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第32回:《むかつき》デッキ(エクステンデッド)

第32回:《むかつき》デッキ(エクステンデッド)

 9/3から開催されるプロツアー・アムステルダム。そのフォーマットは、エクステンデッド!

 「Extended」を日本語訳すると「拡張」。スタンダードより少し広く、レガシーほど広くはない、中間のフォーマットです。国内でも4月にグランプリ・横浜がエクステンデッドだったこともあり、《超起源》《暗黒の深部》などデッキも記憶に新しいでしょう。

 「エクステンデッドをやったことがない」そんな方でも大丈夫。この記事を読めば、プロツアーのカバレッジが10倍面白くなる・・・かも知れない。

 第24回の記事でも触れましたが、エクステンデッドの大会規定が変わりました。

・2010年7月1日からエクステンデッドで使用不能になるセット

 第9版基本セット、ミラディン、ダークスティール、フィフス・ドーン、神河物語、神河謀反、神河救済、ラヴニカ:ギルドの都、ギルドパクト、ディセンション、コールドスナップ

・現在のエクステンデッドで使用可能なセット

 時のらせん、次元の混乱、未来予知、ローウィン、モーニングタイド、シャドウムーア、イーヴンタイド、アラーラの断片、コンフラックス、アラーラ再誕、ゼンディカー、ワールドウェイク、エルドラージ覚醒、第10版基本セット、基本セット2010、基本セット2011

・ミラディンの傷跡が発売された時にエクステンデッドで使用不能になるセット

 時のらせん、次元の混乱、未来予知、第10版基本セット

 今後のエクステンデッドは、1年間に発売されたカードセットが秋の新セット発売によって使用不能になる形式です。

 おおまかですが、今回で脱落する主要パーツをまとめると

第9版基本セット

《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
《血染めの月/Blood Moon》
《ウルザの鉱山/Urza's Mine》

ミラディンブロック

《金属モックス》
《虚空の杯》
《等時の王笏/Isochron Scepter》
《仕組まれた爆薬》
《ヴィダルケンの枷》
《知識の渇望》
《教議会の座席》などのアーティファクト・土地

神河ブロック

《けちな贈り物》
《垣間見る自然》
《梅澤の十手》

ラヴニカブロック

《聖なる鋳造所》などの各種ギルドランド
《闇の腹心》
《ゴルガリの墓トロール》
《浄土からの生命》
《稲妻のらせん》
《呪文嵌め》

コールドスナップ

《暗黒の深部》
《炎の儀式》

 といったところでしょうか。

 1番影響を与えるのは、ラヴニカブロックのギルドランドですね。フェッチ+ギルドランドがなくなったせいで今までの強固なマナベースを築けなくなります。多色デッキは、《アダーカー荒原》などのダメラン、《火の灯る茂み》などのフィルターランド、もしくは《野蛮な地》《鮮烈な小川》などのタップイン、などに頼らざるを得なくなりました。

 《ゴルガリの墓トロール》《臭い草のインプ》が入ったデッキは毎年形を変えて残り続けていましたが、ラヴニカの脱落により「発掘」というデッキ自体が消えます。

 また、ミラディンブロックの強力なアーティファクトたちが落ちることにより、《アカデミーの廃墟》《求道者テゼレット》が相対的に弱くなりました。特に《虚空の杯》《仕組まれた爆薬》は特定のマナ域に寄ったデッキに対して抑止力になっていたので影響が大きく、これからは「赤単バーン」や「親和エルフ」が台頭する可能性もあります。

 これに加えて《暗黒の深部》がコールドスナップごと落ち、《弱者の剣》《超起源》 が禁止カードに指定されたので、グランプリ・横浜まで一線級だったデッキは総入れ替わりということになります。

 新規デッキを開拓ということで、赤単・フェアリー・親和エルフ・赤緑《風景の変容》・《目覚ましヒバリ》など、どのプレイヤーもまだまだ手探りの環境ではあります。

 今回はそんな新環境のコンボデッキ、《むかつき》を紹介していきます。

《むかつき》デッキ
2 《戦慄艦の浅瀬》
4 《島》
2 《秘儀の聖域》
3 《アダーカー荒原》
4 《地底の大河》
2 《宝石鉱山》
2 《沈んだ廃墟》
1 《石灰の池》
2 《涙の川》

-土地(22)-
4 《猿人の指導霊》

-クリーチャー(4)-
4 《天使の嗜み》
4 《むかつき》
4 《思案》
4 《定業》
4 《否定の契約》
4 《神秘の指導》
4 《連合の秘宝》
4 《睡蓮の花》
1 《燃焼》
1 《殺戮の契約》

