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Round 9:渡辺 雄也(神奈川) vs. Michal Hebky(チェコ)

Round 9:渡辺 雄也(神奈川) vs. Michal Hebky(チェコ)

By Jun'ya Takahashi

 Martin Juza率いるチェコの若手プロ集団の一員であるHebkyは、三田村 和弥(千葉)が優勝したプロツアー・ホノルルにおいて決勝戦を戦った実績を持つ優秀なプレイヤーで、ニコニコと楽しげな笑顔を振りまいているのが印象的な好青年だ。

 今回も1stドラフトを共に2連敗中の渡辺 雄也(神奈川)と、

 「なんでこんな時に(フィーチャー・マッチに)呼ばれるんだよ......」
 「なあ。あんなにスタンダードは良かったのに......」

 と肩を組みながら仲良くフィーチャー・エリアへとやってきた。二人ともドラフト・ラウンドの酷さを声をそろえて嘆き、スタンダード・ラウンドで使用した『青黒コントロール』の構成や《広がりゆく海/Spreading Seas》の是非などの話について花を咲かせている。

 あれ?ドラフトは?

 「「0-2だってば!!」」

Game 1

R9_Hebky.jpg

Hebky 「デッキ凄く弱くて恥ずかしいから、強いカードだけ書いといてね!」

 ダイスロールで選択権を得た渡辺は、先手を取るか後手を取るかで悩み、とりあえず相手のデッキも分からないことだしと、まずは先手でゲームを始めることにした。

 2枚の《島/Island》と1枚《山/Mountain》というマナベースから《危険なマイア/Perilous Myr》《液鋼の塗膜/Liquimetal Coating》《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》と展開した渡辺は、《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》《荒廃のマンバ/Blight Mamba》《嚢胞抱え/Cystbearer》と感染クリーチャーを並べてきたHebkyへの対応を考える。

 とりあえず金属術を満たした状態の《ルーメングリッドのドレイク/Lumengrid Drake》で《嚢胞抱え/Cystbearer》を手札に返し、《荒廃のマンバ/Blight Mamba》は《危険なマイア/Perilous Myr》と交換する。繰り返し出てきた《嚢胞抱え/Cystbearer》には《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》で牽制する。

Hebky 「No, no, no, friend」

渡辺 「Yes, Yes, Yes!!」

 そんな風におどけながらも、《ルーメングリッドのドレイク/Lumengrid Drake》は《伝染病の留め金/Contagion Clasp》で、《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》には《存在の破棄/Revoke Existence》と、渡辺の動きにしっかりと対応していく。ついでに5マナで《腐食獣/Molder Beast》をプレイすると、そのターンエンドに《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》をドロー無しで生贄に捧げて《森/Forest》をサーチした渡辺を見て、「No Green, No Fun, Friend!!」とからかう余裕さえも見せる。

 その《森/Forest》を持ってきた弊害で、引いてきた《連射のオーガ/Barrage Ogre》を出すことができない渡辺は、自分に毒カウンターが3個載っていることを確認すると、《水銀の縛め/Bonds of Quicksilver》を《嚢胞抱え/Cystbearer》にエンチャントして『毒死』から遠ざかる。

 しかし、その次のターンにHebkyがプレイしたのは《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》で、《腐食獣/Molder Beast》と共に一転してライフを狙い始めた。筆者が見間違いかと思って身を乗り出すと、Hebkyは「No~」と恥ずかしがりながら、手で覆って《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》を隠してしまった。
 
 それはともかくライフが危ない渡辺は、《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica》+《液鋼の塗膜/Liquimetal Coating》のミニコンボで《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》を対処し、戦闘で《腐食獣/Molder Beast》を討ち取ってなんとか事無きを得る。

 その後は引いても引いても土地だらけなHebkyを尻目に、マナトラブルを解消した渡辺は《連射のオーガ/Barrage Ogre》《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan》《炉の式典/Furnace Celebration》とコンボ講座を開講し、素早くゲームを終わらせた。

渡辺 1-0 Hebky

Game 2

R9_Watanabe.jpg

 渡辺のデッキが重く遅いコントロールであると見抜いたHebkyは、長期戦を見越して後手を選択した。先手を貰った渡辺は、気に入らない7枚をマリガンした後に、《島/Island》と《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》が期待できるマナソースである6枚を見て悩む。土地を引くことができれば通常運行できる渡辺急行-トップ8方面行-は、悪天候の中勇気を持って出発した。

