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By 藤田 憲一

 ドミニオンに興じていたある日のこと......携帯電話に着信が。ディスプレイには「プレインズウォーカー フォレスト」の表示。

「はい、藤田です」

「こんにちは!フォレストでございます!」

「ああ、どうも」

「実はですね、藤田さんに折り入ってお願(中略)ということで黒のレビューを書いていただきたいんですよ!」

「えっ。いや、それ無理だろ......アラーラ環境のドラフトを少しやったくらいで、最近の構築環境なんてさっぱりわからないよ」

「いやいやいや、M10は基本セットで(中略)だから藤田さんなら大丈夫ですよ!」

「でも他のレビュアー現役だろ?流石に誰か他の人に頼んだほうがいいんじゃ......」

「いやいやいや、黒といえば僕の中では(中略)ということでお願いしますね!」

「実は俺、言われるほど黒いデッキ使ってn」

「ではまた!」

 大体こんな感じで押し切られてしまいました。さすがMixiとの連動といった大胆な仕掛けを連発するフォレストさん、敏腕すぎる。

 トーナメントシーンには顔を出さなくなって久しい人間のレビューなんで、全然的外れなことを言ってたり、本業が忙しくなってライターの真似事をここのところまったくしていので残念な文章になっていたりもするでしょうが、広い心でスルーしていただければ幸いです。

 渡されたリストをざっと眺めてみる......あれ?黒弱くね?

 いやいや、基本セットだから、きっとバランス重視でカードパワー自体は抑え目なんだよ、きっと......と思って他の色を見てみると《悪斬の天使/Baneslayer Angel》やら《稲妻/Lightning Bolt》やら《大貂皮鹿/Great Sable Stag》やら。

 うん、まあ......とりあえずがんばれそうなカードをピックアップしてみますか......。

クリーチャー

・《黒騎士/Black Knight》

 昔は《白騎士/White Knight》と並んで壊れ2マナ域と呼ばれたもんですが、俺がやってたころでさえこのくらいのスペックじゃあ見向きもされなくなっていたような気が。

 もちろん白に対しては徹底的なアンチカードだろうけれども、《清浄の名誉/Honor of the Pure》やらトークン増産やらで強化・増殖してくる兵士軍団が止まるかどうか。とはいえM10環境下でクリーチャー主体デッキを組むなら外せなさそうだ。世の中のメタが白ならば十分活躍できるものの、その場合、相手の《白騎士/White Knight》への対抗策も考えておく必要がある。

 白も黒も全体除去が無くなっているけど、そのへんがどう影響していくのか......。

白の強化...そして天敵の復活

・《墓地を刈り取るもの/Cemetery Reaper》

 各色にいるいわゆる種族ロード的存在。さてM10におけるゾンビはというと......すこぶる微妙。《グレイブディガー/Gravedigger》とかまるで噛みあってないし。

 まあ、自分の能力でゾンビを生み出せるっちゃあ出せるんだけど、コイツいれてゾンビはいれません、てのもありえないわけで。ちょろっと調べてみると、アラーラブロックのほうにはそれなりに強いゾンビがいるっぽいので、そちらと組み合わせてみるのもいいのかも。とはいえ、3マナで2/2出して、3マナタップでこんなことしてるヒマあるのかといわれると甚だ疑問ではある。後手だったら返しで4マナクリーチャーとか出てきてるわけだしねえ。

 なぜか沼渡りを付与して+1/+1はしてくれない(再生もついていたけど)《ゾンビ使い/Zombie Master》よりはマシっちゃあマシだが。

仲間募集...

・《夜の子/Child of Night》

 珍しく優秀なウィニークリーチャー。

 黒的には対戦相手のダメージを増加してくれる能力のほうが嬉しいといえば嬉しいが、ライフが増えてくれる分には文句はない。ライフは支払うものだからね!実際、1回殴って22:18という状況は、先々ボディーブローに効いてくることもあるからバカにならないだろう。

 もうすぐスタンダード落ちだそうだが《苦花/Bitterblossom》なんかとの相性もいい。あとは種族:吸血鬼がどれだけやれるかだが......。なんにせよ黒系のビートデッキには欠かせない存在なのではないだろうか。

《苦花/Bitterblossom》亡き後は吸血鬼強化に期待?