-呪文(34)-
4 《見栄え損ない》
3 《呪文貫き》
1 《ザルファーの魔道士、テフェリー》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《エレンドラ谷の大魔導師》
1 《妖精の女王、ウーナ》
2 《乱動への突入》

-サイドボード(15)-

 デッキのキーカードは《むかつき》。

 レガシーでも一線級のアドバンテージカードですが、高コストがめくれ続けて負ける「AD死」のリスクもある黒らしいカードです。

 レガシーのANTの場合はデッキ内を1、2マナばかりにすることでそのリスクを低くしていますが、エクステンデッドバージョンはあるカードを組み合わせれることで「決まれば勝ち」コンボに昇格しています。

 そのカードとは《天使の嗜み》。

 この「ゲームに負けなくなる」効果と組み合わせることで、ライブラリーのすべてのカードを引ききることが出来ます。もちろん引ききった後のライフは1になってしまいますが、《天使の嗜み》の効果はターン終了時まで続くので解決後に火力を撃たれたりしても1のままです。
(編注:《むかつき》でライフを失うのはダメージではないので、《天使の嗜み》によってライフの減少が1点までで止まるようにはなりません。ただし、あなたはこのゲームに敗北することができないので、ライフが0以下になってもそのターンの間ゲームを続けることができます。)

 その後は大量に余った手札を使い、《猿人の指導霊》Aで《燃焼》をX=0、《猿人の指導霊》BCを使って《燃焼》フラッシュバックで勝利!です。コンボに赤マナを複数使うので、《猿人の指導霊》《宝石鉱山》の使いすぎには注意。

 コンボの過程でライブラリー全部を引ききることが出来るので、《むかつき》さえキャストできてしまえばあとは《否定の契約》で強引にねじ込むことができます。またこのデッキの場合、《天使の嗜み》の効果で《否定の契約》の「払わないとゲームに負ける」部分も無視できます。例えば相手のターンに《思考囲い》を撃たれて、それに対して《否定の契約》→自分のアップキープに《否定の契約》のコストを支払う前に《天使の嗜み》で5マナを踏み倒し→メインフェイズで《むかつき》→勝利!という動きが可能です。

 その他の部分はコンボデッキの定番、ドロー&サーチ&マナ加速ですね。

 基本セット2011から参入した《定業》はその軽さから《思案》とセットのドロースペルです。スタンダードの青赤昇天を強化したように、これからはコンボデッキの定番になりそうです。

 そして《神秘の指導》は万能サーチカード。コンボパーツの両方を持ってくることが出来、場合によっては《否定の契約》《殺戮の契約》と、いつ引いても嬉しいカードです。

 冒頭でも触れたことですが、ギルドランドの脱落によりマナベースは弱体化しています。ダメランをたくさん入れるコンボデッキというのは少し懐かしい感じがしますが、タップインランドはどうしても遅くなってしまうので2枚に抑えてあります。

 そのマナベースを強く支えるのが《連合の秘宝》《睡蓮の花》。特に《連合の秘宝》は《猿人の指導霊》絡みで2ターン目に出すこともあり、ブン回りパーツの1つですね。


サイドボード

《見栄え損ない》

 早いデッキ、特に赤単をスピードダウンさせるために必要なカード。コンボデッキ殺しの《ガドック・ティーグ》《翻弄する魔導師》《エーテル宣誓会の法学者》どれも環境に残っているので、それを除去する役割もあります。

 実はこのデッキ、勝ち手段が《燃焼》なので《ブレンタン炉の世話人》も除去しなきゃいけない。なので多めの4枚です。


《呪文貫き》

 軽い。強い。今シーズンのエクステンデッドで、よく見るサイドボードカードになるでしょうね。


《ヴェンディリオン三人衆》《エレンドラ谷の大魔導師》

 カウンターや同系対策。《思考の大出血》を撃たれた場合も考えると、サイドからクリーチャーで攻めるパターンもあった方が良いです。《妖精の女王、ウーナ》もその役割ですね。


 今週はエクテンの総ざらいをしつつ、新デッキを紹介しました。この《むかつき》もそうですがデッキに入っているカードはここ2~3年のカードが多く、体感的には「ちょっと昔のスタンダード」に近いです。

 「親和エルフ」や「赤単」のように、コモン・アンコモン中心のデッキも存在するので、前よりもエクステンデッドに参入しやすい環境になったと思います。好きだったあのデッキに1ポイントつけたい、そんな方はエクステンデッドに触れてみるのも面白いですよ。

 では、また来週。

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