 ところが現実はままならないもので、土地を2ターンの間引くことができない。なんとかギリギリのタイミングで《島/Island》を引きこんだ渡辺は、5ターン目の《腐食獣/Molder Beast》を《冷静な反論/Stoic Rebuttal》で打ち消すことができたものの、6ターン目から8ターン目に渡って3枚連続でプレイされた《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》には全く対抗できない。

 《大建築家/Grand Architect》の力を借りて《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》《転倒の磁石/Tumble Magnet》と防御網を敷くものの、決定的な解答策には到底ならない。その後、ブロッカーを《伝染病の留め金/Contagion Clasp》で退かし、トドメとばかりに《腐食獣/Molder Beast》を追加したHebkyは、圧倒的なサイズ差で渡辺を踏みつぶした。

Hebky 「この《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》は良いカード」

渡辺 1-1 Hebky

Game 3

R9_Watanabe_Hebky.jpg

 お互いに重いデッキであることが分かった最終ゲームは、渡辺が後手を取り、お互いに7枚の手札で始まった。後手ながらも《飛行の呪文爆弾/Flight Spellbomb》《鉄のマイア/Iron Myr》と幸先良く先行した渡辺を、Hebkyは《伝染病の留め金/Contagion Clasp》で待ったをかけるという序盤が過ぎ去る。呪文爆弾はドローへと変わり、2ゲーム目のような事故が渡辺を襲うことは無さそうだ。

 相変わらず5マナが貯まるまで身動き一つしないHebkyに対して、渡辺は《ニューロックの模造品/Neurok Replica》を2体並べる事で重量級のクリーチャーへの対策を練る。《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》の力を借りて無事に5マナへと到達したHebkyは、渡辺が思い描いていた未来予想図を1枚のカードでびりびりに破り捨てた。

 《苦行主義/Asceticism》

 対象にならない。再生もする。どんなクリーチャーでも《トロールの苦行者/Troll Ascetic》になれるこのエンチャントは、重く強力なクリーチャーと組み合わされば無類の強さを発揮するだろう。見えない3枚の《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》の圧力が渡辺に圧しかかる。

 緑マナは無いものの、《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica》を場に出して《苦行主義/Asceticism》への対策を練る渡辺だったが、その僅かな可能性さえも《存在の破棄/Revoke Existence》で潰されてしまう。

 そして、満を持して登場したHebkyの《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》は渡辺への攻撃を開始する。《連射のオーガ/Barrage Ogre》《転倒の磁石/Tumble Magnet》《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》と、本来であれば何とでも捌けるような渡辺の陣営だが、1枚のエンチャントに守られた恐竜一匹に突破されてしまっている。

 続けて召喚された《腐食獣/Molder Beast》によって、いよいよ窮地へと追い込まれた渡辺は、《ニューロックの模造品/Neurok Replica》2匹を代わる代わる恐竜の餌に差し出しながら、Hebkyのライフを諦めずに削りに向かうものの、その数字はまだ11もある。

 手札も無ければライフも無い。身を守るクリーチャーさえもいなくなった渡辺は諦め気味にライブラリーに手を伸ばすと、その一番上にあったカードを見てテーブルの上を見渡した。そして、土地を7枚寝かせると、引いたカードである《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan》をプレイして《腐食獣/Molder Beast》をコピーした。

 「《連射のオーガ/Barrage Ogre》《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan》(《腐食獣/Molder Beast》のコピー)」というピッタリ11点のクロックを作り上げると、逆襲の一撃を怖がったHebkyは安全に安全を重ねて、《腐食獣/Molder Beast》だけで渡辺を攻撃した。
 Hebkyのもとには2ターン前に引いた2枚目の《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》がある。

 ここでブロックに向かうと勝ち目が無くなってしまう渡辺は、決死の覚悟で攻撃をスルーしてライフを5に落とすと、アップキープにずっと置いたままであった《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》を起動して、このターン引くべきカードの枚数を確かめる。

Hebky 「引いていいカードはあった?」

渡辺「2枚目の《飛行の呪文爆弾/Flight Spellbomb》だけかなー」

Hebky 「じゃあ、22分の1か。いい確率だね」

 お互いに入念にシャッフルをしてテーブルの真ん中に置かれたライブラリーの一番上のカードを叩きつけると、

 それは《ニューロックの透術士/Neurok Invisimancer》だった。

 《連射のオーガ/Barrage Ogre》でプレイヤーに2点。アーティファクトが墓地に落ちたことで《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan》のパワーは11にまで上昇する。そして、《ニューロックの透術士/Neurok Invisimancer》の効果でブロックされないガルガンチュアンは、残り9のHebkyのライフを奪い去っていった。

渡辺 「ごめん。もう一枚あったわ」


渡辺 2-1 Hebky

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