・《吠えたけるバンシー/Howling Banshee》

 俺の記憶が確かならば、この系統のやつはすべからく自分だけライフを失っていたような。お互い3点ならば、ビート系のデッキならば十分デッキに入るレベルなのでは。

 《稲妻/Lightning Bolt》一発で落ちたとしても、十分モトは取れている。しかも、4マナ3/3飛行ならば、遅い環境ならば普通にアタッカーとして戦える。確かにプレイしづらい状況は存在するが、そんな状況のときは大抵なにをやっても負けるので、黒使いならすっぱりとあきらめよう。個人的には黒っぽさをよく表現している良カード。


・《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》

 たしか9thあたりで帰ってきたときは、環境の速さにまったくついていけなくて使われてなかったような覚えが。結局のところ、コイツが動き始められる段階からハンドを攻めてもボードの状況を変化させる手段を持っていないとどうにもならないことが厳しい、というのをみなさんわかってらっしゃるわけで。手札破壊が抱える永遠の課題ですな。

 そうなると、やっぱり一番の問題は《暗黒の儀式/Dark Ritual》だったのかなあ、という気がしないでもない。さて、M10におけるヒッピーは......やっぱり4thのころのように《流刑への道/Path to Exile》やら《稲妻/Lightning Bolt》やらで叩き落されるのだろうか?それはそれで、オールドプレイヤーには楽しめる出来事ではあるのだが。

呼び出す伝統芸能は廃れても、打ち落とす伝統芸能は健在

・《執拗なネズミ/Relentless Rats》

 昔、《疫病ネズミ/Plague Rats》たくさんと《Contract from Below》と《Demonic Tutor》だけでデッキを組んでいた人がいたなあ、というのを思い出した。ただそれだけ。ああ、これアンコモンなのはドラフトを意識してなんですかね、やっぱ。


・《吸血鬼の貴族/Vampire Aristocrat》

 これ、つまりは《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》なんだよね?種族違いなだけで。単体としてはふつーだけど、シナジー次第では一撃でゲームを決めることが出来るので、使われることはあるだろう。

 そういえば、去年の日本選手権予選で使ったデッキにも入っていたなあ。クリーチャーをノーリスクでサクリファイスできる能力は実は案外貴重なので、場から墓地へ行く効果が強力なクリーチャーが出てくれば。


・《吸血鬼の夜侯/Vampire Nocturnus》

 出ました神話レア。条件を満たしてれば4マナ5/4飛行&他の吸血鬼に+2/+1。

 うん、さすがに条件を満たしていれば強い。だが、仮に黒単でデッキを組んだとしても、ライブラリートップが黒になる確率はおおまかに2/3。残りの1/3はただの3/3。

 《吸血の教示者/Vampiric Tutor》あたりがあれば工夫もできるのだろうが(今気がついたが、吸血繋がりだ)、ライブラリートップをいじれるカードがなにかあるかなあ?また、肝心のお供となる吸血鬼はM10の2枚はそこそこ優秀なのだが、それ以外がどうにも......。スロットの問題もあるからそんなにクリーチャーもいれられないだろうけれども、もう一種類くらい軽めの吸血鬼がいれば、吸血鬼デッキも夢ではないのかも。

 ただ......結局は《吸血鬼の夜侯/Vampire Nocturnus》を引けないとできそこないのウィニーになってしまうのが難点。マーフォークデッキみたいに、軽めのマーフォークが沢山入ってた上に、キーカードも軽い、というレベルでまとまらないと難しいんじゃないかなあ。あと、こっちのハンドがバレバレなのも実は相当困る。


・《ザスリッドの悪魔/Xathrid Demon》

 ピット様!ピット様じゃないか!

 何で名前変わってるんですか?と思ったら、実はいろいろスペックも変わっていたという。6マナになっているのもうれしいが、生贄にささげたクリーチャーのパワー分対戦相手のライフを削る効果は夢が広がる。

 得てしてこの手のクリーチャーが場に出たところで一回も殴れないなんてのはよくあるシチュエーションだが、維持できていれば対戦相手は確実に死に近づいていくわけである。単体でポンと出して強いカードではないので、生贄に関しては心配する必要はないはずだし。ま、コイツに自分が殺されるのもまた黒使いにとっては一興ということで。この手のクリーチャーをデッキに入れられるような世の中がまたくればいいなあ。


●スペル

・《魂の消耗/Consume Spirit》

 いにしえの《生命吸収/Drain Life》の完全上位互換。

 《火の玉/Fire Ball》と比べて、分割できない・1点少ないなどの問題はあるが、X火力はいつの時代も貴重。とはいえ、《Lake of the Dead》《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》といった爆発的な黒マナ加速装置が無い昨今では、クリーチャー除去が主な仕事になるのだろうか。ネクロデッキのフィニッシャーだったのが懐かしい。


