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準々決勝:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Jonathan Randle(イギリス)

準々決勝:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Jonathan Randle(イギリス)

By Atsushi Ito

 08年のイギリスチャンピオンで、今年のイギリス選手権でも4位のRandleは、スタンダードを3-3、ドラフトを4-1-1と2日目終了時点でギリギリのラインだったが、3日目のエクステンデッドで井川 良彦(東京)にシェアされたフェアリーを駆り驚異の6-0を成し遂げ、見事8位でトップ8に滑り込んだ。

 決勝トーナメントはスタンダードのため、青黒コントロール祭りのトップ8の中で初日に3敗を喫した青白コントロールを使用しなければならないのが辛いところだが、3本先取であることを考えると、Randleにとってはサイドボード後に対コントロール用のカードを詰め込んでからが勝負といったところか。

 対するはご存知『PV』ことPaulo Vitor Damo da Rosa。今シーズンのプロツアーサンファンでの優勝は記憶に新しく、それだけにシーズン2勝という快挙に期待がかかる。

 加えて、世界選手権直前までPlayer of the Yearレースのトップを独走していたBrad Nelson(アメリカ)がここにきて失速したため、PVはこの決勝トーナメントで2回勝って決勝戦に進出した段階で、Nelsonを逆転して2010年のPoYの座を獲得できるという状況にあるのだ。

 Channel Fireball製の青黒を手に、PVが千葉の地で新たな伝説を作るため勝ち上がるのか。はたまたRandleがそれを阻むのか。

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 準々決勝随一の注目カードが幕を開ける。

Game 1

 PVの先攻。3ターン目の《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》がRandleの《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を奪い去ると、PVは矢継ぎ早に展開した《海門の神官/Sea Gate Oracle》2体でビートダウンを始める。

 これに《失脚/Oust》を撃つわけにもいかないRandleは、かといって《審判の日/Day of Judgment》は《墓所のタイタン/Grave Titan》のためにとっておきたいため、マナが伸びるまで静かに耐えるしかない。

 ようやく8マナに到達したRandleは、《マナ漏出/Mana Leak》をケアしながらの《悪斬の天使/Baneslayer Angel》をプレイ。これにPVは《マナ漏出/Mana Leak》2枚で対処、さらにRandleをフルタップにさせ、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を安全に着地させる。

 さらにPVは続く2枚目の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》もカウンターすると、《広がりゆく海/Spreading Seas》2枚と《地盤の際/Tectonic Edge》でRandleの白マナを一気に枯渇させつつ、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の+2能力でソフトロックをかける。

 程なくしてディスカードを始めたRandleは、結局《海門の神官/Sea Gate Oracle》2枚によって殴り切られてしまった。

PV 1-0 Randle

 ここでPVは以下のようにサイドボーディングを行った。

out
3 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
2 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《弱者の消耗/Consume the Meek》
1 《広がりゆく海/Spreading Seas》
in
1 《剥奪/Deprive》
1 《強迫/Duress》
1 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1 《呪文貫き/Spell Pierce》
1 《冷静な反論/Stoic Rebuttal》
1 《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
1 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
Game 2

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 先手のRandleは《氷河の城砦/Glacial Fortress》《金属海の沿岸/Seachrome Coast》《霧深い雨林/Misty Rainforest》《定業/Preordain》《マナ漏出/Mana Leak》《審判の日/Day of Judgment》《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》というなかなかの初手をキープ。

 対するPVはマリガン後、《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》2枚に《島/Island》《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》《冷静な反論/Stoic Rebuttal》《墓所のタイタン/Grave Titan》という弱めの初手をキープせざるをえないが、最初のドローが何と《強迫/Duress》。これが1ターン目にプレイされなかったRandleの《定業/Preordain》を奪い去る。

 だがRandleもさるもの、3ターン目にこのマッチアップのキーとなる《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をキャストする。

 2種類のジェイスのいずれも引いていないPVは、徐々にアドバンテージ差がついていくのを黙って見ているしかない。

 Randleの《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》が通った返しでようやくPVも《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を引き込み、安全確認のため《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》をプレイするが、Randleの《否認/Negate》2枚に阻まれ、さらに次ターンのもう1枚の《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》で判明したRandleの手札は《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が3枚と《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》《審判の日/Day of Judgment》という強力なもの。

 仮にRandleの《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を相殺したところで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が待ち構えている。動くに動けないPV。

 1体目の《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》こそ2回殴られてから《破滅の刃/Doom Blade》したものの、2枚目の《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に加えて《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》まで通ってしまっては、《墓所のタイタン/Grave Titan》がブロッカーにまわってもPVのライフは削りきられてしまうのであった。

