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フォーマット考
フォーマット考
Tom LaPille
2010年6月25日
先週、マジックのフォーマットについていくつかの変更を告知しました。レガシーに新しい禁止カードが1つと、解禁カードが2枚。エクステンデッドには大改革が訪れ、その一方で変更すべきと言われていたヴィンテージには変更はありませんでした。今回のこのコラムでは、それぞれについて一言ずつ説明したいと思います。
最初の最初に
今私たちが「レガシー」と呼んでいるフォーマットをアーロン・フォーサイスが告知したのは、2004年9月の制限禁止カード告知の時でした。そのとき、彼はレガシーの禁止カードリストがどのようにして新しく作られたかについて説きました。これと同じように、今回も説明をしていきましょう。
違うこと
二流の教示者たち:「《吸血の教示者》、《Demonic Tutor》、《Demonic Consultation》が禁止されることはあっても、《神秘の教示者》や《悟りの教示者》は禁止されないよ。」
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こう信じられていたことの原因には、マジックの多くのほとんどを使えるフォーマットにおいて、こうした高品質な教示者たちがいることで安定的に強力なコンボデッキを組むことが出来る、というものがあります。確かにそれは信じるに足る話だと思います。ですが、それには暗黙の前提として、《神秘の教示者》が「二流」の教示者である必要があります。では、その命題について検証してみましょう。
一流と二流の差
まずは2007年のグランプリ・コロンバスを見てみましょう。このイベントでは、印刷されたままに働くように戻されたばかりの《閃光》が《変幻の大男》と手を組んで猛威を奮いました。《閃光》デッキ3つがトップ8に残り、そのうちの1つは《神秘の教示者》を使わず、1つは《神秘の教示者》2枚入り、そして最後の1つは《神秘の教示者》4枚入りでした。どのデッキが勝ったでしょう?
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3 《溢れかえる岸辺》 3 《島》 4 《汚染された三角州》 1 《沼》 1 《Tropical Island》 1 《Tundra》 1 《Underground Sea》 -土地(14)- 1 《ボディ・スナッチャー》 1 《屍肉喰らい》 4 《闇の腹心》 1 《霊体の先達》 1 《鏡割りのキキジキ》 4 《変幻の大男》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《金属モックス》 4 《相殺》 4 《目くらまし》 1 《残響する真実》 4 《閃光》 4 《Force of Will》 1 《虐殺》 4 《神秘の教示者》 4 《師範の占い独楽》 -呪文(34)- |
4 《虚空の力線》 3 《虐殺》 4 《クウィリーオンのドライアド》 1 《恭しき沈黙》 3 《剣を鍬に》 -サイドボード(15)- |
皆さんの予想通り、《神秘の教示者》4枚入りのデッキが勝ちました。私もこのグランプリに参加していましたが、トップ8に残れなかった《閃光》プレイヤーもたくさんいましたし、彼らの多くは《神秘の教示者》を教示者の選択肢に入れていました。私はなぜか《閃光》デッキを使っていなくて、《神秘の教示者》にはトドメを刺されるばかりでした。
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もちろん、問題になるべきは《閃光》だという主張は判ります。レガシーの禁止リストを作った人もそう考えたので、そのグランプリの終了後に《閃光》は禁止されました。それと同時に、《閃光》デッキを強烈に安定させた《神秘の教示者》についてもなんらかの教訓を得たと思います。
そして今年のグランプリ・マドリードに視点を移しましょう。トップ8のうち3つのデッキが、《神秘の教示者》を基礎としたデッキでした。1つはリアニメイト・デッキ、2つは触手《むかつき》デッキです。それらのデッキは《神秘の教示者》の入っていないデッキをそれぞれ準々決勝で破り、この中の2つのデッキが決勝戦で対峙することになったのです。
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2 《血染めのぬかるみ》 2 《島》 4 《汚染された三角州》 2 《沼》 4 《Underground Sea》 2 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- 1 《魅力的な執政官》 1 《浄火の大天使》 2 《墨溜まりのリバイアサン》 2 《エメリアの盾、イオナ》 1 《鋼の風のスフィンクス》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 1 《暗黒の儀式》 4 《目くらまし》 1 《残響する真実》 4 《納墓》 4 《死体発掘》 4 《Force of Will》 4 《神秘の教示者》 4 《再活性》 1 《実物提示教育》 2 《思考囲い》 -呪文(37)- |
