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国別代表戦 Round 1:田籠 渉(奈良) vs. Eivind Nitter(ノルウェー)

国別代表戦 Round 1:田籠 渉(奈良) vs. Eivind Nitter(ノルウェー)

By Atsushi Ito

 国別代表戦における日本代表の弱点は、明確にレガシーにある。
 Yes or No?

 上の質問への回答はともかくとしても、08年の代表である高桑 祥広、09年の代表である塩田 有真と、代表戦にレガシーが採用されてからいまだに、レガシーの成績だけみれば4回戦を勝ち越すことができていないのだ。

 ということは、レガシーさえ克服すれば日本代表チームの優勝が見えてくるのではないか。

teamR1_Tagomori.jpg

 そのために日本を背負って戦うのは田籠 渉(奈良)。代表チームの残りの二人(森・池田)がレガシーには疎いため、経験のある田籠がレガシー担当が決まったという話だ。

 デッキはかつての環境最強、ANTである。

 レガシーにおいて強いコンボデッキという立ち位置は変わらないものの、一時期に比べれば明確にその勢力を弱めつつあるANT。今回、田籠はなぜその選択に至ったのか。

田籠 「レガシーを始めてから一年ちょっとですけど、初めて作ったデッキがANTなんです。それに最近《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》デッキが流行ってて、ANTはそれに相性がいいですし。ANTと《実物提示教育/Show and Tell(USG)》の二択だったんですよね。」

 なるほど、ここ1ヶ月ほどのレガシー環境における《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》の暴れっぷりはよく耳にするが、そのようなメタゲームを踏まえた上での選択というわけだ。

 とはいえ、国別対抗戦は文字通り世界中の様々な国と対戦する可能性がある。メタゲームは地域によって別々に形成され、進行するから、対戦相手となる国次第では予測が裏切られる可能性もある。

 果たしてこの選択が吉と出るか、凶と出るか。


Game 1

 田籠の先手、マナ加速は《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》しかないものの、《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》に加えて《思考囲い/Thoughtseize》《強迫/Duress》という2枚のハンデスを擁する7枚をキープ。Nitterは1回だけマリガン。

 開幕、田籠の《思考囲い/Thoughtseize》で公開されたのは《復讐蔦/Vengevine》《呪文貫き/Spell Pierce》《Force of Will》の他土地3枚というもの。どうやら予想通り《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》デッキとマッチアップしたようだ。だが青緑でカウンターが豊富に含まれているらしい点では、ANT側がそこまで有利というわけでもなさそうだ。ともあれ、田籠はここから《呪文貫き/Spell Pierce》をディスカードさせる。

 田籠は2ターン目にさらに《強迫/Duress》をプレイし、Nitterがドローしていた(!)《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》をもディスカードさせる。

 田籠は次ターンにもう1枚引き込んだ《強迫/Duress》で残った《Force of Will》をも捨てさせ、相手を丸裸にする。ここから悠々とコンボを決めにいくかと思われたが、Nitterはなんとここで2枚目の《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》をトップ。即座にキャストされ、1マナ立った状態でターンエンド。

 ここでターンを返すと16点ほどのダメージを受けることが確定している田籠は見切り発車で仕掛けるしかないが、《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》からもたらされたカードを含めた《水晶鉱脈/Crystal Vein(6ED)》《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond(MIR)》《炎の儀式/Rite of Flame(CSP)》《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》。これらを駆使しても8マナしかひねり出せず、《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》経由だと《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》からの《むかつき/Ad Nauseam》まではさすがにプレイできない。

 やむなく手札を全部使って《巣穴からの総出/Empty the Warrens(TSP)》でゴブリン12体を出すにとどまる。

 果たして、返しで《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》から《復讐蔦/Vengevine》が4体が墓地に送り込まれ、《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TOR)》のマッドネスと《Shield Sphere》のプレイでそれらが盤面に舞い戻る。手札を使い切った田籠は《定業/Preordain》をプレイしてみるが解決策は見えない。

 結局次ターンにNitterは《不可思議/Wonder(JUD)》をサーチし、飛行を得た《復讐蔦/Vengevine》と《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TOR)》が《思考囲い/Thoughtseize》で減っていたライフを一息に削りきった。