PV 1-1 Randle

Game 3

 ここでPVが痛恨のダブルマリガン。《島/Island》《地盤の際/Tectonic Edge》《地盤の際/Tectonic Edge》《広がりゆく海/Spreading Seas》《冷静な反論/Stoic Rebuttal》とかろうじてゲームはできる初手だが、青いコントロール対決でこのリソース差はいかにも厳しい。

 PVは4ターン目、Randleが2マナカウンターを持っていないことに賭けて《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をプレイする......ようなことはせず、《漸増爆弾/Ratchet Bomb》をプレイして長期戦に持ち込み、序盤の枚数差の影響を薄めようとする構え。

 しかし、返しのターンにプレイされたのはRandleの投入したサイドボードカード、《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》。

 PVのジェイスへのプレッシャーのためにサイドインされたと思われるが、PVのマナベースは4枚引ききっている《地盤の際/Tectonic Edge》のうちの1枚に《広がりゆく海/Spreading Seas》が貼られてようやく青マナ2つを確保しているという際どい状況のため、《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を2で起動すると青マナが不足するPVはこれに殴られ続けるしかない。

 Randleの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》こそなんとか相殺したものの、《滞留者ヴェンセール/Venser, the Sojourner》が通って《広がりゆく海/Spreading Seas》を毎ターン出し入れし始めると、さらにアドバンテージ差が広がってしまう。

 その《滞留者ヴェンセール/Venser, the Sojourner》こそ《漸増爆弾/Ratchet Bomb》で対処するものの、Randleの《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》2連打でジェイス争いにも敗れ、その間も《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》にライフを詰められたPVは、ようやく探し当てた《破滅の刃/Doom Blade》を2枚ともRandleにカウンターされ、投了を余儀なくされたのだった。

PV 1-2 Randle

 ここでPVは《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》を捌くためにさらに2枚の《広がりゆく海/Spreading Seas》を抜き、《海門の神官/Sea Gate Oracle》を2枚だけデッキに戻した。

 ちなみにこの段階で準々決勝の他の3つの対戦は終了している。Randleが席を立っている間に、PVはジャッジに他の結果を聞き、不利なゲームカウントながらも勝利への意識を高める。

Game 4

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 今度は土地4枚に《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》《呪文貫き/Spell Pierce》《墓所のタイタン/Grave Titan》というなかなかの好ハンドをキープしたPV。

 さらに2ターン目のドローが値千金の《強迫/Duress》で、《定業/Preordain》《否認/Negate》《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に残りは土地というRandleの手札から《否認/Negate》を奪い去る。

 そのままPVが《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をプレイすると、Randleは2マナをタップさせる素振りをみせ......ニヤッと笑って元に戻す。PVは即座に自分だけドロー。さらに4ターン目のRandleの《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》にも《マナ漏出/Mana Leak》を合わせる。《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》が、徐々にRandleとのアドバンテージ差を広げていく。

 結局Randleのフルタップ《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》に《呪文貫き/Spell Pierce》を合わせた返しで《墓所のタイタン/Grave Titan》が通ってしまい、Randleが必死にジェイスを相殺させたところでPVのおかわり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》がRandleの逆転の《審判の日/Day of Judgment》をライブラリの下に送ると、決着は最終ゲームに持ち越された。

PV 2-2 Randle

Game 5

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 Randleが少し悩んでキープを宣言する一方、PVは後手ながら《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》《島/Island》《沼/Swamp》《地盤の際/Tectonic Edge》《強迫/Duress》《マナ漏出/Mana Leak》《墓所のタイタン/Grave Titan》という理想的な手札をキープ。

 《強迫/Duress》を温存して《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》から入るPVに対し、Randleが2ターン目に《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》を送り込むと、PVは《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》に備えて《マナ漏出/Mana Leak》を構えてエンド。

 ここでRandleが《氷河の城砦/Glacial Fortress》《平地/Plains》から《定業/Preordain》をプレイする。普通ならスルーする局面、だがPVはRandleのキープ時の逡巡を見越したか、意を決して《マナ漏出/Mana Leak》をプレイ。そしてRandleは・・・3枚目の土地を置けない!!

 勢いづいたPVは《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》でRandleの《マナ漏出/Mana Leak》を抜き取り、残りの《否認/Negate》《否認/Negate》《広がりゆく海/Spreading Seas》《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》という内容をしっかり確認しつつ、6ターン目に《墓所のタイタン/Grave Titan》をプレイ!!

 どうにか土地事故から復帰し、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》から《審判の日/Day of Judgment》を探しにいくしかないRandleだが、最後のドローも望みのものではないことを確認すると、おもむろに5マナをタップさせ、《滞留者ヴェンセール/Venser, the Sojourner》をプレイ。と同時に、笑って右手を差し出す。

 それはすなわち、投了の証であった。

PV 3-2 Randle

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