1 《動く死体》 1 《蒸気の連鎖》 1 《残響する真実》 1 《ハーキルの召還術》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《誤った指図》 2 《非業の死》 1 《実物提示教育》 3 《呪文貫き》 1 《鋼の風のスフィンクス》 1 《拭い捨て》 1 《森滅ぼしの最長老》 -サイドボード(15)- |
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2 《溢れかえる岸辺》 1 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 1 《冠雪の島》 1 《Tropical Island》 1 《Tundra》 4 《Underground Sea》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
1 《むかつき》 4 《渦まく知識》 4 《陰謀団の儀式》 2 《金属モックス》 4 《暗黒の儀式》 3 《強迫》 1 《不正利得》 4 《冥府の教示者》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 4 《神秘の教示者》 3 《オアリムの詠唱》 3 《思案》 2 《師範の占い独楽》 1 《苦悶の触手》 1 《拭い捨て》 -呪文(45)- |
1 《思考停止》 1 《蒸気の連鎖》 3 《闇の腹心》 1 《強迫》 1 《根絶》 1 《ハーキルの召還術》 2 《否定の契約》 2 《恭しき沈黙》 1 《サディストの聖餐》 1 《殺戮の契約》 1 《思考囲い》 -サイドボード(15)- |
リアニメイト・デッキも触手《むかつき》デッキも、どちらも《閃光》のように厄介なものではありませんが、どちらも呪文ベースのコンボ・デッキで、つまり《神秘の教示者》がその背後にあるのです。これを分析した結果、《神秘の教示者》が二流の教示者であるという思い込みを覆すことにしました。《神秘の教示者》は一流で、これからも呪文ベースのコンボ・デッキが出来るたびに《神秘の教示者》が発奮するだろうと思ったのです。
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紳士協定
グランプリ・マドリードの決勝のデッキを見たとき、私たちの中で特に心配性な者がマジック・オンラインにアクセスし、それを入れてレガシーで対戦してみました。そして、その結果に驚愕したのです。実際のトーナメント環境とほぼ同じ、トーナメント・プラクティスの部屋でプレイしていたにもかかわらず、リアニメイト・デッキや《むかつき》デッキにはそれほど負けなかったのです。私の場合、負けたのは不慣れな《むかつき》デッキを使っていたせいでクリックミスした時だけでした。このデッキはあまりに強く、メインデッキから対策してあるか、あるいはサイドボードでがっちり対策してあるデッキでしか太刀打ちできなかったのです。
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私たちは次に、レガシーが現実世界でどのようにプレイされているかを調査しました。興味深いという言葉では言い表せないことに、《神秘の教示者》デッキは、高額賞金の賭けられていないイベントではほとんど見かけられなかったのです。グランプリその他の高額賞金の賭けられたトーナメントで、プレイヤーは嬉々として《神秘の教示者》の封印を解き放つのです。その一方で、彼らが自分の普段遊んでいる店で使うデッキは、楽しむことに重点を置いた、それほどガチでないデッキを使っているのです。その、言わば一種の紳士協定のようなものは私にとって衝撃でした。むかつくデッキの存在を誰もが知っていて、でもそれを使わないことを選んでいるということです。
《神秘の教示者》デッキを使っていても、他の選択肢があることは知っています。《神秘の教示者》を止めるために、《もみ消し》《目くらまし》《Force of Will》などがたっぷり入ったデッキを使えばいいわけですし、墓地対策や《精神壊しの罠》をたっぷり詰めたサイドボードを準備してもいいでしょう。リアニメイト・デッキなら《真髄の針》をサイドボードに入れてあればいいわけですし、触手《むかつき》なら《精神壊しの罠》や《Force of Will》をかいくぐるには《強迫》や《思考囲い》があれば充分です。サイドボード後のゲームは、対策カードの撃ち合いになるでしょう。――不健康ですね。さらに、《神秘の教示者》があれば、非常に軽く、しかもたった1枚の《実物提示教育》や《拭い捨て》のようなカードで、対策カードに対する耐性を持ってしまうのです。
前述の協定の面白さは、紳士協定を結んでいるプレイヤーの方がそうでないプレイヤーよりも楽しんでいるというところにあります。彼らがその特別なことに気づいていたかどうかはともかく、彼らはより多様なデッキや、より多くのゲームを体験してきていて、また彼らはほとんど全てのマジックのカードで楽しんでいるのです。私たちは彼らの築き上げた世界に出会い、その世界を気に入りました。《神秘の教示者》が乱舞する競技の世界よりも気に入ったので、その世界を全てのプレイヤーと共有したいと思ったのです。
《納墓》が残ったのは?