田籠 0-1 Nitter


Game 2

 ドローソース多めで多少ゆっくりな手札をキープした田籠に対し、Nitterも土地1枚で《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》の他は《クローサの掌握/Krosan Grip(TSP)》2枚と《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TOR)》《野生の雑種犬/Wild Mongrel(ODY)》という厳しめの手札を7枚でキープ。

 それもそのはず、Nitterはレガシーをプレイするのが初めてらしいのだ。だが後手1ターン目の《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》で無事2枚目の土地を引き当て、《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》を設置する。

 一方、こちらも《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》で《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》にはたどり着いた田籠だが、7枚キープしたNitterの手札を安全確認する術を持たない。

 しかしターンを返せばいずれにせよ《適者生存/Survival of the Fittest(EXO)》により状況が今より良くなることはないと判断したのか、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond(MIR)》2枚を設置してから《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》をキャスト、スタックでその2枚からマナをひねり出し、《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》が通る可能性(Nitterの手札に《Force of Will》も《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》もないこと)に全てを賭ける。

 ・・・果たしてNitterは《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》でもカウンターを引いておらず、《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》がゲーム外から田籠の下へもたらされる。そのまま暴勇でプレイ、《むかつき/Ad Nauseam》をサーチしてキャスト。2枚目の《むかつき/Ad Nauseam》がめくれる危険性を考えてしっかりライフ5で止め、溜まりに溜まったストームを乗せた《苦悶の触手/Tendrils of Agony(SCG)》がNitterのライフを34点ほどドレインした。

田籠 1-1 Nitter

 なお、この間にエクステンデッドで森が敗北し、池田がスタンダードで勝利した結果、日本代表の勝敗はこの田籠とNitterの三本目に託された形となった。

Game 3

teamR1_Nitter.jpg

 Nitterは1回マリガン。後手の田籠は《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》2枚と土地多めの手札をマリガンしようか悩むが、チームメイトの森に相談した結果キープ。Nitterの《貴族の教主/Noble Hierarch》で幕を開ける。

 2ターン目に《貴族の教主/Noble Hierarch》を立たせ、3マナオープンのNitterに対し、田籠は《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》から《思考囲い/Thoughtseize》。これに対応し、相手はまず《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》で田籠の手札から《陰謀団の儀式/Cabal Ritual(TOR)》を下に送り、《思考囲い/Thoughtseize》を《目くらまし/Daze(NEM)》する完璧な対応。そのまま《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》が賛美を持って田籠への4点クロックとなる。

 しかしここでNitterが《Force of Will》を抱えているにも関わらずアグレッシブに《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》をプレイした結果、トップ3枚がシャッフル手段も青いカードもなかったため、《Force of Will》がプレイできなくなるという裏目。

 それでも4点クロックで一刻の猶予もない田籠は《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》からの《強迫/Duress》で安全確認してからの《むかつき/Ad Nauseam》(ライフ11)。これは逆転か。いや、11は決して安全域ではない。チームメイトの池田が見守る中、日本代表の命運を賭けた最後の大博打が始まる。

 1点、0点、1点、0点・・・祈るように1枚ずつカードをめくる。《沸騰する小湖/Scalding Tarn》、まだ大丈夫。このまま1点と2点をめくり続ける限りは、11点でも十分なリソースだ。

 だが、続くカードをめくった田籠の目に無情にも飛び込んできたのは、あろうことか2枚目の《むかつき/Ad Nauseam》。一番めくってはいけないジョーカーを引き当てて、ライフは残りわずか4点になってしまう。

 それでもここで止めるわけにはいかない。勝つためには、ライフがなくなるより先にドローソースか《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》、もしくは《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》をめくる(《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond(MIR)》は既にめくれている)しかない・・・《暗黒の儀式/Dark Ritual(MMQ)》、違う・・・残りライフは3。もう《渦まく知識/Brainstorm(5ED)》や《思案/Ponder》がめくれただけでストップせざるをえない状況。

 そして。

 その場面で。

 田籠は、《冥府の教示者/Infernal Tutor(DIS)》を、見事めくってみせたのだった。

田籠 2-1 Nitter


 一昨年、昨年と国別対抗戦を経験した渡辺 雄也(神奈川)は語る。

渡辺 「08年、09年と僕が代表で勝てなかったから、今年の彼らには是非優勝して欲しいです」

 はたして渡辺の思いは、届くのだろうか。

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