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国別代表戦 Round 1:池田 剛(福岡) vs. Oyvind Harding(ノルウェー)

国別代表戦 Round 1:池田 剛(福岡) vs. Oyvind Harding(ノルウェー)

By Jun'ya Takahashi

 世界選手権のスケジュールでは個人戦の6ラウンドの後、各国の代表選手によって行われる「国別代表戦」が2ラウンド行われることとなっている。各国の強豪と6ラウンドの試合をこなした後に、代表選手は追加で2ラウンドも戦わなければならないのだ。これはどのプレイヤーにとっても非常にハードであり、心なしか席に付くプレイヤー達の足取りも重いように窺える。

 「国別代表戦」は、「スタンダード」「エクステンデッド」「レガシー」という3つのフォーマットをそれぞれに担当した代表者が試合する 3 VS 3の変則チーム戦となっている。使用するカードに制限はなく(プレイヤーAが4枚《原始のタイタン/Primeval Titan》を使用していたからといって、同チームのプレイヤーBが《原始のタイタン/Primeval Titan》を使用できない等の制限はない)、各々の得意なデッキを持ち寄って対戦するというものだ。

teamR1_Japan.jpg

 日本代表の「スタンダード」を担当するのは、「日本選手権2010」を『青白コントロール』で準優勝した池田 剛(福岡)だ。今回は同大会の優勝者である森 勝洋(東京)によってチューンされた『青黒コントロール』を使用しており、渡辺 雄也(神奈川)を始めとするトッププレイヤー達の一部にもシェアされている事で会場の端々で話題となっている。

 個人戦の結果を聞いてみると、3勝3敗とあまり振るわなかったようだったが、

池田 「このデッキは凄く強い。でも、その代わりにプレイングが物凄く難しい。個人戦では、もう少し練習できていれば勝っていたかもしれない、っていう微妙な判断ミスで2ゲームも落としてしまっているから、これからのチーム戦ではそういったミスをしないように気を付けたい」

 大規模なトーナメントに参加をしたことがある者ならば、プレイヤーが起こしてしまう「ミス」の恐ろしさを知っている。それはどんな優秀なプレイヤーであっても、常に気を張っていない限りは思わぬ間違いを踏んでしまう可能性があることを知っている。それを誰よりも知っているプレイヤーの一人が池田だろう。幾度ものプロツアーへの参加とプレーオフへの進出がその経験を裏打ちしている。その熟練のプレイヤーが「ミスを避けたい」とあえて明言したのだ。その覚悟は本物で、ここからが本当の池田の戦いだろう。

 池田 VS 『じゃじゃ馬・コントロール』。

 日本代表の肩書を背負い、池田の自分との闘いが今始まった。

Game 1

teamR1_Ikeda.jpg

 ダイスロールで後手となった池田は、7枚の初手を1枚1枚開いていくと、

『土地5枚(うち《地盤の際/Tectonic Edge》2枚)《漸増爆弾/Ratchet Bomb》《マナ漏出/Mana Leak》』

 という判断に困る問題を突き付けられる。対戦相手のデッキが何であろうと幅広く対応出来るものの、なんとなく後が続かない気がして不安な手札だ。 

池田 「キープするよね?」

 製作者に相談してみると、

 「んー。まぁ......プレイするね」

 と、なんとも歯切れの悪い一言。後手のドローに期待できることもあって、マリガンする選択肢は無いでしょ、との事らしい。隣のプレイヤーに客観的なアドバイスを貰えるのもチーム戦ならではの光景だ。短答できるような簡易的な質問であれば、チームメイトに対して自由に質問していいことになっている。

 対戦相手のHardingはマリガンを宣言し、6枚になった手札をしかめっ面で睨みつけて「OK, once again」と再びシャッフルを始めた。5枚になった手札を、なんか軽くなったな、といったジェスチャーで顔を扇ぐと、《進化する未開地/Evolving Wilds》を1枚置いてゲームを開始した。

