《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire(M11)》+《ウラモグの手先/Pawn of Ulamog(ROE)》のトークン生成からパンプアップと、《血の長の刃/Blade of the Bloodchief(ZEN)》に《カラストリアの貴人/Kalastria Highborn(WWK)》や《恐血鬼/Bloodghast(ZEN)》が絡めることでエルドラージもびっくりなダメージを瞬間的にたたき出す。また、火力型では、上記のコンボパーツは少なく抑え、1マナでクロックが2点ある《鼓動の追跡者/Pulse Tracker(WWK)》や《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator(ZEN)》を連打からの《稲妻/Lightning Bolt(M11)》や《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》のバックアップという全く違う動きのあるデッキになっている。

 そしてボロスウィニー。

 12枚のフェッチランドに10枚の上陸カード、さらに《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》や《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》からの《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind(SOM)》を含めた装備サーチというアドバンテージ獲得手段を内蔵したデッキだ。
 最初の3ターン目までのダメージ期待値は群を抜いて高く、土地を満足に置けない相手や、タップアウトの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を狙い撃ちする。

「コブラ戦略」

 次は赤青緑という、ゼンディカー限定構築からの流れをくむアーキタイプだ。

 ミラディンの傷跡導入以前に存在した、《時間のねじれ/Time Warp(M10)》と《ゼンディカーの報復者/Avenger of Zendikar(WWK)》の青緑ターボランドにも動きは近く、《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya(ZEN)》や《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》をキャストし、一気にマナを伸ばす。

 《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》とフェッチランドからの爆発的なマナを出すことも、相手の呪文に対応して土地を探すことで打ち消しのマナを用意することも可能と、小回り良く動くことが出来る。しかし、火力などの軽量除去を用意したデッキにはそのマナ源やアドバンテージ源を対処されてしまい、何がしたいのか状態になってしまうことも。
 ちなみに、黒青緑と表記されているデッキもこれとほぼ同系で、《稲妻/Lightning Bolt(M11)》等の赤い除去を《破滅の刃/Doom Blade(M11)》黒い除去を採用したものになっている。

 最後に、《起源の波/Genesis Wave(SOM)》を使った青緑のデッキが10名存在した。

 デッキの内容としては、大まかには《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》や《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker(ROE)》のマナ加速から《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》という流れに、《霜のタイタン/Frost Titan(M11)》と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》が採用されており、余った大量のマナから《起源の波/Genesis Wave(SOM)》を全力で唱える、というもの。
 参加者の全デッキリストが公開予定になっているので、あわせて確認いただきたい。

 デッキのポテンシャルはまだ未知数なので、使用者の成績がとても気になるところだ。


 最後に、「大陸・地域別」のデッキ使用割合をご紹介しよう。

 世界でも各地域でデッキに傾向が見られて、興味深い。

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