マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

main_scs_kaji.jpg

 今から10年前。

 4マナ4/4というサイズに加え、無色であるためにどんなデッキにも投入でき、再生と、融通の効きすぎる除去という、全ての能力を兼ね備えた完璧なクリーチャーがいた。

 共に起動に2マナがかかるといえ、環境にはウルザブロック特有の《厳かなモノリス/Grim Monolith》を代表とする優秀なアーティファクトなマナソース、《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》を含めた強烈な土地サイクルがある。
 そこからひねり出される潤沢なマナにブロッカーは処理されてしまい、たとえ銃撃に生き残ったとしても、再生を盾にした4点クロックを止めることは本当に難しいことだったんだ。

 もちろん、《マスティコア/Masticore》を除いては。

 1999-2000年頃のスタンダードでは、多色化するための十分なマナサポートは無く、大型セットのローテーションで《不毛の大地/Wasteland》が退場したかと思ったら、次は《リシャーダの港/Rishadan Port》と、デッキの単色化に拍車をかけるカードが目立ってしまい、構築時の色の特性による弱点を補完することが出来ない。
 しかし、《マスティコア/Masticore》なら?

 赤単では、プロテクション(赤)もものともせずに破壊するし、逆に、除去の無い緑単のエルフでは、《ティタニアの僧侶/Priest of Titania(USG)》と《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle(USG)》の大量のマナでドラゴンを撃ち落とすことなんて考えられない。
 でも、それが日常茶飯事に起こり、黒単では《マスティコア/Masticore(UDS)》の唯一の弱点である手札を攻めるために《呆然/Stupor(6ED)》が使われたりと、全てのデッキはこのクリーチャーを中心に構築され、メタゲームが進んでいった。
 

Worlds 1999 - Kai Budde

 そして、1999年の世界選手権は、Kai Buddeの赤茶単が。

Kai Budde / Wildfire
1999年 世界選手権 / 優勝
13 《山》
4 《裏切り者の都/City of Traitors》
3 《古えの墳墓/Ancient Tomb》

-土地(20)-

4 《欲深きドラゴン/Covetous Dragon(UDS)》
3 《マスティコア/Masticore(UDS)》
1 《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem(USG)》

-クリーチャー(8)-
4《燎原の火/Wildfire(USG)》
4 《呪われた巻物/Cursed Scroll(TMP)》
4 《通電式キー/Voltaic Key(M11)》
4 《厳かなモノリス/Grim Monolith(ULG)》
4 《緋色のダイアモンド/Fire Diamond(6ED)》
4 《スランの発電機/Thran Dynamo(UDS)》
4 《束の間の開口/Temporal Aperture(USG)》
2 《ミシュラのらせん/Mishra's Helix(USG)》
2 《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone(USG)》

-呪文(32)-
4《呪文ショック/Spellshock(EXO)》
3 《地震/Earthquake(M10)》
2 《破壊的脈動/Shattering Pulse(EXO)》
2 《荒残/Rack and Ruin(ULG)》
2 《沸騰/Boil(6ED)》
1 《ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor(USG)》
1 《ミシュラのらせん/Mishra's Helix(USG)》

-サイドボード(15)-

 
Worlds 2000 - Jon Finkel

 2000年の世界選手権は、Jon Finkelの青茶単の優勝で幕を閉じた。

Jon Finkel / Tinker
2000年 世界選手権 / 優勝
9 《島》
4 《水晶鉱脈/Crystal Vein(6ED)》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port(MMQ)》
4 《サプラーツォの岩礁/Saprazzan Skerry(MMQ)》

-土地(21)-

4 《金属細工師/Metalworker(UDS)》
4 《マスティコア/Masticore(UDS)》
1 《ファイレクシアの巨像/Phyrexian Colossus(USG)》

-クリーチャー(9)-
4《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》
4 《修繕/Tinker(ULG)》
4 《通電式キー/Voltaic Key(M11)》
4 《厳かなモノリス/Grim Monolith(ULG)》
4 《スランの発電機/Thran Dynamo(UDS)》
4 《からみつく鉄線/Tangle Wire(NEM)》
4 《ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor(USG)》
1 《崩れゆく聖域/Crumbling Sanctuary(MMQ)》
1 《ミシュラのらせん/Mishra's Helix(USG)》

-呪文(30)-
4《無効/Annul(USG)》
4 《寒け/Chill(TMP)》
4 《誤算/Miscalculation(ULG)》
2 《水位の上昇/Rising Waters(NEM)》
1 《ミシュラのらせん/Mishra's Helix(USG)》