 お互いに土地を淡々と置き合い、4枚まで並べあった所で池田は《マナ漏出/Mana Leak》を構えながら《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を設置した。並んでいる土地の顔触れから、お互いが使用しているアーキタイプは判っているものの、それぞれのアーキタイプらしい動きはできないまま序盤は過ぎ去った。

 5ターン目も《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》を置くに留まったHardingは、池田が自分のメインフェイズで起動した《地盤の際/Tectonic Edge》にスタックして《砕土/Harrow》をプレイするも、6マナに到達されると困る池田の《マナ漏出/Mana Leak》に打ち消されてしまった。

 その返しの6ターン目にライブラリの上から引きこんだ《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya》は無事に着地するものの、池田が《見栄え損ない/Disfigure》ですぐさま対処したことでフィールドの平穏は保たれたままゲームは中盤戦をも通過していく。

 1ターンのラグを挟んだ後に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に巡り会えた池田は、現状《破滅の刃/Doom Blade》しか呪文が無い頼りない手札を《渦まく知識/Brainstorm》能力で補充する。すると、その3枚の中には《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》の姿があり、ゲームは急激に加速していった。

 明確なクロックを掛けられてしまったHardingは、わずか4回のドローの中に解答策を見出さなければならない。しかし、それを防ぐためにHardingのライブラリートップを《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》で操作し、《墓所のタイタン/Grave Titan》をも手に入れた池田は一刻の猶予も許さない。

 6点から16点に爆発的に膨れ上がった打点を止める術は、Hardingのドローには含まれていなかった。

池田 1-0 Harding


渡辺 「明確なクロックの強化がこのデッキを使おうと思ったきっかけだね。《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》があったから、このデッキを使うことにしたんだ」

 『赤緑ヴァラクート』とのマッチアップは、わずかだが確実に「有利」がつくと教えてくれた渡辺は、その秘密はクロックの高さにある、と続ける。コントロールとコンボに対してはフィニッシャー、ビートダウンにはブロッカー。八面六臂の活躍を見せる《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》こそが、このデッキの強さを支えている。

 次のゲームは、まさにその発言を体現したかのようなゲーム展開となった。

Game 2

池田 「Good Luck」

Harding 「Thank You and You」

 見慣れたやり取りだが、こういう掛け合いは何回見ても素晴らしいと思う。

 だが、Hardingには"Good Luck"は訪れなかったようで、渋々マリガンをして6枚の初手をキープした。

 対する池田の初手は、『土地3枚、《破滅の刃/Doom Blade》《定業/Preordain》《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》《取り消し/Cancel》』という上々の内容。綺麗なプランが見えている。

 本当にドローが芳しくないHardingは、4ターン目まで土地を置き続けるのみでGame 1のプレイバックを見ているようだ。その間にちゃっかり着地した《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が4点ずつしっかりとキッチリとHardingのライフを蝕んでいく。その手札の内容も充実しており、『《取り消し/Cancel》2、《破滅の刃/Doom Blade》2』と万全の構えでHardingへの迎撃システムは整備されていく。

 12点目を《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が刻んだ返しに、待望の7マナ目に辿り着いたHardingは《ガイアの復讐者/Gaea's Revenge》で逆襲を始める。《取り消し/Cancel》も《破滅の刃/Doom Blade》も機能しない神話レアの力に、強引に押しつぶされてしまうのが普通の青黒だ。

 だが、このデッキには《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が居る。

 《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》が削り落して残りが8にまで落ち込んだライフは、池田の《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》による将来的なダメージを考えるとこれ以上減らせない。奇しくも《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper》と《ガイアの復讐者/Gaea's Revenge》が睨みあう、というかつてない不思議な光景が目の前に広がっている。

 時間が無いHardingは手札の《テラストドン/Terastodon》を2ターンに渡って立て続けにプレイするものの、それは《取り消し/Cancel》の格好の的となってしまう。

 その間に無事《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》に辿り着いた池田は、当初の予定通り、残りわずかなHardingのライフをミシュラ・ランドで削り切った。

池田 2-0 Harding


 今回のマッチでは、相手の不運によって露骨に判断に迷うような難しい局面が現れなかったが、チーム戦は今始まったばかり。池田の挑戦はまだまだ続く。

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