・《魔性の教示者/Diabolic Tutor》

 おおまかには、1ターンスキップする代わりに好きなカードを持ってこれる、という動きになる。それを良しとするかどうかは環境次第だろう。コンボデッキならそれでも十分だろうし、マナが沢山出せるデッキならばほぼデメリット無し。

 軽いスペル、たとえば《強迫/Duress》《破滅の刃/Doom Blade》といったカードを状況に応じて持ってくるような使い方はアリかもしれない。それにしても5-6マナ必要にはなるので、なんらかのマナ加速要素は欲しいところだ。


・《破滅の刃/Doom Blade》

 《恐怖/Terror》《闇への追放/Dark Banishing》に続く新しい系譜。MTGはじめたてのころは、《恐怖/Terror》とか黒の除去たっぷりデッキにいれて「なんでも除去してやるぜ!」とか息巻いて、トーナメント一回戦で《疾風のデルヴィッシュ/Whirling Dervish》にボッコボコにされたのもいい思い出。

 相手が黒いとまったくの紙くずになってしまうので《流刑への道/Path to Exile》よりもメインに入れづらいが、環境の最大公約数に対抗するのならばメイン4枚投入も十分アリだろう。


・《強迫/Duress》

 どーせフォレストさんは、コイツが再販されたから俺にレビューの話を振ってきたんだろう。とりあえず、先日の「基本セット2010の扉:後編」に目を通してみると......

高橋:クリーチャー強いんで《思考囲い/Thoughtseize》で。落ちたら使えるんじゃ?
三田村:ハンデスとかトップデッキで全然お話にならないです。チョーウケる
:懐かしい......
AA:フジケンが(以下略

 まあそういうことらしいです。いろんな思い出があるカードですが、そんな語りはおそらく誰も聞きたくないので書きません。が、今デッキを組めって言われたら絶対4枚いれるだろうなあ。何故かって?《思考囲い/Thoughtseize》持ってないから。

 しかし、この4人のレビュー記事に黒のカードが《強迫/Duress》だけな時点で、黒の現状を象徴している。


・《消えないこだま/Haunting Echoes》

 これは良いカード。直接ダメージを与えるでもなしに一発でゲームを終わらせられるのはいいよなあ。オデッセイのころは、コイツにレスポンスして投了なんて光景がよく見られたもんだ。

 ゲーム進行をある程度遅らせることが出来る手札破壊系の呪文と相性がよく、《精神ヘドロ/Mind Sludge》からの《消えないこだま/Haunting Echoes》だけでゲームが決まってしまうことすらあった。さすがに5マナ呪文だけあって大振りだが、十分にボードをコントロールする手段とカウンターにだけ気をつけられれば、非常に強力な勝ち手段といえる。どうでもいいカードは任意に山札の中に残しておけるのもポイント。


・《思考の粉砕/Mind Shatter》

 《精神錯乱/Mind Twist》の下位互換。

 とはいっても元々がおかしかったので調整としてはこんなものか。思えば、4マナにおけるこの効果が2マナで打てた《Hymn to Tourach》どれだけおかしかったか。

 さて、いわゆる「無作為に」手札を破壊する効果が一番「刺さる」シチュエーションをご存知だろうか?それは、序盤に置く予定だった土地を捨てさせられることである。つまり、このカードが使えるようになるころにはもう遅いのである。その点、初代はお供に《暗黒の儀式/Dark Ritual》があったので、初動が遅れても根こそぎ対戦相手の手札を奪うことができたのだが、今の環境だと、そのころには場が大変なことになってる予感しかしない。

 好きなカードだけどねえ。


・《血の署名/Sign in Blood》

 ライフは支払うもの、という観点からすると、決して悪くない。《Child of Night/夜の子》を採用しているようなデッキならば、手札をダンプできる能力は喉から手が出るほど欲しいはず。この辺を組み合わせていけばデッキの形になっていくのではないだろうか。

 テキストを読みなおして、一度でいいから四連打で8点削って対戦相手にトドメを刺したい気持ちでいっぱいになった。


M10黒の結論:素人にはオススメできない。手札破壊に夢を見れる人向け

『民兵/Militia』 {B}{B}{B}{1} 3/4 対戦相手の手札上限は3になる

とか欲しいね!

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