《神秘の教示者》の禁止の告知を受けて、プレイヤーたちから《納墓》を解禁したのは間違いだったんじゃないか、もう一度禁止したらどうか、という問い合わせが相次ぎました。いい疑問ですが、現時点ではその方向に向いてはいません。実際の所、《納墓》を解禁したのが間違いだったとは考えていません。リアニメイト・デッキはデッキとして優れものだと思います。優れものと言えないのは、得体の知れないフードを被った女性が本を手に、一見無害に思えるようにしむけながら呪文ベースのあらゆるコンボ・デッキの魔力を高めるといったものです。呪文ベースのコンボ・デッキが色々存在するのは好ましいことですが、それを必要以上に押し上げる教示者はいてはならないのです。
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触手《むかつき》デッキやリアニメイト・デッキが、これによって死滅するとは思っていません。威力は落ちるでしょうし、それによってこのフォーマットは「紳士協定」を結んでいるプレイヤーたちが好むようなデッキで一杯になることでしょう。
制限解除
《神秘の教示者》の禁止と同時に、2枚のカードが解禁になりました。これからそれについて説明します。
《Illusionary Mask》
《Illusionary Mask》は、何年にも渡って混乱の塊だったカードの一つで、オラクルでも混乱を招いていました。ようやく、最初に印刷されたときの意図を最大限に実現し、同時に実際にプレイできる記述になったと信じていますので、環境に戻すことにしました。これと組み合わさるカードとしては《ファイレクシアン・ドレッドノート》が真っ先に上がりますが、他にもいろいろなカードがあるに違いありません。
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| {X}: あなたは、あなたの手札にある、{X}で支払ったマナの全てあるいは一部でマナ・コストを支払うことができるクリーチャー・カードを1枚選んでもよい。そうしたなら、あなたはそのカードを裏向きの2/2クリーチャー呪文として、そのマナ・コストを支払わずに唱えても良い。その呪文が解決されてなるクリーチャーが、表向きになることなくダメージを割り振り、与え、あるいは受けた場合、あるいはタップ状態になった場合、その代わりに表向きになり、ダメージを割り振り、与え、あるいは受け、あるいはタップ状態になる。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられる時にのみ起動できる。 |
《厳かなモノリス》
昨年9月、《金属細工師》を解禁したことによってマナ・アーティファクト・デッキの可能性が開けました。あのときに《金属細工師》だけを解禁したのは、歴史上も強力なマジックのカードがレガシーのように広いフォーマットでどのような影響を及ぼすかが想像できなかったからです。《金属細工師》だけではアーティファクト・デッキは強力になったとは言い難い状況ですので、もう一歩進めることにしました。《厳かなモノリス》があれば、「茶単」デッキが見られることでしょう。
ヴィンテージ
基本セット2011のヴィジュアル・スポイラーにあるこのカードにご注目下さい。
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2008年6月、《思案》と《渦まく知識》がヴィンテージの制限リストに入りました。この理由は、一言で言えば「どの青デッキもほとんど一緒」ということでした。《Force of Will》4枚、《思案》4枚、《渦まく知識》4枚、選りすぐりの制限カードを各1枚、マナ......と、ここまで入れると他のカードを入れる場所はほとんど残らなかったのです(これについては別のコラム(英語)で説明しています)。同じ理由でこの定業も制限されるべきとなりますが、今回は制限しませんでした。その理由は?
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| 定業 | Art by Svetlin Velinov |
《思案》と《渦まく知識》が制限されたとき、ヴィンテージ・プレイヤーからはその変更の理由に納得できないという激しい声が上がりました。その時点ではその決定をなすだけの情報がありました。しかし、それから時は流れ、1マナの強力なキャントリップ呪文が4種類も使用可能な状態が続いています。状況は変わったのです。撃ってから聞くのではなく、定業がヴィンテージでどのように働くかを見てから対処を考えることにしました。今後も使用可能なままだとは言いませんが、現時点ではヴィンテージでの定業の可能性を探っていくことになります。
エクステンデッド
エクステンデッドの変更に関しては、既に多くのことが語られています。フォーマットを策定するときの目的は、プレイヤーが対戦相手を見つけやすいようにすることです。プロツアー予選以外でそのフォーマットが遊ばれていないのであれば、目的を果たしているとは言えません。以前のエクステンデッドはまさにそういう状態だったので、スタンダードとは違う、プレイヤーが遊びたいと思うようなフォーマットにしなければなりませんでした。この変更の背後にある理由について、先週のブライアン・デヴィッド=マーシャルのコラムで詳細に説明されていますので興味がある向きはご一読下さい。