-サイドボード(15)-

 
 では、そろそろ《溶鉄の尾のマスティコア/Molten-Tail Masticore》について考えてみよう。

 なんといっても、オリジナルとの変更点である「墓地にクリーチャーが必要」となっていることが構築の鍵になることは間違いないだろうが、しかし、利用できるシチュエーションが限られた分ダメージ効率も良くなり、4マナで4点となったことで近年の高スペックなクリーチャーにも十分対抗できる。さらには、プレイヤーを対象とすることも可能になったことで、終盤には戦闘ダメージを必要としないかもしれない。

 さて、起動コストに墓地にクリーチャーが必要ということで、能動的に墓地を肥やせる《獣相のシャーマン/Fauna Shaman(M11)》なんかと相性が良いのは自明だろうが、せっかくなので今回は、ミラディンの傷跡でフィーチャーされているクリーチャー・タイプ、マイア達を主軸にしたクリーチャーデッキを構築してみたいと思う。これなら十分なマナも確保できそうじゃないかな?

 ミラディンの傷跡のパックを開けるとと、そこには懐かしのマナ・マイア達がお出迎えしてくれるわけだけれど、その中でも、特に自分が注目しているカードは《パラジウムのマイア》だ。

 こいつは、まるで《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone(USG)》をクリーチャーにしたようなカードで、1枚のカードで2マナも産みだす優良カード。《マイアの感電者》が2枚あれば無限マナと、コンボの香りもしてくる。

 さらに、《マイアの戦闘球》は《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(M10)》ほどのマナ効率は実現しないが、7マナだけあって、キャストされた時の盤面への影響はかなり強烈だ。

 そしてなんと、今まで挙げたカード達の全てがアーティファクトと、さすがはミラディンの世界、デッキのコンセプトが固まりつつあるのにメインカラーが決まっていないなんて考えられますか?もちろん、このまま無色のカードだけを選び続けていわゆる茶単で構築も全然OKだけれど、今回は5色の内から2つを紹介したい。

 
 まずは、プレリリースでびっくりな強さを発揮していた《鍛えられた鋼》を主軸にしたデッキ。19枚の平地に対して、白いカードはたったの8枚!

白マイア!
19 《平地》
4 《戦慄の彫像/Dread Statuary(WWK)》

-土地(24)-

4 《鋼の監視者/Steel Overseer(M11)》
4 《金のマイア》
4 《マイア鍛冶》
4 《パラジウムのマイア》
4 《マイアの感電者》
3 《溶鉄の尾のマスティコア/Molten-Tail Masticore》
3 《マイアの戦闘球》

-クリーチャー(24)-
3 《マイアの貯蔵庫》
4 《鍛えられた鋼》
4 《起源の呪文爆弾》

-呪文(12)-

 
 次に紹介するのは、《粗石の魔道士/Trinket Mage》を中心にしたシルバーバレットに加え、《カルドーサの鍛冶場主》でもデッキからアーティファクトを探し出すことを可能にした。

 どちらも、基本は《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice(WWK)》と《マイアの戦闘球》を探すことになるだろうが、サーチ時の選択肢がデッキに1枚入れることだけで増えるのが嬉しい。

 ちなみに、《ウギンの目/Eye of Ugin(WWK)》は《溶鉄の尾のマスティコア/Molten-Tail Masticore》だけでなく、無色のクリーチャーを探せることに注意しよう。(編注:編集の際にカード指定が誤っていたので修正いたしました。)
 このデッキも島19枚に対して、青いカードがたったの4枚。

青マイア!
19 《島》
4 《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple(ROE)》
1 《ウギンの目/Eye of Ugin(WWK)》

-土地(24)-

4 《粗石の魔道士》
4 《銀のマイア》
4 《パラジウムのマイア》
3 《溶鉄の尾のマスティコア/Molten-Tail Masticore》
4 《カルドーサの鍛冶場主》
2 《マイアの戦闘球》
1 《鋼のヘルカイト》

-クリーチャー(22)-
4 《全ては塵/All Is Dust(ROE)》
4 《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice(WWK)》
1 《通電式キー/Voltaic Key(M11)》
1 《ミミックの大桶》
1 《精神隷属器/Mindslaver(MRD)》
1 《キマイラ的大群》
1 《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》
1 《脆い彫像/Brittle Effigy(M11)》

-呪文(14)-

 
 今までの環境とは一味違ったマナバランスに、構築の仕方も変わってきますね。ミラディンの新しい世界もまだ始まったばかり。

 それではまた!

読み物一覧に戻る